魔法少女リリカルなのは Order   作:やみなべ

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久しぶりに「プリヤ」と「リリなの」のコラボコミックを読んだり、YouTubeで「冥界のメリークリスマス」を題材に「snow rain」が当てられた動画を見てたりしたら、なんか書きたくなったものでして……。


イリヤスフィール・フォン・アインツベルンの場合

結局、事の発端はどこだったのか? あ~……うん、どこなんだろう?

 

――――おやおや、イリヤさん。その年でもう政治家みたいな責任逃避ですか?

 

いや、誤魔化そうとしてるわけじゃなくて、真面目にどこが始まりだったのかって、私にもよくわからないんだよねぇ。

パッと思いつくのは、やっぱり私と美遊が“なのはちゃん”たちと初めて出会った時? でもなぁ、別にあの時点では何がどうってこともなかったし。いつも通り“あの人たち”がやらかして、そのせいで私たちだけじゃなくてなのはちゃんたちまで巻き込まれて、一緒に戦って、それぞれ帰るべき場所に帰った、本当にただそれだけのはず。

 

――――まぁ、実際アレはイリヤさんではなく、どこかの世界のお二人の仕業ですしねぇ。

 

どこかの世界? まぁそれはおいておくとして、そもそも“あっちの私”と“こっち(カルデア)の私”って厳密にはもう違うもののはずだしなぁ……。

そういう意味で言えば、私とクロがカルデアに召喚された時? 確か、マスターさんが夢で見るようになったのもそれくらいって話だけど……でもさぁ、私を通して縁が繋がったのは否定しないというか、できないけど、それって私のせい? そりゃ力になれたらなぁとは思ってたけど、召喚されたのも、縁が繋がったのも不可抗力というか、そこで私に責任を求められても困るというか……。

 

そもそも、あの頃はまだ縁が薄くてマスターさんもほとんど記憶の連続性がなかったって言ってたよ! 記憶が繋がるようになったのは、旅の途中で虚数空間から“あの人”をサルベージしてかららしいし!

 

――――あはぁ♪ イリヤさんってば、言うに事欠いて責任転嫁ですか?

 

あ、いや、別に責任を押し付けるわけじゃなくて……それこそ偶然の結果なんだから、“あの人”には何の責任もないわけだし。

 

――――いえいえ、ここまで重なればそれは偶然という名の必然、あるいは運命ってやつですよ♪

 

もう! まぜっかえさないでよルビー! え? そもそも別に誰のせいとかそういう話じゃない? ただ、どうしてこういうことになったのか知りたかっただけ? あ~、ごめんなさい。割と引っ掻き回してる自覚があるだけに早とちりしてました。いや、私自身は騒動とか起こしてないと思うんだけど……ほら、周りの人たちが、ね? そのきっかけになったんじゃないかなぁって思うと、ちょっと責任感じてたり……。

 

あぁ~、でも…うん、一人だけ責任を負わなきゃいけない人がいたの忘れてた。全部が全部その人のせいってわけじゃないけど、一番大きなきっかけだったんじゃないかなぁって。いや、結果的にそう悪いことにはなってないって言えばそうなんだけど……。

誰かって? ほら、いるでしょ。悪意ゼロなのに、一歩歩けば何かしらやらかす人。え? 心当たりが多すぎる?

あ~、うん、ごめん。確かにそういう人いっぱいいた。えっと、スーパーにポジティブで、結構うっかりしてて、やらかす割にラック高いおかげで大抵うまくいく、ピンクな……そうそう、そのトラブルの大量生産者(マスプロ)

 

――――あ~、そういえばあの人でしたっけ。勝手に管制室の端末弄ってイリヤさんたちをステキ転送しちゃったの。

 

うぅ、私たちただこのままだと明日食べるものもないかもってことで、食材の補充に行こうとしてだけだったのに……。

人理焼却とか、濾過異聞史現象とか、その他諸々なるようになったとはいえ、結局マスターさんとマシュさん中心にカルデアは時間軸からも世界線からも外れた漂流生活。「しばらくどこにも浮上できなかったから備蓄が危ない」「藤太さんの宝具も使い続ければ限界は来る」ってエミ…アーチャーさんが言ってたのを聞いちゃって、私は英霊じゃないから、みんなに比べたら全然頼りないし、だから……

 

――――まぁ、それはそれとして勝手に行動しようとしたのはまずかったですけどね。

 

あ、はい。それは本当に反省してます。クロに唆されたとはいえ、ホイホイついていった私にも問題がありました。

でもさぁ、てっきりスタッフの誰かがやってくれると思ってたら、まさかのアストルフォさんだよ? 誰がそんな未来予想できるの!? っていうか、あの人も良くわからないのに何で弄っちゃうのかな!!

 

――――ご本人は「なんかいけそうな気がするー!」って言ってましたよ。

 

うわぁ、すっごいリアルに想像できちゃった……。

うん、まぁ、そんなわけでね。たぶん、あの時の……そういえば、その時のことって……あ、なのはちゃんから聞いてたんだ。なら、そこは省略ね。とにかく、その時の縁を辿る形になっちゃったんだと思うんだけど、私たち…っていっても、クロは直接会ったことがなかったからなのか、ちょっと違うところに出ちゃったんだけど。とにかく、私と美遊は無事にというかなんというか、ついちゃったんだ。

 

……そう、海鳴。そこで再会したんだ。私たちが会った時よりちょっとだけ大きくなって、ちょうど今の私たちと同い年になったなのはちゃんたちに。

 

ふふ、変な感じ。こっちの私たちはサーヴァントだから年を取らないけど、なのはちゃんたちはどんどん大きくなって、大人になって、綺麗になっていく。変わらない自分、変わっていく友達、ちょっとだけ虞美人さんとかヴィータちゃんの気持ちが分かったかも。

でもまさか、こんな日が来るとは思わなかったなぁ。初めて会った時、なのはちゃん私よりちょっと年下だったんだよ? それが、今や私と同い年の娘がいて、その子に私が昔話をしてるんだもん。

 

それで、まさか私たちがこっちに来るきっかけだけ、ってことはないんでしょ。

さぁ、お姉さんがなんでも答えてあげる。なっ!? 外見はともかく、中身はあなたのママと同年代以上なんですぅ!! まったくもう……。

 

ねぇ、“ヴィヴィオ”は何が聞きたいの? 

 

 

 

  *  *  *  *  *

 

 

 

「ちょっ!? え、ええ!? 美遊もクロもどこ行っちゃったの―――――――――――っ!!」

 

思わぬトラブル大量生産者(アストルフォ)の介入のせいで、レイシフトを応用した疑似転移で物資の補給を図らんとしたイリヤたちの目的は、のっけからとん挫した。

まぁ当初の予定からして、三人で21世紀初頭の日本に行き持ち込んだアレコレを換金し、食材をはじめとした生活必需品を補充、意気揚々と帰還し一杯褒めてもらおうという実に杜撰な計画だったわけだが。

 

ところがどっこい、蓋を開けてみれば三人はバラバラの場所に飛ばされたらしく、近くに美遊とクロの姿はない。

せめてもの救いは、転移先である小高い丘から見える風景が良く見知ったものに近いことか。風景自体に見覚えはないが、海に面したそれなりに発展した街並が広がっている。どうやら、おおよそ「現代」と呼んでいい時代らしい。また、イリヤの周囲をはじめ、眼下には見事な桜色で彩られていることから季節的には春、それも祖国「日本」であることがうかがえる。

とはいえ、土壇場には強いがその手前くらいだと妙に弱いのがイリヤの特徴の一つ。別世界に迷い込むのは最早慣れっこだが、「美遊もクロもいるから大丈夫」と油断していたのが運の尽き。いきなり一人ぼっちで放りだされたイリヤは、いっそ清々しいくらいに動転していた。

 

「っていうか、ここどこ――――――――――――――――――――――――――っ!?」

「見た感じ、冬木のような日本の地方都市といった様子ですが、具体的な場所まではちょっとわかりませんねぇ」

「なんでルビーはそんなに冷静なの!?」

「ん~、美遊さんとクロさんも近くにはいない感じでしょうか? 合流しないことには帰る云々以前の問題ですし、これは長丁場になりそうですねぇ~」

「話聞いてよ!?」

 

普段の言動はアレだが、実は割と頼りにしている相棒が相手をしてくれずに憤慨する。まぁ、テンパるイリヤをスルーするのは割といつものことなので、これはこれで平常運転といえるだろう。ついでに、イリヤも慣れたもので、相手にしてくれないとわかるとちょっと隅の方でこれ見よがしに小さくなる。

しかし、そんな割と悠長な時間は長く続かなかった。

 

「イリヤさんイリヤさん」

「なに? 二人の居場所が分かったの?」

「あ、そちらはまださっぱり。ただ……」

「ただ?」

「何かが結構なスピードで急速接近中です。魔力…ですかねぇ? なんかそんな感じの、だけどちょっと違うような、そんな反応が二つほど」

「なんか妙にフワッとしてるのが気になるけど、それより今は…いくよ、ルビー!」

「ドドーンとやっちゃいましょう!」

「やらないよ!? あくまでも何かあってもいいようにするためだから! まずは話し合い、これ大事!」

「え~……そこはノリノリでサーチ&デストロっちゃいましょうよ」

「なんでそう物騒なのかなぁ!?」

 

そのままギャーギャーと不毛な言い争い(?)を繰り広げる一人と一本。

その間にも二つの影はイリヤたちとの距離を詰めていき、ついに視認可能な距離にとらえる。ただし、空から。

 

「時空管理局だ! いきなりこんなとこに転移してきやがって、ここ管理外世界だぞ。渡航許可、ちゃんと持ってんだろうなぁ!」

「ヴィータちゃん、もうちょっと優しく……」

「こちとらこいつらのせいではやてのギガウマご飯のお預け食らってんだ! さっさと済ませて帰らねぇと冷めちまうだろうが!!」

「う~ん、それはわかるんだけど……って、あれ? あの人……」

 

明らかにイライラしている様子の赤い少女と、それをなだめようと苦笑いを浮かべる白い少女。

だがそこで、白い少女が何かに気付く。初めは困惑、続いて疑念から確信へ。眼下の一人の少女と一本のステッキに、ものすご~く見覚えがあるのだ。

 

「もしかして…………イリヤさん?」

「おや? ルビーちゃんとしたことが不覚です。このMS(魔法少女)力、間違いありませんよ、イリヤさん」

「へ? って、なのはちゃん!?」

「あん? お前ら知り合いか?」

「「どうしてここに!?」」

 

なのはは見下ろしながら、イリヤは見上げながら、それぞれ有り得ないはずの再会に驚愕をあらわにする。

こうしてかつて一度交わり、すぐに分かたれた二人の魔法少女の運命の流れは、再度交差することになった。

 




もしも反響があるようだったら、加筆したり続きを書いたりしてみようかなぁ、と思います。

とりあえず、今年中に「人理の盾」の方を更新するつもりですが。
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