えんぜるびっつ。   作:ぽらり

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 またもや戦線本部でコーヒーブレイク。なんか技名っぽいね、こう、ギガコーヒーブレイクッ! みたいな。どうでもいいです。あぁん、冷たい。なんてことを遊佐ちゃんと話す。ちなみにここの主である仲村さんはちょっと前にギルドに用があるとかで華麗なステップで本部を後にしていった。やはりステップに深い意味は無い。本物の主は校長だった気もするけども、知りません。知りませんったら知りません。

 

「という訳で遊佐ちゃん」

 

「そういう訳でしたか。どうも、遊佐です」

 

 この子に一体何が伝わったのだろうか。驚愕である。

 

「ギルドって何? どこにあるの?」

 

 気を取り直して質問タイムに突入。実は戦線に加入した当初、色々と教えてくれたのがこの遊佐ちゃんだったりします。大抵のことは教えてくれるので、早くもかなりお世話になっている現状。仲村さんにもそうだけど、頭が上がりませぬ。

 

「ギルドは主に武器等の製造を行っています。戦線の皆さんにお渡ししてある銃や刀剣類、インカムもギルドで作られました。場所については地下、としか。詳しくはゆりっぺさんに聞いて下さい。案内してもらえるかと」

 

「俺インカムもらってない」

 

「必要無いと判断されました」

 

 ひでぇ。でもめげない。

 

「遊佐ちゃんはオペレーターさんだっけ。普段は何やってるの?」

 

 戦線の主要メンバー、要するに日向くんとかはオペレーションのとき以外はインカムあんまり使ってるイメージはない。他にもまだ見ぬ戦線メンバーはいるらしいけども、もしかしてその辺りの人たちと通信しているのだろうか。

 

「主に情報収集を。諜報活動と言うヤツです」

 

「諜報活動(笑)」

 

 ティースプーン飛んできた。しかし華麗に回避!

 

「当たらなければどうということはごめんなさい」

 

 だから無言でカップを構えるのはやめて下さい。液体はちょっと避けられそうにないので。

 

「仕事大変? 俺にもできる? 俺もやってみたい」

 

 てかぶっちゃけインカムがほしいです。インカム。

 

「オペレーションが無い限りはそこまででもありません。しかし、ナツメさんにはまだ早いかと」

 

「遊佐ちゃんが俺を過小評価する。これはもう真の力を解放せざるを得ない」

 

「断らざるを得ない」

 

「この戦線って自分勝手な人が多いよね」

 

「その筆頭が何を言いますか」

 

 いやいや遊佐ちゃんもなかなか。いいえ、淑女です。淑女? どうも、淑女な遊佐です。

 

「俺もそのインコム欲しい! それで私に……打たせたなぁ!? とか言ってみたい!」

 

「アンジェロ乙。あとこれはインコムではなく、インカムです」

 

 そもそもその台詞の時点ではまだローゼンさんではないかと。うん、ズールさんだね。はい、ズールさんです。

 

「オールドタイプはダメですか? せめてサイコフレーム積まなきゃですか?」

 

「はいはいわろすわろす」

 

 なんてドライ。遊佐ちゃんスーパードライ。でもアルコール成分はこれっぽっちも含まれておりません。不思議だね。そうでもないか。

 

「すみません、紅茶のおかわりを下さい」

 

「とても今までコーヒー飲んでた人の台詞とは思えない」

 

「実はコーヒーより紅茶が好き。どうも、遊佐です」

 

 淹れるけどね。戦線本部、実はその辺は完備してたりします。家庭科室から色々と拝借済みなのですよ。高松君と一緒に運びました。彼って意外と力持ち。筋肉凄かったです。なんで上半身裸で荷物運んでたかは最後までわからなかったけども。まぁ、とりあえず気にしない方向で落ち着きました。

 

「結構なお手前で」

 

「恐悦至極。仲村さんに仕込まれました。割と何でもできるよね、あの人」

 

「何でもはできないわ、できることだけ」

 

「羽川乙。神原が好きです」

 

「ガハラさんこそ至高。そこは譲りません。遊佐です」

 

 松下五段は撫子ですね、わかります。

 

「八九寺ちゃんの可能性も侮れないかと」

 

「となると忍の可能性も捨てきれない」

 

「ファイヤーシスターズもあり得ます」

 

 結局そっち系なんだよね。最近は女性メンバーからの評価が著しく低下している傾向にあります。なにそれ評価とか怖い。女性陣の鉄板ネタです。ガールズトーク? 死んでいたって立派な乙女、遊佐です。

 

「ちょいちょい名前はさむね」

 

「ゆりっぺさんからの私個人にあてた指令です。存在感が薄いからアピールした方が良いとのことで」

 

 存在感薄いについて思うことはないのか疑問ではあるけど本人が気にしてなさそうなのでそこは触れない。めんどくさいとかじゃない。けして。本人が気にしてなければそれでいいと思います。

 

「アピールでしたか」

 

「アピールでした。どうも、遊佐です」

 

「ナツメです」

 

「遊佐です」

 

 何か他にアピールの方法はなかったのだろうか。疑問である。

 

「正直なところ、あまり乗り気ではない遊佐です」

 

「乗り気な遊佐ちゃん見てみたい!」

 

「どうも、遊佐です。ぶい」

 

「遊佐ちゃんぐうかわ。ナデシコですね、わかります」

 

 ユリカかわいいよユリカ。そして劇場版よりテレビ版のルリルリの方が可愛いと思うのはきっと俺だけじゃないはず。リョーコちゃんも捨て難いけども、あのヘルメットはいただけなーい。

 

「大抵のネタが通じることに驚きです。記憶が曖昧と以前にお聞きしましたが?」

 

「んー、そだね。そういうのは何故かわかるんだけど、昔の事とかはあんまりわかんない」

 

「そうなんですか」

 

「うん。過去とかわかんない超わかんない。どうも、ナツメです」

 

「マネしないで下さい」

 

 とか言ってコーヒーに大量の砂糖を投入された。ジョリジョリするコーヒーってのも新しい。しかし甘すぎワロエナイ。さっきは許してくれたのにー。

 

「遊佐ちゃんが糖尿病にしようとする」

 

「問題ありません。この世界では糖尿病は発症しませんので。太りはしますが」

 

「太るの?」

 

「太ります。現に最近のゆりっぺさんの体重は増加の傾向にあり」

 

 遊佐ちゃんがそこまで言ったところで扉が勢いよく開いて仲村さんが駆け寄ってきて遊佐ちゃんの頬をひっぱたいて鼻息荒くして出てった。つまり嵐。なんという嵐。

 

「…………」

 

 叩かれた頬に手を当ててやや俯いた遊佐ちゃんの姿がとても哀れです。ドンマイ。

 

「遊佐ちゃんドンマイ」

 

「……どうも、叩かれた遊佐です」

 

 アピール精神すげぇ。

 

「ちなみに具体的な数字は?」

 

「46.2キロ」

 

 2人して仲良くひっぱたかれますた。

 

 


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