「紅白戦?」
「はい」
私は逸見副隊長代理と今後の事について話合っている。
「それを実施したとして、どんな成果が得られるの?」
「考える力です」
「考える力?」
「まず隊員達の動きを見ていて思いました。言われた通り動いていると」
「いいんじゃないの?」
「その通りです。しかしそれではダメです。命令されたから動く、一見正しい行為であり、優秀と思いますが、それが黒森峰の弱点であり、闇でもあるです」
「詳しく話して」
「命令通り忠実に動くという事は、その命令内容に関わらず動くという事です。例えば逸見副隊長代理がA号車前進をB号車前進と間違えました。当然B号車は何も考えずに前進します。その結果試合に敗北します。では敗因はなんでしょうか?勿論命令を下した逸見副隊長代理となります。しかしもしもA/B号車が作戦内容・状況を理解し、そこでB号車ではなくA号車が前進であると指摘できれば、敗北せずに済むでしょう。無論隊員達がそこまで何も考えずに動く、というのは比喩になりますが、やはりそのような傾向が見られることは確かです」
「・・・」
「勿論これにはリスクも伴います。余りにもミスが多い場合、逸見副隊長代理は無能である、と認識され反逸見などと言う勢力が出来上がり、結果部隊が内部から壊滅します」
「それと紅白戦がどう繋がるの?」
「紅白戦において「逸見副隊長代理率いる正規軍VS参謀率いる賊軍」に分けます。副隊長代理チームは今まで通り西住流、黒森峰の流れで戦います。そして私率いる参謀チームは各高の作戦を軸とします。例えば聖グロであれば浸透強襲戦術、プラウダであれば、包囲戦法(釣り野伏せ)を使用し戦います」
「それは唯の練習試合形式なだけじゃないの?」
「いいえ、逸見副隊長代理、それは違います。考えても見てください。私率いる賊軍は皆黒森峰の隊員です。練習試合で相手をする他校の人間とは似ても似つかりません。そしてそれを率いるのは私です。過去の黒森峰、西住流のデータから弱点を全てまとめ、現時点までの作戦立案に携わる私です。そんな賊軍が逸見副隊長代理率いる正規軍と戦うのですよ?勿論逸見副隊長代理の率いる正規軍と同じ車両を使用します」
「試合での違いは作戦のみ・・・と言うことね」
「その通りです」
「確かにリスクはある、でも得られる成果はその何倍も大きいわね」
「はい。それと黒森峰の闇についても緩和可能です」
「続けて」
「現在まで我々は10連勝という偉業を達成しています。しかし過去のデータをまとめて分かった事は、先ほども言いましたが『全て隊長の指示通り動いている』。敗因も『指示をした隊長』である。これは相当危険な考えです。どうしてか分かりますか?」
「どうしてかしら?」
「敗因を考えない」
「敗因を考えない、何故負けたかわからない?そう言いたいの?」
「その通りです」
「待って。何時も試合終了後にミーティングをしているじゃない」
「あれは意味がありません。隊長が喋っているだけですから」
「どうすればいいの?」
「全ての隊員に何が悪いかを考えさせます。そして全員、戦車道受講者全員が意見をします」
「それって凄く時間がいるんじゃないの?」
「はい。一日・・・程度ですね」
「それって意味があるの?」
「意味はありますよ。色々な意見が聞けます」
「2軍、3軍の子達が1軍に意見が言えると思う?結局無意味よ」
「逸見副隊長代理、そのための賊軍ですよ」
「賊軍は2軍、3軍の子達って事?」
「その通りです」
「霧林参謀」
「はい」
「自分のやろうとしていることが、黒森峰にとってどれだけ危険な事かわかっていますか?下手をしたらチームが崩壊してしまい、来年度の全国大会すらも危うくなります」
「いいんじゃないですか・・・そんな程度で崩れるチームワークなんて道端の犬のフン程度の価値もありませんよ」
「あなた!!」
「まぁ落ち着いてください。そんな程度で壊れるなら早めに壊しておいたほうがいいですよ。勿論取り返しが付かなくなったら私に責任を擦り付けてください。そうすれば私が戦犯になりますから」
「彼方の真意がわからないわ」
「数回やってみましょう。そうすれば何か分かるかもしれません」
逸見side
今回私がみほの代役として副隊長代理に収まり、今回から新たに参謀という役職も加わった。隊長に参謀について質問した時「エリカ、説明するよりもいずれわかる」というある意味隊長らしい言葉をもらい困惑した。そして今言葉の意味が分かった。彼女、霧林参謀の考えている事は「一度黒森峰を壊す」という事だ。
以前西林先輩達が実行しようとした事の続きなのか、それとも彼女の独断なのだろうか。いずれにせよ紅白戦の事は家元や隊長の了承は取っており、明日には他の隊員達に通達されるだろう。
そして週に1回の紅白戦が始まった