眼が覚めると、涙が出ている。
そういう朝が、時々ある。
人生を入れ替える、というのは我々がよく願うことだ。私たちは誰かの人生を羨ましく思うこともあるし、誰かに変わってくれと思うこともある。そして、実際そんなことがあったのだ。今から三十年も前のこと。星が降った夜に、奇跡を起こした二人の男女がいた。
人生は長い長い道に例えられる。普通、ひとりの人生は誰かと交わったりなどしない。だが、その物語の中では、たしかに二人の人間の道が交わったのだ。
そして、物語は再び繰り返す。
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一旦、時は戻る。
「なあ、瀧くん。」
「どうしたんだ、三葉?」
「あのさ…私たちの馴れ初めってなんやっけ?」
とある夜。
仕事から帰宅して着替え中の瀧に、真っ赤に顔を染めた三葉が突然質問した。
つられて瀧も顔を赤く染める。
「え?」
「いや…この前、海帆に聞かれたらなんて答えようってずうっと思ってたんやけど。でも、どうしても思い出せなくて。」
あー、と瀧も声を上げる。
「まあ、そうだよな。俺も実はわからないんだ。あの時、向かいの電車に乗った三葉を見て、なぜ走り出したのかも覚えてない。見ず知らずだったはずなのにな。」
「うん…」
「そんで、階段のとこで会ってさ。ああ、この人だって思ったんだよ。俺、あの時誰かを探してたんだ。ずっと。でも、何かがそれに蓋をして、何も分からなくなってて。でも、三葉をみて、確信した。この人が、俺の探してた人だって。」
「私も…。でも、気になるのはやっぱりあの彗星災害やと思うんよ。あの時から、私何か…。」
「前もしたな、こんな話…。うん。俺も、糸守の名を聞いた時、体が震えた。なぜかは、わからなかった。ただ、これも言ったけどさ。俺、災害後の糸守に行ったことあるんだよな。それも、何で行ったかはわからない。
・・・でも、何かに惹かれるように、何かを求めるように、俺はあそこへ行ったんだ。
でもさ。いつか言ってたじゃん。組紐の話。」
「ああ、うちの。」
「そう。ムスビ・・・か。あの話聞いた時、なぜかわからないけど、初めて聞いた気がしなかったんだ。俺ら、案外どこかで会ってるのかも。」
「うん…」
「「ていうか。」」
二人の声が重なる。
「な、何?」
「そっちこそ。」
「う、ううん。なんか、ほんとに会ってる気がしてきて。」
「俺もだ。何だろうな、この感じ。」
二人は、ベビーベッドで眠る海帆に目をやった。
そんな二人の会話などつゆ知らず、ぐっすりと眠る可愛い赤ん坊。
そんな我が子を見つめながら、瀧と三葉の頭に、不思議な絵が浮かんだ。
美しい夕暮れの光と、これは…
星?
ーーあんた今、夢をみとるな?ーー
響いてくる声。
宮水の血。
つまりそれは、また不思議な物語が紡がれることに他ならない。
そして、それが「いつ」訪れるかは、わからないのだ。