小さい頃から私達は3人ひとまとまりで認識されてたような気がする。
天真爛漫で笑顔が可愛い高鴨穏乃。
金髪で優しいちょっぴりエッチな男の子須賀京太郎。
そして私、新子憧。
穏乃が変なことやって、
私が突っ込んで、
京太郎がそれを見て笑ってる
これが私たちの小学校の生活だった。
変わったのは中学時代だ。
この年の男女は、性を意識し始める。
私もその例に漏れなかった。
京太郎の事が好きで好きでたまらなくなったのだ。
惚れたきっかけ、なんてものは思い出せないけれど間違いなく京太郎の事が大好きだと断言出来る。
京太郎が髪が長い方が好きだと言い始めたから、髪を伸ばし始めたし
胸が大きい方が好きだとわかったから、毎晩風呂上がりに牛乳を飲んだりバストアップ体操を試したりなんかした。
穏乃と中学が別れ、京太郎の近くに穏乃が居ないことに安堵した自分に対して嫌悪したこともあった。
そうして私は少しずつ、少しずつ京太郎との距離を縮めていった。
でも
それでも
告白という一線は超えなかった。
いや、超えられなかった。
今の関係が壊れるのがとても怖くて勇気が出なかったし、
何より京太郎の周りに自分以外の女の影がない事に胡座をかいていたのだ。
京太郎と肩を並べて歩くことは出来ても、手を繋ぐことは出来なかった。
京太郎の家に遊びに行くことが出来ても、京太郎の部屋に入ろうとはしなかった。
そんな中学時代を経て高校時代。
穏乃の発案でインターハイを目指すことになった阿知賀麻雀部には、京太郎も入部した。
それはもちろん、京太郎の周りに女子が増えることにほかならない。
それでも私は一歩を踏み出さなかった。
中学時代の過ごした時間の長さを理由にして、私はその場で足踏みしたのだ。
そしてインターハイも終わり、12月24日のクリスマスイブ。
私は、忘れ物を取りに部室へ向かった。
扉部室を開け、その中で見たのは
京太郎と穏乃がキスをしている所だった。
それを見た瞬間に私は学校の外へと一心不乱に駆け出した。
当然の結果だと思う。
私が足踏みしてる時に、穏乃は走って京太郎に向かっていったのだ。
そして私が踏み出せなかった場所を穏乃は躊躇いなく超えていったのだ。
そう理解する頃には、目から涙が止まらなくなっていた。
告白して振られるのと告白せずに結果的に振られるのとでは天と地の差がある。
告白しておけばよかった…
手を繋いでおけばよかった。
後悔が目から溢れ出して止まらない。
「恋愛なんてしなければよかった…!」
それはひどいエゴだ。
私が怠けていただけなのに、その罪を捨てることにも等しい発言だと思う。
それでもそう思わずにはいられない。
だって私は弱い女だから。
あなたのことを忘れることが出来ない女だから。
外は雪が降っていた。