私は私の日常を守るだけ   作:yudaya89

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第06話-a「選択肢①」

霧林ナナは・・・敵だった。

 

 

①ナナを殺す

 

②ナナに相談する

 

 私の中に2つの選択肢が発生した。

 

 

 

 

 

 

 私達の人生をここで終わらせる訳にはいかない!!

 ナナはいつも一人で資料室にいる。その事を一年生にそれと無く聞いたところ、殆どの生徒が夜中まで資料室で調べ事をしている事を知っており、二年生の中にも知っている生徒が居た。なら誰もが容疑者になる。後はどうやって殺るかだ。

 

 

 焼き殺す・・・ダメだ、火災警報器が作動するし、悲鳴も上がる。静かに殺す方法を検討する必要がある。

 

 撲殺・・・ダメ、状況次第では容疑者が絞られる可能性がある。後ろからの撲殺であれば親しい人間と疑われる。正面からでは殺し損ねる

 

 水攻め・・・論外。彼女を沈めるだけの水を用意するなど・・・

 

 絞殺・・・如何にこちらのDNAを残さないようにするか・・・変質者に襲われて、抵抗したため絞殺された・・・いいわね。

 ならば、必要な物は?どこにでもある紐・・・それなら資料室にあるビニール袋を使えばいい。

 次は、手に跡が残らないようにするには?・・・装填手が使っている革の手袋を使えばいい。次の日にその子が手袋を使えば、内側の私の指紋は消える・・・いや、ここはもっと慎重に・・・よし、家庭科室にあるビニール手袋を履いた状態で革の手袋を付ければいい。

 

 

 上記の物品は簡単に手に入る。家庭科室は常時開いている。部室には特に問題なく入る事が出来る。後は今日、決行するだけ・・・

 

 

 

 

 

 

 

日付:6月20日(水)

場所:黒森峰女学院

被害者:霧林ナナ

性別:女性

年齢:15歳

死因:転落死

死亡推定時刻:23:50

 

経緯:

 被害者霧林ナナ(以下ナナ)は、戦車道に関する資料を集めるため資料室に19時から23時まで入出する(事務記録より)。しかし構内に侵入した不審者に暴行、乱暴された。隙を見て逃げ出すも同階の廊下で捕まり、揉み合いの末窓から落とされ死亡。

 

検視の結果:

 ナナの顔、首には多くの痣が見受けられた。顔の殴られた痣、首の紐のようなもので絞められた痣に関しては、どちらも生きているうちに付けられたものであった。また防御痕が両腕に見られないことから、首を絞められた後に顔へ暴行されたと推測された。

 

現場の状況

 現場である資料室には、尿、髪の毛、下着、制服の一部、PC、等が発見された。尿、髪の毛のDNAを照合したところ、尿はナナ、髪の毛は戦車道受講者数名であった。また下着、制服の切れ端に関してもナナの物であると判明した。しかしPCについてはもみ合い時に破損したため内容は不明であった。

 廊下に関しては、血痕が大量に発見された。廊下、壁、窓など。

 

司法解剖の結果:

 検視結果と同じ結果であった。しかし彼女の体外、体内からはDNAは検出されず、彼女の腔に関しても強姦の形跡はないとの事であった。また資料室に残されたナナの下着からもDNAは検出されなかった。

 

疑問点

今回の件でのおかしな点がいくつかある。もしもこれが不審者の犯行であれば、

①PC

 破損したPCを解析したところ、水に漬けられている事が判明した。不審者であればこのような事をする必要はない。彼女のPCについては事務より貸し出されているものであるが、持主は西林凪(3年生)であり、資料をまとめるために貸し出したとの事であった。この件に関しては事務での手続き、詳細を覚えている職員がいたため、本件とは関係ないと判断する。

 

②DNA

 まったく無い(精液、髪の毛一本も残っていない)のは不自然であり、突発的な犯行ではなく、計画的な犯行と推測される。また過去の事件で暴行を受けた女性と比較すると、驚くほど暴行を受けており、相当な恨みを持つ人間に襲われた可能性が示唆された。

 

③不審者への対応

 黒森峰は女子高であり、不審者への対応は問題ない。ナナが襲われた時間帯に校舎内に入る事は、生徒であっても難しい。事件当日に残っていたのは戦車道で有名な西住まほ(2年生)のみであった。しかし隊長室と資料室は別棟であり、その行き来をする際に暗証番号を入力する必要がある。記録では番号はナナの番号しか入力されていない。

 

 上記より、不審者ではなく、黒森峰の関係者で、ナナを恨んでいた人間の犯行と判断し、本件に関し再調査を行う事にした。また本件を殺人、暴行へと変更する。

 

 

 

 

 

 

 

2ヶ月後

 本件に関して進展を報告する。

①血痕について

 当初、ナナは暴行を受け、犯人の隙を見て廊下に逃げ出したと思われた。しかし現場を再度調査した結果、資料室には殴られた若しくは倒れた際についた血痕が幾つか発見された。資料室から廊下に掛けて滴下血痕が一定な間隔で落ちていたため、歩きながら廊下に出たと思われる。

 廊下では大量の血液が発見され、飛沫血痕が天井まで達していること、ナナの顔面の痣の酷さから、やはり犯人はナナを相当恨んでいる事で間違いない。現場の状況から犯人の衣服に血痕が付着(付着血痕)している可能性がある。また擦過血痕から犯人の靴の種類、サイズの特定出来るか現在調査中である。以上の事から、全校生徒の制服、靴を調査することとする。もしも事件発生から靴、服を変更、クリーニングをしている場合は、その理由を聞きとり調査する。

 

②暴行に関して

 当初は顔、首への暴行は同時に行われたと思われていた。しかし再度司法解剖を実施した結果、両腕より防御痕が浮き上がっていた。また首の跡は後ろから絞められている事も判明。顔の痣には左手で殴った跡が数か所だが発見された。

 

 

現状

 ナナは後ろから首を絞められ気絶し失禁し、倒れた際顔を机で強打し鼻血が出る。その後左手で顔を殴られ、PCを水で漬けられてデータを消去される。そして何故か汚れた下着を脱がされ(もしくは自身で脱ぎ)、鼻を押さえて歩きながら廊下に出る。しかし廊下にて再度犯人に右手で顔に暴行され、窓から落ちて死亡。まったく辻褄が合わない。

 

 

 

 

 

2週間後

 容疑者であった『西林凪』『西林楓』の両名が自殺する。その際遺書が見つかり、本件は被疑者死亡で送検する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 霧林ナナ『』

 まったくこんなところにいい素材が居た。姉の事を話題に出せば必ず話に乗ってくると思っていたがこんなに簡単にいくとは、拍子抜けだ。実にチョロイ。

 

 今日楓先輩からの返事を聞く日だ。あの資料は分かりやすくまとめているから、すぐに理解できると思っている。そうこうするうちにドアがノックされ、楓先輩が入ってきた。

『お疲れ様です』

「ええ、今日も頑張ってるわね」

『さっそくですけど、凪先輩の返事どうでしたか?』

「ええ、読みやすく分かりやすいまとめ方だったって。そのことだけど、もう少し詳しい資料は無い?」

『ありますよ。ちょっと待ってくださいね』

 俺は先輩に背を向けてPCを操作する。操作しながら

『そういえば楓先輩、凪先輩の体調大丈夫ですか?』

「大丈夫よ。それよりも」

 突如背中に激痛が走り、状況を理解できないまま、机に倒れこみ顔面を強打した。突発的な事態に俺は何が起こっているか理解できなかった。そしてうつ伏せで倒れている俺の髪を掴み、少し上にあげたと思ったら、首に何を巻かれ絞められた。俺はこの時ようやく自分の置かれている状況を理解した。

 

 

 そう俺は絞殺されそうになっているんだ。そう思った瞬間、首に巻かれた何を反射的に取ろうとしたが、両腕を動かす事が出来なかった。首を絞めている人間の足が見えた。首を締めながら俺の両腕を踏み、動きを封じている。そして

 

「私、貴方の事認めていたのよ。でもこんな形で裏切られるなんて・・・だから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            死になさい」

 

 

 

 

 

 意識を手放す際に聞いた言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は目を覚ました。てっきり死んだかと思ったが・・・殺し損ねたか。時間的には2時間経過しているのか・・・くそったれがそれに失禁してるじゃないか!!!くそ、気持ち悪い!!俺のお気に入りのパンツを汚した原因を作った楓は許さん!!これは後で洗いに行くとして、まずは顔を洗いたい。しかし廊下に向かう途中で自分の小便で滑ってまた顔面を強打し、鼻血が出た。

 

『くったれが!!!今日は人生で一番くそったれな日だ!!』

 

 

 鼻血がこれ以上服に付かないように鼻を手で押さえた状態でトイレに向かう。廊下に出て、階段に向かう途中に人に出会った。暗くて最初は分からなかったが、凪先輩だった。

 

 

「どうしたのその怪我、その格好!?」

『どうした?どうしったかって!!!お前の妹に行き成り押し倒されて、首を絞められて殺されそうになったんだよ!!』

「うそ・・・」

『嘘じゃない!!あんたの妹は俺を殺そうとした。あんたら姉妹に協力するつもりだったが・・・今回の件、今から隊長に報告させてもらう。明日にでも調査してもらう!!」

「協力?」

『ああ、そうだよ。昨日見ただろ?アンタにぴったりな内容の資料を!!今日もその事で楓と「あの資料はあなたが作ったの?」あ?そうだよ。あんたも絶賛して』

 

 この後の事は良く覚えていない。次に気付いた時は、体が痛くて、熱くて・・・何故か床ではなく、地面に倒れ夜空を見上げていた。

 

 あ~落ちたのか・・・それとも落とされたのか・・・

 

 

 

 

 

 こんな人生・・・つまらないな・・・すまないな・・・・・ナナ

 

 

 俺は・・・いったい・・・なに・・・を・・・まち・・・が・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最終報告書   西林楓、凪の遺書より抜粋

 

楓「私はナナを殺した。でもナナは私達を嵌めようとした。許せない!!だから殺すしかないと思った。」

 

「でもどうして彼女が窓から落ちているか分からない。私は彼女を不審者に襲われたように殺しただけ。私じゃない!!」

 

「全校生徒の衣服や靴を調べることになった。証拠は残っていないと思い、再度衣服を調べた。血痕が付いていた。今から制服を洗ってもルミノール?というもので検出されてしまう。逃げ場がない」

 

「凪、あなたの認めた子を殺してごめんなさい。本当はちゃんと謝りたかったけど、落ち込んで部屋から出てこない貴方に合わせる言葉がないの」

 

「ごめんなさい、凪」

 

「ごめんなさい、ナナ・・・もしも次があるなら、ちゃんと話をしたかった」

 

「さようなら」

 

 

 

 

凪「楓を守るために彼女を殺してしまった。最初は殺す気は無かった。でもナナが楓をけなし始めたから、頭に血が上って彼女を殴り殺してしまった」

 

「彼女の様子がおかしいと思った。まるで男性のような口調だった。でもこれが彼女の本当の姿だったのだろう。でも楓の事をゴミ、ビッチ等と罵倒したのが許せなかった!」

 

「私の制服は血まみれで、もう逃げ場がない。迷惑をかける前に死ぬしかない」

 

「楓、あなたのお気に入りの子を殺してごめんなさい。本当はちゃんと謝りたかったけど、落ち込んで部屋から出てこない貴方に合わせる言葉がないの」

 

「ごめんなさい、楓」

 

「ごめんなさい、ナナ」

 

「さようなら」

 

 

 

 

 

                           BAD END

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