お空の下でも不幸を叫ぶ   作:非人間

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 仮にもある島の守護神やってる大星晶獣を売却して500ルピ。お空のレートってどうなってるのか。


第2話

「まずは自己紹介といきましょうか~私はシェロカルテといいます~」

「あ、はい。俺は上条当麻です……たぶん」

 

 シェロカルテの後についていった当麻は、部屋の奥の方へ押し込まれ、ドアの前にはシェロカルテが陣取った。対面して座った瞬間に名乗ったシェロカルテを見ていると、店の商品を壊した下手人とその店の店長とはとてもえない。

 

「カミジョウトウマさんですか~ずいぶんと変わったお名前ですね~。それで~、その多分というのは~?」

「あのこれ言い訳みたいに聞こえるかも知れないんですけど……」

「いえいえ~なんでも結構ですよ~とりあえず言ってみてください~」

 

 若干ためらいがちに答えた当麻が、最後に小さく付け加えた言葉も聞き逃さず、丁寧に追求していくシェロカルテ。彼女のものを壊してしまった当麻にその質問から逃れることができるわけも無く、観念して答え始める。

 

「どうも俺、記憶喪失みたいで」

「記憶喪失ですか~」

 

 ちょっと驚いた様子のシェロカルテが、オウム返ししながら次を促す。

 

「それはいつからで~症状はどのくらいひどいんですか~?」

「気付いたらそこの道に突っ立ってて、後覚えるのは名前意外ほとんど無いです」

「はは~なるほど~」

 

 実は僕は記憶喪失歴五分の不幸な人間で、何でこの場所にいるかも憶えてないんです。大雑把に要約して当麻はそういった。馬鹿にしているのか。素性を隠そうとするにしても、もう少しまともな嘘を吐くべきだろう。

 だが実際にそんな話が現実なのだから救いが無い。

 

「それは~とても大変でしたね~」

 

 にもかかわらずこの反応。逆に当麻の表情の方がゆがむことになる。決して、シェロカルテは愚かな人物ではないのだろう。表での対応はとても理性的だったし、そうでなくとも商人だ、店の規模は当麻には分からないが、こんな話を鵜呑みにするような人間に務まる職業ではないのは当麻にだって良く分かる。

 そこで当麻が逆に口を開く。

 

「俺が言うのもなんだけど、普通今の話信じないよな」

「確かに~あなたの言う台詞ではありませんね~」

 

 若干辛辣な返しに当麻はムグゥとうなってみたり。それでもめげずに言葉を続ける。

 

「だったら何であんな返事を」

 

 その言葉を受けて今度はシェロカルテが数瞬口をつむぐ。が、それは当麻のそれとは違い、話す内容に悩んでいるのではなく使う言葉を選んでいるような沈黙。当麻が切羽詰りながらしている会話においても、言葉を選ぶ余裕があるということだった。衣食住無し記憶喪失男と、立派な財を築いている大商人とでは、対等な話し合いにはなりえないのだ。

 

「そうですね~人を見る目には結構な自信がありまして~」

「たったそれだけのことで?」

「それだけでは不足でしたか~?」

 

 飄々とした態度から、それだけではないということは何とか分かった当麻だったが、それ以上の領域には手が届かない。言葉を選ぶ余裕を見せられたことで、それっぽい返事をもらっておきながら、シェロカルテが何を考えているのか余計に分からなくなってしまった。何せ彼女には当麻を助けて得るものなど何も無いのだ。

 ただ、なんとなく分かってきたことはシェロカルテが店の表のときのような、唯の優しい人ではないのではないかというだけ。

 

「そんなことよりも~あなたは~あの場を納めてもらったことを感謝するべきなんじゃないんですか~」

「それは……」

 

 というよりも結構怖い。考えてみれば事態は一個も好転してはいないのだ。この場でシェロカルテを納得させられなければ豚箱行きの結末はさっきまでと何も変わらない。というか、当麻には弁明できることが何一つとして無かった。

 だって悪いことしたの当麻だし。

 

(あれ?これってもしかしてさっきまでよりも状況悪くないか?外で騎空士たちが待ち構えて無いわけないだろうし、逃げ場がなくなった分さっきまでよりも絶対に

「あのままあそこで暴れてもらったら~なんとなく最後には~何とかしてしまいそうな雰囲気があったんですよね~あなたには~」

 

 背筋がぞっと冷える。

 

「何で俺なんかに……」

「言ったでしょう~人を見る目はあるって~あなたみたいな目をした騎空士を知っているんですよね~」

(なんだ、この人は)

 

 さっきまで目の間にいた優しそうなハーヴィンの姿はどこにも無かった。いまさらになって気付くこの冷たい雰囲気。なんて間抜け、これじゃあただ、ちょっと優しくされただけで付いていってしまった馬鹿丸出しではないか。

 

「さてさて~少しはなしがそれてしまいましたね~本題に入りましょうか~」

 

 この状況でも一切変わらないシェロカルテの表情に、いっそ恐怖すら覚える。

 

「あなたはどうして~どうやって~あの剣を壊したんですか~?」

「あ……」

 

 思わず口から声が漏れた。おそらく、きっとここが分水嶺。次の一言で自分の今後が決まる予感を当麻は感じていた。ふざけたことはいえない、嘘を吐くなどもってのほか。そしておそらく、ここでの思考時間が長ければ長いほどシェロカルテからの信頼は失われていく。

 それを本能的に感じ取ったのかなんなのか、そんな打算に一秒もかけずに、上条当麻は挑んでいく。

 

 

「この右手で触ったら、壊れた」

 

 

 絶句。時間にして十秒ほど完全に場が静まり返っていた。シェロカルテはほんの少しだけ目を見開き、息を吸う。

 

 当麻が、「あるぇ~、もしかしてこれは大失敗だったかな~」なんて思い始めたころに、シェロカルテが口を開いた。

 

「うぷぷぷ~、それ~本気で言ってるんですか~?」

 

 なんか、すっごい変な笑い方だなぁ。

 

 緊張感はそのままに、シェロカルテの笑い方に突っ込みを入れる当麻。

 

(いいや、騙されるな上条当麻、普通に考えてこんな話誰も信じない。記憶喪失も話半分に聞かれたていで行ったほうがいい)

 

 自分を戒めるために言葉を続ける当麻。

 

「この右手には、幻想殺し(イマジンブレイカー)って力が宿ってて、こいつが触れた異能の力は皆消えちまうんだよ」

「うぷぷぷぷぷぷ~それが~後付設定ですか~?」

「ちょうど今ここで思い出した」

 

 シェロカルテはもう笑いが止まらないと言った様子で、逆に当麻はシェロカルテが笑えば笑うほど警戒心を強めていく形で、それぞれ再び向き直る。

 

「さすがに~私としても~その話を~はいそうですか~と受け入れることはできません~」

「そりゃそうだ」

「なので~証拠を見せてもらっても~よろしいですか~?」

 

 そういってシェロカルテは、布があまっている袖の中から、刀身が赤く光った短剣を取り出した。それを見て、ついに来たかと身構える当麻に向かって、それをさしだすシェロカルテ。当麻の頭に疑問符が浮かぶ。

 

「つまり自決しろという」

「うぷぷぷ~本当に面白い人ですね~カミジョウトウマさんは~」

 

 受け取ってください~というシェロカルテの言葉にしたがって短剣を受け取った当麻。

 その瞬間

 

 キイィィィン!!

 

 再びあの音が鳴る。当麻が驚いて手を離すと、粉々に砕けた短剣が地面に落ちる。再び目を見開いたシェロカルテが口を開く。

 

「どうやら~本当の話のようですね~」

「えーっと、シェロカルテさん?いったい今のは?」

 

 ふと何かを考え込もうとしていたシェロカルテに当麻は声をかける。

 

「えーっとですね~今のはファイアバゼラードという短剣でして~鍛造される際に炎の属性力を施される一品なのですが~」

「そいつに俺の幻想殺しが反応して壊れちまったって訳か」

「どうやら~そのようですね~」

 

 シェロカルテの解説が続く。

 

「私も~見たことが無い現象なので~詳しいことは~分かりませんが~この世界にある武器は~全て何かしらの~属性力を持っているものなので~あなたが~それに触れるだけで~壊してしまうという~説明にも~なると思います~」

「あれ?でも武器に限らずさ、箸だってティーカップだって属性力を持ってるんじゃないのか?」

 

 シェロカルテの「どうしてあなたの力なのにあなたが把握していないんですか?」という言葉に返事を返せない情けない男上条当麻。苦悩しているそいつを尻目に考察を続けるシェロカルテ。

 

「おそらく~属性力に~指向性を持たせているかの~違いでしょう~」

「指向性?」

「はい~武器に~属性力を付加するのは~破壊力を増加させたりだとか~目的に沿った力を~与えるためですから~」

「なるほど」

 

 納得したように腕を組む当麻。彼は大切なことを忘れていた。

 

「ま~そういう事情でしたら~秩序の騎空団には引き渡さず~罰金のみというのが~落としどころでしょうか~」

 

 その言葉を聞いて、自分が何でこんな場所でシェロカルテとお話していたのかを思い出した当麻は、それを聞いて顔を青ざめる。

 

「罰金」

「罰金ですね~」

 

 シェロカルテが概算した値段を当麻に伝える。発狂しながら体中をまさぐる当麻。全身のポケットというポケットを隈なく探してみても、財布なんていう気の利いたものは見つからなかった。

 

「えーっとシェロカルテさん、相談が」

「だめですね~こちらには~相談したいことは~別にありませんので~それと~わたしの呼び方は~シェロでかまいませんよ~」

「そこを何とか、シェロさん」

 

 徐々に姿勢を低くしていってついに土下座ゾーンに突入した当麻を見て、一つうなづいたシェロカルテはある条件を提示する。

 

「そうですね~カミジョウトウマさん~少し~私のもとで~働いてみませんか~」

「働く?」

 

 ひょっこりと顔だけ上げた当麻が情けない声で聞き返す。

 

「とはおっしゃっていただいてもですねぇ、上条さんは何もできないことに定評のある男でして。いやシェロ様のもとで働かせていただけるのでしたら、それはこの上ない喜びなのですが」

「うぷぷぷ~そんな奇妙な右手を持っておいて~何もできないは~通じませんよ~それと~様呼びは~少し窮屈ですね~」

「右手?」

 

 姿勢を低くしたまま自分の右手とにらめっこしている当麻を見るに、自分が何をするのかさっぱり分かっていなさそう。

 

「実は~私のやっているよろず屋には~様々な依頼がきましてね~その中には~私の手にも余ってしまうような解呪の依頼が届いたりしましてね~」

「それを俺の右手に消してもらいたいと?」

「つまり~そうなりますね~」

 

 話を聞く限りではこちらをひどい目にあわせようとしている訳では無い様だし、向こうにも利がある分かりやすいWinWinの様だ。そもそも断ったら当麻は豚箱行きが確定する。断れるわけが無い。

 

「やります」

「即決即断いいですね~」

 

 そういったシェロカルテは立ち上がり、ファイアバゼラードの残骸をどかしてから当麻のいすを引く。それを見て不思議そうな顔をする当麻。

 

「それはどういった行動なのでせうか」

 

 シェロカルテは微笑みながらこう返す。

 

「これからは~仕事の話なので~私と対等の席に~座れるぐらいの~プライドを持った人にしか~仕事の斡旋は~できません~なので~座ってもらえますか~」

 

 再び向かい合った当麻にシェロカルテはこうも告げた。

 

「仕事仲間というのは~味方でありながら敵にもなります~なので~カミジョウトウマさんも~罰金分を稼ぐ程度ではなく~私を出し抜いてやるぐらいの気概で~ここからの話は~聞いてください~」




 主人公だからって勝手に仲間が増えると思うなよって言う、そういう話。
 
 シェロ畜のキャラが掴めない、しゃべり方が分からない。

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