クロスロード   作:resot

1 / 5
第0話 プロローグ

眼が覚めると、涙が出ている。

そういう朝が、時々ある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人生を入れ替える、というのは我々がよく願うことだ。私たちは誰かの人生を羨ましく思うこともあるし、誰かに変わってくれと思うこともある。そして、実際そんなことがあったのだ。今から三十年も前のこと。星が降った夜に、奇跡を起こした二人の男女がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人生は長い長い道に例えられる。普通、ひとりの人生は誰かと交わったりなどしない。だが、その物語の中では、たしかに二人の人間の道が交わったのだ。

 

そして、物語は再び繰り返す。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

一旦、時は戻る。

 

 

「なあ、瀧くん。」

 

「どうしたんだ、三葉?」

 

「あのさ…私たちの馴れ初めってなんやっけ?」

 

 

とある夜。

仕事から帰宅して着替え中の瀧に、真っ赤に顔を染めた三葉が突然質問した。

つられて瀧も顔を赤く染める。

 

 

「え?」

 

「いや…この前、海帆に聞かれたらなんて答えようってずうっと思ってたんやけど。でも、どうしても思い出せなくて。」

 

 

あー、と瀧も声を上げる。

 

 

「まあ、そうだよな。俺も実はわからないんだ。あの時、向かいの電車に乗った三葉を見て、なぜ走り出したのかも覚えてない。見ず知らずだったはずなのにな。」

 

「うん…」

 

「そんで、階段のとこで会ってさ。ああ、この人だって思ったんだよ。俺、あの時誰かを探してたんだ。ずっと。でも、何かがそれに蓋をして、何も分からなくなってて。でも、三葉をみて、確信した。この人が、俺の探してた人だって。」

 

「私も…。でも、気になるのはやっぱりあの彗星災害やと思うんよ。あの時から、私何か…。」

 

「前もしたな、こんな話…。うん。俺も、糸守の名を聞いた時、体が震えた。なぜかは、わからなかった。ただ、これも言ったけどさ。俺、災害後の糸守に行ったことあるんだよな。それも、何で行ったかはわからない。

・・・でも、何かに惹かれるように、何かを求めるように、俺はあそこへ行ったんだ。

でもさ。いつか言ってたじゃん。組紐の話。」

 

「ああ、うちの。」

 

「そう。ムスビ・・・か。あの話聞いた時、なぜかわからないけど、初めて聞いた気がしなかったんだ。俺ら、案外どこかで会ってるのかも。」

 

「うん…」

 

「「ていうか。」」

 

 

二人の声が重なる。

 

 

「な、何?」

 

「そっちこそ。」

 

「う、ううん。なんか、ほんとに会ってる気がしてきて。」

 

「俺もだ。何だろうな、この感じ。」

 

 

二人は、ベビーベッドで眠る海帆に目をやった。

そんな二人の会話などつゆ知らず、ぐっすりと眠る可愛い赤ん坊。

そんな我が子を見つめながら、瀧と三葉の頭に、不思議な絵が浮かんだ。

 

 

 

 

 

美しい夕暮れの光と、これは…

星?

 

ーーあんた今、夢をみとるな?ーー

 

響いてくる声。

 

 

宮水の血。

つまりそれは、また不思議な物語が紡がれることに他ならない。

 

そして、それが「いつ」訪れるかは、わからないのだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。