魔法少女リリカルなのは Order   作:やみなべ

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よし、何とか第4章配信の前に書き切った。明日からは攻略に専念するぞー!
あと、流石に映画を見たのが半年以上前なのでシーンとか超うろ覚え。その辺は発売される円盤で補完してください(宣伝)。


ユーリ・エーベルヴァインの場合

…………………………………………困りました。実は、私には話せることがあまりないんです。

 

―――そうなんですか?

 

はい。事件の最中、私はほとんど迷宮の中にいたもので、詳しい経過などはあまり……。いえ、一応経過なんかは後から聞いているのですが、それはヴィヴィオが聞きたいこととは違うでしょう?

 

―――まぁ……あ、じゃあわかる範囲でお願いします!

 

そう、ですね……私自身に関しては、ディアーチェたちが立香に迷宮のマップを借りて助けに来てくれました。

 

―――そういえば、イリスさんにウイルスコードを打ち込まれてたんですよね。でも、それなら迷宮から脱出しようとはしなかったんですか?

 

あのウイルスはあくまでも“指示に従わせる”ためのものなんです。ですから、逆に言えば指示がなければある程度自分の意志で動くことができます。まぁ、禁則とかもあったので、実際にできることはほとんどなかったんですが。

 

とはいえ、迷宮内はほとんど異界のようなもの。外部からだと私にまで指示が届きません。

なので、イリスが脱出を指示するためには、まず私のところまでたどり着く必要がありました。

 

―――ああ、なるほど。それで、立香さんはユーリさんと接触してそれを知ったわけですね。

 

はい、そうなれば当然対策します。具体的には、空中庭園を迷宮の真上に持ってきて防衛に回すと同時に、アヴィケブロンに迷宮そのものをゴーレム化させたそうです。

 

―――王冠:叡智の光(ゴーレム・ケテルマルクト)、ですね。コロナに教えたいんですけど、守秘義務があって話せないんですよねぇ。

 

仕方がありませんね。でも、確か近々カルデアへの渡航許可が下りるのでしょう?

 

―――はい。まぁ、その時のことが楽しみでもあり怖くもあるんですが……多分というか、ほぼ確実にアインハルトさんとかチャンピオンから質問攻めにされるでしょうし……。

 

えっと、その……頑張ってください。

 

―――あはは……でも、それだけ防備を固めているとなると、ユーリさんに関してはほぼ万全だったわけですね。

 

そう、でしょうか? でも、あの時の私には“接近する敵性体を排除する”という指示が与えられていたので、イリス以外の誰かが近づいてくるとオートで攻撃してしまう状態だったんです。立香の時も、危うく……。

 

―――え、それじゃディアーチェさんたちはどうやって?

 

接触してゆっくり解除…とはいきませんから、魔力ダメージで強引に、ですね。

横槍が入らないように迷宮内で戦うことになったんですが、そうすると私はともかくディアーチェたちにはほとんど逃げ場がありません。

私を助けようとしてくれているのはうれしかった。でも、それ以上にあの子たちを傷つけてしまうのが辛くて、悲しくて……。

 

―――ああ、魔力ダメージ狙いとなると、サーヴァントの力は借りられませんよね。となると、本当に3人だけで?

 

……はい。管理局にも余裕はありませんでしたし、ディアーチェ自身が“手助けなどいらぬ”って突っぱねてしまって。

 

―――なんというか、王様らしいですね。

 

意地っ張りにも困ったものです!

 

―――でも、それで無事ユーリさんは解放された、と。そのあとは……。

 

できればイリスに会いに行きたかったんですが、あくまでも力業でウイルスを機能停止させたにすぎません。となると、またいつ再起動するかわからない私が戦場に出るわけにもいかず……。

なので、人の姿を保つので精一杯だった三人を介抱していました。迷宮内には危険な魔物もいましたし、アステリオスも守ってはくれていましたが……。

 

―――でも、結果的にはそれでよかったのかもしれませんね。

 

そう、ですね。あのまま外に出ていれば、それこそまた操られていたかもしれません。

まさか、所長が生きているとは思いもしませんでしたから。

 

―――まぁ、普通はそうだと思いますよ。

 

ですが、立香たちは所長の生存を前提にして行動していました。

あちら側では、死体を確認した程度では安心材料にならないんだとか……。

 

―――“不老不死”とか“不滅”とかが言葉遊びじゃないですからねぇ。聞けば聞くほどにとんでもない世界ですよ。

 

他にも、シオンの古巣にはロストロギア染みた兵器がいくつも死蔵されているという話ですし、物理法則そのものを改竄、ないし無視する能力者もいるとか……ビースト(人類悪)に至っては、場合によっては次元世界そのものを滅ぼし得る可能性があります。

 

―――私たちの世界にビーストⅠ(憐憫の獣)に近い存在が現れたら、それこそ宇宙そのものを新生させようとするかもしれませんもんね。

 

ビーストⅡ(回帰の獣)であれば倒せる可能性もあるでしょうが、それでも次元世界規模になったらいったいどうなるか……。

 

―――他のビーストでも似たようなものの気がしますけど…というか、改めて立香さんたち、良くあんなの倒せましたよね?

 

全ての人類悪の踏破に関わったのが、半神でもなければ英雄でもない。ましてや、魔人や超人の類でもない、平凡な人だというのですから……いえ、立香はある意味“人間の代表”なのだと、誰かが言っていました。世界の大多数を占める“ありふれた人”の一人だからこそなしえたこと(奇跡)なのだろう、と。

 

運命や神といった超越存在に選ばれた、あるいは人並み外れた才覚や大器を持って生まれた、ある意味で“人間以上”とも言える特別な存在ではなかったからこそ……。

 

―――そういえば立香さん、マクスウェル所長になんかそんな感じのこと言ってたんですよね?

 

ん~、どうでしょう。私としてはちょっと違う印象を受けましたけど……。でも、立香らしい言葉だったと思いますよ。結局、所長は最後まで一人でした。誰かを“利用”することはしても、誰とも“協力”しようとしなかった。あの人は間違いなく天才で、様々な面で卓越した人でしたが……孤独であることに気付いていなかったんでしょう。

対して、立香は自らの平凡さを理解し、向き合い、決して逃げようとはしなかった。だからこそ彼は多くの出会い、数多の縁、紡がれた絆を握りしめてきたんでしょう。自分一人では何もできなくても、力を貸してくれる誰かと手を取り合う。その平凡さこそが、彼の唯一にして最大の武器。

 

立香が言ったように、私たちには仲間がいて、所長には誰もいなかった。きっと、それがすべてだったんだと思います。

 

―――でも、それじゃあユーリさんにとっては、ディアーチェさんたちに助けてもらって、介抱してたら事件が終わってた感じですか?

 

…………まぁ、そうとも言えますね。所長が捕まって、安全が確認されてから外に出て、イリスとは思いのほか早く話が出来ました。クロノ提督が、色々便宜を図ってくれましたから。

 

―――クロノさん、優しいですもんね。

 

はい。ぁ、でも……

 

―――でも?

 

その後にもいろいろゴタゴタがあって、そちらは私も手伝わせてもらったんです。便宜上、そこで貢献したから、という形だったらしいですよ。

私の他にも、キリエやディアーチェたちもかなりグレーゾーンの立ち位置でしたから。点数稼ぎ、と言ってしまうと言い方が悪いですけどね。

 

―――何かあったんですか?

 

イリスが夜天の書に不正アクセスしたのが原因で、夜天の書に蒐集された人たちの記憶の残滓が形を得てしまったんです。中にはかなり状態の良い残滓もあって、フェイトは懐かしい人と会えたりもしたみたいですけど……でも大半は記憶も意識も不完全で、危険性が高いことから鎮圧して回ることになったんです。

とはいえ、大きな事件の後で負傷している人も多かったですから、なおさら人手不足。というわけで、動ける私たちも協力することになったんです。一応「闇の欠片事件」と呼ばれるものですね。

 

―――あ~、それなんか聞いたことがあるかも……でも、そういうことなら気兼ねなくカルデアに協力を求めればよかったんじゃ……。

 

いえ、それが、その……

 

―――? ? ?

 

カルデアの方も色々立て込んでまして……

 

―――サバフェスが近いから…じゃないですよね。

 

…………立香が言ってたそうです、「騒動(イベント)は終わってからが本番(周回)です」って。初めはみんな、「何言ってるの?」という反応だったようなんですが……。

 

―――……なんとなくわかりました。あれですよね、騒動に便乗してやらかした人がいるんでしょ。

 

はい。あの時は、イリスが用意した工廠をバベッジと始皇帝、あとメカエリたちが占拠したそうで……そのまま怪しげな機械兵団が量産される寸前だったみたいです。

 

―――で、立香さんたちはその後始末と事態の収拾でてんやわんや、と。相変わらずですねぇ。

 

あ~、今も似たようなことやってるんですね。

 

―――騒動を起こす人、それに乗っかる人、裏で画策する人……色々いますから。いつだったか、“ハロウィン”が近づいた頃に立香さんが錯乱しまして……それを見かねた始皇帝さんが、チェイテピラミッド姫路…なんでしたっけ? とにかく、その上に咸陽…というか『聖躯』を落としてペシャンコにしちゃったんです。

 

お、おおぅ……。

 

―――本人としては多分「憂いの元は断ってやったぞ、喜ぶがいい」って感じだったんでしょうが……

 

エリザベートが納得するとは思えませんね。

 

―――はい。実際、立香さんに「助けて子ジカ~!」って泣きついて、そのまま始皇帝さんをお城…の跡地から退去させようとしたんですが、そこでも色々あったみたいです。

 

いつもいつも、苦労してますね。

 

―――善意でやってくれたことが結果的に……というのがまた。まあ、普段良識派な人も、偶にはっちゃけますしね。今更と言えば今更なんですが……でも、それじゃあ立香さんたち抜きでその事件を?

 

はい。あ、でも、後々聞いた話では、プレシアがこっそり動いていたらしいですよ。

 

―――プレシアさんが?

 

なんでも他の欠片そっちのけで、自分の欠片を率先して消して回っていたとか。私たちも、プレシアの欠片とは結局一度も遭遇しませんでしたから。もちろん、プレシア自身にも会いませんでしたよ。

 

―――よくそこまで徹底できましたね。

 

どうやら、シオンに協力を仰いでいたようで……。

 

―――あ~、なるほど。シオンさんの分割思考って、もうほとんど未来予知レベルですもんね。

 

本人が言うには「予知」ではなく、「演算」「計測」の結果らしいですけど。

 

―――それはやっぱり、フェイトさんに会わせないために?

 

そうですね。でも、途中から手段が目的になってたらしいですけど。

 

―――? ? ?

 

フェイトに会わせないために欠片を消していたのが、いつの間にか自分の欠片を消すのが目的になってたみたいで。

なんでも「わかる、今ならエミヤの気持ちがよくわかる!」「自分との対決とか、ホント碌なもんじゃないわ!?」「何やってんだ、いつか(未来)の私――――!!!」「消えろ! この黒歴史!!」と叫びながら大暴れしていたとか。

 

―――よ、良く管理局に見つかりませんでしたね。

 

そのあたり、割と謎なんですよね……。シオンがうまく誘導していたのか、あるいはハッキングでもしてたんでしょうか? それとも、誰かサーヴァントが協力していたのかもしれませんね。

まぁ、こうやって話しているとシリアスに聞こえませんけど、本人は真剣だったと思いますよ。後々、シオンが当時の記録を見せてくれたんですが、あの時のプレシアはこの世の終わりみたいな顔をしてましたから。

 

「いつまで目を逸らしているつもり。本当は……フェイトを憎んでなんていなかったくせに」

 

「許せなかったのでしょう、アリシアを残して幸せになってしまうことが」

 

「だから、フェイトを拒絶した。あの子がいれば、あの子を愛せば、私は幸せになれる。幸せになってしまう。たった一人、アリシアを置き去りにして」

 

「だからアンタ()はフェイトを憎んだ。そうしていないと、あの子を愛してしまうから……」

 

「ふざけんな! アンタ()の弱さに、娘まきこんでんじゃないわよ!!」

 

泣きながら、そう叫んでいましたよ。

 

―――そう、だったんですね。でもそれじゃ、フェイトさんは……

 

先ほど言った通り、プレシアとは全く会わなかったようです。頑張った甲斐はあった、というべきなんでしょうか。プレシアにとっては、フェイトとだけは鉢合わせないように細心の注意を払っていたでしょうし。

代わりに、というわけではありませんがリニスには会ったようですよ。あと、アリシアとも。

 

―――あ、そっか。蒐集された人の記憶を再現しているなら、そういうこともありますよね。

 

面白い…というとフェイトに悪いですけど、でも微笑ましかったですよ。フェイトがリニスやアリシアを紹介するというよりも、二人が「これからもフェイトをよろしくお願いします」って挨拶して回ってる感じで。

フェイト、照れるやら恥ずかしいやらで……もう可愛いったらなかったです。

 

―――むむむ、ちょっと見てみたいかも……。

 

確かあの時の記録があったはずなので、今度ちょっと見せてあげますね。フェイトには秘密ですよ?

 

―――は~い♪

 

でもまぁ、良いことばかりでもなかったんですよね。特に、“アレ”はかなりきつかったですし……

 

―――あれ?

 

イレギュラーと言いましょうか…蒐集されたわけではないんですが、夜天の書とわずかながら接触した人がいたんです。その人の記憶まで再現されてしまって……

 

―――あのぉ…それってまさか……

 

立香です。

 

―――げっ!? な、なにが出てきたんですか?

 

天を衝くほどに巨大な、不気味な肉塊の柱。そこに幾筋もの太い亀裂が走り、無数の赤黒い目玉が飛び出していました。正直、“悍ましい”という言葉では到底足りません。

 

―――魔神柱……。

 

まぁ、完全には再現されていなかったのが救いではあったんですが、それでもかなり苦戦しました。早めにカルデアに伝えていれば情報をもらうこともできたでしょうし、そうすればもう少し楽だったと思うんですが……あの当時は、関連があるなんて夢にも思いませんでしたし。

 

―――まぁ、それはそうですよね。

 

でも、完全な状態からは程遠かったので、主要メンバーが2・3人いれば何とか倒せるくらいだったんですけど……問題は数でした。なにしろ、72本もいて……

 

―――き、きついですね。

 

だけど、復活してこないだけまだましなんですよね。立香の時は、それこそ倒したそばから“新生”していたわけですし。

 

―――その上、本来の性能はもっと上……割と悪夢ですね。

 

本当に……私たちですらしばらく夢に出てきつかったですから。

 

―――というか、いくら弱体化していても、知らずに戦うには危なすぎますよね。

 

あ、いえ……そこは、フェイトがいたので。

 

―――ああ、そういえば立香さんと夢で繋がってるんでしたっけ。

 

見た瞬間、フェイトが「魔神、柱?」とつぶやいていたのが印象的でした。良くわからないなりに彼女が色々教えてくれたからこそ、誰も大きなけがをすることなく乗り切れたんだと思います。

 

―――「騒動は終わってからが本番」が割とシャレになってませんね。

 

本当に……。

 

 

 

  *  *  *  *  *

 

 

 

結界により無人となった夜の市街地を疾走する異形の騎影。その背に乗った立香は、眼前の光景に呆れとも驚きともつかないため息を漏らす。

 

時間の関係もあってロビン達でも見つけきれなかった工廠にて生み出された、量産型イリスがその進路を阻まんと押し寄せているのだ。その物量は最早“大群”の域にとどまらない。道幅のほぼすべてを埋め尽くす同じ顔が、さらに十数メートル先まで続いている。加えて、立ち並ぶ建物の窓という窓に砲身が並び、さらには屋上まで。

 

これでもかと言わんばかりの“包囲殲滅”の意志。

とてもではないが、単騎で突破するには重厚過ぎる布陣だ。だが、数名の仲間と共に異形の躯体に揺られる立香の(おもて)に焦燥の色はない。むしろ、どこか気安い様子で少々高い位置にある厳つい顔に語り掛ける。

 

「結構な数だけど、いける?」

「支障ない」

「じゃ、よろしく」

「承知」

 

言葉少ななやり取り。しかしそこには、互いに対する確かな信頼が見て取れた。

だが、それに対し異を唱える者が一人。

 

「ちょっとそこの後輩! 何項羽様に偉そうな口きいてんのよ!!」

「え~、でもぐっちゃん、俺一応マスターなわけで……」

「ぐっちゃん言うな!」

「じゃ、ひなパイセン」

「そういう問題じゃな~い!! というか、気安いにもほどがあんのよ、アンタ! 私は精霊、お前は人間。決して相容れない存在だって自覚ないわけ!?」

「お、落ち着いてくださいヒナコさん……」

 

なにやら憤慨する眼鏡の女性とそれを宥めようとするマシュ。ただし、怒られている当の立香自身は、反省するどころか楽しそうですらあるが。

 

「だいたいアンタは、どうしてこう……私がその気になれば、お前なんて一秒もかけずに殺せるのよ。恐ろしいとは思わないの?」

「だって、その理屈で言ったら俺みんなのこと怖がらないといけないじゃん。俺を殺す程度のこと、誰でも秒もかけずにできるんだし」

「それは! まぁ、そうだけど……」

「そんなことで一々怖がってたらもたないよ」

「私たちがやらないと信じていると? 随分と甘いことを……」

「……まぁ、やりそうなのに心当たりはあるけど……」

 

実際、どこぞの王様や鬼あたりなら、割と唐突に殺しにかかってきても不思議じゃない。

立香とてそのことは当然承知している。故に、無条件に自らの身の安全を妄信しているわけではない。彼が仲間たちを恐れないのは、殺しにかかってくる者がいるように、彼を守ろうとする者がいることを知っているからだ。

 

「でも、なんだかんだ言っても……守ってくれるでしょ?」

「っ! ほんとに、お前は……!!」

「ふっ……主導者よ、あまり妻をいじめてやるな。これなりに、汝の身を案じているのだ」

「こ、項羽様!?」

「うん、知ってる。なんだかんだ言って優しいよね」

「余計なこと言うな後輩!!」

「そして、無論私もまた妻同様汝を守護する者だ。その(未来)を開くため、我が機能のすべてを発揮しよう。まずは、この騒乱を速やかに収拾する」

 

宣言するや否や、人馬型の躯体が更なる加速を見せ何の衒いもなく敵陣目掛けて突っ込んでいく。

普通に考えるなら無謀もいいところ。四方八方から包囲され、逃げ場を失い、袋叩きにあって押し潰されるのが目に見えている。しかし、立香は項羽の吶喊を止めようとはしない。むしろ、彼が心置きなく突き進めるように、全身全霊でその躯体にしがみつく。

 

「マシュ・キリエライト、周囲からの攻撃は汝が対処せよ。主導者を守り通せ」

「はい! シールド・エフェクト発揮します!」

「項羽様はただ前のみを……邪魔はさせません」

「……いざ、滅ぶべくして滅ぶべし!」

 

全身から閃光が放たれ、敵陣に綻びを産む。無論、敵もただ座して待つわけはなく、次々に放火が放たれるが、三対の腕に握られた剣を縦横無尽に振るい全て叩き落していく。

その間にも、周囲の建物に陣取った者たちが凶弾を続けざまに撃ち放つ。しかし、それらはすべて立香の前に立ったマシュの盾によって防がれ、項羽の足を狙ったものも見えない障壁によって阻まれる。さらに、二振りの剣が空を舞い、不逞の輩を引き裂いていく。

項羽の疾走はさらに速度を上げ、まるで一本の矢の様に敵本隊へ深々と突き刺さった。

 

「力を以て山を抜き、気迫を以て世を覆う! 我が武辺、此処に示さん! セリャァ───ッッ!」

 

その瞬間、項羽の周辺から敵が消滅した。

否、消えたのではなく影すら追えぬ速度で最前列の量産型イリスが粉砕されたのだ。

 

項羽はそのまま勢いを緩めることなく駆け、敵陣の奥深くへと分け入っていく。

時に三対の刃で、あるいは馬蹄で、そして閃光で容赦なく蹂躙していく様は、いっそ非現実的ですらあった。

立香たちに同伴し、その光景を上空から見ていた魔導士たちは後にこう語る。

 

「あれはもう、削るとか貫くとかじゃなくて……“抉る”っていう表現が正しかった」

 

その言葉の正しさを証明するように、敵陣中央に引かれる一本の線。それはさながら、古の聖人による奇跡を思わせる。

速度はますます加速し、項羽の背から振り落とされないよう懸命にしがみつく立香の視界には、もはや何のパーツだったか判然としない破片が無数に飛び交っていた。ただその向こうで、上空の魔導士たちに狙いを定める量産型イリスがいることに気付く。

 

「――――――」

 

声を出す余裕はない。歯を食いしばって何とかしがみついている状況だ。ここで口を開け、わずかでも力が緩めばそれこそ振り落とされかねない。足手まといなのは承知しているが、それでもこれ以上足を引っ張るわけにはいかない。

故に、立香は一瞬目があった虞美人に向けて、有りっ丈の意志を込めた視線を送る。

彼女はそれを……割と嫌そうに受け止めた。

 

「ったく、面倒ね。地獄を見せることになるけど、いいわけ?」

「――――――」

「はいはい、分かったわよ。マシュ、一応連中に警告してやりなさい。あの距離だと、巻き込むわよ」

 

虞美人の意図を読み取り、急ぎ項羽の後を追う魔導士たちに退避を進言するマシュ。初めは戸惑った様子の魔導士たちだが、マシュの真剣な訴えを受け、多少緩慢な挙動ながらも離れていく。

 

「ヒナコさん、どうぞ!」

「……そんな身体でも、お前たちにはしっかりと終わりがあるのね。――――羨ましいこと。

 これは、滅びの定めにすら見放された、我が永遠の慟哭。空よ! 雲よ! 憐みの涙で命を呪え!!」

 

その瞬間、虞美人の身体が“爆ぜた”。

粉々どころか、赤い霧と化して消えていくその刹那―――――悍ましい“ナニカ”が空に向かって放たれる。

それは赤黒い雲を産み、間もなく呪詛の雨となって降り注いだ。

 

それは、自らの肉体を破棄する事で限界を超えた魔力を暴走、産み出された呪詛によって引き起こされた異常気象。項羽が敵陣を突破し呪いの驟雨が終わった後には、夥しい数の鋼の躯が市街地に散乱していた。

最早、動く影は一つたりともありはしない。

 

ようやく進路上の安全が確認され、現場へと戻ってきた魔導士たちは思わず息をのむ。

千ではきかない数の敵が、一人残らず殲滅されている光景はなるほどある種の“地獄”だろう。

ましてやその周囲には、未だ降り注いだ呪詛の残滓がこびりついている。直接地面に立たなくても、上空を通り過ぎるだけでその悍ましさに吐き気を催してしまうのを、誰が責められるだろう。

 

「これが、英霊」

「本気…いや、本物のサーヴァントの力……」

 

彼らとて、カルデアが浮上する前の暴走体との戦いには参加していた。だからこそ、サーヴァントという存在の強力さは理解しているつもりだったが……認識を改める。どれほど力があろうとも、確かな意志のもとに振るわれるそれとは比べるべくもないのだと。

所詮、確たる意思もなく、ただ本能的に敵を排除するために動く存在など獣にも劣る。なにより、彼らは真名により発動するタイプの宝具を使用することができなかった。切り札を封じられた状態だったことを、それがどれほど彼らの戦力を削いでいたかを、嫌でも実感させられる。

 

「でも彼女、思いっきり身体粉々になってたけど、大丈夫なのか?」

「あ、今マシュさんから通信が来た。彼女は人間じゃなくて…えっと、精霊種とやららしい。砕けた身体も、もう再構成してるって。ほら」

「んな無茶苦茶な……」

 

通信を介して送られてきた映像には、確かにケロッとした顔で復活している虞美人の姿。

一度消滅して復活したというのであれば、守護騎士たちにも過去に似たようなことはあったが……あまりにもあっさりとそれをしていることに驚きを隠せない。むしろ、宝具を使う度にこれを繰り返しているのだから、確かに「無茶苦茶」と言いたくもなるだろう。

 

「そういや、サーヴァントの話を聞いてアルフが驚いてたっけなぁ。『あれ、マジだったのか』って」

「何のことだ?」

「なんでも昔、『立っているなら神も悪魔も、鬼も王も使う主義』とか言ってたらしい」

「ああ、全部いるんだっけか……改めて聞くと、すごい話だよな。にしても……」

「どうした?」

「この人、微妙に縮んでないか?」

「……どこ見てんだよ。後でどやされるぞ。というか、そんなわけあるか。ほら、もういくぞ」

「お、おう」

 

虞美人は宝具を発動する度に改めて肉体を再構成するわけだが、本人は真面目に再構成する気があまりないらしく、その都度身長や体重などが若干変動することを彼らはまだ知らない。

ついでに、この点に言及すると「別にこんなのテキトーでいいのよ、テキトーで。一々姿形に拘るとか、これだから人間は……」と鬱陶しがるのであった。

 

とりあえず、一番規模の大きい集団を殲滅したことで、敵も組織だった動きが出来なくなっている。機能的には可能なのだろうが、それをするための“数”の確保が難しくなっているからだ。

元々、ロビン達の働きで全ての工廠の破壊とまではいかなくとも、ある程度は潰せたのが効いている。今も、進撃する項羽を足止めしようと攻撃してきてはいるが、数が少なく散発的なものになっている。当然、この程度で彼の足を止めることなどできるはずもない。

 

「マシュ、状況はどう?」

「概ね、想定通りに進んでいます。ですよね、項羽さん」

「演算結果との誤差0.3%未満、問題なく推移している」

 

そもそも、項羽の力の本質は未来予知染みた行動と状況の先読み、超高速演算能力にある。

そんな彼が保証しているのだから、今のところ問題はないのだろう。とはいえ……

 

「……なによ、項羽様の仰ることに文句でもあるわけ」

「そういうわけじゃないんだけど……みんなの心情的にはどうかなって。ほら、うち(カルデア)っていろいろ濃いし」

「なるほど、確かに彼ら(英霊たち)の行動は、我が演算を以てしても正確なる未来の予見は難しい。ましてやそれが、複雑かつ難解な“人の心”に関わるとなればなおのこと。主導者の懸念も、当然のものと言えるだろう」

「むぅ……」

 

本当は文句を言いたいところだが、項羽自身が納得してしまっているので言えない…という様子だろうか。

 

「確認します。……………………とりあえず、現状大きな問題にはなっていません。強いて言えば、金時さんがヴィータさんを子ども扱いして怒らせているくらいでしょうか」

「ゴールデンだしねぇ……まぁ、それで喧嘩になるとも思えないし、問題はないかな」

 

少なくとも、金時が子ども相手にムキになるということは考えにくい。ヴィータはこういうと怒るだろうし、「わかったわかった」と子ども扱いする金時にさらに憤慨するのだろうが……それ以上にはなるまい。

 

「なのはさんとフェイトさんも、概ね良好なようです。さすがのサーヴァント鑑定眼です、先輩」

「まぁ、上手くいってるならいいけど……レオニダスは? リンディさんたちに迷惑かけてない?」

 

ちょっと不安だったのは、超広域結界の要でもあるリンディとユーノの護衛に回したレオニダスの存在。良くできた人なのは確かなのだが、如何せんとにかく“暑苦しい”上に彼は生粋の“脳筋”だ。

そして、彼が守っているのはこれでもかと言わんばかりの“インテリ”型。一応“計算”のできる人でもあるレオニダスだが、あくまでも“脳筋だけど計算もできる”あるいは“自称「頭脳派」の脳筋”なので、微妙にソリが合わないのではと心配しているのだ。ただし、マシュは立香の懸念にちょっと納得がいかないらしい。

 

「レオニダスさんが迷惑をかけるなんてありえません」

「……問題ないならいいけど」

 

ちなみにその頃、防衛戦という得意分野を任されたこともありテンション高めなレオニダスに、「あらあら、よろしくお願いしますね」と余裕の対応をしていたリンディだったが、ユーノだけはちょっと、本当にちょっとだけその暑苦しさに腰が引けていたのだが……まぁ、些細なことだろう。

彼の周りにはいないタイプだったのだから、無理もないと思う。

 

「って、そういえばシグナムの方は? 沖田がやたらとやる気だったから行かせたけど……」

「それが、その……固有の意志を持つ個体がいたようなのですが」

「?」

「口上の途中に斬りかかってそのまま……シグナムさんも『言わんとすることはわかるが、アレはさすがに……』と」

「あ~、沖田その辺の空気読まないからなぁ……」

 

大方、“斬り合いの最中に名乗るようなバカで助かった”とか考えて、早々に斬り捨てたのだろう。今頃、本人は意気揚々と「沖田さん大勝利ー!」しているのだろうが、シグナムに若干引かれてしまったのは無理もない話だ。

“主の命令を第一にする”“やむを得ないとあらば不本意な方法も辞さない”など、割と気質が似ている部分もあるためいけると思ったのだが、あくまでもシグナムは“武人”であるのに対し、沖田は“人斬り”。その辺の違いなのだろう。

まぁ、それでも“若干引かれる”程度で済んだのだからまだマシだ。これがなのはたちだったりしたら、間違いなく“ドン引き”されていただろうから。

あと、拷問とかが利きそうにない相手なのも幸運だ。サラリと拷問を提案してくる上に、“石抱”が軽いジャブ扱いなので、結構怖い人なのである。

 

「ギクシャクしたりしてる? それだったら、何か方法考えるけど……」

「いえ、それが……いつものように『こふっ!?』と」

「鉄板ネタですね、ありがとうございます」

「シグナムさんもさすがに驚いたらしく……」

 

そりゃいきなり人が目の前で吐血すれば、驚きもするだろうさ。

まぁ、結果的にそのおかげで微妙な空気が壊れたらしいので、怪我の功名という奴だろう。

 

「となると、ユーリの方はディアーチェたちの結果待ちだから、あとは……」

「イリスさんの確保に向かったクロノさんは、どうやら空振りだったようです。今はキリエさんが……」

「上手くいってくれるといいんだけど……」

「……はい。すれ違いは、悲しいですから」

 

イリスとユーリもそうだが、特にイリスとキリエだ。

イリスとユーリに関しては、過去の誤解が解消されれば関係回復の可能性は大きく開ける。まぁ、イリスはその時辛い現実と向き合うことになるのだろうが……これは、避けては通れないことだろう。

問題なのは、キリエとの関係。イリスがキリエを騙し利用していたのは事実だが、まったく友情を感じていなかったかというと、そんなことはなかったように思う。二人のやり取りやイリスの言葉の端々に、彼女の目的や意図に関する“ヒント”が見え隠れしていた。イリスはちゃんと、キリエに機会を与えていたのだ。

過ちを犯す前に踏み止まる、イリスの本心に気付く、そのためのヒントを。

 

キリエを利用する為だけに行動するのなら、それは不要どころか害悪だ。それがわからないイリスではないだろう。

わざわざそんなことをしていたということは、それは……

 

(気付いて踏み止まってほしかったのか、あるいは……)

 

止めて、ほしかったのだろうか。本当のところはイリスにしかわからない。もしかしたら、本人にもわからないかもしれない。カルナやアンデルセンでも引っ張ってくれば分かるだろうが、それは無粋に過ぎる。

 

だが、ある意味イリスと対峙したのがキリエなのは幸運というべきかもしれない。

辛い現実に向き合い、乗り越えイリスに向かってなおも手を伸ばそうとするその姿は…きっと、彼女の救いと力になってくれるだろうから。

 

「ふんっ、人間は面倒ね。そんなことしていないで、さっさと捕まえるなり叩き潰すなりしてしまえばいいでしょうに」

「……まぁ、合理的に考えるならそうなんだろうけどね」

 

虞美人の言うことにも一理ある。実際、話ならすべてが終わった後からでもできるのだ。

でもきっと、全てが終わった後に話すのと、今話すのとでは、その意味合いが大きく違ってくる。

人間とは、そういう不合理な生き物なのだから。

 

まぁ、もしもキリエの説得が上手くいかなかった時は、そうすることになるのだろうが…それならそれで何とでもなる。既に趨勢はある程度決しつつある、もしこれが覆ることがあるとすればそれは……。

 

「部外者の介入だけど、できればそれは……」

 

ないに越したことはない。特に、イリスにとっては今真実を知るのは衝撃が大きすぎるだろう。

できればキリエと和解し、それからゆっくりと真実を知ってもらう方が良い。

とはいえ、世の中というものは早々上手くはいかないもので……。

 

「先輩、動きがありました!」

「やっぱり、出てくるよね」

 

イリスとユーリ、この二人を管理局に確保されるのは“彼”にとって望ましくないことだろう。

ならば、そうなる前に動くのは予想の範疇。驚きはしない。しないが…やはりいい気分はしないものだ。

 

「アミタさんが接触したようですが……」

「確保できなかったんだね。あの人、戦闘能力自体はなさそうだったけど……」

「どうやら、イリスさんの能力を使って、戦闘可能な体で復活したようです」

「ああ、そう来たか……」

 

確かに、考えてみれば同然の帰結とも言えるだろう。一度目は生身の身体であったから殺されたのだ。ならば次があれば、早々殺されたりしない…戦闘可能な体を求めたとしても不思議はない。

 

「加えて、なのはさんたちに興味を持っているようです。魔導とエルトリア式フォーミュラの融合、彼が目指したものを手にしているのが理由かと」

 

そのあたりのやり取りについては、立香も通信越しに聞いている。

曰く「みんな、私の子どもにしてあげよう」とかなんとか……今更他人様の在り方について四の五の言うつもりのない立香だが、許容できないものはある。彼のいう“子ども”とは、要は“道具”ということだろう。自分が使った方が、より効果的・効率的だと、そう確信しているが故に。

その自信は事実だとしても……相手の意志を無視し、あるいは捻じ曲げ、利用するやり方を許す気はない。その先に、フェイトたちの笑顔はないのだから。

 

(もしそんなことになれば、フェイトはきっと初めて会った頃よりずっと悲しい顔をすることになる。そんなこと、見過ごせるわけがない)

 

フェイトはきっと否定するだろうが、立香は何度もフェイトに救われてきた。

初めて会った頃はその“辛くても、苦しくても頑張ろうとする姿”に、再会してからは“ありふれた日常”を象徴する笑顔に。それが踏みにじられ、曇ることなどあってはならないのだ。

あの子は誰よりも、幸せにならなければならない。幸せであってほしい。マシュ・キリエライトの存在が何にも勝る“支え”であるように、フェイト・テスタロッサこそが藤丸立香にとって何よりの“救い”なのだから。

 

「項羽、先回り…いける?」

「無論」

「ですが、主戦場が空では私たちだと……」

 

今のメンバーでは空中戦への対応は難しい。魔導士たちの速度は、サーヴァントにもそう引けを取らない。

目があるとすれば項羽の光線と虞美人の宝具だが、それだけだと少々心許ない。あるいは項羽の演算能力ならそれでも当てられるかもしれないし、虞美人の宝具なら敵を範囲内にとどめることができれば何とかなるだろう。しかし、前者は不確定要素が多く、後者は味方まで巻き込む恐れがある。

できるなら、もう少し確実性の高い手段が欲しいところだが……。

 

「マスター、上手い作戦とは言い難いが、少し聞いてもらえるかい?」

「どうして、あなたがここに……」

(やれやれ、誰のことが放っておけなかったのやら)

 

互いにやるべきことをやる代わりに馴れ合いはしないというドライな姿勢を貫く彼が、立香に対し能動的に協力を求めてくるというのは珍しい。聞いても答えてはくれないだろうが、ある程度予想はつく。

直接的な接点はないし、そもそも世界線どころか世界の枠組み自体が異なるが、それでもこちらとあちらの間にまったく繋がりがないわけではない。そうであれば、こうして立香たちがこちら側に来ることもなかったのだから。

キャスター(魔術師)クラスをはじめとした知恵者たちの見解では、「 」の手前まで遡れば繋がりはあるのではないかという。ならば、士郎とエミヤがそうである様に、“彼”もまたこちらの自分と無縁ではないのだろう。

だからこそ、何か感じるものがあったのではないか。

 

そうして耳を傾ければ、その内容は彼らしくもない慎重さや綿密さとは無縁のもの。

だが、その“らしくなさ”が好ましい。

 

「いいね、やろう」

 

即決だった。

 

 

 

作戦はよく言えば単純明快、悪く言えばこの上なく杜撰だった。

復活した“フィル・マクスウェル”に苦戦するなのはたちに、ただ一言“地上付近に追い込め”と伝えただけ。

戦闘中に微に入り細を穿つ作戦など伝えられても困るだろうが、それでも不明瞭に過ぎる。

 

とはいえ、割と手詰まり感があった中では貴重な光明だ。

故に、彼女たちはその指示通り多少の被弾は覚悟の上でマクスウェルを地上へと追いやっていく。無論、頭のいい彼が何らかの狙いがあることに気付かないはずがない。

狙いそのものはわからなくても、何かを狙っているのならそれにはまってやる理由はない。

 

「何を狙っているかは知らないが、無駄だよ。人間の体では無理な機動も、今の私ならば可能だ。大した火力だが、だからこそ当たらない。それはもう痛感しているはずなんだがね」

 

余裕を見せるマクスウェルに、なのはも臍を噛む。当たりさえすれば通し、落とす自信はある。

しかし、彼の言う通り“当たらない”。イリスと同様のフォーミュラやヴァリアントシステムに加え、フローリアン姉妹の“アクセラレーター”の強化・発展型とも言える“アクセラレーター・オルタ”の存在が大きい。生身の身体では耐えられない加速にも、今の彼なら耐えられる。加えて、フェイトたちのデバイスの改修をカルデアが担ったことで、管理局がその分のリソースをレイジングハートに注げるようになったことが、結果的に不利に働いていた。搭載したヴァリアントシステムはある程度安定域達したが、その分原理的に無茶な運用が利かなくなっている。不安定な状態であれば、あるいは限界以上の運用もできたかもしれないが……。

故に、たとえどれほど追い込んでも、最後の最期で生身の人体では不可能な超高速度で逃れられてしまう。

だが、そうだとしても……

 

「通す……必ず通して見せる! レイジングハートが、アミタさんが、みんなが力を貸してくれてる! だから! 絶対に!!」

「やれやれ、なかなか思い通りにはいかないものだね。まぁいい。まずは、教育から始めよう。アクセラレーター・オルタ!!」

「…アクセラレーター!」

 

マクスウェルの身体から光が溢れるとともに、なのはもコンマ数秒遅れてアクセラレーターを発動。

しかし、人体と躯体、原型と発展型の差から追いつくには到底足りない。

なのはにできることと言えば、立香たちからの要請通り彼を地上付近に縫い留めることくらいだ。

 

(戦技に関して、この人自身は素人の域を出ない。だけど、技術の差を性能が覆す。手は、なくもないけど……)

 

実際、技術的にはなのはから見てもマクスウェルのそれは非常に拙い。情報量の差から当初こそ翻弄されていたが、既に彼の戦いの癖や傾向は掴んでいる。所詮、彼は技術屋であって戦士ではないのだ。

だが、彼が生み出し、あるいは改良を加えた技術に技量の差をひっくり返されてしまっている。

また、なのはが彼の癖をつかんでいるように、マクスウェルもまた彼女の戦法を分析し対策していた。どういった場面で何を使い、どこで大技を使ってくるか。高い次元で技量が完成に近づきつつあるからこそ、読まれてしまう。その読みを利用して裏をかくということもできなくはないが、それは最後の手段。失敗すれば、それにすら対応されてしまう。

 

だからこそ、確実に当てられるチャンスを狙っているのだが、その隙が作れない。

しかしそれならば……

 

(ならそのチャンス、僕が作ろう)

(……っ! 誰かいる!?)

 

背後にあらわれた気配に、反射的に振り向くマクスウェル。そこにいたのは、赤いフードを目深に被った顔の見えない誰か。だが、それは本来有り得ないこと。超高速度域で動く彼に追いすがることなど、本来なら人間にできることではない。

 

「流石に、動けば気付かれるか………だが、もう遅い」

「馬鹿な、どうやってこの速度に……」

「生身じゃないのはお互い様さ」

 

そう、マクスウェルが鋼の身体を持つように、彼もまたもはや人ならざる者。生前、生身の頃であれば耐えられなかったことでも、英霊となり霊基の身体となった今なら耐えられる。

今もそうだ。固有時制御(タイムアルター)による数倍に加速された体内時間流。これにより、マクスウェルへの追随を可能にさせている。

 

「だれだ、君は」

「誰でもいいさ、すぐ無関係になる。さあ、ついてこれるか―――時のある間に薔薇を摘め(クロノス・ローズ)

 

振り向き対応しようとするより早く放たれる、ナイフによる無数の連撃。

多少の被弾を覚悟でガードしつつ、痛烈な蹴りが放たれ距離を生む。

 

「驚いたよ。まさか、私のセンサーをすり抜けるとは…だが、せっかくの奇襲も無駄に終わったようだ」

「そうだな。確かに、僕の仕事はもう終わりだ」

「なに?」

「あとは任せる、神秘轢断(ファンタズム・パニッシュメント)

「っ!? なんだ、これは……なにをした!」

 

ガクリと途端に身体から力が抜ける。否、躯体が誤作動を起こしたかのようにマヒしているのだ。

神秘轢断(ファンタズム・パニッシュメント)、それは彼の有する第二宝具。自身の起源である「切断」「結合」の二重属性の力が具現・カタチとなったナイフ。その真価は物理的な切断力ではなく、魔術回路ないし魔術刻印、或いはそれに似たモノを体内に有する相手に対して致命的なダメージを与えること。

 

マクスウェルの場合、鋼の躯体を得たことが仇となった。

彼の身体は一種の“精密機械”と言っていい。故に、彼の体内には無数の回路が張り巡らされている。それが、ナイフの効果により出鱈目につなぎ直されてしまったのだ。これでは、思うように動けなくて当然だろう。むしろ、ショートを起こしていないことが奇跡とすら言える。

そしてその隙を、待ち構えていた者がいる。

 

「全力全開! エクシード…ブレイカ―――――――!!!」

「卑怯と思うか? なら、それがお前の敗因だ」

 

その言葉を最後に、マクスウェルの視界が桜色の閃光で埋め尽くされた。

 

 

 

そうして、事件の真の黒幕ともいうべき“フィル・マクスウェル”は確保された。

今はなのはを追いかけてきたフェイトと立香たち一行も加えて、護送班の到着を待っている。

 

「してやられたよ。まさか、彼女を囮に使うとは……なかなかに悪辣じゃないか」

「負け惜しみですか?」

「事実を指摘したつもりだよ」

 

マクスウェルの言葉に、立香は黙って肩をすくめる。何しろ、否定する言葉を持ち合わせていない。

実際、懸命に戦う年端もいかない少女を囮にするなど、普通なら思いもしないだろう。だからこそ、マクスウェルもまたその可能性を考えていなかった。故に、誰よりも裏をかくことに長けた彼はそこをついたのだろうが。

許可を出したのは立香だが、改めてその悪辣さには苦笑を禁じ得ない。立香でなければ、苦笑では済まないだろうが。

 

「むぅ……」

 

正直、親友を囮にされたフェイトとしては思うところがないわけではない。しかし、結果的にマクスウェルの確保につながったし、なのはも「気にしていない」と言っているので、あえて口にしようとはしない。

 

「フィル・マクスウェル所長。あなたを逮捕します」

「逮捕、ねぇ。では、取引といこう」

 

フェイトの宣言に怪しくも余裕の笑みを浮かべるマクスウェル。そしてそれは、決してハッタリなどではなかった。

なんでも、地球の軌道上を回る衛星の一つを砲撃型の機動外殻にし、首都に向けて狙いを定めているというのだ。

取引というのは、今大気圏外に向けて射出されたロケットを見逃すこと。それさえすれば、狙いを解除するというのだ。だが、そのロケットには彼の記憶のバックアップが積まれており、これを見逃すのは彼を逃がすのと同義でもある。

かといって、衛星砲による攻撃など見過ごせるはずが……

 

「どうぞ」

「立香っ!?」

「……君は、本気で言っているのかい? 如何に凡庸とはいえ、攻撃が放たれればどうなるか、それがわからないほど愚昧なのかな?」

「ほらほら、御託はいいからどうぞ」

「ああ、もしや結界で遠隔操作はできないと踏んでいるのかな? だとすれば、考えが浅い」

 

微妙にかみ合わない会話を続ける二人だが、フェイトも立香に挑発しないように言おうとするが、言葉にならない。正しくは、不思議と「説得しよう」と思えないのだ。

 

だが、結界で遠隔操作の類が阻害されているのも事実。そのこともあって、落ち着きを取り戻したフェイトだが……その時、遠い夜空の向こうから一条の閃光が放たれた。

 

「君の望み通りの結果だ。どうだね?」

「どうもこうも……予想の範疇(・・・・・)ですし。ダ・ヴィンチちゃん、お願い」

「よろしい、そのオーダーに応えましょう!」

 

通信越しに返ってくる自信にあふれた声。

と同時に、地上から一つの星が打ち上げられ、閃光と星が空でぶつかり合い……消滅した。

 

「ばかな……」

「何を驚いているのかな? 予想しているのなら、防ぐなり落とすなり出来て当然だろう。なにより……我が叡智、我が万能は、あらゆる叡智を凌駕する。故にこそのこの私、万能の人(ウォモ・ウニヴェルサーレ)なのさ。私を超えたければ、私以上の万能を示したまえ。君はちょ~っと足りなかったね♪」

「それで、もう次はありませんか。うちの頭脳()の読みだと、ここからあと20通りの展開を予想してるんですが」

 

彼らによれば、先の砲撃も遠隔操作ではなく、あらかじめ仕込んでいた時限式だろうとの見方が有力だが…そこまで教えてやることはあるまい。

 

「……予想、していたというのか」

「当然でしょう。少なくとも、自分たちにできる範囲のことなら対策くらいありますよ」

「……」

「どうやら、ここまでみたいですね。あなたは研究者、技術屋としては超一流なんでしょうが、策謀家としては“それなり”以上ではないみたいだ」

 

少なくとも、カルデアの策謀家・策略家たちに比べればかわいいものだ。

彼は優れた研究者あるいは技術屋らしく”極めて合理的”な人物であるからこそ、合理的に策を弄すること”しか”できないのだから。

合理的な思考というのは、無駄や不確定要素を排しているからこそかえって読みやすい面がある。まぁ、読み切るには常識や固定観念といったものを削ぎ落とさなければならないので、例えば立香の様に常識をはじめその他諸々が一度ぶっ壊されていたり、そもそも「常識なんか知ったこっちゃねぇや!」な連中でもない限り、言うほど容易なことではない。常識や良識を正しく備えた人物でであればあるほど、それらに縛られてしまうからだ。

 

ちなみに、犯罪界のナポレオン曰く「意図的に遊び(不確定要素)を組み込めるようになって、ようやく超一流の域に入れるのだよ」とのこと。なんでも、遊びを入れることでどこまでが計画通りなのか読めなくすることができるのだとか。

当然、不確定要素を入れれば計画通りにいかなくなる可能性が高まるわけだが……

 

「計画通りに行くのはもちろん楽しい。だが、計画通りいかないのもた~のし~ぞ~」

 

らしい。というか、不確定要素がどう転ぼうと計画に寄与するくらいでないと、超一流とは呼べないわけだ。

とはいえ、その遊びの入れ方にも個々の傾向や好みが現れる。そういった”思考の癖”を見抜かれれば、そんな”遊び”も意味をなさないわけだが……マクスウェル所長にそこまで教えてやる義理もないだろう。

 

「私が君に劣ると……?」

「まさか、俺とあなたじゃ比べるべくもない。俺なんかより、あなたははるかに上ですよ」

「では……!」

「そう、あなたは確かに卓越しているのだと思う。でも、一人の人間に考えられること、できることの範囲は限られる。それがどんな天才だったとしても、ね」

「……」

「俺にできないことができる仲間がいる。俺には考え付かないことに気付く人たちがいる。だから、あなたは負けたんだ」

「君は、一足す一が十にも百にもなると考える口かな?」

 

まるで揶揄するように語るが、微妙に覇気に欠けるのは敗北を受け入れたからか。

 

「違いますよ。あなたはそもそも勘違いをしている。同じ人間が複数いるのなら足し算にしかならないだろうけど、俺たちはそれぞれ別の人間、異なる個性だ。短所を補い合い、長所を引き立てるそれは足し算じゃなく、掛け算だよ」

 

それこそが、立香にとっての真実だ。自分にはない考えに刺激を受け、さらに発想は飛躍する。できないことを埋め合うことで、戦略の幅が広がる。

力を合わせ、知恵を出し合うというのは、単純な足し算の問題ではないのだ。

 

「とりあえず、あの物騒なのをどうにかしないと」

「なのはさんが向かっているようですが、それでもまだ時間はかかるでしょう」

「鉄砲玉じゃないんだから……もうちょっと落ち着いた方が良くない、あの子?」

 

正直、いつか我が身を顧みず、取り返しのつかないことになりそうで怖い。

誰か……そう、彼女が決断する際に一歩踏み止まらせる、そんな重石になってくれる人が必要なのではないかと思うくらいには。

フェイトも似たような不安を抱えているのか、しきりに首を振って同意を示している。

いっそ、シェイクスピアかアンデルセンあたりと引き合わせて、心を一度折るのも手では…なんて物騒なことを考えつつ……。

 

「ケイローン、聞こえる?」

「ええ、感度良好、という奴ですね」

 

通信越しに、穏やかな声音が返ってくる。

流石に、大気圏外まで攻撃を届かせられるサーヴァントはそういない。だが、彼ならば……

 

「場所わかる?」

「先ほどの一射で特定しています」

「いける?」

「無論、いつでも」

「さっすが、大賢者」

「当然でしょう。空に浮かぶ射手座。それが私であるならば、私は常に矢を番えている。

 つまり宝具はもう発動済みです。真名を発動させる必要すらない。

 何故なら、矢は既に放たれているからです」

 

静かな自信を見せるケイローンだが、それを大言壮語と笑う者はいない。

彼の言葉はすべて事実。そして、ケイローンの宝具は文字通りの意味での“星の一射”。

衛星軌道が何のその。彼の矢は、その遥か先から放たれるのだから。

 

「じゃ、任せた!」

「禍津の蠍よ、粛清は既に訪れた! 星と共に散るが……おや?」

 

時を同じくして、首都東京の(推定)十数万キロメートル上空……というかもう宇宙。

何もないはずの宙域で突如、空間が波紋状の揺らぎを見せたかと思うと、細身の人影が姿を現した。

 

「まったく、この私を除け者にしようなんていい度胸してんじゃないの」

 

現れたのは、身の丈の倍もある黄金の弓を携えた女性。

彼女は若干の不機嫌さと、それ以上の高揚で目を輝かせつつ眼下に浮かぶ青い星を睥睨する。

 

「最近ちょ~っと私への敬意とかが蔑ろにされてる気もするし、ここらで優雅に華麗に大胆に……女神の威厳ってものを見せてあげないとね!!」

 

赤い瞳が金色に染まり、その掌中に金星の概念をつかみ取った。手にした概念惑星を巨大な弓、マアンナの弾倉に詰める。そして、大きく弓を引き絞り……

 

「とっておき、喰らいなさい! 大いなる天から、大いなる地に向けて! 打ち砕け! 山脈震撼す明星の薪(アンガルタ・キガルシュ)!!」

 

概念惑星の一撃が放たれる。それは(ソラ)を貫き、衛星軌道上に存在した射手を飲み込んだ………までは良いのだが。

最初に気付いたのがケイローンだった。

 

「おや? マスター、アレを」

「へ? なに、あのめっちゃ見覚えのある…流星?」

「進路上で、なにかが瞬きましたね」

「で、そのまま……海に?」

「先輩、まさかとは思いますがあれは……」

「え、嘘? 俺の見間違いでしょ? そうだと言ってマシュ!?」

「現実を受け止めてください、マスター。間違いなく、女神イシュタルの山脈震撼す明星の薪(アンガルタ・キガルシュ)です」

 

冷静に現実を突きつける大賢者。間もなく金色の光が東京湾上に突き刺さり、巨大な光の柱が屹立する。

だが、問題はここからだ。ランクにして「A++」にもなる宝具の一撃。それも、概念惑星などというトンデモ級の代物。そんなものが海に突き刺さればどうなるか……子どもでも分かることだ。

 

「り、立香? あれって津波なんじゃ……」

 

産み出されたのは、あまりにも巨大な水の壁。それが恐るべき速度で湾岸部へと迫ってきている。

否、このままでは被害は湾岸部だけにとどまらない。それこそ、首都全体が飲み込まれてしまう恐れすらある。

そんなことになれば、それこそ衛星砲の一撃などとは比べ物にならない被害が生じるだろう。

そしてその時、カルデア関係者一同の心の声が一つになった。

 

『や、やりやがったな、あの駄女神――――――――っ!!!!』

 

まだ管理局との関わりが浅いということもあって、喚ぶメンバーにはかなり配慮した。戦力的不安はあったが、折角殊更厄介な連中を呼ばないようにしたというのに……。

それもこれも、こういうことになるのが目に見えていたからだったのだが。

 

(いや、喚ばなくても来ることを想定していなかった俺の責任か)

 

 

 

結果から言えば、東京が津波に呑まれることはなかった。氷結系魔法を有するクロノとはやてを中心とした管理局一同はもちろん、立香も動員できる限りのサーヴァントを召喚。

管理局とカルデア、マシュを中心に双方の総力を以て津波に対処し……無事事なきを得た。有りっ丈の令呪を使用した甲斐はあっただろう。あの時(フェイト丸見え事件)、嘘をついて令呪を無駄打ちしなかったのは、結果的に正しかったのだ。

 

で、当然“大戦犯”とでもいうべきイシュタルには、罰が与えられた。

普段はあまり起こってしまったことへの言及はしない立香だが、流石にこれを見過ごすわけにはいかない。手始めに、某王様の宝物庫から借りてきた「私はダメな女神です」と大書された粘土板を首から下げての市中引き回しの刑と相成った。

 

「うぅ……………酷いわ…あんまりよ。私はただ、ちょっと女神の威厳を見せようとしただけで、あとはちゃんと事件解決に協力しようとしたのに…………こんな話に誰がした…あ、私か……私だったわ……ふ、ふふふ……笑いなさい、笑うがいいわ……」

「ね、ねぇ立香。悪気はなかったんだし…許してあげてもいいんじゃ、ないかな?」

「甘やかしてはいけません」

「……まぁ、毎度のことですから」

(い、いつもなんだ……)

 

それは、さすがにちょっと弁護できない。

とはいえ、これにて事件解決……とはいかないのだから、頭の痛い話である。

 

とまぁ、それはそれとして……

 

「オーホホホホホホホホホ! 無様、実に無様ですわねイシュタル! あまりにも滑稽な姿に(わたくし)、腹筋がねじ切れそうですわ! オ――――――ホッホッホッホッホッホッホッ!!! ゲホッ、ゲホゲホ……まったく、実にあなたにお似合いでしてよ!」

「黙れこの金ドリル!!」

 

勃発した女神たちのステゴロ……いったいどうしたものか。




にしても、今後の”なのは”に何が待っているのやら。とりあえず、年明けにイベントがあるわけですが……映画第五弾か、それともvividの2期か、はたまた新作ゲームか……何かしらの発表があると嬉しいなぁ。

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