私は私の日常を守るだけ   作:yudaya89

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第13話「面倒」

 

聖グロリアーナとの練習試合から数週間後、西住みほが副隊長となった。これに異議を唱える者は居なかった。現隊長及び現西住流師範両名立会いの下、我々に伝えられてたのだから。

 

 流石にこの状況で異議を唱えるのは、命知らずのバカである。しかし人間とは面白いものである。西住まほやしほに対しては誰も不満、罵倒はしなかったが、みほだけには皆『身内贔屓』などの批判、罵倒の言葉が浴びせた。そして隊長や師範の目の届かないところでそれらの不満は、次第に言葉から行動に現れるようになった。

 

 私が知っている範囲で把握している内容は、靴がなくなった、無視、校舎裏に呼び出し・・・まぁレベルの低いイジメだ。それで私がどうしたかって?どうもしない。これぐらいの状況を打破してもらわないと、他の隊員達に示しが付かない。それこそ、みほVS多人数の状況で、多人数をボコればいい。そうなると「副隊長ヤバイ」となる。そうすると誰も文句を付けなくなる。 

 

 しかしみほの性格は、控えめで引っ込み思案なタイプのため、最初は軽いいじめだったものが、みほが反撃しないため、次第にイジメはエスカレートしていった。流石にトイレから出てきたみほがずぶ濡れだった時は、ダッシュで寮までみほの制服を取り戻ったよ。しほやまほの耳に入ったら・・・全国大会前に不祥事が発覚しないように隠ぺいした。

 

 

 

 隠ぺいを実行した夜、いつものように「俺」による資料室での作業が終わり、疲れたといって私に代わった。資料室の戸締りを終え、校舎の外に出た時には23時を回っていた。勿論そんな夜中に外をうろついている人間は居ない。そう思っていた。その日までは。いつものように寮へ帰る道を歩いていると・・・みほが居た。居るのは別にいいと思う。しかしその格好だ。

「な・・なに・・・その格好・・」

「え・・霧林さん・・」

「いやいや・・「霧林さん・・・」じゃないよ。え?なんで・・・ほぼ裸なの?」

 

 

 みほは、アンダーシャツ一枚(本当にそれだけ)で、夜道を歩いていた。

 

「ごめん・・・私・・・何もみてないから!!副隊長の性癖・・・見てないから!!」

「ち・・ちが・・」

「さよなら」

 

 私は混乱した。「夜道」「裸」「みほ」

 この項目から「みほは日々のイジメにより疲れていた。このストレスを夜道を裸であるくとういう手段で解消している」そう想像してしまった。しかし

 

「ま・・待って!!」

「な・何?」

「服は隠されたんです!」

 

 そう性癖ではなく、イジメによるものだった。

 

 

 

 

「練習が終わって・・・着替える時に、その、3年生に服を取られて、それから返してくれなかったから・・・暗くなるまで待って、寮に帰ろうと・・・」

「な・なるほどね」

 

 

 ほんの2~4分、私とみほは無言のまま見つめ合った。その間考察する。このままみほ一人で寮まで歩いて帰ってもらう?それとも送る?明日は日曜日・・・そろそろこの状況を打破する方法を考える?私一人で?それとも誰かを巻き込む?隊長?西林姉妹?

 

 

 私にはもっと頼れる人が居る・・・ならあとはその人に任せればいい。

 

「副隊長私の部屋に来てください」

 そういって彼女の手を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

「お風呂ためています。溜まるまでシャワーを使ってください。それと色々あるので、ゆっくり入ってください。ゆっくり・・・ね」

 

 

 

 

「ねぇ?起きて」

『・・・ん?』

「みほについて助けてほしい」

『拒否する』

「お願い!!」

『お前はなんでそんなややこしい事に首を突っ込むんだ!』

「イジメられている人に手を差し伸べたらだめなの?困っている人を助けたらダメなの?」

『いいと思うよ。但し自分の能力で解決できる範囲内なら俺は何も言わない。しかしお前は俺に頼っている。=自分の能力以上となる』

「「俺」なら解決出来るよね?」

『解決出来るだろうな』

「なら!」

『それで?』

「え?」

『それで、俺に何のメリットがあるんだ?』

「それは・・・」

『前にも言っただろ?双方に利益が無ければ交渉にならない。確かにナナがみほのイジメを解決する事で、もしかすると西住流から何かイイ事があるかもしれない。しかし俺には?何もないよな?』

「利益、利益!!それ以外に無いの!!利益が無くちゃ誰も助けないの!!」

『そうだ』

「・・・利益があればいいんだね?」

『あればな』

「じゃあ「俺」の言う事聞く。「なんでも」」

『ん?今「なんでも」って言ったか?』

「うん」

『・・・OK。しかし今の言葉忘れるなよ?』

 

 

 

 

 

「霧林さん・・・お風呂上がったよ」

『ならここに座れ』

「・・霧林さん?」

『いいから早く座れ』

「う・・うん」

 

 

 

 

 

『今の状況から抜け出したいと思ってる?』

「うん」

『どう抜け出したい?』

「どうって・・・」

『色々ある。まずイジメている生徒を特定し、イジメの証拠を集める。そして学園に報告し転校して頂く。もしくは西住流の名前を最大限に有効活用しイジメ返す。徹底的にイジメ返す。勿論転校なんていう逃げ道は与えない。まぁ例えるならこんなもんか。ここまで聞いて西住はどう思う?』

「私は・・・もっと平和的な解決策を考えたい」

『分かった。イジメの主導者及び金魚のフン共を『平和的に』排除する。それでいいな?』

「う・・うん」

『なら、もう寝ろ。明日は模擬戦だろ?不甲斐ない結果を出すと、まためんどくさい連中の良い的になるぞ』

「は・・・はい」

『もう遅いから、ここで寝ていけ。俺達は床で寝る。異論は聞かない。おやすみ』

「・・・おやすみ」

 

 

 

 平和?何を基準に平和と言うのか?

 

 平和の基準を決めるのは誰か?

 

 その基準を作る人間の基準は何か?

 

 そんなものはこの世にない。有るのはクソッタレな基準だけだ。

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