えんぜるびっつ。   作:ぽらり

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「ん、じゃあ、最後は椎名さんだね。本日のメインゲストです」

 

 4人が決まり、残すは椎名さん1人。さて決めますかと言えば、よしきた! と気合いを入れる関根ちゃんとユイにゃん。入江ちゃんもちょっとだけやる気みたい。このまま2人が仲良くなってくれればなと思うのは過保護だろうか。過保護で良いじゃない、もっと甘やかそうず! とは関根ちゃん談。全面的に肯定です。

 

「さて、椎名さんのコードネームだけども」

 

 手始めに誰にしようかと考えてたら、椎名さんが待てとストッブをかけてきた。何でしょうか。

 

「私のコードネームは既にある」

 

「ん? そなの?」

 

「ああ、私のコードネームはC7。そう呼ばれていた」

 

 呼ばれていた。もしかして生前の話なのだろうか。そう言えば、椎名さんの過去話って聞いたことがない。記号のような呼称が椎名さんの過去を物語っているようにも思える。きっと壮絶な人生だったのだろう。でも。

 

「C7ってことはアレか。C.C.の親戚みたいな」

 

「シオリーシュ・ウィ・ブリタニアが命じる! ユイ! 自害しろ!」

 

「ギアスキャンセラー! びびびー!」

 

 壮絶な人生でしたね。実に大変そうだ。あと関根ちゃん、それはランサーや。

 

「ぎあ、きゃんせら……?」

 

「まぁ、昔の話は置いておいて、新しいの決めたいと思います」

 

 皆もその気だし、気にせずいきます。昔の話はまた今度にしましょう。そうしましょう。

 

「トップバッター、尻尾にゃん」

 

「タカマチ!」

 

「戦闘民族と申したか」

 

 まさかのタカマチ性説。確かに小太刀二刀流だけども。ピンクのビームぶっ放す子が姉か妹にいたりするのかな。砲撃から始まるコミニュケーション術には戦慄です。しかし、キョトンとした表情を浮かべる椎名さん。よくわかってないみたい。

 

「次はりあす式海岸ちゃんで」

 

「お、御庭番衆御頭、とかどうかな?」

 

「また二刀流繋がりだね。まぁ、しっくりくるのは言わずもがな」

 

 御頭という単語に椎名さんの目がキラキラし始めてる。気に入ったらしかった。やはり忍者。今度、回転剣舞六連やってもらおう。野田くん相手に。

 

「ん、次は俺。じゃあ、忍たま乱太郎で」

 

 微妙な表情の椎名さん。えー、と他の女子からも不服そうな声が上がった。

 

「ちょっと戦線の高額負債ー。しーなたんは女の子なんですけどー」

 

「いや、忍者なので。他意はないのでござる」

 

 だから気にしちゃやーよと伝えれば、渋々といった様子で引き下がる関根ちゃん。まぁ、気持ちはわからなくもないけども、深く考えたら負けである。

 

「ラスト元気寿司ちゃん。よろしくね」

 

「任された! せきっ、じゃなくて元気寿司さん、ちゃんと考えたよ!」

 

「ほう。それじゃ言っちゃって下さいな」

 

「ギャップの極み乙女!」

 

「ギャップ? まぁ、確かにそうかも」

 

「でしょ! 最初は怖かったけど、最近はもうしーなたんが可愛くて仕方ない!」

 

「元気寿司ちゃん、椎名さん好きだもんね。なのでりあす式海岸ちゃんは俺が貰います」

 

「それは許さぬ」

 

「ですよね」

 

 それとコレとは話が別だから。だよね。2人ともあたしの。それはズルいかと。あたしの。あ、はい。

 

「椎名さん出揃ったけど、どう?」

 

「私はC7、もしくは椎名だ」

 

「なるほど。皆、協議の時間だ」

 

 もうアレなので、こっちで勝手に決めちゃいます。関根ちゃんと入江ちゃんとユイにゃんを交えて話し合い。椎名さんはちょっと待っててね。すぐ済みます。済みました。

 

「ギャップの極み乙女で」

 

「あたしの案が通ったー!」

 

「ぎゃっぷ……?」

 

 自分の案が通って関根ちゃんが思わずバンザイ。よかったね。椎名さんはちょっとよくわかってないみたい。その後もぎゃっぷぎゃっぷ言ってたけども、意味については後で仲村さんにでも聞いて下さいな。けして丸投げではない。

 

「まぁ、面白い企画だったねー」

 

「そだね。もうコードネームで呼ぶの終わりにする?」

 

「うん。正直呼び辛い」

 

「ですよね」

 

 やってみたかっただけだったという罠。関根ちゃんと俺は大満足です。

 

「次は何を話そうか。あ、椎名さん、スーパーBIGチョコあげる」

 

「む? すーぱーびっぐ……」

 

「コーラドリンクもあげようかね」

 

「どりんく……!」

 

「ちなみにチョコとの相性はすこぶる悪い」

 

 チョコに合う飲み物って限られてくるよね。生憎、このテーブルには存在しないので我慢して下さい。ちなみに、コーラドリンクは飲み物なのかと聞かれれば、人それぞれですとお答えします。

 

「あ、先輩! あたしもコーラドリンク欲しいです!」

 

「ユイにゃんにはまだ早い。そら、ロリポップをくれてやろう」

 

 ユイにゃんの口にガポッとロリポップを突っ込む。甘ったるい……と微妙な表情になるユイにゃん。口に含んだのだから責任持ってちゃんと食べなさい。

 

「ろり、ぽ……?」

 

「ロリポップ。棒のついた飴のことを指す」

 

「ああ、飴か」

 

「椎名さんは何味が好き?」

 

「純露」

 

 これまた懐かしいものを。純露とは、何故かおばあちゃんの家によくある綺麗な色をした飴のことである。思い出すと不思議と食べたくなってくるよね。購買にあったかな? 後で探してみよう。ちなみに『じゅんろ』ではなく『じゅんつゆ』である。憶えておいて損はない。得があるかと聞かれれば謎であるけども。

 

 さて、その後も純露と黄金糖の違いや、何故おばあちゃんが常備しているのかなどの話題で盛り上がった。話題的に疎そうな椎名さんが除け者になってしまうやもと危惧したが、そこは関根ちゃんや入江ちゃんが時折答え易そうな質問を投げてくれていたので無問題。ナイスフォローです2人とも。ユイにゃんは基本的に賑やかしというか、椎名さんの放つ何気ない一言にもオーバーリアクションしてくれるので、結構助かってたり。素の反応だと思うけども、何気にファインプレー。ユイにゃんグッジョブ。報酬としてロリポップを尻尾に巻き付けておいた。後で食してたもれ。

 

「ナツメさん。こちらにいましたか」

 

「あれ? 遊佐ちゃんだ。どしたの?」

 

 不意に現れたのは死んだ世界戦線きってのオペレーターである遊佐ちゃんだった。俺を探していたらしく、酷く慌てた表情ーーなんて事はなく、紙コップ片手にぶいサインを決めていた。いつも通りかわゆい。

 

「お、本当だ。いつの間に。あ、一緒にどうです?」

 

 遊佐ちゃんに気が付いた関根ちゃんが紙コップを持ち上げながら言う。一瞬、居酒屋で偶然鉢合わせたサラリーマン達を幻視した。きっと気のせいである。そして、遊佐ちゃんは入江ちゃんやユイにゃん、椎名さんの視線も集めながらも、やんわりと関根ちゃんの誘いを断った。

 

「ゆりっぺさんがナツメさんをお連れするようにと。どうも、遊佐です」

 

「仲村さんが? なんだろ。ナツメです」

 

 なんでしょうね、と遊佐ちゃんは言葉を濁した。コレは知ってるパターンや。知っててあえて言わないパターンや。まぁ、いいや。行けばわかるさ。

 

「ん、じゃあ、ちょっと行ってくるね」

 

 関根ちゃん達に断りを入れて席を立つ。リーダーからのお呼び出しとあれば、行かないワケにはいかないね、なんて。行くのにいかないとはコレいかに。俺、今うまい事言った。でも、遊佐ちゃんに鼻で笑われましたとさ。

 

 

 

 

▼コードネーム

ユイ:尻尾

関根:元気寿司

入江:りあす式海岸

ナツメ:戦線の高額負債

椎名:ギャップの極み乙女

 


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