私は私の日常を守るだけ   作:yudaya89

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第15話「全国大会開始」

 

『戦車道受講者に告ぐ、戦車道受講者は全員、格納庫に集合せよ。

 

 

 

 戦車道受講者に告ぐ、戦車道受講者は全員、格納庫に集合せよ』

 

 

 

 怒気を含んだ西住まほからの裁判開始の号令であった。

 

 

まほの号令から約10分後には、戦車道受講者総員350名が格納庫に集合した。そして審判の時間が始まった。

 

 

「この名簿には、西住みほ副隊長への暴言、暴行等の嫌がらせ行為を行った人間の名前が記載されている。証拠なども全て揃っている。隊長としては厳罰に処する必要があると考えている」

 

 その言葉を聞いた一部の人間は顔を青くしている。

 

「しかし諸君の中にあった不満を西住という名前で抑えつけていたことが、このような事態を生じさせたことも事実である」

 

 確かに西住という名前を2.3年生をさし終えて、みほが副隊長に就任したという意見も多い。

 

「よって諸君たちには選択肢を与える事とする。

 

副隊長に嫌がらせ行為を行ったものは、理由を問わず退部とする。

しかしこちらにも落ち度があった。よって退部したくないものは、副隊長と勝負してもらう。

挑戦する条件だが、時間の都合上、副隊長には挑戦者全員の相手をしてもらう。20台を超える場合は、副隊長側に1両追加する。また副隊長側の車両に搭乗するのは1年生のみとする。勿論敗北したものは退部の上、二度と戦車道には関わられないように各方面に呼びかける。ここまでハンデを付けて負けた上に仮にも西住に歯向かったんだ、これぐらいは当然だろ?もしも勝利できたなら、退部はなしとする」

 

さて、この条件で一体何人のバカが挑んでくるんだろうな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1両VS16両の試合を行い、結果は西住みほの勝利であった。16両の挑戦車両の半数は1軍レギュラーであり、残りは2軍、3軍であった。1軍メンバーのレベルは確かに高く、砲撃、車両操作は1年生には到底太刀打ちできない。しかしみほはそんな状況でも勝利した。理由は簡単だ。みほは、黒森峰での副隊長という「頭」であり、挑戦者達は「手足」であるという事だ。手足は頭の命令を実行する能力は高いが、頭の「代わり」は出来ない。手足が集まった所で勝負にはならない。勿論中には車長も居たが、精々2~3台の指示で一杯一杯だろう。

 

 当初は息巻いていた挑戦者達も中盤に差し掛かるころには、自分達の愚かさに気づき始め、試合終了後には一部の者は副隊長に頭を下げ退部した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 これにより、西住みほへの嫌がらせ行為は完全になくなり、逆に今回の試合結果を見ていた隊員達に、みほの実力を再周知させることができた。

 抜けたレギュラー枠には、1軍補欠などを採用し、何とか全国大会には間に合う・・・という状況だが、以前の状況よりかは、遥かに安心できる状況と言える。

 

 

 全国大会直前にこのような事態があり、家元からは少し心配されるようなコメントを頂いた黒森峰だが、1回戦、2回戦を順調に勝ち進み、準々決勝となる試合に駒を進めた。

 

 勿論全国大会中においても改革は進行中であり、以前却下された安全管理担保の必要性を再度提案した結果可決された。これにより安全確保の為の講義、実技が全国大会中だが開始された。元々戦車に精通している事、各々で戦車の整備をしていたため、講義、実技は何事もなく経過している。また有事の際の脱出後に関して、予算から購入するため時間が少しかかっているが、予定では準決勝には間に合うとのことだった。

 

 

 

 

 

 俺の仕事は、みほのいじめを解決するという事だったが、このあたりに関してはサービスだ。

 

 

 

 何せ「なんでもいう事を聞く」という条件だからな。

 

 

 なんでも・・・なんでも・・・なんでも

 

 

 


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