受験開始時刻が近くなり、外にいる受験生達はが校舎へと入っていく。
校舎内ではプロヒーローのプレゼントマイクによる説明があったが、その最中、クミはずっと寝ていた。メガネが質問したりだとか...そんなくだりは知らない。
説明が一通り終了したところで、クミは目を覚まし、周囲に連られて移動を開始する。
着いてから軽い準備運動を始める物が多々いたが、そんなのはお構い無しに試験は進む。
『はい、スタート!』
「...は?」
『どうしたあ?実践じゃカウントなんざねぇんだよ!走れ走れ!』
唐突に始まってしまった実技試験に、受験生は動揺、狼狽していた。が、それは一部を除いてのことだった。勇気ある者、否、野蛮人は爆破攻撃を早速仕掛けるのだった。
それが合図となったのか、狼狽していた受験生達もグラウンドの奥へ奥へと進み始める。
しかし、クミはその群れの中にはいなかった。爆破攻撃の前には既に動いていた。
『誰だ今攻撃したクレイジー野郎はぁ!?』
「知らないよ...」
鼻につくような台詞に対して怒り混じりに呟くクミの前に、倒さなければならない
「試験内容は0~3のポイントが付けられたロボの戦闘不能...」
クミの目の前に現れた2体のロボには、『1』と『2』とでかでかと書かれている。つまり、この2体を戦闘不能にすれば1ポイントと2ポイントで、3ポイントとなる。
クミは自身の右手から細く長い"糸"を、龍の髭と呼ばれる飴の様に幾つ出して構える。
それを見計らったかのように『1』のロボットが右腕を真っ直ぐクミへと伸ばす。それに対して、クミは右手で往なすようにして攻撃を無力化、さらに
「糸を...絡める。」
糸を絡め、『1』のロボの動きを制限する。攻撃を往なされ、動きまで制限されたソレは糸を引きちぎらんとして暴れる。
「暴れん...な!」
暴れるロボを、背負い投げの様にしてクミの背後へと回り込んでいた『2』のロボット目掛けて投げ飛ばした。
ぶつかり合った2体のロボットは、砕け散りその場に破片が散らばる。
「ははっ...まだまだ倒さなきゃね。」
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ここからは主人公のステータスの紹介だ!
名前:糸包 クミ(いとつみ くみ)
年齢:15歳
個性:糸
体中から糸を出せる。
太さは人の目に見えないレベルから5cmまで。
一度に出せる本数は未知数だが、長さは最大300メートル。
強度はあるが、性質は本来の糸となんら変わらない。
人に見えない程の太さにすることによって、相手の耳から脳内に侵入することが可能。殺傷能力はないが、相手の記憶や思考を読み取ることが可能。
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「せーのっ!」
何十分か経過した後、クミは68点目となるロボットを破壊し終えた。
体からは蒸気が出る程の汗を掻いている。グラウンドの端から端まで走ったためだ。
「はぁ...60...5?」
否、68である。
「ったく、もう少なくなってきたな...まだ足んない」
そんな彼女の欲求不満を満たすかのように、このグラウンドの中央から地響きが鳴り響き渡る。
なんだなんだと受験生が構えていると、50m級の超大型ロボットが出現した。書いてある数字は『0』
所謂ハズレだ。
「...」
クミはソレを見るだけ見て、特に興味も示さずにまだ壊されていない価値のあるロボットを探しにまたもや走り続ける。
仮に興味を示したとしても、彼女の糸では動きを止めることは叶わないし、戦闘不能にすることも叶わないだろう。
「ったく、なんであんなに熱いのいるかな。」
クミが見上げる先には、大声をあげて『0』のロボに挑む緑髪の冴えない少年がいた。
「SMAAAAAAASH!!!」
という叫び声と共に、彼の拳が巨大ロボットに突き刺さる。その拳は血を吹き出し、下まで振り落ちてきた。クミにもその血はかかったが、気にせずに自分の
「っ、とと...」
投げ飛ばした反動で体が蹌踉けてしまい、その場に座り込んでしまうクミ。ちょうどそのタイミングで終わりの合図が鳴った。
『終〜了〜!』
実技試験が終了し、残るは筆記試験のみとなった。筆記試験を終わらせたクミはそそくさと自宅へ帰宅するのだった。
「実技総合成績出ました」
「ほぉ...1位はレスキューポイント無しで77点か...」
「2位はレスキューポイント5点で75点ですよ。」
「なぁんだぁ?今年の受験者はレスキューポイント低すぎねぇか?」
「いや、3位以降はみんなレスキューポイントは取れているよ。特に9位の子。レスキューポイントだけで9位なんてすごいじゃないか!」
「校長先生、確認したいことがあるのですが...」
「ん?なんだい?」
「今年の合格数は例年より2人多くして38人で良かったんですよね?」
「あぁ!色んなとこから増やせ増やせと言われたからね!」
(なんなら3クラスに増やせばいいだろ...)
「さて、合格者はこの38人でいいかな?」
「「「異議なし!」」」
受験から一週間後、予め告げられていた通知曰く今日合格発表の通知が来ると言われている。
クミは今か今かと待ちながら、心を落ち着かせるため裁縫道具を取り出して、静かに縫い物をしていた。
「...来たか」
クミは家の前に郵便局の人間がいることを察知した。目を外へやり、ポストに郵便物が投げ入れられたことを確認した後、玄関へと行って郵便物を雑に取り差出人を見る。
差出人は━━━━━━━━
「雄英高校...!」
すぐさま自室へと戻り、封を開ける。自身の糸で切れないのがむず痒いが致し方ない。先刻まで使っていた針に再度糸を通し、針を使って封を開けた。
封を開けると円形の機械が入っていた。開けた拍子に機械が落ち、フッとホログラムが投影された。
『わーたーしーが!!投影された!!』
投影されたのはオールマイト。No.1ヒーローだった。しかし、なぜ教師ではないオールマイトが投影される?とクミが首を傾げているとその答えが帰ってきた。
『おっと、私が何故投影されているか、と疑問に思ったやも知れないが!それは私が今年から雄英で教師を勤めることになったからさ!』
「なるほど」
『さて、糸包少女!』
個人の名前を呼ばれると思っていなかった彼女は肩を大きく揺らしてしまう。
『君の合否結果だが、ヴィランポイント70点とレスキューポイント5点で計75点!順位は2位で合格だ!』
合格、という言葉にクミは喜びを隠せなかった。が、2位というワードに少し不満なようで、結果、心の中は複雑な気持ちのまま、合格を受け入れるという形になった。
『おめでとう糸包少女!ここが君のヒーローアカデミアだ!』
そう告げて、ホログラムはプツンと消えた。部屋には再び静寂に包まれる。
この合格を伝えねばと、クミは唯一の家族の元へと赴く。
クミの部屋が玄関の傍にあるとすれば、彼の部屋は玄関から最も離れた2階、屋根裏部屋だ。
屋根裏部屋へ続く階段を昇り、閉じられた扉をノックする。しかし、返事はない。
「...兄ぃ、受験受かったよ。2位...なんだけどね?まぁ惜しかった...けどね。頑張ってみるよ。」
こんなにも喋るのに、返事は━━━━━━━━
仕方ない、と自室へと戻るクミ。部屋に戻るとスグにベッドへと潜り込んだ。