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人理修復の旅の末、寄る辺なき身となったカルデア。
いくつもの偶然と微かな縁に導かれ、漂流の末に安住の地にたどり着いて早5年。有する技術と力を足掛かりに着実に地歩を固め、縁を紡いだ少女たちもまた確かな時を重ね大輪の花を咲かせつつあった。
だが、金色の少女は胸の内に焦りを抱く。
幸せな日々、充実した時間。それらによって生まれ、育まれるものの名を“安定”と呼ぶ。人は“安定”を望み、“変化”を恐れる生き物だ。
しかし、変化なくして進展なし。“彼”との関係は相変わらずで、手足が伸びても子ども扱いのまま。幼かった肢体は、年月の経過とともに十分に“女性的”な曲線を描いているはずなのに。どれだけ仕草や身嗜みに気を遣っても、変わることなく向けられる微笑みに不安が募る。
嬉しいはずなのに、もどかしい。
それでも世界は回り続ける、淡々と冷徹に。幾許かの火種を抱えつつも、概ね穏やかで…時に騒がしく。
そんな日々が、一つの世界を覆う“ノイズ”によって一変した。
確かにそこにありながら、されども一切の観測を寄せ付けないその世界の名は「ベルカ」。
最早歴史の彼方へと追いやられ、ただその名だけが人々の記憶に残る過去の遺物。だが、その名が持つ意味は今なお重い。
威信をかけて八方手を尽くして事態の収拾に奔走したものの、ついに万策尽きた時空管理局は“異なる法則”を駆使するカルデアに協力を要請するのであった。
”発生した観測不能領域内の調査、及び事態の打開を望む”
少女は大きな決断を迫られる。
降り立った地で、朧げな記憶が断片的に蘇る。風景ではない、人物でもない、出来事も違う。されど、確かに何かが魂の奥底を刺激する。
―――握り潰されそうなほどに胸が苦しい
―――肩にのしかかる重さで足が竦む
―――押し寄せる“ナニカ”が心を切り刻む
―――狂おしいほどの悲嘆
―――記憶の欠片だけで、気が触れてしまいそう
―――だけど、それでも私は……
決めたんだ この手で 自分自身の意志で 悪を為すと
あなたがそれを望んでいないことは知っている。
でも……ごめんなさい、これは私のワガママ。
“□しています”
君が■れてしまうかもしれない。
それを私は許せない。
“心から、君を□しています”
私は世界のすべてを切り捨てる。
何の罪もない生命を踏み躙る。
“君が■れてしまう方が、ずっとずっと怖い”
応えてくれなくてもいい。怒ってくれて構わない。
嫌われ……たら泣いてしまうかもしれないけど、それも受け止められる。
“これが……最後のワガママだから”
君には、本当にたくさんのものをもらった。
それなのに、もっともっと…そう思う自分がいる。私はきっと欲張りだ。
抱えきれないくらいたくさんのものを君に貰ったのに、君の全部が欲しいと思う自分がいる。
“君を、守らせて”
でもそれ以上に、君に幸せになってほしい。笑顔でいてほしい。
そのためなら、君の傍にいられなくなっても構わない。
“ありがとう、私と出会ってくれて”
聖別秩序機構 ベルカ
「ゆりかごの眠り姫」
定理偏差値:C+
―――法理抵触、確認。速やかなる執行を。
世界よ、美しくあれ。人の営みよ、正しくあれ。故に、寸分の狂いない運営を。
降り立ったのは、法と秩序によって律された穏やかな世界。
豊かな暮らし、繁栄した街並み。人々は礼節を重んじ、仁愛を持って生きている……まさに、絵に描いたような理想郷。
にもかかわらず、異様な緊張感が空気を満たす。
人々は恐れる、“悪”の存在を。悪は悪であるが故に存在してはならない。
ならば、存在してはならないものの末路とは……。
「鋼の秩序」 「セイシを賭けた戦い」 「優しい嘘」 「
なんというか、次回以降のことを考えるとあった方が良いかなぁ……という思い付きです。深い意味は(あんまり)ない。
大仰なことをやってはいますが、それほどがっつりも書かないと思うし。たぶん、前後編か、前中後編くらいで終わるでしょう。