私は私の日常を守るだけ   作:yudaya89

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 憑依?物になります。

 もしよろしければ、ご意見、ご感想、よろしくお願いします。


第01話「黒森峰」

転生物語の多くは、主人公やその他の主要人物と共に困難を乗り越えていく。

 

 しかし、自分の日常、居場所、地位、名誉等を最重視している物語は少ない。

 

 

 

 

 私の中にはもう一人の人格が存在している。その存在は自分の事を『俺』といい、言葉使いもかなり酷い。小さい頃、その言葉使いを両親から何度も注意された。この『俺』を認識したのは幼稚園の頃だった。先生の頼みごとを断れない時や、友達とけんかした時等、自分自身でどうしていいか分からない時に囁いてくれた。

『違う先生に頼まれごとをされているから、ごめんなさいと言うんだ。大丈夫、怒られないから』

『自分から先に謝れ、ごめんなさいとな』

『その場合、まず自分が出した玩具を片付けろ。次は友達の片付けを手伝え』

その囁きに従い、行動した事で、高校になるまでイジメ、友達関係などの事件に巻き込まれずに来た。私は何度か『俺』に問いかけた事がある。

「あなたは一体何なの?」

『俺か?俺は俺だよ』

「違う。何故私の中に居るの?」

『どうしているか?それは俺は君であり、一部だからだよ』

「出て行ってくれるの?」

『それは出来ない』

「何が目的?」

『目的?それは平凡だよ。平凡な人生を送るのが・・・いや、平凡な人生を君に送らせるのが俺の目的だよ』

 

 

 いつもこんな感じの返答しかしてくれない。

 

 

 小学校の頃に戦車道の試合を見に行った。理由はテレビを見ていたときに『俺』が囁いてきた。

『どうだ?この戦車道っていうスポーツしてみないか?面白いと思うぞ?』

 その囁きに従って近くの戦車道チームに見学に行って、そのまま入会した。どうやら私は、砲手に適性があったみたいだが、実力は並。それ以上でもそれ以下でもない。チームの勧めで、黒森峰中学に進学し、2年生からレギュラー入りを果たした。そして

 

 

『5号車!そこから相手車両を狙える?』

『問題ありません』

『撃って!!』

 

 

 私の放った砲弾は、相手車両に命中した。そして相手車両から白旗が上がった事を確認し、私はスコープから目を離した。

 

「やったわね。ナナ」

 車長がうれしそうに声をかけてきた。

「はい」

 私は一言答えた。

「それにしても偶然私達の目の前に敵のフラッグ車が出てくるなんて」

 車長、装填士が話しているが、私は違う者と話をする。

 

『どうした?うれしくないか?』

「うれしいけど、貴方の言った通りになったから、うれしさが激減した」

『まだまだケツの青いガキには負けないさ』

「それセクハラだから!」

『まぁそう怒るなよ。それとも昨日の卵かけ御飯を食べているときに「共食いか?」と言ったのをまだ怒っているのか?』

「死ね!!」

『ハハハ』

 

「ナナ?大丈夫?」

「え?あ、はい。大丈夫です」

「さっきから声を掛けても反応しないから」

「すみません。少しうれしくて」

「そう、じゃあ降りましょう。もう回収場所に付いてるんだから」

 

 

 今日は私こと、霧林ナナの中学3年生最後の戦車道公式試合だ。私が放った砲弾で、黒森峰中学の優勝が決定した。優勝したのは嬉しい、でも・・・『俺」に負けたことが悔しい。

 最初は当て合いをした。テレビで生放送されている戦車道の試合運びについて、次は相手はどう動く?この次のこの戦車の動きを当て合うのだ。そして今では、こうして自分が参戦している試合の動きをリアルタイムで当て合う。フラッグ車が目の前に偶然来たんじゃない。相手が其処以外に動く事が出来ない状態だったからだ。私達が待ち伏せしていた所こそ、その時相手の生還率の最も高い経路だった。戦車の中にある自軍の居場所を把握する盤を見た時、私は場所を移動すると予想した。でも『俺』は

『もう少し全体を見ろ。どうだ?もしもこの盤が正しければ、相手の車両は間違いなくここを通る』

 よくよく考えると、確かにそうだ。ここは日当たりが悪いから、3日前の大雨が乾いていないから車両速度が減速する。ここは木々の間隔が狭いから逃げ込んでも回り込まれる可能性が高い。生還率が最も高いのは・・・・

 

 だから私は、車長に「ここで命令を待ちませんか?動き回って足周りを破損して、修理するのは嫌なので」と進言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『まったく・・・どうしてこうなった』

 俺は30歳の2児のおっさんだ。いや・・・ここまでしか覚えていない。自分の事や子供、相方の事も覚えていない。気づいたら、この子供の体に憑依していたようだ。

 

 この子供は要領があまりよろしくないようだ。幼稚園の頃なんかは、2人の先生からお手伝いを頼まれたが、絶対に同時に出来ない内容だった。自分が悪いのに謝らない、自分の片付けを後回しにして、他人の片付けを優先しようとしたり・・・それじゃあ、駄目だろう。そういう時は囁いてみる。

「さっき違う先生に頼まれているんだから、断れ」

「お前から謝れ」

「先に自分の片付けをしてから、友達のを手伝え」

 

 

 

 小学生になると、俺に話しかけてきた。

「あなたは一体何なの?」

『俺か?俺は俺だよ』

「違う。何故私の中に居るの?」

『どうしているか?それは俺は君であり、一部だからだよ』

「出て行ってくれるの?」

『それは出来ない』

「何が目的?」

『目的?それは平凡だよ。平凡な人生を送るのが・・・いや、平凡な人生を君に送らせるのが俺の目的だよ』

 そして聞こえないように

『そう、平凡さ。普通で、平均で、平凡な人生さ。そう、まるで道の端に生えている雑草のような人生さ。勿論それを乱す奴は許さない」

 

 しかし問題がある。この子供の感情やストレスが俺にも反映される。感情は仕方ない。だが、ストレスは我慢ならない。体の所有権が俺に無いため、俺のストレスは中々解消されない。体を拘束されて、糞面白くも無い外国恋愛ドラマを永遠に見させられているようだ。このストレスは、まずこの子供のストレスが無くなってからでないと俺のストレスが解消されない。だからこの子供にストレスを与えないように俺は囁く事にした。

 

 しかしそれだけでは解消しなくなった。そんな時、テレビで戦車道の試合を見た。俺はその時初めてこの世界がガールズ&パンツァーという事を知った。これはいける。

 

 

 

 

 

 

 俺の算段通り、子供は戦車道を楽しく始め、順調にストレスを解消した。スランプやうまくいかない時は、俺と協力して難題を突破した。この事になると、戦車道の試合を見ながらする子供とのゲームが中々面白くなってきた。思春期入ると女の子の日が来た。俺が想像していたよりもこの子供の女の日は軽く、ストレスは殆どなかった。

 

 周りの大人の評価も「普通」「平凡」と、俺の目的通りとなった。

 

 

 

 そして中学3年生の試合で優勝した。このままいけば黒森峰女学園に入る事になる。しかし俺は西住みほとは関わらないように行動する。

 

 

 

 だって仕方ないだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 
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