私は私の日常を守るだけ   作:yudaya89

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第14話「嘘ついてません。99%は嘘ですが、1%真実が入ってます」

 

 

 

平和的解決は実は難しい事ではない。難しくは無いが、簡単ではない。矛盾しているかもしれないが、それが真実である。要は弱みを見せてはいけないという事だ。弱みを見せた瞬間、今まで以上に攻撃される。よって西住みほには「模擬戦では必ず勝て。どんな状況でも対応出来るだろ?」と一言言ってある。

 

 今西住みほに残っているのは、戦車道における負けない副隊長という肩書だけだ。それすらも失えばもうどうしようもない。今まで収集した情報等が全てパーになる。

 

 俺的には居なくなっても別にかまわない。しかしナナとの約束だからない。見返りが「なんでもする」だからな!!

 

 

 

 しかし現状問題がある。今ある情報では決め手に欠けている。一言で言ってしまえば攻撃力が弱いのだ。

 

 

 「みほの服を隠した」「教科書を隠した」「指示に従わない」「階段で押された」等

 

 この程度では、全然ダメだ。簡単に言い返されてしまう。

 

 

 「みほの服を隠した」

 →見つけられなかっただけでは?

 

 「教科書を隠した」

 →上記と同じく 

 

 「指示に従わない」

 →指示が悪かったのでは?

  

 「階段で押された」

 →少し肩が当たっただけ

 

 

 よくある少女漫画のワンシーンみたいだろ?そして何とも滑稽なシーンでもある。しかし俺が考えるシーンはこんなものではない。相手は何も言えない、もし言えたとしても「すみません」「許してください」という謝罪か悲願する言葉だけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 模擬戦の結果は予定通り、西住みほが率いる部隊だった。しかし・・・良く勝てたな。部隊の半数は西住みほに反感を持っている人間で、模擬戦中も命令違反、上官への暴言の嵐だった。しかし西住みほはこの反勢力も利用し勝利を得た。

 

 

 命令違反、上官への暴言等は全て記録している。

 

 

 しかし彼女達は分かっているのだろうか。幾ら1年生といっても、黒森峰の副隊長である人間の命令を無視するという事は、それなりの覚悟を持っているはずだ。いや、持っていなければいけない。そう命令違反と言うのはそういう事だ。命令を無視するという事は、上官へ不服があるという事。言い換えれば、その人間を任命した西住流師範に不服があるという事だ。また暴言においても同様の扱いとなる。

 

 

 彼女達は本当に分かっているのだろうか?

 

 

 自分達に命令をくだしているのは、あの「西住流家元」が任命した人間である事に。そしてその人間は家元の娘である事に・・・

 

 

 そんな後先考えず、自分達の利益しか考えていない人間には、是非レギュラーから降りてもらい、黒森峰からも消えて頂きたい。もしくは世間的にも・・・

 それにもうそろそろ一回戦のレギュラーが選出される。このままではクズ共が抜擢される可能性もあり、そうなれば最悪一回戦で敗北してしまう。そうなると西住みほの立場はかなりヤバイ状況に陥るだろう。在校生だけではなく、スポンサーやOBなどからの糾弾もあり得るだろう。そうなると誰も手を差し伸べる事が出来なくなる。姉である西住まほですらも。

 

 

 勿論隊長である西住まほも、薄々今西住みほが置かれている状況を知っているが、それを打破出来るだけの能力は無い。能力を有していたとしても、立場上口を出すのは難しい。身内であれば尚更。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからしばらくして、黒森峰には変なうわさが流れた。

 

 曰く

 

 『西住みほの制服を汚水で汚して着せようとした人間がいる』

 

 曰く

 

 『階段から落として頭に5針の怪我を負わした人間が居る』

 

 曰く

 

 『練習中にみほの水筒にオイルを混ぜた人間がいる』

 

 

 その話を聞いた隊長である西住まほ、及び西住流師範西住しほが、実行犯の特定を行い、処断するといった噂だ。

 

 

 そして噂が流れた翌日に、西住みほがサイズの合わないい制服、額には痛々しい包帯をした状態で登校した事で、信憑性が高まった。 

 

 

 

 

 

 

 ある程度噂が流れたある日、西林姉妹と食堂で食事を終えた後、食後のコーヒーを飲んでいると、楓先輩が

「ねぇ?あの噂について何かしらない?」

 と、俺に聞いてきた。

『噂ですか?』

「そう、副隊長についての。見ただけで解る、少しサイズの有っていない制服、額の包帯・・・でも副隊長は、「コケて制服が破れた、この包帯はその時に怪我をしただけ」って」

『副隊長がそう言うなら、それが真実では?』

「でも・・・可笑しいじゃない。だったらなんでそんな噂が流れるの?階段で押されて落ちたところを見たっていう生徒もいるみたいよ?」

『見たという生徒の名前は?階段から落ちた日は?』

「そこまでは・・・」

「ねぇ?ナナ」

 ここで選手交代。凪先輩へ

『なんですか凪先輩』

「私達が聞きたいのは、どうしてあんな噂が流れたのか?って事よ」

『誰かが悪意を持って流したと?』

「その可能性はあるわね」

『じゃあもし、その噂を流したのが

 

 

 

 

 

       私だったら?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 楓先輩がこの話を俺に振った時から皆、聞き耳を立てていたらしいく、食堂は静まり返った。当たり前だ、今此処に副隊長に関する噂を流した人間が居る。

 

 

 

 

『まぁ何故か・・・と、聞かれれば答えますが』

 

 

『副隊長がサイズの合わない制服で登校し始めたのが3日前ですよね。その前日の事です。私はいつものように練習後に資料室に残り、いつも通り資料をまとめていました。そして帰宅の際に隊長を見かけました。稀にあるんですよ。帰りが同じになる時が。でもその時は違いました。何故か格納庫へ向かって行きました。こんな時間に格納庫に用事なんて・・・何か急な用事でも入ったのかと思いました。勿論何か手伝えればと思い、私も格納庫に向かいました。でも隊長は格納庫ではなく、裏手にあるスクラップ置き場に向かいました。はっきり言って可笑しいと思いました。あそこには鉄屑と廃油しかありませんから。そして廃油のあるドラム缶の近くに佇む隊長が居ました。その時は暗くてよく見えませんでした。しばらくして隊長は校舎に消えて行ったので、隊長が見ていた近くをスマホで照らしてみたら・・・そこには制服が有りました。

 

 誰のかはすぐに分かりました。今の黒森峰の状況を考えると、この制服の持ち主は一人しかいません・・・副隊長の制服だと。

 

 

 

 制服に気を取られていた私は戻ってきた隊長に気づきませんでした。

 

 

「霧林か?」

『た・隊長』

「・・・」

『・・・』

「これが誰のかわかるか?」

『・・・はい」

「・・・そろそろ」

『え?』

 

 

 

 

 

「そろそろ、私も

 

 

 

 

 本気で

 

 

 

 潰しにかかってもいいんだよな?」

 

 

 

 

 その時の隊長を表すなら・・・夜叉・・・でした。私の返事は「YES」だけでした。

 

 

 

 そして今日まで副隊長に反感をもつ人間のリストアップ、証拠集めに駆り出されていた・・・とい言う事です』

 

 

 俺の描いた嘘話を聞いた楓先輩は

「じゃあ、隊長は誰が副隊長に嫌がらせをしていたか知っていると?」

『勿論です』

「じゃあ噂を流したのは?」

『面白半分で嫌がらせに関わらないように、抑止力として流しました』

「因みに何人いたの?」

『バカな人間ですか?それは私からよりも隊長から聞いた方がいいと思います・・・

 

 

 

 

 ほら

 

 

 

 

 噂をしていると

 

 

 

 隊長ですよ』

 

「「「え?」」

 

 

 

 

 

 

 学園中に、館内放送を知らせる音が響いた。

 

 その内容は

 

 

 『戦車道受講者に告ぐ、戦車道受講者は全員、格納庫に集合せよ。

 

 戦車道受講者に告ぐ、戦車道受講者は全員、格納庫に集合せよ』

 

 怒気を含んだ西住まほからの裁判開始の号令であった。

 

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