シールダー(偽)になりました   作:仙儒

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お久しぶりです。


姉鶴たち

 玉砕覚悟の最終決戦。

 

 否、特攻作戦なのだ。

 

 私達機動部隊に課せられた使命は少しでも長く敵機動部隊を釘付けにして、本命の戦艦部隊が敵大規模船団、並びに戦艦群に大打撃を与える時間を稼ぐこと。

 

 ここで負ければ、日本に後は無い。

 

 絶対に成功させなくてはならない。

 

 作戦が始まった。

 

 後に引くことはできない。

 

『我、機関異常発生ニヨリ、航行不能。各艦艇ハ、作戦ノ続行サレタリ』

 

 宝鶴より入電が来た。

 

 私たちは、作戦を継続した。

 

「臆したか、幽霊艦め」

 

 参謀が舌打ちをしながらそう言う。それに激しい怒りを覚えるが、艦である私にはどうすることもできない。

 

 せめてもの抵抗として、その参謀を強く睨みつける。

 

 別に宝鶴が悪いわけじゃないのに。

 

 宝鶴が気になり、宝鶴の方を見る。空母は目が命。宝鶴から真昼間にもかかわらず、発光信号が出てる。

 

 私たちは囮機動部隊。既に対空警戒厳の命令を下され、血眼になって空だけを睨みつけている。故にこれに気が付いたのは私だけだった。 

 

 内容は…、

 

 ――――後を頼む。

 

 わかったわ、私があなたの分も頑張る。あなたのお姉さんなんだから。瑞鶴には幸運の女神が付いていてくれるんだから!

 

 でも、この胸にふつふつとつのる不安は何なんだろう。

 

 そして、何回か敵の空襲を受けた。

 

 だが、様子が変だ。報告では敵空母は私たちの倍以上。もう、居場所もばれているはずなのに、なぜ、こうも攻撃の手が緩いのか。

 

 もしかして、作戦は失敗したのか?

 

 そう思っていた時だった。

 

 宝鶴から入電。

 

『我、目的達成セリ。引キ続キ任務ヲ続行ス』

 

 そして、敵空母機動艦隊の位置情報がもたらされる。それと同時に宝鶴航空隊より空母に着艦したいと入電を受けた。

 

 ……、そうか。そう言うことだったんだ!

 

 どうやったかはわからない。だが、宝鶴は最初から“自分だけ”が囮になるつもりだったんだ!!

 

 何であの時気が付かなかったんだ。馬鹿か私は!

 

 着艦した宝鶴航空隊のパイロットから得た情報では、敵攻撃機が少なくとも1000機以上は宝鶴に向かっているらしい。

 

 今ならば、空母を護衛している艦載機は少ない筈。

 

 これを好機と見た、上の連中は、敵空母部隊を叩くチャンスだと言って、宝鶴のもたらした情報を基に奇襲をかけることにした。

 

 翔鶴姉と一緒に艦載機を次々に発艦させる。千代田、瑞鳳、千歳の艦載機はもしもの時のために待機。

 

 

 

 結果として、敵空母部隊に壊滅的被害を与えるという、日本にとっては夢のような勝利を手にした。

 

 翔鶴隊の観測機から、宝鶴大破炎上中との報が入る。

 

 先に軽巡を中心とした救助隊が向かっているという。

 

 撤退行動中に、声が聞こえた。

 

 ――――俺は…、俺は俺のできることを全てやり尽くしただろうか?

 

 宝鶴!! …ありがとう。あなたのおかげで何とかなったわ。

 

 

 

 救助を終えた軽巡艦隊の合流後、宝鶴の悲惨すぎる最後を知る。

 

 そして本隊との合流。目標を目の前にしながら反転して引き返してきたらしい。

 

 ふざけるな!

 

 宝鶴はたった一人で沈んだというのに、自分の命惜しさにむざむざと尻尾を巻いて逃げ帰ってきたのか! お前たちは!!

 

 それは、それは死んで来いと言われて囮機動部隊に配属されたもの全ての命に対する冒とくに他ならない!

 

 どんなに怒り狂っても何もできぬこの身がただ疎ましい。

 

 

 そして、天一号作戦。

 

 もう勝てないのがわかりきっているのに、上層部のゴミ共は何を考えているのだかわからない。

 

 私と翔鶴姉は特攻する大和、武蔵の護衛空母として選ばれた。

 

 作戦は成功。

 

 大和、武蔵は中破判定。そのまま沖縄で砲台となることに。矢矧、涼月、磯風、霞は大破着底。

 

 翔鶴姉も中破、私も小破。

 

 たどり着けたことが奇跡と言っていい。きっと宝鶴が護ってくれたんだ。

 

 そんな中、艦隊司令部から電報が入る。瑞鶴、翔鶴は戻ってこいと言う内容だった。

 

 たどり着けたはいいが、艦載機のほとんどを失ってしまった。今更戻って何になるだろうか?

 文字通り矢尽き刀折れるまで奮戦した。

 

 戻ったところで、もう艦隊を動かすだけの油がない。艦載機も無い。

 

 この国の終わりを見て思う、ここまでして、本当に何をしたかったのか。

 

 

 

 

 

 …かく

 

 ず…かく

 

「瑞鶴? 大丈夫? かなりうなされていたみたいだけど」

 

 大好きな姉が私の肩に手を置きながら、心配そうに見つめてくる。

 

 そんなにうなされていたのか。

 

「大丈夫だよ。もう、心配性だな翔鶴姉は。少し夢見が悪かっただけだって」

 

 そう言って立ち上がる。

 

「目が冴えちゃった、ちょっと散歩してくるね」

 

「瑞鶴…」

 

「本当に心配性だな~、大丈夫だって、すぐに戻るからさ」

 

 そう言って部屋を出て、扉を閉める。

 

 第二の生を受け、艦娘となった今、再び軍に身を置いて思う。

 

 あの時と同じ、もう末期なのだ、と。

 

 相変わらず軍上層部は腐っていて、保身に走る。武功を上げれば武功の取り合い、失敗すれば責任の押し付け合い。

 

 おまけに、艦娘兵器派とか言う奴らが武功艦をコレクションして、酷い仕打ちをしているとも聞く。

 

 

 その点、私達は幾分か恵まれているのだろう。提督である波月中将は親艦娘派のリーダー格で、艦娘はあくまで、軍に協力してくれているという考えの人だ。

 それに、この波月提督。宝鶴の艦長の血族らしいのだ。またしても、私達は宝鶴に助けられていたのか。

 

 今の軍を見て、宝鶴は何と思うだろうか? 色々な考えが浮かんでは消えていく。

 

 ……、そろそろ戻ろう。心配性の姉が探しに来るかもしれない。

 

 

 

 次の日、宝鶴が建造されたと報告が来た。

 

 建造したのは、波月提督の娘さんらしい。私も翔鶴姉も諸手を挙げて喜んだ。艦娘の体を持ってから、ずーっと待ち焦がれた存在だ。

 

 だが、朗報だけではない。艦娘兵器派が動いた。

 

 後日、宝鶴を賭けた演習試合が行われた。

 

 それを、妖精さん印のタブレットで見た。

 

 宝鶴が入ってきたと思ったら、いきなりの爆撃の嵐。反則もいいところだ。

 

 おかげで、宝鶴の姿が見えない。容赦なく続く爆撃。それは、夕暮れまで続いた。

 

 普通に考えて、もう、とっくの昔に大破判定を受けている筈なのに、審判は攻撃中止宣言をしない。それに頭にきていた。

 

 この状況は、宝鶴の最期と変わらないではないか!

 

 下手をしたら、否、下手をしなくても宝鶴が轟沈している可能性だってあった。

 

 翔鶴姉は口元を両手で抑えて、涙を流し、タブレットの映像に絶句していた。

 

 それは、艦娘兵器派が自分たちに逆らえばどうなるか、見せしめでもあるのだろう。

 

 勝負は、もうついていた。これは、宝鶴の心を折るためのもの。

 

 終わった。全てが。

 

 そう思っていた時、水柱の中から影が現れ、演習相手を襲おうとする。

 

 安堵の息が漏れたのも束の間、耳をつんざく轟音が響く。

 

 空母六隻の後ろから、空母部隊と入れ替わるように戦艦六隻が出てきたのだ。

 

 大きく後方に吹き飛ばされる宝鶴。

 

「ちょ、何なのよこれ! 反則とか、反則じゃないとかの次元じゃない! 審判は何をしてるのよ!」

 

 重大違反だ。なぜ、こんなことがまかり通る! 

 

 誰かの悲鳴が響く。明らかに遅すぎる仲間の登場に私は舌打ちをする。現れた仲間は、宝鶴を守るように展開して、宝鶴を退避させようとするが、敵戦艦の砲撃がそれを許さない。

 

 あっという間に、宝鶴と、その仲間たちは分断されてしまった。

 

 もう、ようはない。そう言うかのように宝鶴に砲撃が集中する。今度こそ詰み、だった。

 

 思わずに目をつむって、画面からそむけてしまう。

 

 

 ――――仮想宝具 擬似展開 ロード・カルデアス!!

 

 

 それは、心を奮い立たせる声だった。

 女性とは違う、低い声音で、どこか安心できる落ち着きがあった。

 

 あれだけ激しかった砲撃が止み、水柱が止む。そこで初めて、宝鶴の姿があらわになる。

 黒を基調として紫であしらわれている、西洋の騎士甲冑を身にまとい、十字を思わせる楯のような飛行甲板。

 

 血で汚れているが、風に揺らめく翔鶴姉みたいな綺麗な銀色の髪の毛。腰には剣も付けられている。

 

 まるで、物語の中から間違って現実世界に出てきてしまったような姿をしていた。

 

 その、横顔に見惚れてた。

 

 

 

 その後、すぐに敵提督は憲兵さんに身柄を拘束されて、艦娘たちも、一時的に武装解除された。

 

 この映像はマスコミと妖精さんによってすぐさま日本全土に広まり、国も介入しての軍事法廷が開かれ、上層部の腐ったところは粗方片付けることができた。

 

 ついでに、男性保護法をかざして、宝鶴の身柄を引き渡せと迫った国会議員のお偉いさんが、男性たちを私物化していることが妖精さんにより発覚、此方もお縄に付くことになった。

 国の中枢がこれでは世も末だな…、と専門家とやらがドヤ顔で連日連夜ニュースに出ている。

 

 

 

 

 

 ともあれ、艦娘兵器派がコレクションしていた艦娘含めて、艦娘全てが再編成されることになった。

 

 私と翔鶴姉は横須賀鎮守府に配属になった。それは、偶然なのだろうか? それとも波月提督による粋な計らいなのか、はたまた、宝鶴のお願いだったのか…、最後のだったら嬉しいな。

 

 普段使わないメイクセットを買ってメイクをして出かける。

 

 この日のために、お洒落等の雑誌も買い込み、メイクのことも必死に勉強した。思えば戦いや鍛錬以外にこんなに打ち込んだのは初めてかもしれない。

 

 えへへ、綺麗って言ってくれるかな。

 

「瑞鶴、顔がにやけてるわよ」

 

「そう言う翔鶴姉こそ」

 

「うそ、やだ。そんな顔してる?」

 

 翔鶴姉は顔を触りながら聞いてくる。

 

 私もだらしがない顔を宝鶴に見せる訳にはいかないと、両頬を叩いて気合を入れる。

 

 

 

 

 

 

 横須賀鎮守府の入り口はマスコミや女性たちが宝鶴を一目見ようとごった返していた。それを憲兵さんたちが必死に止めている。

 

 これでは基地に入ることができないじゃない……、そう考えていると微かなエンジン音がした。

 

 空を見てみると彩雲が飛んでいた。

 

 無線が繋がる。恐らく、飛んでいる彩雲を中継地点にして繋げているんだろう。

 

 指示に従い、歩いていく。人気が無いところまで来たらそこで待機してほしいと言った後に無線は切れた。

 

 

 

 突然上空に影が差す。

 

 次の瞬間、浮遊感を感じたと思ったら、あれだけ高かった塀を飛び越えて鎮守府内部へと着地していた。

 

 状況が理解できない。ただ、誰かに抱えられているらしいことは確かだった。

 

「手荒い歓迎で申し訳ない」

 

 その声はこの間、演習中継で聞いたものだった。

 

「さて、久しぶり、と言うべきか。それとも初めましてかな? 歓迎するよ。翔鶴、瑞鶴」

 

 私達を降ろして苦笑いを浮かべる宝鶴。

 

 言いたいことや聞きたいことは山ほどあったのに、いざ対面してみると言葉が出なかった。

 

「ついてきて、案内する」

 

 そう言って私達に背を向け、歩き始める。頭には包帯が巻かれていて痛々しい。

 

「あんた、それ大丈夫なの?」

 

 私はつい、ぶっきら棒に言ってしまう。そんな自分を恨めしく思う。

 宝鶴はそれを気にした様子はなく

 

「それ? ああ、これのことか。入渠もしたし、高速修復材も使ってもらって、傷じたいはもうないんだけど、皆が心配して付けとけって言われてね」

 

 そう言いながら頭に巻かれた包帯を指でつつく。

 本当に形だけの何でもないようだ。

 

 そこからは特に会話もなく、そのまま建物内に入った。

 

「あ、そうだ。これは皆に聞いていることなんだけど、人間のことをどう思う?」

 

 それは、酷く曖昧なものだった。軍部の人間は余り好きではない。

 

 では、国民はどうだろうか?

 

 守るべき対象ではあるが、それ以上でも以下でもない。そこに守らなければという義務感はあっても、好き嫌いは無かった。

 

「……、そうか―――」

 

 私達の沈黙を宝鶴はどう受け取ったのかわからない。

 

「それでも俺たちは前へと進まねばいけない。俺は見た。どうしようもない非道を、あらゆる言い訳でやってのける残酷さ。それは、確かに人間の中に存在するものだ」

 

 宝鶴が振り返る。片目しか出ていない黄金の瞳が悲しみに揺れている。

 

 それは、艦娘兵器派の連中が私達艦娘へ、そして、宝鶴へしたことを指しているのだろうか?

 それとも、私達がまだ、物言わぬ艦の時からのことだろうか…。

 

「姉さんたち…、それでも人間を見限らないで欲しい。そう言うものだなどと諦めないでほしい。人に冷めるのは簡単で、人を憎むのはもっと簡単で……、人を愛し、信じ続けるのは難しいことだから…」

 

 その言葉には、いったいどれほどの思いが込められているのだろう。

 

 ただ、私は気が付いてしまった。

 

 私達の愛しい宝鶴(ヒト)はどうしようもなく、人を、人間を愛しているのだ、と。

 

 そうか、だから宝鶴は最後、たった一人で壮絶な最期を迎えたのだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 再編成をされてから一番初めに来たのは駆逐艦たちだった。

 

 皆、目が死んでいる。いや、まぁ、一人だけ眠そうな瞳して走ってるけどさ。連装砲ちゃん連れて。名前はあえて言わないよ?

 

 心が弱っている時には、一にも二にもうまい飯だ。昔の侍も、腹が減っては戦はできないと明言を残している。武士は食わねど高楊枝とも残っているが、それはやせ我慢だから。

 

 というわけで、全員間宮に連れて行った。

 

 間宮さんには手間にならず、それでいて艦娘には特別な食べ物。カレーを大量に作っておいてくれと頼んでおいた。因みに甘口である。

 

 しかし、駆逐艦たちは、一向にカレーに手を付けようとしない。速く食べないとカレーが冷めちゃうぞ。と言っても難しいのだろうな……、荒療治が必要と見た。

 

「食わないと叩くぞ」

 

 そう言うと駆逐艦たちが過剰なまでに反応した。

 約一名、はっやーい娘さんはそんなこと気にしてないと言わんばかりにパクパク食べてるが。

 

 はぁ、今の俺、完全に悪役だよな~。

 

 だからそんなに睨まないでよ、間宮さん。

 

 ついでに、伊良湖に鳳翔さん。

 

 視線から逃げるために駆逐艦たちに視線を向ける。おずおずと躊躇いながらスプーンを持ち、カレーを一口口にする。一人が食い始めれば、後は自然と周りの駆逐艦たちも躊躇いがちではあるもののカレーを口にする。

 

 それからは速かった。カレーを口いっぱいに頬張り、静かに涙を流しながら食べている。

 

「おかわりは自由だ。好きなだけ食べてくれ」

 

 そう言うと、俺は食堂を出る。

 

 泣き声が聞こえ始めた。

 

 俺は外で妖精さんがくれたカップ麺にお湯を入れて時間を待つ。

 

 この食堂、もう使えないんだろうな~、俺は。ハハハ…、自業自得か。

 

 もう、此処にはようはない。お湯を入れたカップ麺を持ち、その場を後にしようとする。

 

「どこに行くんですか?」

 

 底冷えするような声がかけられる。

 

 ちょーこえー!!

 

 激おこぷんぷん丸だよ。これ。思わず歩みを止めて、背筋を正してしまうくらい怖い。

 

「もう一度聞きます。どこに行く気ですか? 私達は怒っているんですよ」

 

 そんなの声を聴けばわかります。

 

「あなた方が怒るとは……、これは珍しいものを見た」

 

「誤魔化さないでください」

 

 間入れず言葉を発する鳳翔さん。

 

 せやかて工藤、お茶目を入れないと怖くてやってられんねん。

 

 ここからは、マジでいくか…、

 

「あの場ではあれが一番の最適解だったと思う。今のあの子たちに必要なのは怒りをぶつける明確な悪が必要だ。優しい言葉や同情は、あの子たちの心には届かない。……、今は良くてもこれから先、人間に対して見限りをつけるかもしれない。それだけは避けなければならないんだ。人に冷めるのは簡単で、人を憎むのはもっと簡単で、人を愛し、信頼し続けるのは難しいことだからな」

 

 ジャンヌがそんな言葉を言ってた気がする。俺もそう思う。信頼されるのには時間がかかるくせに、信頼を無くすのは一瞬のことだ。

 

「それじゃぁ、あなたはどうなるんですか? 宝鶴さん!」

 

 間宮さんが叫ぶ。

 

 俺は何も答えずに歩いてその場を後にしようとしたら、進む先に矢が刺さる。

 

「あなたは、本当にそれでいいと思っt「男の覚悟に水を差すな!!」っ!!」

 

「……、ありがとう、“母さん”。でも、誰も傷つかない優しい世界にするにはこれしかないんだ。深海棲艦との戦争もいつまでも続くわけじゃない。終戦の時が来る。その時にあの子たちが人間社会に馴染めるようにしてやるのが大人の務めだ。辛いときには俺を憎めばいい、そして一歩でも先へ進んでくれるなら……」

 

 俺はそれでいい。

 

「あなたは……、不器用すぎます」

 

「ああ、俺もそう思う」

 

 本当はもっと上手くやれる方法があったかもしれない。だが、時間が許してくれなかった。

 日本近海の制海権を取り戻すまでは、いつ敵が襲撃してくるかわからない。

 …、なんだ。俺も余裕がないじゃん。ことを急いては事をし損ずると言うが、もう焦らずにいられる時間は使い潰してしまった。

 

 俺が建造された時にはもうこんな状態だった。

 

 全ては“間が悪かった”。それだけのことだ。そう言い聞かせて俺は海の良く見える高台に足を向ける。

 

 

 

 カップ麺をすする。いつの間にか大量の妖精さんたちが俺に群がっている。まるで慰めてくれてるように小さな手で撫でまわしてくる。

 

 今はその行為とカップ麺の味が心に染みる。

 

 




久しぶりに見たらお気に入りと評価が凄いことになっててビックリ。

ありがとうございます。

体は遅刻で出来ていた
時計は遅れ、心は先着
幾度の予定を超え遅滞
ただ一つの定刻は無く
ただ一つの信頼も無し
遅刻者は此処に独り
無人の集合場所で電話をす
ならば我が生涯に時計は不要ず
この体は
言い訳で出来ていた

イヤー、勇者ネプテューヌとキムタクが如くが面白すぎて(おい
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