「危ない!」
━━━━━━━━飛んだ
━━━━━━━跳ねた
━━━━━伸び...
━━
××××にならなきゃ...
そしてその少女は、歩き始めた。
××の為に━━━━━━━━
事の始まりは中国 軽慶市。"発光する赤子"が生まれたというニュースだった。以降、各地で「超常」は発見され、いつしか「超常」は「日常」へと変わっていった...
世界総人口の約8割が何らかの特異体質である超人社会となった現在。この混沌渦巻く世の中で、かつて誰もが空想し憧れた職業が、脚光を浴びていた...
その職業とは..."ヒーロー"
超常に伴い爆発的に増加した犯罪件数。法の抜本的改正に国がもたつく間、勇気ある人がコミックさながらにヒーロー活動を始めた。
超常への警備!悪意からの防衛!
たちまち市民権を得たヒーローは、世論に押される形で公的職種に定められる。
━━━━時は過ぎ去り、桜が咲き始める頃。
ここ、雄英高校では受験が行われるようだ。
雄英高校付近では多くの中学生がおり、各々期待や緊張など様々な気持ちを胸に抱いている。
気持ちだけでなく、参考書やスマホなどを手に持っている生徒もいた。
そんな中、封筒から手紙を取り出して読んでいる生徒が一人、その目立つ金髪のサイドテールを揺らして歩いていた。
この雄英高校は4つの科があるが、1番受験者が多いのはヒーロー科である。
念のため説明しておくが、雄英高校ヒーロー科とは、数多くの有名なヒーローを送り出している世界的に見ても有名な高校である。そのため、ヒーローを目指す者達は雄英高校へ入学希望するのは必然と言っても過言ではないだろう。他の高校にもヒーロー科のある高校はあるのだが、やはり、プロに目を付けて貰えるという点では雄英に入るのが将来的にも有利と言えるだろう。
ちなみに、上記に記したのは私自身の考えであり、世間一般でどう言われているのかとかは知らない。とりあえず受験頑張れ!
「...時間の無駄。書く意味あったのこれ。」
持っていた紙を雑にポケットに突っ込み、校門をくぐり抜けて敷地内へと入る少女。
ふと周りが気になり、その左目だけを動かし周囲を確認する。
「ふーん...これみんな"ライバル"...ねぇ?」
見下すような冷たい目。相当自分に自信を持っているのであろう。そうでなければこんな目は出来ない。
「...すごい。意外と緊張してないもんなんだね。あ、でも1人緊張してる子いる。この子は...男の子。異形形じゃないね。体付きは...」
ぶつぶつ呟いてる最中に、誰かの肩にぶつかる。はっと我に返り、すぐさま頭を下げる。
「ッ...すいません。」
逃げるようにしてその場を離れようとするが、途中で足が止まる。背後を見ると、そのサイドテールを片手で掴まれていた。掴んでいた少年はそのギラギラとした目で睨みをきかせている。同じく彼女も睨みをきかせた。
「...痛いんですけど...さっさと放せ。」
「あぁ?調子乗ってんじゃねぇぞモブの分際で。」
「あ?」
「お?」
激しい剣幕だ。互いに睨み合い、それに連れてその場の空気も痛々しくなる。
髪を掴んでるのは、ベージュ色の髪をして爆発したような髪型のいかにも不良のレッテルを貼られそうな男だった。
「君達!止めないか!」
そんな空気にも動じずに、いかにも真面目そうなメガネが割って入ってくる。喧嘩の間に割り込まれた2人は咄嗟にメガネを睨んだ。しかし、メガネはそれに動じず、ズカズカと踏み込んでくる。
「君達、今から受験が始まるのだぞ?受験前で問題を起こされては周りにも迷惑がかかるではないか!それに損するのは君達だ!受験のライバルを助けるつもりはないが、とりあえず離れたまえ!」
「あぁ?なんだメガネ。何様のつもりだぁ?」
この隙にと思い、少女はその場から離れた。背後から罵倒の声が聞こえたが、言い返すことはしなかった。さすがに受験前に問題を起こすのはマズいと思ったようだ。
「あの爆発野郎...絶対殺す...」
...問題は起こさないが、喧嘩を買わない訳ではないようだ。こんな性格をしているのにも関わらず、ヒーロー科を受験していいものかと考えてしまうが、高校生活の過程で性格がいい方向に変わるかもしれない。
受験が受かれば...の話だが。
数メートル歩いた後、その少女━━━━糸包クミは左側に結んだ髪を揺らしてこう呟いた。
「...目指すはトップ。」
そして少女は人混みの中へと消えていった。不敵な笑みを浮かべながら...