えんぜるびっつ。   作:ぽらり

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「ーー見果てぬ夢の結末を知るがいい。この神になる僕が手ずから理を示そう」

 

「直井くんがノリノリだ。テンション高いね」

 

「なぜ貴様がここにいる」

 

 なんでだろうね。ってことでただいま生徒会チームのベンチにいます。敵情視察って言えば聞こえはいいけども、もはや単なる暴挙ではないだろうかという感覚が否めない。でもそんなのは関係なかったりするのがこの世界特有のクオリティなのだ。すごいね死後の世界って。

 

「遊びに来ますた」

 

「帰れ」

 

 なんとも冷たい反応が返ってきたものである。でもいつものことなのでさほど気にしません。きっとツンデレ。

 

「立華さんもこんちあ」

 

「こんにちは、ナツメ。でも天使じゃないわ」

 

「言ってないです」

 

 立華さんもテンション高いのだろうか。きっと帽子のせいだと思う。今の状態ならば何か無茶なこと言っても許される気がする。

 

「直井くんもそう思うよね」

 

「――――理想を抱いて溺死するがいい」

 

 何やら悪そうな笑みを浮かべてブツブツ言ってるので、そっとしておこうかとおもいます。しかし、直井くんの守備範囲は萌系じゃなかったっけ。あ、あとボカロ。

 

「まぁ、いいか」

 

「何がいいのかしら?」

 

 首をかしげながら訪ねてくる立華さん。あ、帽子がズレた。乗せてるだけだったのねソレ。衝撃の事実。でもないや。それはそうと。

 

「たちばなさんたちばなさんたちばなさん」

 

「何かしら、ナツメ」

 

「グリフィ」

 

「スリザリンは嫌だスリザリンは嫌だスリザリンは嫌だ」

 

「魔法使ってみたいね」

 

「そうね。バインドからのバスターは燃えるものね」

 

「個人的には3期が好きです」

 

 1期も2期も好きだけども。

 

「私は全部好きよ」

 

「そんな気してた」

 

「一見可愛らしい魔法少女なのだけど、物語的にはとても熱いものがあるわよね」

 

「きっと直井くんも好きだと思われる」

 

「え……?」

 

 立華さんと2人で直井くんを見る。不自然なくらいにそっぽ向いてました。逆に怪しいってばよ。

 

「なおいくんなおいくんなおいくん」

 

「……気安く呼ぶな」

 

「さっきまで聞き耳立ててた直井くん」

 

「裁くぞ」

 

「なんでさ」

 

 何もしてないじゃないのさ。いや、割と本気で。

 

「いい加減なことを言うなよ。この神になる僕に」

 

「それ言っていいの?」

 

 ねー、立華さん、とお話を振ってみる。普通にお隣に立華さんがいらっしゃいますので、不可抗力だよね。うん、現代文とかわかんない超わかんない。

 

「えっと、直井くんも、魔法少女好きなの?」

 

「な、なな、何をおかしなこと言ってるんですか会長! 僕がそんな……っ!」

 

「そんな?」

 

「そ、そんな……」

 

 直井くんが葛藤してる。超葛藤してる。本当は大好きなんだろうね。それはもう隠したいからと言っても、罵倒するのが嫌なくらいに。きっと愛だと思う。

 

「ところでご両人。魔法少女と言えば新しく始まりますが、ご視聴のご予定は?」

 

「私はとりあえず録画かしら」

 

「愚問だな。リアルタイムで視聴、その上、録画をするに決まっている」

 

「ですよね」

 

 聞くまでもなかったね。分かってました。でも聞きたかったんです。そんな義務感がなぜかヒシヒシと。あるよねそういう時。きっと誰かわかってくれると信じてる。

 

 その後も3rdの話とかで3人で盛り上がってました。3人ね。ここ大切。まぁ、気がつけば我慢の限界だったのであろう直井くんが率先して話しだしてくれていて、立華さんも思わずほっこり。すごく嬉しそうにしてて、かわゆかったです。

 

 

 

「そしてお久しぶりです。こんにちわ」

 

 もうちょっとお話ししてたかったけども、遊佐ちゃんからのお呼び出しで自軍のベンチへ戻ります。ひさ子ちゃんがドコ行ってたんだ? 的な視線を投げてきますが、とりあえずGOサイン出して意識を逸らす。日向くんは犠牲になったのだ。でも、こっそり大山くんも参加しててワロタ。

 

「ところで遊佐ちゃんは何のご用だったのでしょうか?」

 

「コレを」

 

「なにこれ?」

 

「打ち上げの買出しリストとなっています」

 

「まじか」

 

 手渡されたメモ。なるほど、買って来いってことか。もはや球技大会の球の字もないくらいに参加していない件。まぁ、今更なんだけども。

 

「コレを」

 

「みなまで言わずとも把握しますた」

 

「日向さんへ」

 

「鬼か」

 

「いいえ、遊佐です」

 

「知ってた」

 

 相変わらず変わらない表情でぶいサインを向けてくる遊佐ちゃんきゃわわです。しかし、その発想はなかった。でも面白そうだと思ってしまった俺を誰が責められようか。日向くんだね。そりゃそうだ。

 

「とりあえずわたしてくる」

 

「お願いします」

 

「わたしてきた」

 

「ご苦労様です」

 

 さて、キャプテン不在となりました球技大会。この先不安ですね。なんて話を振ろうかと思ったけども、誰も気にしてないご様子。とりあえず、代理決めましょうか。

 

「というわけで、代理のキャプテンを決めたいと思います」

 

 面倒くさそうな視線と、ダルそうな視線がこっちに集中した。今は攻撃の最中らしく、ベンチにはバッターと次の打者、それから絶賛パシられ中の日向くん以外はいるみたいです。

 

「じゃあ、この中で我こそはって人いる?」

 

 まずは立候補者を募る。募らなかった。

 

「仕方ない。ここはこのナツメが」

 

「却下」

 

 遊佐ちゃんが。

 

「却下だな」

 

 ひさ子ちゃんが。

 

「却下ですね!」

 

 ユイにゃんまでもが。

 

「不都合でもあると申すか」

 

「不都合しか見当たらねーよ」

 

 ひさ子ちゃんの言葉が辛辣でナツメ涙が出てきますよ。

 

「でも、なんかユイにゃんは腹立つから後でラー油神拳の刑に処す」

 

「なーんーでー!」

 

 腹立つからって言ったがな。あと服引っ張るのやめれ。

 

「でも、代理は決めておいた方が良いよな」

 

 音無くんが言った。皆それもそうだな的な雰囲気を醸し出し始める。何気ない一言なのに、俺が言った時との違いはなんだろうか。別にいいけども。

 

「じゃあ、とりあえず」

 

「私の出番のようね!」

 

 仲村さん来た。

 

「大将が直々におでましとは」

 

「ヒマだったのよ」

 

「ちょ」

 

 もうちょっとオブラート包もうよ。体裁とかあるでしょリーダーって。

 

「どうでもいいわ。些細な事よ」

 

 さいですか。

 

「さぁ、私が指揮を執るからには、負けは許されないわよ!」

 

 めっちゃやる気な仲村さん。戦線本部でよく被っているベレー帽まで取り出しちゃった。

 

「行くわよ! オペレーション・スタート!」

 

 喝が入ったのか、気合も十分な戦線メンバーが次々にベンチを後にします。さすがはリーダー。でも、今は攻撃の最中だから、みんな早く戻ってきましょう。

 




「ラー油神拳奥義!辣々流星群!」

「にぎゃぁああ!」



お久しぶりです。いまだにお仕事忙しくてロクに
更新できませぬが、生きてます。
ABOWで生きてます。

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