魔法少女リリカルなのは Order   作:やみなべ

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だいたい、ベルカの事件がある少し前くらいのお話。

これでネタの貯蔵もほぼ底をつきました。精々、あと一話書けるかどうかというところ。次を書くかどうかはわからないので、打ち止めかもしれません。

いい加減、停滞している方にも手を付けなきゃ出すしね。


シグナムの場合

 

―――そういえば、どうして“星”なんでしょうか?

 

どうした、藪から棒に。

 

―――あ、いえ、立香さんてサーヴァントのみんなのことをよく“星”に例えますよね。

 

まぁ、そうだな。

 

―――でも、あの人たち自身は自分たちのことを“人理の影法師”とか“かつてありし人の影”とか言うじゃないですか。なんていうか、随分と印象の違う表現の仕方をするなぁって。

 

ふむ……どちらかと言えば、“影”という方がサーヴァントという存在の在り様を端的に表現しているとは思う。

彼らはその戦力と存在感に反し、虚ろで儚い。魔力の供給を絶たれれば、あるいは現世との楔たるマスターを失えば、初めからいなかったかのように消えてしまう。

加えて、あまり好ましい言い方ではないが、魔術的な観点で見ればサーヴァントは“英霊の劣化コピー”と呼ぶべきものだ。実際、彼らの一側面を切り取った限定的な存在なのもまた事実。

サーヴァントたちが自らを“影”と呼ぶのは、そういった理由からだろう。

 

我々守護騎士(ヴォルケンリッター)も似たようなところがあるからな。気持ちはわからんでもない。

 

―――改めてそう言われると、なんだか寂しいです……。

 

……そんな顔をするな。確かに我が身の曖昧さに思うところがないわけではないが、別段卑下しているわけではない。それは、サーヴァントたちとて同じだろう。

 

まぁ、一種の線引きだ。自分たちは“生者ではない”というな。

 

―――ごめんなさい。なんというか、その線引き自体が私には、その……。

 

むっ、なんと言えば良いのだろうな。私はあまり口が上手い方ではないが……差別と区別は似ているようで違う、とでも言えばいいだろうか。

“生身”でこそないが、私は別段自分の命を疎かにしているつもりはない。とはいえ、こういう身体だからこそお前たちに比べれば多少は融通が利く。そこのところを弁えた上で、必要な時には身体を張っているつもりだ。

 

少なくとも、昔のなのはや士郎よりはよほど自分を大切にしているつもりだぞ。

 

―――あ~…それはまぁ、確かに。じゃあ、昔のママや士郎さんが差別で、今のシグナムさんたちの心構えが区別なんですか?

 

そうだ。決して蔑ろにし、使い捨てにするつもりはない。昔ならいざ知らず……この日々は、失うにはあまりに惜しい。まだまだ見たいものもやりたいことも多い。勿体なさ過ぎて、手放す気にはなれんほどにな。

 

―――サーヴァントの皆さんもそうなんでしょうか?

 

連中を見ていればわかるだろう。むしろ、我々以上に現世の生活を謳歌しているぞ。

 

―――た、確かに……でも、いざとなれば霊基の消滅だって厭わないですよね?

 

そこはまぁ、何に重きを置いているかの違いだろう。

 

“人類史の存続によってこそ我らの存在は報われる”

 

“未来に生きるその全てが、英霊にとっては何にも勝る宝だ”

 

おそらく、これらの言葉がすべてなのだ。そして、だからこそ藤丸は彼らを“星”と称するのだろうな。

 

―――どういうことでしょう?

 

ヴィヴィオ、お前は星とは何だと思う?

 

―――星、ですか? えっと……とりあえず、まず連想するのはママですね。

 

ふむ、確かにお前らしい見解だな。

 

―――あとはそうですね……どこか遠い、誰かが住んでいる世界かもしれないし、あるいはもう誰もいない世界かもしれない。それこそ、身近な人のルーツを遡れば今見えている星のどこかに行きつくかも。そう考えると、ロマンがあるなぁって思います。

 

そのあたりは、他世界の存在を知る者ならではかもしれんな。地球でも似たような考えがないわけではないが、まだまだ夢想の域を出ない話だ。

 

では、視点を変えてみればどうだ? 例えばそう、地上から見た場合の星とは何だと思う?

 

―――う~ん……夜空を照らすもので、大昔なら旅の道標でもありますよね。あ、もしかしてそういう意味なんですか?

 

そうだな。藤丸にとって、サーヴァントとはそういうものだったはずだ。

目指す先はわかっていても、その道行は困難を極め、僅かな先すら見通せない闇の中を進むが如くだったことだろう。その中にあって、闇という名の障害を祓い、進むべき道を拓いていった彼らの存在は、まさに“星”そのものだったに違いない。

 

―――なるほど……“星”って言うのは、立香さんなりの皆さんへの感謝が込められているんですね。

 

ああ。しかし、それらとは別の意味も込められているのではないかと思う。

 

―――というと?

 

夜空で瞬く星々だが、実のところそれらが遥かな過去の光であることはお前も知っているだろう。

 

―――ああ……“光年”っていうのは距離の単位ですけど、その光が届くまでにかかる時間の事でもありますもんね。

 

何百年、何千年、それこそ何万年以上も昔の光を、我々は見ている。言い換えれば、過去の光が今を照らしているとも言える。それは、現代に召喚されたサーヴァントたちにも言えることではないか?

 

―――確かに、サーヴァントと似ているかもしれませんね。

 

だからこそ、奴にとって彼らは“星”なのだろうよ。

 

―――そっかぁ。確かにそれは、立香さんらしい表現ですね!

 

奴の根底にあるのは“感謝”だ。

騎士を喚びたい、王を喚びたい、あるいは魔、あるいは神……最初から決めて喚んだわけではない。

助けを求める声を聞き、藻掻く様に差し出した手を取ってくれた“まだ名前も知らない誰か”への。

 

そして、それが藤丸にできる精一杯でもあった。特別強いわけでもなく、賢いわけでもなく、飛び抜けた魔力量もない。強いて言えば、“他人との縁に関する並外れた幸運”くらいだろう。そんな奴にできたことと言えば、己の手を取ってくれた“誰か”の在り様への感謝を忘れないことだけだった。

“それしかできない”と卑下し目を逸らすのではなく、できることから逃げなかった。

 

覚悟もないまま大きすぎる責任を背負わされ、それでも誰かがやらなければならないのなら、と。

いくつもの歴史を消し去り、ついには世界を救った男の、最後まで揺らぐことのなかった芯。

その簡単なようで、なんと困難なことか……。

 

―――……そうですね。

 

……………………………………………………まぁ、いつか奴自身が星、もとい星座になりそうではあるが。

 

―――英霊になるってことですか? まぁ、その資格くらいありそうですけど……。

 

いや、そういうことではなく……。

 

――― ? ? ?

 

ギリシャ神話では、度々死者が星座となって召し上げられるそうだ。ケイローン然り、アスクレピオス然り。

藤丸もまぁ、大概厄介な女神…いや、そもそも神自体が厄介ごとの代名詞のようなものなのだが……それはともかく、オリオンも言っていたな“女神、特にギリシャはやめとけ!”“なんでそんなに女神喚んじゃうかなぁ!? なに、そんなにお星さま(星座)になりたいのおたく!!”と。

 

―――あ~、あ~……うん、すごい説得力。

 

まぁ、女神に気に入られているという意味では主はやても同様なのだが……我らの誇りにかけて、なんとしてでも阻止しなければ!!

 

―――が、頑張ってください……。

 

まぁ、幸い藤丸が健在な限りはそういうことにはなるまい。

むしろ問題なのは、万が一にも奴の身に何かあった時だ。何しろ、激憤して暴走しそうな連中が多すぎる。

 

―――物騒過ぎるSEC●Mですからね……。

 

ストッパーもいないではないが、どこまで期待できることか……人望がありすぎるのも考え物だ。

 

―――普段ならストッパーになってくれる人でも、その時だけは…って十分ありそうですもんね。

 

うむ。まぁ、余計なことさえしなければ基本的には爆発しないのがせめてもの救いだろう。

 

―――ちょっとした刺激で大爆発する、ニトログリセリンみたいな人もいますけどね。

 

その点に関して言えば、藤丸がいればとりあえず問題なかろう。藤丸の人間性が頼みという点で危険視する連中もいるにはいるが、反対意見が完全になくなるということはないからな。

場合によっては、藤丸やカルデアに対する反感から結論ありきで危険性を主張する輩もいる。

 

―――感情に理屈をぶつけても、沈静化は望めませんもんね。

 

藤丸は藤丸で、善悪の分別が独特なところがあるからな。危険視するのもわからんではない。

我々があまり頓着しないのも、見方を変えれば“身内贔屓”のようなものだ。

 

―――あ~、そういう見方もあるんですね。でも、立香さんってそんなに独特ですか?

 

奴自身の倫理や道徳はまっとうなものだ。善悪についても、基本的には次元世界一般のそれと変わらん。強いて言えば、本当に必要であるならば本意ではない選択肢を選ぶことができる、という程度だろう。それ位であれば、そこまで珍しいものではない。

槍玉に挙げられるのは、“他人の在り様”に対するスタンスだ。

 

―――柔軟というか、懐が深いというか、知っててもビックリしちゃう時がありますもんね。

 

個人的な見解ではあるが……。

 

――― ?

 

アレの本質は“鏡”なのだと思う。

 

―――鏡、ですか? それってつまり、相手の本質を映す、的な?

 

いや、そういう意味ではない。むしろ、それだとあの連中が相手の場合激昂させる可能性が高い。アンデルセンやカルナを見ればわかるだろう?

 

―――あの二人の場合、表現の仕方に問題があると思うんですが……。

 

それもあるが、基本的に“一切の虚飾を配した姿”などというものを突き付けられても、大抵の場合は素直に受け止められるものではない。誰しも見たくない自分、知りたくない性質というのはあるものだからな。

 

私が言う鏡とは、そう言った穿った意味ではない。言葉のままに、“目に映った姿のままに遇する”ということだ。

 

―――それって、そんなに特別なことですか?

 

特別だとも。貴人として見れば貴人として、変人と見れば変人として対応する。言ってしまえばそういうことだが、実際にできるかとなれば話は別だ。

考えてもみろ、カルデアに変人奇人は大勢いるが、奴らに対してそのように対応するなどという真似、本当にできるか?

 

―――……………………………怖くてできませんね。

 

お前でさえそうだ。サーヴァントの前では吹けば飛ぶような無力な存在である奴が、容赦のない受け答えができるというだけでも驚異的だろう。性根が柔軟過ぎるというか、肝が太すぎるというか……存外、それが藤丸の“起源”とやらなのかもしれんな。

 

―――あれ? でもそういえば、“鏡”って他にもいませんでしたっけ?

 

“いる”……というか、“いた”というべきだな。ビーストⅠ、魔神王ゲーティア。方向性こそ違うが、奴もまた“鏡”のような性質を持っていたらしい。

偶然か必然か、同じ性質を持つ者同士だったというわけだ。いや、藤丸が唯一直接対決することになった(ビースト)が同じ性質を有するゲーティアだったというのは、必然だったのかもしれんな。

ゲーティアは藤丸を自らの“怨敵”であり“憎悪”、そして……“運命”と評した。だがそれは、藤丸にとっても同じだったのやもしれん。

 

―――立香さんの、運命……。

 

まぁ、その鏡のような性質も善し悪しだが。

 

―――そうなんですか?

 

藤丸の本質は“善”だ。誰が言ったか“他人に染まらず、自分の感じた正しさを信じられる”というのが奴の強さの一端だろう。

とはいえ、善一辺倒というわけでもない。“善を知りながら悪を為し、善にありながら悪を許す”あるいは“善でありながら悪を憎まず、悪に苛まれようとも善を貫こうとする”というようにな。そしてそれは、他人に対しても同じだ。

 

まっとうな倫理観を持っているから非道や悪行に憤り、反論することはある。だが、奴はその根幹にある思想や価値観、過去や出自を軽々しく否定することはない。自分に見えているのが、“表面的なものに過ぎない”とわかっているからだろう。

行動と相手の本質を切り離して考えている、とでも言えばいいだろうか。藤丸はそれを特に意識せずにやっている。だから善悪で他人を差別せず、“個”に侮辱や偏見を向けることなく慈しみ尊重することができる。それは、やろうと思っても易々とできることではない。

 

我々はどうしても、行動と本質をつなげて考えてしまいがちだ。

いや、それが間違っているというわけではない。行動には必ず本質が影響する以上、分離して捉えるのが正しいとも一概には言い切れん。

 

―――それは、確かに……。

 

正しいか間違っているかはいったん横に置くが、目には見えない部分について軽々に判断しないのが藤丸の在り方なのは間違いない。

同時に、見えてきた本質に対して敬意を払う。それが善であれ悪であれ、そう在るに至った道程はその人物個人のもの。他人である自分が口を挟む道理はない、そういうことなのだろうな。

だからこそ、奴は悪人や怪物と呼ばれる連中の手を取ることができる。それは確かに得難い美徳であり、彼らにとっては眩しいものなのかもしれん。

 

だが、誰もがそう考えられるわけではないし、賛同するわけでもない。

むしろ、その姿勢を“危険分子”と捉える者もいるし、否定できない部分もある。多少の軋轢は、今後も絶えないだろう。

 

―――難しいんですね……。

 

まぁ、そもそも万人に受け入れられる在り様、などというものがそもそもあり得んと言ってしまえばそれまでだがな。それこそ、どこぞの異聞帯でもない限りは。

 

―――……はい。

 

そんな顔をするな。受け入れられない者がいるように、藤丸の在り様を愛する者もいる。

 

―――そう、ですよね。立香さんがああいう人じゃなかったら、フェイトさんと仲良くなるなんてまずなかったでしょうし。

 

うむ。普通、拉致監禁した相手と結婚するなど、頭がトチ狂っているとしか思えんからな。

 

―――……ひ、否定できない言い回しはやめてほしいです。

 

まぁ、テスタロッサはテスタロッサで“拉致監禁までしておいて”というところではあるのだが。

 

―――やめたげてください。フェイトさんが死んじゃいます、精神的に。

 

だがな、昔のあいつは実に傍迷惑な女だったぞ。いや、それは今もか?

 

―――そんなにですか?

 

管理局員や執務官、または戦闘魔導士としてみれば信頼できる、頼もしい相手だ。

一人の人として見た場合でも、多くの美点を備えた好人物と言えるだろう。

 

が、だ。女として見た場合……とにかくものすごく面倒くさい。

 

―――め、面倒…?

 

色々と、な。子どもに話すには憚られるようなこともある。

とはいえ、一番面倒なのが本人の理性と本音の乖離だ。

 

―――理性と本音、ですか?

 

よく“愛されるより愛したい”だの“愛されるのが女の幸せ”だのと言うだろう?

その点で言えば、アイツは理性では“愛したい”と考えている。

 

―――そうですね。基本的に世話焼きというか、構いたがりなところがありますし。

 

しかし、奴の本質…根源的な欲求は“愛されたい”というものだ。理由はまぁ…生い立ちを考えれば納得がいくだろう?

 

―――あ~…そういうことですか。

 

意識の上では“愛する”ことを望んでいながら、本人も意識していない本音の部分では“愛される”ことを望んでいる。だから、その両方が満たされないとアイツは満足できん。

 

―――でも、“愛したい”人でも、やっぱり“愛されない”ことには満足できませんよね。

 

もちろんそうだ。問題なのは、人並み以上にその欲求が強く、加えて本人がそれに気づいていないということだな。

妙に献身的過ぎるというか、自分を抑える傾向がある奴だ。素直に甘えられないのも、甘やかされ続けると逃げ出すのも、本音の部分を理解していないからこそだ。

 

―――逃げるのもですか?

 

本音では求めているものが満たされ幸福感を覚えているのに、自覚がないから持て余しているということだ。

 

“愛したい”というのも嘘ではないし、それが満たされないなら満たされないで情緒不安定になる。かといって、“愛されたい”という隠れた欲求が満たされない限りは満足できない。しかも質の悪いことに、本人にその自覚がないと来た。だから、放っておくと適切な方法がわからずいつまでたっても満たされない。

そのままだと、どうなると思う?

 

―――なんか、ちょっと怖くなってきたんですけど…どうなるんです?

 

満たされないから、別の方法で補填しようと過干渉になる。アレが妙に過保護なのも、その一端だろう。

 

―――普段、あれだけ甘やかされてるのにですか?

 

逆だ。アレだけ甘やかされているから、あの程度で済んでいる。

 

―――うわぁ……。

 

“愛したい”という欲求については、アレの性格上勝手に満たすべく動くから放っておけばいい。

しかし、表面的に見れば“世話を焼くことが幸せ”に見えるから、本音の部分が分かりにくいうえにそのままでは満たされない。だからあいつの好きなようにさせていると、欲求不満を満たすために過干渉になる。だが、それではいつまでたっても状況は改善しない。むしろ、エスカレートして手に負えなくなりかねん。

 

どうだ、実に面倒な女だと思わんか?

 

―――ノ、ノーコメントで。でもそれってつまり、フェイトさん相手には徹底的に甘やかすのが最適解?

 

そうなる。放置すれば、相手をダメ人間にするまで干渉するか、あるいは自由がなくなるまで束縛するところまで行きかねんからな。かなり高確率で諸共破滅するのではないか?

 

―――流石立香さん、人間関係の達人…って言えばいいんですかね?

 

普通に考えれば、“愛する”にしろ“愛される”にしろ要求値が高過ぎる女だが、藤丸の周りにはそれ以上が掃いて捨てるほどいるからな。常人なら重過ぎて逃げ出すところでも、奴に限って言えば気にも留めまい。

 

―――清姫さんたちの方がずっと重いですもんね……。

 

ま、そのくせ藤丸からの評価には不満を漏らすわけだが。

 

―――評価? 立香さんって、マシュさん相手もそうですけどだいたいいつも褒めちぎってません?

 

その褒め方の問題だ。思い出してみろ、例えばテスタロッサの容姿をどう褒めている?

 

―――どうって…あっ。

 

そうだ。あの男は基本、テスタロッサを“可愛い”と評する。では、“綺麗”と評したことがあるか?

 

―――えっと…あれ? ちょっと待ってください…………………………………ちょっと思い出せないんですが、シグナムさんは心当たりは?

 

私が知る限りでは一度、ウェディングドレスの時だけだ。

 

―――え~……フェイトさんって、どう見たって綺麗系ですよね?

 

そのはずなのだがな、どういうわけかあの男は“綺麗”とは滅多に口にしない。

 

―――マシュさんだと…“綺麗”って普通に聞きますね。え、もしかしてこれって差別?

 

いや、逆にあまりキリエライトを“可愛い”と聞いたことがない。

 

―――言われてみれば……素敵とかは聞いたことがあるけど、“可愛い”は聞いたことがない? 二人で使う表現を区別してるのかな? それとも、まだフェイトさんを“小さい子”扱いしてるとか?

 

さて、そのあたりはわからんが……そういえば昔、そのことで面白いことがあったな。

 

―――面白いこと、ですか?

 

ああ。なのはたちの学生時代の写真は見たことがあるか?

 

―――はい。うちにはあんまりないけど、海鳴のおうちにはたくさんあるので。

 

では、中三の文化祭の写真は?

 

―――え~っと……ちょっとピンポイントなのは思い出せないんですけど、何かあったんですか?

 

うむ。三人が内部進学しないことはすでに知れ渡っていたからな、最後のチャンスとばかりに演劇部から強烈にオファーがかかった。主はやては要領が良いのでうまく切り抜けたが……。

 

―――ああ、最終的にママたちの方が折れちゃったんですね。となると、舞台の衣装ですか?

 

そうだ、心当たりはあるか?

 

―――う~ん、ちょっと思い出せませんね。

 

普段見ない衣装だったからな、お前なら一度見ていれば覚えているだろう。

 

―――つまり、私は見たことがない? え、でもどうして……。

 

決まっている。恥ずかしくて隠したからだ。

 

―――…………。

 

ちなみに、この家にはその時の映像データがあるが、見るか?

 

―――是非!!

 

 

 

  *  *  *  *  *

 

 

 

夢を、見ている。

 

(ああ、まただ)

 

また一人、心を通わせた大切な仲間が消えていく。

これまでがそうだったように、この海でもたくさんのモノを亡くした。起きた時には覚えていないが、夢の中ではすべて思い出せる。この前も、その前も、さらに前も……数えきれないほど、かけがえのないのモノを亡くしてきた。

それは、今回も変わらない。

 

彼に恋をしたという少女も、彼を友達と呼んだ青年も、みんなみんな消えていく。

再会したとしても、それはかつて出会ったみんなとは似て非なる誰か。

 

―――それは、とても惨い(尊い)夢。

 

特別な才能も、特殊な出自も、稀有な体質も持ち合わせてはいなかった、只人であった一人の少年。

そんな彼が、覚悟を醸成する猶予も与えられず、期せずしてあまりにも重い責任を負って始まった永い旅。

 

(また、キミは傷ついている)

 

―――それは、とても悲しい(美しい)夢。

 

一度は世界を救った彼が、今度は多くの世界を滅ぼす側に回る。その度に彼の心が、声ならぬ悲鳴(軋み)を上げている。

 

彼の道を拓くために、大勢の仲間が果てていく。その度に彼の心は傷を負い、見えぬ()がとどめなく流れていく。

 

(また、キミが泣いている)

 

―――それは、とても儚い(気高い)夢。

 

彼女からは彼の背中しか見えない。いつも、いつだって、この夢は彼の顔を見せてはくれない。唯々、何かに耐え堪える背中だけを映し出す。

本当に泣いているかは定かではない、それでも確かに彼の背中は泣いていた。

 

そう、わかる。わかってしまうのだ、彼がどれほど苦悩しているのかが。

 

肩の強張りが彼の悲嘆を教えてくれる。

 

血の滲む握り締められた拳が彼の慟哭を表している。

 

震える足が彼の恐怖を示している。

 

漏れる吐息が彼の絶望を物語っている。

 

いったい、いったい誰が知ろう。彼の苦悩を、悲嘆を、慟哭を、恐怖を、絶望を……いったい、誰が知る。

 

それは、彼の旅路という名の夢を見る彼女にも推し量れない。当然だ、その全ては彼只一人のもの。他の誰にも、本当の意味で理解できるものではない。

 

それでも、彼女は知りたかった。理解したかった。

 

その上で、彼を支え、励まし、守りたかった。

 

あなたは間違っていない!

 

あなたの決断は正しい!!

 

その歩みには意味があった!!!

 

そう言えたら、どんなに良かったことか。

 

(言える、訳がない!!)

 

知ったところで、理解したところで言えるはずもない。だってそれは、あまりにも無責任だ。

踏み躙り、犠牲にしてきた全てを背に、どうしてそんなことが言えようか。

なにより、その言葉が彼を傷つけるとわかってしまう。

 

たとえ彼の顔が見えたところで、それは同じこと。

だがそれでも、彼女は懸命に手を伸ばす。少しでも近づこうと地面を蹴る。

双眸から溢れる涙を拭うをこともせず、懸命に我武者羅に。

 

かける言葉がないのなら、せめてその身を抱きしめたい。

 

彼を傷つけ苛む全てから、彼を守りたい。

 

血を流し凍えた心に、彼からもらった温もりを伝えたい。

 

なのに、この夢はそれすら許してはくれなくて。

どれだけ走っても、どんなに手を伸ばしても、彼我の距離は一向に縮まらない。

 

(ああ、本当に、なんてヒドイユメ……)

 

それでも走り続ける。手を伸ばすことをやめない。

だって諦めてしまえば、もう二度と届かなくなってしまう。

それだけは、絶対に嫌なのだ。

 

(だってあの人は、溢れんばかりに多くのものを与えてくれた)

 

だから走る、何年でも、何十年かかっても。

 

(寒くて寂しくて震えていた心に、たくさんの暖かなものを注いでくれた)

 

“救いたい”だなんておこがましいことは思っていない。

ただ寄り添いたい。彼に温もりを与える一人になりたい。

それで時々でいいから、ほんの少しでも自分に向けて彼が笑ってくれたなら、十分過ぎる報酬だ。

 

(返すためじゃない。その喜びを、この嬉しさを、ほんの少しでも伝えたい)

 

走って、走って、走り続けて、白い光が視界を塗りつぶして。

 

そうして今日も、届かぬままに夢が終わった(覚めた)

 

 

 

―――ピピピッ! ピピピッ!

 

目覚ましのアラームが鳴り響く自室で、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンはゆっくりと重い瞼を開く。

 

「ん? ん~?」

 

だが、どうにも視界が悪い。已む無く右手で瞼をこすりながら、左手でアラームを止めるべく手探りで目覚ましを探す。

なかなか目覚ましに行き当たらず、右往左往する左手。しかし、それまでけたたましく鳴っていたアラームが突如止み、代わりに誰かがのぞき込んでくる気配を感じた。

 

「お~い、フェイト大丈夫かい?」

「ん、アルフ?」

「あ~あ~、あんまり擦ると腫れるよ? ほい、タオル。そいつで少し冷やしな」

「……うん、ありがとう」

 

左手に手渡されたタオルから、ヒンヤリとした冷たさが伝わってくる。どうやら、冷水に浸して絞ってきてくれたらしい。使い魔というよりは家族の一員という意識が強いアルフの配慮に感謝し、冷やしタオルを両の瞼の上にのせて少し休む。

 

「また泣いてたのかい?」

「そう、みたい。夢の内容は、覚えてないんだけどね」

 

他の誰かにとってはわからないが、フェイトにとってはよくあることだ。

悲鳴と共に飛び起きることも、嘔吐(えず)いて胃の中のものを吐き出してしまうこともある。それらに比べれば、しとどに涙があふれるくらいならまだマシな方だろう。

まぁ、両目が腫れぼったくなるので、その点は少々困りものだが。

 

「…………」

「大丈夫だよ、そんなに心配しなくても。本当に、ただの夢だから」

「……でもさ、せめてり…カルデアに相談するとかした方がいいんじゃないかい?」

「……そうだね、考えてみる」

 

一応、医者…というかシャマルには内密に相談したことはある。検査もしてみたが、特に異常らしきものは見当たらなかった。だから、まったく違う観点から調べた方がいいと思っての提案。本当は立香に相談するよう勧めようと思って言い直したが、あまり意味はなかったらしいと嘆息する。

“考える”フェイトのそれが拒絶の裏返しであることを、アルフは理解していた。

 

(立香達には相談できない内容、ってことなんだろうね)

 

夢の内容を覚えていないというフェイトの言を疑ってはいない。ただ、それでも残るものがあり、それがフェイトにそのような判断をさせているのだろう。

ならば、無理強いも隠れて報告もしない。きっとこれは、フェイトと彼にとって必要なことなのだろう。アルフはどこまで行こうとフェイトの味方をすると決めている。一口に味方をすると言っても、その形は様々だろう。

間違った方向に進みそうになるならば諫め、必要とあらば身を挺して止めるのも一つの方法だ。だが、アルフは苦言を呈し、別の道を提示はしても、最後はフェイトの意に沿う。それが彼女の考える“味方をする”ということだから。

 

「朝ごはんまでまだあるから、ゆっくりおいでよ。あたしはお母さんのこと手伝ってくるからさ」

「ぁ、でも私も……」

「いいからいいから。そんな顔で会っても、心配させるだけだよ?」

「……そうだね、お願い」

「任された! と、あとくれぐれもその格好で出てこないこと、いいね」

 

そう言い残して、アルフはフェイトの部屋を後にする。残されたのは、目元だけでなく羞恥で全身を真っ赤にしたフェイト一人。

 

(う~、やっぱり恥ずかしいよね、この格好……)

 

自覚はある。自覚はあるのだが、やめられない。というか、やめたくない。

 

(いいなぁ、はやては)

 

正直、幼馴染にして親友のことが羨ましくてならない。想い人と一つ屋根の下というだけでも羨ましいのに、彼女は積極的に好意をアピールする。年齢差があるという意味ではフェイトも似たようなものだが、やはり一緒に暮らしているというのは重要なポイントだ。

フェイトの場合、会おうと思えば会えるが、逆に言えば会おうとしなければ会えない。しかも、基本的に相手は彼女の好意を受け止める気がない。そんな状態で告白しようものなら、“会おうと思えば会えなくもない”から“会おうと思っても滅多に会えない”に状況が悪化する可能性がある。あるいは、もっと悪くなるかもしれない。それを考えれば、線引きの口実を与えるのは得策ではないだろう。

そんなことになれば、ただでさえ低い可能性がさらに低くなってしまう。だからこそ、フェイトはリンディの助言もあって、好意をアピールしつつも告白という形を取らないようにしてきた。

 

その点、はやては基本的に毎日必ず顔を合わす。例え喧嘩をしようと、例え月の物で気持ちが不安定になっていようと関係なく。それはデメリットと呼べる点だろうが、告白し振られたとしても会うことができるメリットには代えがたいと思う。だって、それならば再挑戦の機会がいくらでもあるのだから。

それを理解しているからこそ、はやては惜しげもなく“愛の告白”という名の“ボディーブロー”を連打する。ジワジワと効いてきたそれに彼が屈する日も、そう遠くはないだろう。

 

(はやてのことだから、それこそ裸エプロンくらいしてても不思議じゃないし……)

 

タヌキは本来“雑食”だが、彼女の場合これでもかと言わんばかりに“肉食”だ。

思春期を迎え、小柄ながら女性らしい柔らかな曲線と膨らみ…即ち、性的な魅力を身に着けた彼女の攻勢は、小学生の頃の比ではない…と伝え聞く。八神家総出で囲い込みに走り、全力で獲物を狩るつもりでいるのだろう。まさに狩人の所業である。

まぁ、彼女のことだから悪いようにはしないだろう。むしろ、完全無欠に幸せにしてくれるだろうから、さっさと降伏してしまった方がいいとフェイトは思う。

だってそうでもしなければ、はやての想い人は幸せになれない。あれほどまでに、自分を幸せにできない人も稀有だろうから。

 

その点で言えば、フェイトは正直あまり自信がない。自分に“彼”を幸せにできるのだろうか。自分だけが幸せでは意味がない。むしろ、フェイトは相手を“幸せにしたい”人だ。

何度考えても答えは出ないが、それでも……

 

(私は、立香のそばにいたいんだ)

 

いつだって、最後に至る結論はここだった。自信はない、自分が傍にいていいのかもわからない。それでも彼の傍らにいたいというのは、完全に自分の我儘だ。その自覚もある。

普段の彼女なら、自分の都合はむしろ抑えてしまうだろう。しかし、この件に関してフェイトは自分を抑えないようにしようと決めた。フェイトに我儘になることを勧めたのは、他ならぬ立香なのだから。

 

「責任、取ってもらうからね、立香」

 

言葉にして、今日も意思を固める。

本当に彼が心から拒むのであれば、きっとフェイトは引いてしまうだろう。だがそうでない限りは、そんな不退転の決意を。

 

そうしているうちに目元の熱もだいぶ引いてきた。フェイトは目を覆っていたタオルをどけると、身体を起こしてベッドから立ち上がる。

 

「ん~……!」

 

固まっていた体を解す様に伸ばせば、中学生らしからぬ豊かな双丘も弾む。と同時に、何かが弾けて飛んだ。

 

「ぁ、ボタンボタン!」

 

慌てて飛んで行ったボタンを探し、部屋の隅に転がったそれを拾い上げホッと息をつく。とはいえ、まさか伸びをした程度で取れてしまうとは……。

 

「うぅ、また大きくなったのかな? 流石にこれ以上はちょっと……」

 

膨らみ始めの頃は日々大人の女性らしくなる身体に内心はしゃいでいたものだが、最近ではむしろ悩みの種だ。

まず、日本だと中々合うサイズが見つからない。あっても、デザインが好みに合わなかったり、派手過ぎたりといったことが多い。はやてに唆されたのと拗れた恋心の暴走の結果、まだまだ当分はお世話になる機会のなさそうな“勝負下着”なんてものを持っていたりはするが、基本的にフェイトはあまり派手過ぎるものは好まない。もちろん、著しく際どかったり、ほとんど下着としての機能を放棄していたりするようなものなど以ての外。

まぁ、色の好み的に黒系統が多いので、友人に言わせれば十分“アダルト”らしいのだが。

 

「海外のメーカーの通販だと高いし、ミッドなんて更にだしなぁ……」

 

なので、最近では局の仕事の合間に…なんてことも多い。とはいえ、ゆっくり探す時間を捻出するのが難しいので、これはこれで難ありなのだ。

 

「それに……やっぱり際どいよね」

 

今の自分の格好を見下ろしながら、若干しょぼくれる。客観的に見て、今のフェイトの格好は煽情的過ぎるだろう。

着ているのは真っ白なワイシャツとショーツだけ。ただし、袖も丈も余り気味なのに対し、胸元だけは大変窮屈だ。閉じていない第一ボタンと取れた第二ボタンのおかげで豊かな谷間があらわになっているにもかかわらず、である。

さらに、ギリギリのところでショーツは裾に隠れているが、その下には健康的にスラリと伸びた脚。芸術的な脚線美と白磁の肌が相まって、艶めかしくもある。ここ数年の、恐るべき成長の成果であった。

こんな格好で出てこられたら、リンディはまだしもクロノは大弱りだろう。実際、以前一度寝惚けて出てきた際には、クロノは飲み掛けの牛乳を思いきり噴き出し、その後滾々と説教したものだ。

 

さて、ところでなぜフェイトがこんなサイズの合わない裸ワイシャツでいるのかと言えば、事は数年前彼女がまだ小学生だった頃に遡る。

発端は、親友たちと八神家でパジャマパーティをした際のはやての格好だった。皆が思い思いにお気に入りのパジャマ姿でいる中、彼女はなんと下着の上から丈の合わない七分丈シャツ姿。まだ辛うじて成長期前ということもあり“着られている”感満載だったが、そのあまりにも小学生らしからぬ格好に場は紛糾。特にアリサが真っ赤になって食って掛かったものだ。

しかし、当のはやては気にした素振りも見せず、シャツに顔を埋めて深呼吸、そしてご満悦とばかりの満面の笑み。もちろん、そのシャツが誰のものであったかは聞くまでもない。

 

聞けば…というか聞くまでもなく、士郎の古着とのことで、それを寝間着に使っているのだという。想い人の体温を感じられるようで安心感が得られるし、加えて彼の香りに包まれて大変寝心地が良いのだそうな。あの時のはやての顔は、小学生ながらフェイトたちですらドキッとしてしまう妖艶な“女の顔”をしていた。

彼女たちとしても、そういう“ちょっとイケナイこと”に興味が湧いてくるお年頃。基本良い子なので無意識下で自制しているが、目の前で…それも親しい友人が幸せそうにやっているとなればその限りではない。

 

思わず食い入るように見てしまえば、「ジャジャーン♪」と紙袋を取り出すはやて。そのまま「なのはちゃんにプレゼントや!」と言って渡されたその中身は、なんかどこかで見覚えのあるベージュのワイシャツ。

不思議そうに首をかしげるなのはに対し、はやてはとってもいい笑顔で「無限書庫からの産地直送、とれたてホヤホヤのユーノ君印やで」と宣った。ついでに「クンカクンカするもよし、ペロペロするもよし。なのはちゃんの好きにしてええんやで~」と悪魔の誘い付き。ちょっと小学生がしてはいけない表情をしていたので、どこからともなく出現したアリサのハリセンが一閃されたが。

しかしその実、なのはがちょっと頬を赤らめてまんざらでもない様子であったことは、全員が気付いていた。ついでに、今なお彼女が定期的に入手しては密かに愛用していることは秘密である。“ナニに”とは聞いてはいけない、ブレイカーされるからね♪

 

でまぁ、それを羨ましがったフェイトも、同じように立香の衣類を欲しがったのだが…そこでひと悶着。

 

「はやて、私の分は?」

「ごめんなぁ、フェイトちゃん。身内(管理局所属)の無限書庫やったらともかく、流石にカルデアはセキュリティの関係で……」

「私のは?」

「いや、せやからちょう相手が悪くて……」

「私 の 分 は?」

「こ、交渉はしてみたんよ! せやけど…ほら! おっかない人たちがおるやろ! それで、その……」

「ワタシ ニハ ナイノ?」

「フェイトちゃん怖い!? 目が怖い!? 目からハイライトがのうなっとるんやけど!?」

「ネェ ナンデ?」

「指、指ぃ!? めっちゃ指が肩に食い込んどる!?」

 

しかし、やはり無理なものは無理。となれば、残された方法はあと一つ。カルデアに乗り込み、直接手に入れるしかない。そこには聞くも涙語るも涙な戦いがあったとなかったとか。

とりあえず、フェイトがこのワイシャツを手に入れたのは一年以上前のことで、まだ三代目でしかないというところで察してほしい。新進気鋭の執務官といえど、あの連中から奪取するのは容易なことではないのだ。

 

(スンスン)

 

匂いを嗅げば、やはりもう残り香はない。ただフェイトの認識の上では、うっすらとだが彼の匂いを感じられる…気がする。とはいえ、だいぶ草臥れてきているし、できればそろそろ4代目に切り替えたいところではあるのだが……。

 

「でも、流石に胸がもう……」

 

限界と言わざるを得ない。丈の長さはもとより、腹囲も腕周りもかなり余裕がある。ただ、胸囲だけはキツイ。成長そのものは嬉しいのだが、上には上がいることを考えるとそこで勝負するべきではないだろう。戦闘魔導士として考えても、あまり大きくなりすぎるのも支障が出るので困る。特にフェイトはスピードが持ち味なので、そこが制限されるのは死活問題だ。

世の中とは、まったくもってままならないものである。

 

まぁとりあえず、遠からずこのスタイルを諦めるか、あるいは前を閉めず羽織るだけで我慢するかを選ばなければならなくなる。そのことだけは、覚悟を決めるべきだろう。

 

「はぁ、まずは着替えよう」

 

当たり障りのない格好に着替えリビングに向かう。中学生活…引いては地球での日々も残すところあと半年。卒業すれば、本格的に生活の拠点を移して管理局勤めになる。

言わば、フェイトに残された最後のモラトリアム。思い出作りとして思い切り楽しみ、満喫しなければ勿体ない。

 

特に、来月には文化祭も控えている。泣いても笑っても最後の一大行事、出し物は何の変哲もない喫茶店だが、そこは人気の喫茶店の娘“高町なのは”の在籍クラス。売り上げ一位を目指し、気合の入り方が違う。

フェイトも翠屋の手伝いで接客には慣れている。当日に向けて今日も頑張ろう、と意気込む…のだが、まさかあんなことになろうとは……。

 

 

 

昼休み、友人たちには先に屋上へ行っていてもらい、日直の仕事を片付けて廊下を歩くフェイトとアリサ。

だが、その手にはまだちょっと大きめの段ボールが抱えられている。職員室で雑務を済ませたのだが、ちょっと訳あって化学準備室へ運んでいる真っ最中なのだ。こういう時、男女別棟なのが面倒でもある。待たせているみんなに悪いので、できれば走らない程度に急ぎたいところだが…なかなかそうもいかない事情がある。

 

「バニングス会長、こんにちは」

「は~い。とりあえず“前”会長だから、そこんとこ間違えないように」

「わかりました~」

「大人気だね、アリサ・バニングス前生徒会長」

 

揶揄う様にフェイトが長ったらしいかつての役職名で呼べば、アリサの顔が盛大に顰められる。

聖祥大付属中では、夏休み明けに生徒会選挙が行われる。それを以て、先代会長であるアリサもお役御免となったはずなのだが、未だに彼女を「会長」と呼ぶ声は多い。アリサの人望と有能さ故だが、当の本人としてはため息をつきたいところだ。

 

「ったく、引退したんだからいい加減楽させてほしいわ。あの子、いまだに色々聞きに来るのよ」

「それだけアリサのリーダーシップが凄かったってことだよ」

 

現会長への愚痴をこぼせば、益々フェイトの微笑みが深まる。

とはいえ、何も声をかけられるのはアリサだけではない。

 

「ぁ、ハラオウンせんぱーい!」

「はい、こんにちは。前、気を付けてね」

「キャーッ! ハラオウン先輩に声かけてもらっちゃった!」

「あー、ずるーい!」

「いや、アンタが話しかけて返事してくれただけでしょうが」

「今年も頑張ってください! 私たち、絶対先輩に入れますから!」

「え、ぁ、う、それは……」

 

まったく悪気のない善意100%の声援だが、フェイトの表情が笑顔のまま固まる。応援してくれることに感謝すべきか、それとも正直に「お願いやめて」と懇願すべきか迷う。本音を言えば、「(乙女心が)死んでしまいます」と某語り部のキャスター直伝の綺麗な土下座を披露してでも辞めてもらいたいくらいだ。

しかし、フェイトが固まっている間に当の女子生徒たちは姦しくおしゃべりしながら去ってしまう。結局今回も、明確に辞退を伝えることができなかった。

そんなフェイトに、先の揶揄いの仕返しとばかりに人の悪い笑みを浮かべたアリサが乗っかってくる。

 

「そちらも相変わらずの人気なようですね、“ミスター・聖祥”のテスタロッサ・ハラオウン先輩」

 

男女で校舎が分かれているとはいえ、文化祭や体育祭といった大きな行事は双方の校舎合同で行われる。なんなら高等部も一緒だ。その中で毎年特に盛り上がるイベントの一つが、所謂“ミス・コン”と“ミスター・コン”である。時代の流れには些か逆行しているが、こういう催しが盛り上がるのもまた事実。

聖祥は普段からセキュリティがしっかりしている上に、対外的に解放される行事の際でもかなり厳しくチェックが入る。具体的には、事前に申請して入手するか在校生が手配したチケットなしでは入場できない。そのチケットも転売などされないよう、顔認証などが用いられる徹底ぶり。だからこそ可能な催しだ。

投票形式については、男子生徒はミス・コンの投票権だけを有し、女子生徒はミスター・コンの投票権のみを有している。つまり、“男子が選ぶ聖祥の姫”と“女子が選ぶ聖祥の王子”というわけだ。

 

例年であれば、当然ながら“ミス・聖祥”は女子生徒から、“ミスター・聖祥”は男子生徒から選ばれる。にもかかわらず、なぜかフェイトは去年一昨年と2年連続で“ミスター聖祥”に選ばれた、選ばれてしまった。

もちろん自分から名乗りを上げたわけではない。自薦他薦を問わないので、気付けばいつの間にかノミネートされていたのだ。その結果、不動の“聖祥の王子様”として君臨してしまった次第である。何しろ、3位以下の得票数をすべて合わせてもフェイトには遠く及ばない。

余談だが、2位はアリサでこちらとは僅差だった。まぁ、流石に負けず嫌いのアリサもこればかりは負けたことに一安心。とってもいい笑顔で祝福し、「来年も頑張りなさいよね」と激励した。フェイトとしては、今年こそアリサに頑張ってほしいところだが。

 

ちなみに、ミス・聖祥はここ2年非常に熾烈な争いが展開され、上位5位が団子状態。誰が勝っても不思議ではないことから、いつの間にか“黄金期”なんて呼ばれていたりもする。恥ずかしがり屋のため、あまりそういったことに積極的ではないフェイトも、ミスター・聖祥に選ばれるくらいならミス・聖祥の方に選んでほしいと、割と切実に思っている。

 

「……私、そんなに男の子っぽいかな?」

「いやぁ…フェイトの場合、女子校的なノリで“憧れの王子様”扱いされてるだけで、男として見てるわけじゃないと思うわよ」

 

というより、フェイトに男性要素を見出す方が難しい。

手入れの行き届いた女性も憧れる長い金紗の髪、中学生ながらメリハリのある豊満な肢体、ナチュラルメイクを施した奇跡的な造形の顔立ちはただでさえ絶世の美貌を更に際立たせ、言葉遣いは優しく穏やか、立ち居振る舞いは淑やか且つ嫋やか、性格も控えめで外国人ながら大和撫子然としている。聖祥でも屈指の女性的な魅力を有した少女だろう。事実、去年のミス・コンでは惜しくも3位だったことがそれを裏付けている。

そう、本来ならミスター・コンにノミネートされること自体があり得ない。しかし、そうなったからには当然理由がある。

 

「アリサはこう…“できる女の人”って感じでカッコいいからわかるけど、なんで私が……」

「いや、フェイトだって本来は“できる女”でしょうが。というか、社会に出て実績上げてるアンタと比べるのもおこがましいっての」

「アリサだったら、今すぐ社会に出てもあっという間に駆け上がっていけると思うけど?」

「あ~、はいはい。ったく、なのはといい素でそういうこと言うんじゃないわよ。はぁ、これだから天然は……」

「? ? ?」

「とにかく、普段はポヤポヤっとしたところのあるアンタだけど、それとは別にキリッとした面もあるってこと。

あたしはまぁ、自分で言うのもなんだけどあんまり可愛げのある方じゃないからね。いつでも男勝りなあたしより、フェイトの女らしさとカッコよさのギャップの方がウケたってことよ」

「そう、なの?」

「そうなの!」

 

可愛げ云々については反論したいところだが、言っても突っぱねられるのは経験上知っている。なので、とりあえずいまいちピンとこないことについて“コテン”と首をかしげると、きっぱりと断言されてしまう。

実際、普段は優しく穏やかな物腰ながら、必要とあらば毅然とした態度を見せるフェイトのファンは多い。男性ファンも多いのだが、若干女性ファンの方が優位なくらいだ。学外でナンパされているところを助けてもらったとか、転びそうになったところを支えてもらったといった声は結構多い。

今抱えている段ボールも、元は別の女子生徒に任された仕事だったのを、フェイトが「通り道だから」と請け負った次第。優しく微笑みながらこういうことをやるから、王子様扱いされるのである。

 

「これだって、別にそこまで重いわけじゃないんだし……」

「でも、この前休んだ時に係りの仕事を肩代わりしてもらったから」

「その借り、随分前に返してなかったっけ?」

「そうかな?」

「まったく、この子は……」

 

局の仕事の関係で時折学校を休むこともあるため、フェイトたちが誰かに学校での役目を肩代わりしてもらうことは少ないながらもある。大抵はアリサやすずかが請け負うのだが、毎回というわけにもいかない。

フェイトが周りに気をまわすのは本人の性格もあるだろうが、そのあたりの埋め合わせという意味もある。まぁ、埋め合わせ以上のことをするのがフェイトでもあるので、アリサとしては良い様に利用されないか少し心配なところだ。

とはいえ、フェイトの人徳なのか、今のところ彼女を体よく使おうという不埒者はいない。むしろ、色々と反感を集めても不思議ではない立ち位置ながら、ほとんどの生徒から好意的に受け止められている一因になっているあたり、流石というかなんというかだが。

 

「でも、アリサ凄いね」

「? なにが?」

「私はほら、仕事柄それなりに鍛えてるからそれほどでもないけど、これって結構重いでしょ。それなのに軽々と持ってて凄いなって」

(もしかしてこの子、分かってない?)

 

天然だ天然だと思っていたが、まさかここまでだったとは……。

いや、常識人の予想の斜め上を行くからこその天然か。そう考えれば、フェイトがアリサの予想を裏切っているのは当然の事なのかもしれない。

 

「いや、これ事体はそんなに重くないわよ」

「私もそう思ってたんだけど…実際に持ってみたらそうでもなかったから」

「……あのね、すずかほどじゃないとはいえそんな“立派なもの”が2つも載ってれば、そりゃ重くもなるでしょ」

「2つ?」

「てっきりわかっててやってるんだとばっかり……ねぇフェイト、腕は重いかもしれないけど、肩はどう?」

「肩? そういえば、少し楽なような……ぁっ///」

「そういうことよ」

 

どうやらようやく理解したらしく、ボッという音が聞こえてきそうなほどにフェイトの顔が赤く染まる。

アリサもフェイトも中学生らしからぬプロポーションの持主。その分、若いながらも血行やら慢性的にかかる重量やらの関係で、すでに肩こりの気がある。

しかし、常にあるはずの重量感が今は軽減されている。それはなぜか…持ち上げる際に段ボールに乗っかって、肩の代わりに腕で支えているからだ! ちなみに、アリサは意識してやっている。その方が楽だし、なんなら日常的に腕を組んで支えていたりもする。

 

「一応言っておくけど、ここが女子棟だからいいものの、男がいる前ではやらないこと。いいわね?」

「は、はい……」

 

アリサの指摘に、フェイトは“穴があったら入りたい”とばかりに消え入りそうな声を絞り出す。まぁ、無自覚でやってしまう前だっただけでも善しとすべきだろう。もちろん、アリサはちゃんとそのあたりTPOを弁えている。

 

「ま、立香さんの前ではその限りじゃないけど。むしろ、思い切りアピールしなさい。せっかくの武器、使わないのはもったいないでしょ」

「……リップがいるのに?」

「いや、アレは流石に比較対象が悪すぎるわよ。というより、比べて優位を示すためじゃなくて、自分が“子ども”じゃなくてもう“女”なんだってことをアピールしなさいってこと」

「な、なるほど……」

 

目から鱗とでも言いたそうにしきりに頷くフェイト。好意はアピールする癖に、性的な(卑猥な意味ではなく、純粋に女性という意味で)アピールすることが抜けているのが、フェイトらしいというかなんというか……昔から、こういうところで詰めが甘かったなと思い返す。

まぁ、そういうところが微笑ましくて、難しい恋と知っていてもアリサはこの友人を応援せずにはいられないのだが。

 

「そういえば、最近はどうなの?」

「どうって?」

「ちょっとは進展したのかってこと」

「どう、なのかな。昔に比べれば、やっぱり会う機会は減ってるし……ちょっと距離を取られてる感じがするんだ」

「ふ~ん、良かったじゃない」

「へ?」

「だってそれって、距離を取らないとまずいって思ってるからでしょ。意識してるかどうかはわからないけど、ちゃんと立香さんの認識が変わってきてるってことじゃない」

「そう、なのかな。そうだと、いいな」

 

照れたようにはにかむフェイトに、すれ違う女子生徒たちが一様に見惚れている。まぁ、本人は全く気付いていないようだが。

 

「……でもね、やっぱり寂しいよ」

「そう思うなら、今こそ攻め時だと思うけど」

「うん、頑張る」

 

段ボールを支える手に力がこもったことが、角度的に見えないながらもアリサには分かった。

 

「だけど、実はちょっと後悔してるんだ」

「うん、なにを?」

「どうして昔の私は……もっと立香の裸とか匂いとか温りとか記憶に焼き付けておかなかったのかなって」

「……………………………………………フェイト、アンタ疲れてるわ」

 

目いっぱい怪訝そうな表情を浮かべて指摘する。恋愛に学業に局の仕事にと、忙しくしているのは知っていたがまさかここまでとは……。ちょっと一度、本格的にリフレッシュさせるべきではなかろうか。

 

「なんてね♪ 冗談だよ、もちろん」

「わかりにくい冗談はやめなさいよ。アンタ、本当に拗らせてるんだから」

 

冗談めかせているフェイトに、アリサもまた冗談として受け止めてみせるが、実を言うとあまり信じてはいない。

 

(なんかあったのかしらね……)

 

とりあえず、折を見て遠回しにでも聞きだした方がいいだろう。色々と抱え込む性質なのは承知しているので、そこをフォローするのが友人というものだ。

その場合、適任ははやてだろうか。アレもアレで割と拗らせているが、手応えがあるうえに自分の本質を見据えられる強さがある。フェイトの恋に関しては、家族を除けば一番の相談相手だ。

 

まぁ、それはそれとして周囲の耳目がある廊下で妙なことを口走らないよう話題を変えねばなるまい。学校の女子の多くが憧れる“王子様”が、まさかこんな恋心を拗らせたポンコツの残念美人だったなんて知られた日には、少女たちの甘ったるい夢が砂糖菓子の城のように大崩壊。巡り巡ってアリサに“王子様”役のお鉢が回ってきかねない。

 

(うん、それは御免だわ)

 

さしあたっては、トレーニング後の立香の汗の匂いや乱れた息遣いを思い出すとすごくドキドキするとか、実は結構逞しい身体つきや古傷の残ったゴツゴツとした手の男らしさとかをうっとりした様子で語りだそうとする幼馴染のお口にチャックする。両手が塞がっているし周囲の目もあるので、満面の微笑みで「ちょっと黙っとけ」と無言のまま威圧して。

その結果、フェイトはそれまで朱に染めていた顔を若干青くして……

 

「はひ……」

 

と間の抜けた声を漏らすのであった。

 

(まったく、これだから恋愛脳(スイーツ)は……ちょっと羨ましいじゃないの)

 

アリサも、なんだかんだで年頃の女の子なのであった。

 

 

 

「わかる、わかるでフェイトちゃん。私もな、士郎が怪我して消毒した時の、あのちょっと染みて痛そうな顔を見たえも言われん“ゾクゾク”感がもう……」

「はいそこ! 食事中に妙な話題で盛り上がらない!!」

 

遅ればせながら屋上で待つ友人たちに合流し、彩り豊かなかわいらしい弁当に舌鼓を打っていたらこれだ。さっきまでのちょっとした憧れや羨望の念は、はるか彼方に飛んで行ってしまった。

 

「二人とも、そういう話は他に人のいないところでやろうね。なのはちゃんが限界だから」

(ぷしゅ~……)

 

微笑みながらたしなめるすずかの横には、今まさに頭から湯気を立ち昇らせる茹ダコななのは。天然且つ朴念仁、加えてニブチンの恋愛偏差値小学生未満の彼女には、少々二人の会話はレベルが高過ぎたらしい。

いや、まさか傷を治療している時の痛みをこらえる顔にゾクゾクするとか言われても、それはちょっと困るだろう。

 

「え~、好きな人のいろんな顔を見たいっちゅうのは、当然の感情やない?」

「限度ってもんがあるでしょうが」

「なんというかその、ちょっと危ない人みたいというか……」

「そうやろうか……なのはちゃんはどう思う?」

「ふぇぇぇぇ!? そ、それは、その……」

「やめたげなさいよ」

「このままだとなのはちゃん、季節外れの熱中症になっちゃうから」

 

ちなみに、はやてとしては指を切って出血した時に、止血がてら指をしゃぶってこれ幸いとばかりに舐め回されてどんな表情を浮かべることもできずに固まった士郎を上目遣いに見上げるのも大好きだ。なんというか、可愛くて堪らない。いっそのこと、檻にでも閉じ込めて一生飼ってしまいたいくらいに。

そのあたり、はやては自分の欲求に正直だ。実行するかはともかく、そういう欲望があることを否定しない。

 

(まぁ、あのおたんこなすはいつどこに飛んでくか分からん糸の切れた風船みたいなところがあるからなぁ。監禁はやり過ぎにしても、囲い込んで逃がさへんくらいでちょうどええのは間違いない)

「で、でもはやて、怪我をして痛い思いをしてるのに、そういうことを考えるのはやっぱり……」

「まぁ、不謹慎と言えばそうやな。せやけど、自分の心に背を向けてもしゃーないんちゃう? それを認めた上で、どう向き合うかやないの?」

「言ってることは正しいのよね。前提がアレだけど」

「あ、あはははは……」

 

なんでも久しぶりにカルデア関連の任務に参加し、立香と共に行動することになったのだが……その時に、ある意味ではいつも通りのトラブルが発生。サーヴァントたちとはぐれ、二人きりになってしまった。

不謹慎とわかっていながらも、ちょっと内心はしゃいでしまった罰が当たったのか。立香が重傷とは言わないまでも軽傷で済ますには深い傷を負ってしまった。

決して油断していたわけでも気を抜いていたわけでもない。ただ、立香とフェイトの戦闘における相性の悪さ故だ。戦力という意味では皆無に等しい立香は当然同行者に守ってもらわなければならないのだが、その点フェイトは“守る”ということに徹底的に向いていない。共に肩を並べて戦う相手をフォローするという意味で守ることはできるが、高速で動き回る彼女にとって自衛能力も逃走手段もないに等しい非戦闘員を守るのは、大変やりづらいのだ。

守るくらいなら、速やかに敵戦力を無力化する方がはるかに効率的で確実。故に、フェイトも守りたいのにそれができない自分に歯噛みしながら、それでも自分にできることをと戦った。戦闘そのものは短時間で終わったが、運悪く流れ弾が立香の二の腕を抉ったのである。

 

幸い致命傷には程遠く、少々出血量が多いだけだった。

とはいえ、いつ仲間と合流できるかもわからない状況で放置はできない。応急手当の域は超えていたが、とにかくせめて出血だけでも止める必要があった。最悪、傷を焼くことも視野に入れていた立香だったが、幸い簡易キットで粗く縫合し、あとは止血剤と動脈の圧迫で止血はできた。

 

そのまま包帯で傷を保護したのだが、正直フェイトは自分の不甲斐なさに泣きそうだった。

自分が守ることに向いていないことは知っていた。その意味で言えば、立香のパートナーはマシュ以外にあり得ないだろうとも。わかっていても守ることが出来ず、碌な手当てもできない自分には失望さえしたものだ。

だが、そんなフェイトに立香は心からの感謝を込めて行ったのだ。

 

「ありがとう」

 

「フェイトがいて良かった」

 

「俺だけだったら死んでたかもしれないし、止血できなかったかもしれない」

 

それは正真正銘、まぎれもない事実だった。フェイトがいたのに傷を負ったのではなく、フェイトがいたから生き延び傷の治療もできた。そういう考え方ができる人であり、感謝を忘れない人であることは知っていた。

彼の言葉に、失望と不甲斐なさが軽減されたのを自覚し、自分の現金さにまた泣きたくなった。

 

その後、なんとか仲間と合流し任務も無事完遂。今回の反省点を洗い出し、次がないよう気を引き締めたフェイト……だったのだが、そうなると当然傷の治療をした時のことも思い出してしまう。

あの時、立香は縫合するにあたって麻酔の使用を拒んだ。いつ仲間と合流できるかわからない状況のため、可能な限り物資を節約するべきというのは妥当な判断だろう。痛みで気が触れてしまうとか、もだえ苦しんでいるとか、そういう状況ではなかった。

言ってしまえば、縫合の間とその後立香が痛みに耐えればそれで済む。本当にどうしても耐えられない時だけ使うというのは、正しい判断だったと思う。

 

とはいえ、片手で縫合など医者でも無理な話。必然的にフェイトが針を持つことになり、一針一針少しでも痛みが少ない様に、僅かでも綺麗に縫い合わせられるように、細心の注意と集中力を振り絞って刺していった。

 

一針刺す度に苦悶に歪む立香の表情、頬を伝う脂汗、噛み締めた布の隙間から漏れる荒い息遣い。執務官試験を突破した優れた記憶力が鮮明に想起するそれらの情報に、今まで知らなかった感覚がフェイトの身体を電流の様に駆け巡った。気付けば身体の奥にじんわりとした熱が生じ、しばらく脳裏からあの光景が離れなくなってしまった。

傷つけたいわけではない。苦しんでほしいわけでもない。ただそれでも、自分の指先に彼がどんな形であれ反応を返してくれることに、どうしようもなく悦んでしまう。もっともっと、どんな形でもいいから……一瞬とはいえ、そう思ってしまったのだ。

 

正直、フェイトはそんな自分を心の底から恥じたし、一時期はこの世の終わりとばかりに落ち込んだ。

一時の間ですら守ることができなかった不甲斐ない自分、傷を負い苦しんだ立香……にもかかわらず、思い返せば不謹慎極まりない反応を示し、醜い感情を抱いてしまう。

少なくとも、フェイトは自分の“恋”が綺麗なものとは思えない。同年代の少女たちが語るような、美しく、甘く、輝くようなものではない。

 

―――身勝手で

 

―――ドロドロと濁り

 

―――歪み

 

―――そして、汚い

 

潔癖なきらいがあるからこそ、フェイトは自分の中にあるそんな感情が嫌いで仕方がなかった。

だから見ないようにしているし、気付かないふりをしている。それでもふとした拍子に、見えてしまうことはある。

 

あんなにも立香は苦しんでいたのに。

下手な縫合のせいで醜い傷も残っただろうに。

守れなかった自分を彼は気遣ってくれたのに。

 

―――守れないのなら、いっそのこと閉じ込めてしまいたい。

 

そんなことを思ってしまう。

同時に、自分がどうしてジャンヌ【オルタ】でもなく、メルトリリスでもなく、シャルロット・コルデーに強く反発してしまうかが分かった。彼女は自分の恋心の汚い部分を認めているのに対し、フェイトは許せない。だから、どうしても彼女に好意的になれないのだろう。

 

―――自分の方が、ずっとずっと“醜い”というのに。

 

笑っていてほしいのは本音だし、幸せであってほしいと心から願っている。

ただそれとは別に、どんなものでもいいから何かを返してほしいと求めてしまうのも事実で……。

 

(ああ、本当に拗らせてる……)

 

そう、自分でもわかってしまうくらいに。ただそれは、なかなか成就しない恋だからではなく、きっと彼女はそういう(さが)なのだろう。

 

―――どうしようもなく求め、欲してしまう。

 

実母のせいなどではなく、持って生まれた魂の形。

生憎、それを受け入れられるほど強くはないが、それでも笑って「恋なんてそもそも言うほど綺麗なものじゃない」と言ってくれる親友には、本当に感謝している。

 

あの時のことを思い返してこんなことを考えてしまうのは、きっともう思い出せない今朝の夢にも一因があるのだろう。

 

大好きで、愛おしくて、守りたい―――そう思う(理性)に嘘はない。

 

ただ……

 

求め、欲し、閉じ込めたい―――そんな(本能)もまた真実なのだ。

 

綺麗な在り様を善しとする理性と、醜く歪んだ形の本音。そんな矛盾を、フェイトはこれからも抱え続けるのだろう。

家族にはもちろん立香にもこんな自分を見せられない。見せたくない。

失望されるのが怖い。見る目が変わるのが恐ろしい。

あんなメンツに囲まれている立香ならと思う反面、想い人には綺麗な自分を見てほしいと思うから。

もちろん、それは親友たちにも同じこと。

 

精々、冗談としてはぐらかすことしかできないけれど、はやてには隠したままでも伝わるものがある。だから、短い言葉に万感の思いを込める。

 

「ありがとう、はやて」

「ん~、何のことやろなぁ」

 

たぶん、はやてとフェイトはどこか似ている。違うとすれば、はやては強くフェイトは弱い。でも、「それでもいい」と言ってくれる似た者同士のおかげで、随分と気が楽になる。

 

(一応、憑き物は落ちたかしらね)

 

冗談の延長で笑っているように見せて、その実少しすっきりした様子で笑い合う二人。アリサには二人の奥底にあるものは窺い知れないし、きっと本当の意味で共感し理解することもできないだろう。まぁ、なのはやすずかもそういう気はあるので、相談相手には事欠かないだろう。今回の場合ははやてが適任そうだったので、彼女が請け負う様に話を回したというだけだ。場合によっては、残る二人に振ることもあるだろう。

なかなか厄介なことではある。だが、皆が親友であることに変わりはないし、笑顔でいてくれるために、幸せであってくれるために惜しむものはないつもりだ。

 

(自分で言うのもなんだけど、苦労性ってやつかしらね)

 

まぁ、そういう性分だし、そんな自分が存外気に入っているので仕方がない。

いざとなれば、正解なんてわからないまま天然で人を救ってしまうなのはが何とかしてしまうだろうという信頼もある。

とはいえ……

 

「あとなフェイトちゃん、古傷っちゅうのは結構敏感でなぁ。舌を這わせたりするとええ反応するんやで~」

(スパパンッ!)

「アタァッ」

「妙な道に引き込もうとするんじゃないの!」

「小粋なジョークやのに……」

 

本日2度目のハリセン炸裂であった。

 

いい加減話の軌道を修正し、いよいよ近づいてきた文化祭について話が及ぶ。

はやてとすずかのクラスは食事処をやる予定なので、飲食店という意味で言えば競合相手。探りを入れたり、強みが被らないよう遠回しに釘を刺したりと、はやてとアリサは駆け引きに余念がない。やるからには勝ちに行くアリサ、“趣味と実益”即ち自分が楽しみつつ成果も出す主義のはやて。残る3人が基本的には“大いに楽しもう”という方針なので、もっぱら二人の腹の探り合いだ。

とはいえ、飲食店と言ってもあちらは“コスプレ”も主軸の一つなので、正面衝突とはいかないだろう。場合によっては、何かしらの形で結託する可能性もある。

 

まぁ、傍から見ている分には見応えもあるし面白いので、のんびりと食後のお茶を楽しみつつ、二人の駆け引きを見守るフェイトたちであった。

しかし、唐突にすずかが「そういえば……」とつい先ほどクラスメイトから聞いた話を思い出す。

 

「フェイトちゃん、演劇部の助っ人に出るって本当?」

「あ、うん。何度も断ったんだけどね。どうしてもって……」

 

実を言えば、この手の話は中学進学から何度もあった。特に文化祭が近づいてくると、この5人にオファーがかかるのは毎年恒例だ。はやては要領が良いので上手く回避するし、アリサとすずかも押しには強い、伊達に社長・重役令嬢ではない。反面、なのはとフェイトは頼み事にはめっぽう弱い。毎年押し切られそうになるのだが、管理局の仕事もあるので心を痛めながらもなんとか断ってきた。

だが、フェイトたちが卒業後は外部に行くことはすでに周知の事実。特に漏らした覚えはないのだが、いつの間にか知れ渡っていた。そのため、今年が最後のチャンスと例年以上に押しが強かった。

加えて、最後の一押しがあって最終的に頷いてしまったのが今朝の事。正直言えば恥ずかしいのだが、学生時代のチャレンジは大事だと家族にも言われているし、なにより……

 

「その……」

「「「「?」」」」

「今年は立香も来てくれるらしいから、見てもらいたいなって……」

 

これまでは「部外者だから」と文化祭にも体育祭にも顔を出さなかったが、「最後だから」となんとか押し切れたのがつい先日。せっかくの機会なので一念発起するのもいいかもしれない、と思った次第である。

 

「立香ってほら、私の事いつも“可愛い”って褒めてくれるけど、その……」

「そっか、お芝居に出てイメージを変えたかったんだね」

「う、うん」

 

すずかの言う通り、フェイトにもそういう下心がある。どれだけ大人っぽく着飾り、メイクを研究し、立ち居振る舞いを洗練させようと努力しても、立香は一貫してフェイトを「可愛い」と評する。子どもの頃ならいざ知らず、今では「綺麗」や「カッコいい」という声がほとんどで、立香や親しい人以外からは滅多に「可愛い」などと言われなくなった。

もちろん、「可愛い」と言ってくれるのは嬉しい。他の人とは違う自分を見てくれているようで特別感もある。とはいえ、やはり「子ども扱い」されている感も拭えない。そこで、普段着ない衣装を身に纏い、まったく違う自分を演じることで立香の意識を変えられるのではないかと、そう考えた次第だ。

 

「ふ~ん、結構なことだけど…フェイトは素人よね。外見だけで芝居はできないけど、演目はどうするの?」

「うん、攫われたお姫様を助ける騎士との恋物語だって」

「あはは、そらまたベタっちゅうかなんちゅうか…女の子の好きそうな演目やな」

「ちょっと抵抗はあるんだけど、ね。でもまぁ、お芝居だから」

 

芝居とはいえ、立香以外を相手に恋を…というのは正直気が進まない部分はある。

だが、ドレスで着飾り優雅に振る舞えば、立香の見方もすこしは変わるのではと期待せずにはいられない。

加えて、もう一つ背中を押す材料があった。

 

「それに、なのはもいるなら心強いし」

「あ、なのはちゃんも出るん「ふえっ!? 私、フェイトちゃんがやるって聞いたから受けたんだけど!?」あれ?」

「ぇ……私は、なのはからは許可を取ってるって……」

「あ~、これは……」

「アンタたち、完全に嵌められたわね」

 

どうやら、二人別々に「相手は了承済み」とブラフを仕込まれたらしい。まぁ、結果的にその言葉通りになったわけだが……どちらか片方から了承を得られなければ破綻するというのに、大した博打に出たものである。

 

「まぁ、結果的に同じことなんだし、気にしなくていいんじゃない。相手が1枚上手だったってことよ」

「二人とも、これからはちゃんと確認しなくちゃだめだよ」

「「は~い……」」

「せやけど、去年のミスター・聖祥とミス・コン2位を起用とはなぁ。これは、今年の講堂は立ち見客も出るんちゃうか?」

 

地味~に凹んでいる二人を他所に、実に楽しそうなはやて。

しかし、この二人を起用するとなると下手な役では主役を食ってしまいかねないし、場合によっては両者のファンから大顰蹙を買ってしまう。そこのところは大丈夫なのだろうか。

などと話していると、ちょうどいいタイミングで演劇部の部長からメールが届いた。

 

「ん、それで何の連絡なの?」

「えっと、これからの練習と衣装合わせの日程だって」

「台本は…今日中に貰えるみたいだね」

「二人とも、動き出してもうたからには腹括るしかないなぁ。幸い、文化祭準備中はレティ提督が気を利かせて任務も研修も入れんようにしてくれるんやし、まぁ頑張りや」

 

元々そういう話になっていたし、リンディや桃子など保護者からも“最後の文化祭を思い切り満喫しなさい”と言われている。準備期間も祭りの一環、好意は有り難く頂戴すべきだろう。

研修に出られないこともそうだが、任務のしわ寄せが誰かに行くことについては、申し訳なさと後ろ髪惹かれる思いがないわけではないが、はやての言う通り腹を括るというか開き直るしかあるまい。

 

「そういえば、配役はどうなったのかな?」

「え~っと……私がお姫様で」

「私が騎士?」

「お~、思い切ったことしたわね。まさか、素人に主役を張らせるとは」

「これは、相当頑張って練習しないとだね」

 

素直に喜びを示すアリサとすずかだが、その横ではやてが難しい顔をしている。素人に主役をやらせるというのも無謀な話だが、それ以上に配役について思うところがあるのだ。

 

「せやけど……なのはちゃんがお姫様でフェイトちゃんが騎士? これ、配役逆なんちゃう?」

「……確かに。特にフェイトは外見的にははまり役だけど、内面はむしろお姫様タイプでしょ」

「うん。どちらかというと、なのはちゃんがフェイトちゃんを助ける騎士だよね」

「「そ、そうかな?」」

 

親しい間柄からすれば、なんというかミスマッチ感が拭えない。本人たちに自覚はないようだが。

しかし、困難を打破し囚われのお姫様を助ける…というヒーローポジションは、間違いなくなのはの領分だ。フェイトも助ける側に回ることが多いが、根本的なヒロイン属性というか……外見的にも能力的にも不足がないはずなのに、どうにも「コレじゃない」感が強い。

加えて、“いつもと違う自分でアピール”という目的で受けたはずなのに、なんか思ってた方向性とは違うことにフェイト自身困惑の色がうかがえる。

 

(そもそも“誰かを助けるために戦う”っていうのは……普段やっていることと何が違うんだろう?)

 

騎士云々はともかくとしても、これでは“普段とは違う自分を見てもらう”という目的が達成できていない気がする。

フェイトも女の子なので、ドレスを着て美しく着飾ることに対する憧れはある。“囚われのお姫様”というのはちょっとしっくりこないと思うのだが、親友たちに言わせれば“むしろはまり役”とのこと。

正直に言うと、「そっちの方がよかったなぁ」と思ってしまう。

 

なのはもまた、“助けられるより助ける方が性に合うんだけどなぁ”と思っていたとかいないとか。

 

とはいえ、決まってしまったものは仕方がない。

為すべきことを為すために全力を尽くすのみ、と変なところでプロ根性を発揮する二人なのであった。

 

ちなみに、衣装合わせをしたり芝居の練習をしたりするにつれ、違和感は増し、背中のむず痒いことと言ったらない。本番を迎える頃には、友人たちの言に心から賛同したくなった。

 

「「いや、私に騎士/お姫様は無理」」

 

なので、その時の映像記録や写真は厳重に封印。高町家においてもハラオウン家においても、滅多なことでは日の目を見ないようにしまい込まれるのであった。

まぁ、八神家や月村家、そしてバニングス家はその限りではなかった当たり、詰めの甘い話である。

 

 

 

余談だが、文化祭当日。フェイト達の演目を見た立香は一言。

 

「へぇ~、フェイトってカッコいい系も結構似合うんだなぁ、意外」

 

とのこと。騎士役がはまっているかどうかはともかく、フェイトは“綺麗”系や“カッコいい”系が似合うのは関係者一同の共通認識だったはず。

なので、周りからは「え、この人何言ってんの?」という目で見られたが、本人曰く……

 

「ん? フェイトは可愛いタイプじゃない?」

「まぁ性格的には同意しますけど……じゃあ、執務官の制服とかどう思います?」

「ああ、フェイトはやっぱり黒が似合うよね。うん、可愛いと思う」

(あれ?)

 

普通、あの制服を着こなす人は「カッコいい」と思うはずなのだが……。

 

「じゃ、じゃあなのはちゃんが着てたみたいなドレスとかどう思います?」

「う~ん、白は普段あんまり見ないからギャップがあるけど、凄く可愛いんじゃないかな」

(んん?)

 

その後も、どんな服装を提案しても基本的に「可愛い」一択。稀に「カッコいい」という表現が出てくるが、それも本当に数えるほど。

感性は人それぞれとはいえ、流石にちょっと認識のズレを感じずにはいられない。まさか、本当にアレだけ成長してもなお立香にフェイトは「小さな子ども」としか見えていないのだろうか。あるいは、適当に「可愛い」と言ってお茶を濁しているのではないか、と。

そんな懸念が湧いてくるがふと気づく、立香の目がいたって真剣であることに。そこで、すずかはちょっと思い切って聞いてみることにした。

 

「そうですね、フェイトちゃんはやっぱり世界一可愛いですよね」

「うん…ぁ」

「………………………………立香さんって、実は普通にフェイトちゃんのこと大好きですよね」

「……………………………………………………………………なんのことかな~」

(大丈夫だよフェイトちゃん! 思ってる以上に、立香さんの内堀埋められてきてる!!)

 

これを聞いたフェイトはのちに語る。

 

「立香は世界一……なんだろう? カッコいい……はニュアンスが違うし、憧れる…近いようでなんか違う。

う~ん………………そうだ、愛おしい!」

 

関係者一同、“やれやれ”と肩を竦めるのであったとさ。




綺麗な表面とドロドロの内面、「どっちが」ではなく「どっちも」フェイト。
ただ、フェイト自身は内面のドロドロとしたものを許せないので、あんまり見ないようにしています。逆に、はやてはそれも含めて自分と肯定的。なのはとすずかも似たようなところがありますが、なのははフェイト寄りですずかはどちらかと言えばはやて寄りかな、まぁ人それぞれですねぇ。
例外はアリサ、多分彼女が一番真人間。はやても近くはあるんですが、彼女の場合歪みなどを飲み込んでしまえる度量と強さがあるので、そう見えるという感じでしょうか。

立香自身はあんまりフェイトの内面を理解していません。ただ、自分がフェイトにしたいことが噛み合っているというか、何となく察して行動しているというか、そんな感じ。
ハハハハ……おかしいな、こんな筈じゃなかったんだけどなぁ。ちょっと歪んでるというか、ヤミに引っかかるかどうか位のつもりだったのになぁ……ま、いっか。なるようになるもんでしょう。
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