それが発覚するまではみんなが幸せだった。
家に帰れば夫と娘がいて仕事場では慕われる、たまにある休日には彼と食事へ行き、愛を囁いてもらう。
―――そんな、幸せな 日々だった。
そんな幸せな日々は私自身が壊してしまった。
夫、鳴瀬悠音とは小さい頃からの幼馴染で私の初恋が叶った形となって結婚した。あの頃の写真の私は本当に幸せそうだった
ほんとうに。
いつからか結婚したことで欲が深まったのだろう、仕事仲間として接していた時付き合っていた時よりはるかに謎の寂しさを感じるようになっていた。
その時に教導隊の部下から食事に誘われた。夫が今日は遅いということを知っていた私はその誘いにのってしまったのだ。それが始まりで終わりだったんだろう。体の関係ももち始めて2ヶ月過ぎた頃、おそらく私は人生の幸せの絶頂期にいた。自分は男二人を誑かしている。そんなふうな思考があったのだろう、背徳感と幸福感とで狂っていた。そこから1ヶ月後一気に叩き落とされるのだが。
※
その日は突然だった。夜、彼との食事を終えそのまま帰った日夫が家で真面目な顔をして待っていた。夫は話を始めたのだ。
「なのは……君、不倫しているだろう?」
その時なんとなくだが幸せな時間は終わったんだという感覚があった。
夫に知った理由を問いかけた。
夫の顔が苦々しい顔に変わる。
「ヴィヴィオとフェイトだ。」
耳を疑った。確かに最近少し二人とも距離を置かれていた気がする。
「フェイトが俺に教えてくれたんだよ…泣いてたんだぞ!ヴィヴィオ!」
寂しかったものはしかたがないじゃない。
そんな言葉が口から抜けていった。
「そうか、寂しくさせてしまったのか……悪かった、なのは」
夫は悪くないのに謝る。なんにもどこも悪くないのに。
「でもななのは、婚姻関係を続ける上でお互いの信頼って大切だと思うんだよ。そう思うんだ、俺は。だからさ俺達はもう夫婦としてはやっていけないと思う。」
いやだ。
「多分不倫させてしまったってことは俺も悪い所があったんだよ、そんな奴とこれ以上暮らしても仕方がないだろう?な?なのはわかってくれないか?」
いやだ。いやだ。すてられたくない。
その一心で夫にすがりついた。でも、それでも夫は決心が固まっていた。
もうダメなんだ。
悟った。それでも一縷の希望を信じて、彼との逢瀬をやめ、家事もした。捨てられないという可能性を、それだけを信じていた。
その希望を打ち砕いたのは娘であるヴィヴィオだった。
「なんでまだうちにいるんですか?高町さん」
この家に私の居場所はもうない。
部下であった彼もフェイトちゃんが上に伝えたことで懲戒免職処分となり居場所がわからない。私はお咎めは確かにあったが広告塔としての利用価値を考えたのだろう、減給数ヶ月という形で終わった。
私は、娘も夫も親友も何もかもを失ったのだ。
最後に荷物を取りに行った時、家の外から夫の泣き声が聴こえた。今まで小さい頃から泣くことなどなかった夫のだ。
罪の重さを知った気がした。私には贖罪する権利すらないのだろう。
ごめんなさい。さようなら
もう誰とも恋愛をしない。それが私に許されたたった一つのことだろうから。
それから数年たって悠音くんを街でみかけた。どうしても気になってこっそり、ひっそりと跡をつけた時彼が待ち合わせしている人に気がついた。フェイトちゃんとヴィヴィオだったのだ。3人で歩いていった時捨てたものの重みを改めて認識した。
フェイトちゃんがこっちをみた。まるで憐れな人をみる目でこっちをみていた。そうして私は1人呟いたのだ。
ごめんなさい。