今回この三名が出ますが、口調が多少怪しいかもしれませんけどご容赦ください。
私から見た立香さん? そらまた、難しい質問やなぁ……。
―――そうなんですか?
とりあえず、個人的には尊敬しとるよ。私も結構色々言われる方やと思うけど、立香さんを知っとる身としては己惚れる気にはなれへんもん。
―――いやぁ、立香さんの懐の深さというか包容力は、もうわけわかんない次元ですし……。
そやね。正直、あの人のコミュ力と包容力は空恐ろしいもんがあるからなぁ。まぁ、そうでもないと、あんだけ濃いメンツを繋ぎ止めるんは無理なんやろうけど。
あぁ、そういう意味ではちょう興味があるなぁ。よく「立場が人を育てる」言うけど、あの人の場合どっちなんやろね。持って生まれたものなのか、それとも必要に迫られて身についたものなのか……元から資質があったことは間違いないやろうけど。
―――じゃあ、何が難しいんですか?
……局員としては、さっさと契約解除してほしいと思う部分はある。
戦力以外にも、色々有用な人たちなんは確かやけど……年に何回かはシャレにならん騒動起こすからなぁ。それこそ、下手すると世界崩壊級のポカやらかす女神とかおるし。
知っとる? そのたびにリンディさんとかクロノ君、ついでにカリムや私のところに苦情や嫌味がくるんやで?
んなこと言われても知るかいな。私ら別に、あの人たちの後見人でもなんでもないっちゅうねん。パイプがあるんは事実やけど、カルデアに干渉する権限とかあるわけないやん。
偶にツテ使うて、協力したりされたりしてるだけなんやから。
……堪忍な、途中から愚痴になってもうた。
気を取り直して……客観的に見れば、リスクとリターンは釣り合ってるか、リターンに傾くとは思う。せやけど、ハイリターンにふさわしいだけのハイリスクなんも事実や。立場的に、どれだけリターンが魅力的でもあのリスクは無視できん。せやから、局の上層部がチャンスさえあれば色々削ぎ落すか、根本的につぶしてまおうと虎視眈々なんも、理解はできる。
反面、通常手段が通じんような相手には滅法強いからなぁ。うん、やっぱり“劇薬”か“爆発物”っちゅう表現がしっくりくる。危なっかしくて手元にはおいておけんし、近くにあってもぶっちゃけ迷惑や。せやけど、いざという時のために残しておきたい……そんな存在やね。
不安材料をなくしたいと思う部分があるのと同じくらい、万が一のための保険として確保しておかずにはいられん。難しいっちゅうのは、そういう理由からやね。
まぁ、立香さんというより、これはカルデアに対する印象やけど。
―――なるほど……じゃあ、もし仮に立香さんがカルデアを辞めたとしたらどうですか?
速攻取りに行くに決まってるやろ! サーヴァントっちゅう付属価値がなくても、あの人の経験に胆力、対人能力は値千金や。下手な高ランク魔導士より遥かに価値がある。ま、その場合リンディさんたちと争奪戦になりそうやけど。
むしろ、余計な危険物がない方が安心できるくらいやね。サーヴァント込みの場合やと……悩むなぁ。マシュさんとかならまだしも、他の人たちやと責任負いきれへんもん。
―――やっぱりマシュさんは一緒にいてほしい感じですか?
そやね。あの人の最大の弱点は“弱い”ことや。魔術とか全部込みでも、瞬殺できる自信あるで私。たぶん、リインやキャロも同じやろ。ガチンコ最弱トリオの私らでも、どんな距離から始めても秒殺確定やからなぁ。
フェイトちゃんはスタイルの関係上護衛とか不向きやし、色々な意味でマシュさんが最適なんは間違いない。
で、マシュさんが一緒におる状況で、なおかつ他にサーヴァントがおらんっちゅう前提の話やけど……開始十秒以内に勝負は決まるなぁ。時間内に立香さんを無力化できれば勝ち、できなければサーヴァント召喚されて詰む。
―――え? それで詰んじゃうんですか?
もちろん、すぐにとは限らんよ。そこは召喚されるサーヴァント次第やけど、一騎でも召喚されたらその分時間を稼がれる。その間に次の召喚をして、後はそれを繰り返してればいずれは……
―――あ~、詰みますね。
まぁ、実際には魔力供給の問題とかあるから、そう単純な話でもないんやろうけどね。
―――そっかぁ……ちなみに、局員としての視点を抜きにしたらどうですか?
う~ん、ユーノ君やクロノ君みたいに友達っちゅう程親しいわけやないからなぁ……せやけど、色々な意味で恩人なんも間違いない。
まず何はともあれ、アインスのことではホンマにお世話になったから、足を向けて寝られへんね。
―――村正さんを召喚して、
正確には、もっと概念的なもんらしいけどな。
私らにはなじみが薄すぎていまいち理解できんけど、村正さんが目指したんは『業』を断つ刀……『宿業からの解放』なんやて。その一刀で、リインフォースと夜天の書を縛っとった『呪い』から『解放』した、そういうことらしいんよ。
―――本命は別の人だったんですよね? 確か、式さんでしたっけ?
あの人はあの人で、私らには理解不能な能力もっとるからなぁ。なんやねん、『モノの死』が視えるって。理屈の上では意志や時間すら殺せるらしいから、ピンポイントで修復機能だけ殺すとかもできるのかもしれへんけど。
まぁ、あくまでも「かも」の話や。
あの時点では、立香さんも特定のサーヴァントを召喚するなんてできへんかった。せやから、依り代っちゅう縁を利用して士郎…いや、ここは敢えてしろ兄ってよぶべきやな。
にしても、昔の愛称で呼ぶんはなんやこそばゆいなぁ。何年ぶりやったっけ……結婚するより前からやから、もう十年近くになるなぁ。今度、久しぶりに呼んだらどんな反応するやろ……っと、話が逸れてもうた。とにかく、しろ兄を触媒に村正さんを召喚したわけや。
まぁ、カルデアからの魔力供給を受けられへんかった時期やから、自力での宝具の発動はできんかったわけやけど。
―――えぇっ!? そうだったんですか!?
あれ、知らんかった? ぶっちゃけ現界するので精一杯で、あと一時間もせんで退去してまうくらいギリギリやったんよ?
―――でも、それじゃどうやって……。
おるやろ、とびっきりに親和性の高いのが。
―――あ、士郎さん!!
そ。士郎に霊基を貸して……感覚的には、イリヤちゃんたちの
まぁ、副産物として士郎が刀鍛冶に目覚めたりしたわけやけど……。
―――今やアームド系デバイスマイスターの中でも、一番に名前が挙がる人ですもんね。そういえば、ミカヤさんにも「紹介して」って頼まれたっけなぁ。
それでも、本家本元にはまだまだ及ばんわけやけどな。
―――でも、それだけやってもアインスさんは……。
うん。元々、アインスの基礎構造と複雑に絡んでた部分を斬り離したわけやからね。人間の体に例えるなら、内臓ごっそりなくしたようなもんや。
でも、本来なら自壊してまうはずのところを、曲がりなりにも維持できた。ならあとは、失くした部分を埋める方法を探すだけや。って、それが一番大変なわけやけど。
とにかく、そんなわけでアインスは休眠っちゅう形で機能を停止させて、無限書庫をはじめ色々模索……どうなったかは、ヴィヴィオもよう知っとるやろ?
―――はい。
まぁ、たった数年で……とは思わへんかったけどな。
正直、十年以上かかるんは覚悟しとったし、最悪私が生きてうちには再会できん可能性もあった。せやからリインが生まれたわけやし、カルデアの協力含めて色々あった今でも本調子とはいかんからなぁ。
―――確か、ユニゾンはもう……。
この先、奇跡的に完全修復できたりせぇへん限り、戦闘への参加は無理やね。まぁ、大した問題やないよ。家族が生きて一緒に暮らせる、それで十分やし、これ以上を求めたら罰が当たる。
……うん、やっぱり立香さんにはいくら感謝しても足りんわ。
まぁ、当の本人は事件の後無理な召喚で魔力切れ起こしてぶっ倒れてたわけやけど。
いやぁ、立香さんが倒れたって知った時のフェイトちゃんの慌てようときたら……。
―――そういえば、フェイトさんっていつから立香さんのことが好きだったのかなぁ?
少なくとも、私がフェイトちゃんと知り合った頃には、見てるこっちが恥ずかしくなるくらいオーラ出とったで? まぁ、本人がどの程度自覚してたかはわからんけど。
―――でも、理想の夢の中には立香さんがいたんですよね?
いや、アレどうもマーリンさんの仕業で、立香さんだけ夢やなくて本人だったらしいで。
その時のことが原因で夢が混線して、サーヴァントの暴走体との接触をきっかけに立香さんの過去を夢で見る…ちゅうか追体験やね。そういうことをするようになったみたいなんよ。
ホンマに、あのロクデナシはいらん事しかせぇへんわ。
―――ですねぇ……。
いや、実際アレ相当きつかったと思うんよ。立香さんの旅…特に
―――それは…はい。私もチラッと聞いたことがあるくらいだけど、それでも……。
アルフが言うとったけど、魘されて飛び起きたことも一度や二度やなかったんやて。
夢やから詳しくは憶えてなかったみたいやけど、悲鳴を挙げながら目を覚ますくらいならまだ良かった方。目を覚まして早々に吐いたり、酷い時には過呼吸起こしてそのまま気絶したりしたこともあったとか……。
……それに、立香さんも実は相当きつかったはずや。マシュさんたちの前では気丈に振る舞ってたみたいやけど、実際にはかなり追い詰められてたんちゃうかな。
ほら、立香さんってフェイトちゃんのこととにかく甘やかすやん。あれな、半ば趣味になっとるけど、それとは別に精神安定を兼ねてたんやないかと思うんよ。
こっちの夢はイリヤちゃんたちと契約した頃から見てたらしいんやけど、その時点では変な言い方やけど幽霊みたいな感じだったとか。それが変わったんが、ロシアのロストベルトの後にあの人を虚数空間からサルベージしてからって聞いてる。
ただ、この辺時系列がめちゃくちゃでなぁ……あの人を引き上げてからフェイトちゃんと出会って、P・T事件の終結はさらにその後や。
―――あ~、確かに流れがおかしいですねぇ。
まぁ、あんまり深く考えんようにしとこ。
とにかく、フェイトちゃんと出会ったのは立香さんがおそらく一番精神的にしんどかった時っちゅうことや。フェイトちゃんが立香さんに救われてたのは間違いないけど、それは立香さんも同じやったんやと思う。
せやから、マシュさんとは違った意味でフェイトちゃんは立香さんの「特別」なんよ。立香さん言うとったよ、「何も事情は教えてくれなかったけど、フェイトが頑張ってるのだけはわかった」「それを見てたら、立ち止まってなんていられなかった」って。
―――そういえば、フェイトさんも「とても大切なことを教えてもらった」って言ってたっけ。いいなぁ、私もステキな恋とかしたいなぁ。
恋するんは結構なことやね。でも、実は色々大変だったんよ?
いまでこそああやけど、随分長い間立香さんはフェイトちゃんを子ども扱い、フェイトちゃんもマシュさんをはじめ、カルデア女性陣に劣等感覚えとったし。
何より厄介だったんが10歳っちゅう年齢差や。考えてみ、20歳の男の人がどう見ても他人の10歳の女の子と二人で歩いとったら……
―――……………………………………………事案?
通報されても文句は言えん。実際、職質されかかったことも一度や二度やないらしいし。その度にフェイトちゃん、申し訳なさそうにしてたんよ。
で、年齢的に釣り合いが取れないこととかも含めて、それはもう悩んでなぁ……まぁ、そこはリンディさんがフォローしたんやけど。
確か「残念だけど、年齢差が縮むことはないわ。でも、年齢差が生む溝は時間が埋めてくれるものよ」ってな。
―――どういうことですか?
考えてみ、確かに10歳と20歳やとつり合いは取れんかもしれん。せやけど、15歳と25歳やったら?
―――う~ん、十分危ないと思うんだけど……。
チッチッチッ……確かに数字としてはそうかもしれへんけど、もう一年経てば日本の法律なら普通に結婚できるんやで。
あ、でも今は違うんやったっけ? いやぁ、危ないところやった。もう二年もやなんて、待てたか自信ないなぁ……。
と、まぁ何が言いたいかというとや。そういう年齢の夫婦も、十分ありうるっちゅうことやね。
―――……な、なるほど。
さらに進んで20歳と30歳ならだいぶ現実味を帯びてくる。ましてや30歳と40歳とか、それ以上なら?
―――あ、普通にありだ。
せやろ? 私と士郎かて7歳差や。結婚した時は16歳と23歳、世間的に見れば結構危ない夫婦やけど、今なら23歳と30歳。おかしいことなんてな~んにもない。要はそういうこっちゃ。
―――確かに、今の二人が並んで歩いてても誰も問題視はしませんよね。というか、なんで八神司令を引き合いに?
まぁ、私もリンディさんのアドバイスには結構励まされた口やからね。
……白状するとな、私自分の気持ちとか伝える気はなかったんよ。長くは生きられへんと思ってたし、それで大好きな人の心に傷をつけるのは嫌やった。
せやけど、恋は叶わなくても家族になら……それで、ついポロっと口をついてもうたんよ。「兄妹やったらよかったのに」って。まさかなぁ、そんな何気ない一言が士郎の人生を変えるとは思わんかった。
私を助けるために、守るために……士郎はそれまでの自分、切嗣さんから受け継いだもの、それら全てに背を向けることを選んだ。元々は、完成した闇の書を私ごと虚数空間に落として処理するつもりだったはずやのに……。
―――えっと、ロストロギアを使って身代わりになろうとしたんですよね。
うん。本来は権力者の保身のためのもんをユニゾンの瞬間に使って入れ替わり、自分の中に封印。あとは当初のプラン通り虚数空間へポイ。まぁ、この場合は身投げやけど。
犠牲はどのみち一人、それなら私やなくてもええ……そこで自分を犠牲にするのが士郎らしいっちゅうか、なんちゅうか……ホンマに馬鹿なんよ。そんなんして、私が喜ぶわけないってどーしてわからんかなぁ。
……いや、わかってる。ホンマにどっちかしか選べへんのなら、あるいは私が身代わりになって士郎が助かるんやったら、たぶん私も同じことをする。
まぁ、それにしたって「闇の書の力を手に入れようとして失敗した黒幕」っちゅう建前まで用意してたあたり、変に用意周到と思わん?
―――そのままだと八神司令に責任問題とかが来るかもしれないから、「被害者」ポジションにするために、そういう建前を用意したんでしたっけ?
そう。しかも、矛盾したりせえへんように蒐集を始めようとした段階でヴィータたちに全部バラして、口裏合わせしとったんよ。その上で「はやての未来のために一緒に死んでくれ」やで。アインスまでそれに乗ってまうし……。
―――愛されてますね、八神司令。
……そうやね。やり方はともかく、士郎は命を捨てる覚悟で私を愛してくれた。まぁ、当時のは兄妹愛やけど。
実を言うと、割と責任感じとるんよ。私の無責任な一言のせいで、士郎にそれまでのすべてを捨てさせてもうた。
だからってわけやないけど、愛してくれた分だけ愛したいし、貰った以上の幸せをあげたい。士郎にとって生きるっちゅうことは溺れてるのと同じで、幸せであることを苦しく思ってまうことは知ってる。
それでも私は、その苦しさを忘れてしまえるくらいに士郎を幸せにしたいんよ。
……って、勢い余ってなにいきなり愛を語ってるんやろ、私。恥ずかしい……そもそも何の話を……
―――いえいえ、ごちそうさまです。それで、元は八神司令が立香さんをどう思ってるか、ですね。
ああ、せやったせやった。アインスのことで感謝してるって話やったっけ。
あと付け加えるなら……ご迷惑おかけしました、やな。本人は全く気にしてなさそうやけど。
―――何かあったんですか?
結果的に士郎のプランは失敗に終わったわけやん。そうなると、さっきの「責任問題」は当然私のところに来る。
誰も彼もがリンディさんやクロノ君みたいに「罪を憎んで人を憎まず」とはいかん以上、私やシグナムたちのことを憎んでる被害者、恨んでる遺族は今もいる。私自身、復讐されても仕方ないとは思ってるしな。
いや、自分から身を差し出そうとは思わんけど。そうなったら、士郎をはじめ家族を幸せにできなくなってまうからな。
そもそも、私らのことは「特秘事項」扱いやから詳しいことを知れる人は限られとる。
でも、それも完全とはいかん。例えば、昔の被害者がシグナムたちを見ればそうとわかるわけやし、情報漏洩を完全に防ぐのは無理や。まぁ、それでも実際に行動に出る人は少ないけどな。とはいえ、それはゼロとイコールやない。
―――もしかして、狙われたりとかするんですか?
何年かに一度くらい、な。まぁ、それなりに対策もしとるから大抵は事を起こす前に止められるんやけど、これまた絶対っちゅうわけでもない。
で、サーヴァント関連の騒動が起きてる頃に隙が出来てもうてなぁ。それに立香さんを巻き込んでもうたんよ。
未熟な子どもの頃とはいえ、ホンマに情けない。
* * * * *
「立香!」
局での任務を終え、帰宅する途中で受けた緊急連絡。転送ポートを出たところで待ち受けていたリンディの車に乗り、八神家へと駆け込んだフェイトを待っていたのは、あまりにも重く静まり返った空気だった。
「っ!?」
一室のベッドに横たえられたその姿に、フェイトは知らず知らずのうちに息をのむ。
その姿が、あまりにも普段通りだったから。見たところ怪我らしい怪我はなく、本当にただ眠っているだけのようで……。二年前、わずかな時間一緒に暮らしていた時に何度も見たそれとほとんど変わらない。釣られるようにして懐で眠ってしまったその寝顔は……本当に、今すぐにでも呑気な欠伸と共に目を覚ましそうに見えた。
だから、この目が二度と開かないかもしれないなんて、信じられないし……考えたくもない。
(………………………………そうだ。こんなの、嘘だ)
いま、自分がどんな表情をしているかさえ、フェイトにはわからない。頬が濡れる感触がないことから、泣いていないだろうことはわかる。なんとなく、口角が吊り上がっている気がするから、案外苦笑いでも浮かべているのかもしれない。
一歩前に踏み出すと、足元がフワフワしておぼつかなかった。それでも進もうとすると、視界が激しく横にブレた。フェイトは気づかなかったが、アルフと一足早く駆け付けたなのはが慌てた様子で支えようと手を伸ばす。ただ、無意識のうちに身体がそれを補正したので、二人は手を引っ込める。
そのまま、危うい足取りで進んでいくと……ベッドわきで両手を握りしめていたはやてが目を涙でいっぱいにしながら振り返った。
「ごめん……ごめんな、フェイトちゃん。私の、せいで……」
「……寝てる、だけなんだよね」
「……」
「立香って、結構だらしないんだ。掃除とかも大雑把だし、料理だってたいして上手くないのに目分量だから、味が薄かったり濃かったりで安定しない。部屋の片付けも適当で、良く物の場所が変わるんだよ。だから、時々部屋の中をひっくり返して、また散らかすんだ。
それで、もっとしっかりやろうって言うと、困ったみたいに笑うんだよ。私が立香を閉じ込めた時とよく似た顔で……ああすれば誤魔化せると思ってるのかな、まったくもう」
目の前の現実を否定するように、拒む様に口から溢れる文句とも小言とも取れない言葉の数々。
フェイト・テスタロッサ・ハラオウンにとって、藤丸立香は
彼女の行いを拒絶することもなく、その思いを否定することもなく、疲労が蓄積する中温かく出迎え、時に傷ついて帰ってくる少女に寄り添い、気丈に振る舞おうとするフェイトのすべてを甘く優しく包み込み、何も語らないフェイトに大切な言葉を送り、最後にソッとその背を押してくれた人。
そんな彼だからこそ、フェイトは申し訳ないと思いつつもワガママを口にしてしまう。
その生い立ちと来歴故に、誰かと関わる時に無意識に抱いてしまう「嫌われてしまうのでは」「幻滅されるのでは」といった感情を彼にだけは抱かない。不当に自由を奪うなどという真似をされながら、そのことを忘れたわけでもないだろうに、何事もなかったかのように受け止めてくれる。だから、つい甘えてしまう。
これ以上迷惑をかけてはいけないとわかっているのに、むしろ恩返しをすべき相手のはずなのに、いつもいつももらってばかりで、そんな自分が情けなくて……でも本当は、それがうれしかった。
その温もりが失われてしまうかもしれないなど、脳裏をよぎるだけで心臓が止まりそうになる。
願わくば、慣れない悪口に怒って目を覚ましてほしい。何事もなく、いつもの居眠りだったと笑い話にしてほしい。なのに、そんな願いはどれだけ言い募っても叶わない。
気付けば、いつの間にか言葉は途切れ途切れになり、合間に嗚咽が混じるようになっていた。
「特に、寝る時がそう。床で寝てる時もあって、いつも…ちゃんと、した場所で…寝ようって…そう、言ってるのに、っ! また、こんなところで寝て! はやてたちに…迷惑、かけて……立香! ねぇ、立香! 起きて、起きてよ!! ねぇってば!!!」
「フェイトちゃん……」
「なのはさん。いまは、好きなようにさせてあげて」
ついには力なく横たわる身体に縋りつき、泣きじゃくるフェイト。なのははそれを見ていられなくなったのか、声をかけようとするがリンディに止められる。彼女には、フェイトの胸中が理解できるのだろう。今のフェイトには、感情を吐き出すことが必要なのだ。
「はやてさん、辛いとは思うけど……何が起こったのか、説明してもらえる?」
「……もちろんです。私も、このままでいるつもりはありませんから。シャマル」
「はい」
守護騎士の参謀役であるシャマルの口から語られる、今回の事件の概要。
現場になったのは八神家行きつけのスーパーの前。偶々立香と出会い、フェイトを介してとはいえ知らない仲ではないということもあり、軽い雑談などしているところでそれは起こった。
後から考えれば、幻術魔法による偽装だったのだろうとわかる、足元に転がってきたサッカーボール。幻術魔法はその性質上、特に魔法の気配がつかみづらい。なのはやフェイトを超える膨大な魔力を有し、ミッドとベルカ双方の魔法をSランクで扱えるはやてであっても、例外ではない。何とはなしに拾い上げ、手に取ることでようやく気付いた彼女は、反射的に防御魔法を展開しようとしたが……結果的に、これが悪手だった。
はやての魔力の発動に呼応する形で幻術が剥がれ、剥き出しになったのはどす黒く染まったガラス玉。それが鈍い光を放とうとした瞬間、誰よりも早く動いたのが立香だった。
話をするためにはやての間近にいたこと、なにより緊急事態や危険に対する経験値が豊富だったからこそ、彼は直感的にはやての手からそれを叩き落した。そのおかげで発動に先んじてはやての手から“それ”は離れたが、立香はそうではなかった。わずかに、それこそ指先が微かに触れている程度だったが、確かに彼は触れていたのだ。
「その時、あなたたちは?」
「立香さんとのお話の邪魔にならないよう、少しだけ離れていました」
「……そう」
サーヴァントの暴走体の出現により、管理局は海鳴市周辺に警戒網を展開し、なのはたちも有事に備えて可能な限り二人以上で行動するようにしていた。学校帰りに夕食の買い出しに出ていたはやてもその例に漏れず、シャマルとザフィーラを伴っていたのだが……外ばかりを気にして、周囲への警戒が僅かに緩んでいたことは否定できない。それだけ、全く別法則の力を行使する彼らの存在を、危険なものとして警戒していたということだ。
シャマルと彼女にリードを引かれたザフィーラが僅かに離れていたために起こったとも言えるそれは、不運な事故と言わざるを得ない。もし仮にはやてが攻撃されたとしても、即座に対応できる備えはしていた。ただ、暴走体の性質上こういった姑息な真似はしてこないため、シャマルたちも直接攻撃への対処に意識が傾いていたのだ。
「その後の状況は?」
「容疑者は拘束して、今はシグナムが監視しています。なんというか、その……」
「どうやら、闇の書時代の被害者らしく。どうか、寛容な対応を」
「あの人もというか、あの人がというか……とにかく、被害者なんは変わりません。私からも、お願いします」
はやてを狙い、無関係な立香を巻き込んだことには思うところがあるが、その発端は自分たちの過去。主であるはやての意向もあり、それが彼女たちの方針だ。はやてを筆頭に、揃って頭を下げるシャマルとザフィーラ。不満そうではあるが、やはりヴィータも同様だ。
「わかっているわ。それで、立香くんの身に何が起こっているかは?」
「精査した限り、外傷などはありません。魔法の痕跡はありますが、今現在はなにも……」
「あなたがそう言うなら、間違いないわね。ということは、彼が目覚めないのは外的な要因ではないということかしら」
「一応、クロノ君とユーノ君には立香さんと例のガラス玉のデータを送ってあるんで、何かわかれば……」
そうして話し合いを続ける管理局組と同様に、イリヤたちもまた心配そうに視線を送る。ただ、彼女たちは現状立香との関係を隠しているため、表立ってそれをするわけにもいかないが。
(どうしよう、美遊)
(……事件が起こったと思われる時間に、確かに契約の“ゆらぎ”は感じたけど、現状は特に異変もないし……静観するしかないと思う。クロは?)
(同感。とりあえず、毒や病気の類じゃないのは確かね。それだったら、マスターなら弾いちゃうはずだし。考えられるのは呪いか精神干渉だけど、今現在その手の気配がないってことは、どっちも可能性は薄いかもしれないわ)
(それって何もわからないのと同じってことでしょ!?)
(だから、いまユーノとクロノが調べてるんでしょ。たぶん、クロノは容疑者…というか犯人周りの捜査、ユーノは例のガラス玉方面からでしょうね。とにかく、もう少し情報がないとこっちも動くに動けないわよ)
(でも、場合によっては情報を開示することも視野に入れた方が良いと思う)
立香の身の安否は、イリヤたちのみならずカルデア全体の最重要事項だ。彼の身に何かあれば、それこそカルデアに召喚された全サーヴァントが退去することになりうる。
故に、美遊が守秘義務を破ってでも情報開示を考慮すべきと提言したのは当然のことだ。情報を隠すことよりも、立香の身の安全の方がはるかに重要度が高いのだから。
その後、しばらくしてようやくフェイトも吐き出すものを吐き出せたらしく、少しだけ落ち着きを取り戻した。
とはいえ、休憩や食事を促しても頑として立香の傍を離れようとはしなかったが。なので、妥協案として簡単につまめる軽食を用意し、ベッドの傍で食事をとらせることに。
なのはは一度帰らせたが、リンディはフェイトの養母ということもありそのまま残っている。もちろん、立香との関係性を話していないので、イリヤたちもなのは同様帰宅。クロノとエイミィは捜査のため帰れないということもあり、三人+アルフで出前を取って食事を済ませた。気が気でない時間が数時間過ぎ、時計の針が夜10時を回った頃……ユーノから例のガラス球について報告がもたらされた。
「簡単に言ってしまうと、地球で言うところのカメラやビデオといった、撮影・録画機材に近いロストロギアだね」
「そんなものもロストロギアなわけ?」
「ロストロギアって言ってもピンキリだよ。世界の一つや二つ消してしまうくらい危険なものから、ほとんど無害なものまでね。それこそ、モノによってはお金さえあれば入手出来てしまうようなものもある。まぁ、どうしても希少性が高くなるから、比例して高価にはなるけど。闇の書事件で士郎さんが使ったのだって、売れば一財産になるから」
特に、彼の使ったそれは危険性は低いが、モノがモノなので一般には流通されない類だ。当然裏ルートを使って入手したということであり、金額はさらに跳ね上がる。どうやって費用を工面したのか……はやてを救うという目的に対する、彼の本気度がうかがい知れる。
「でもユーノ君、それでなんで立香さんは目を覚まさないの?」
「確かに、聞いた限り無害そうやけどなぁ」
「元々はその場その瞬間の風景や音なんかを記録・保存するものなんだけど、そこはロストロギアというべきか、ちょっと性能が無駄に段違いなんだ」
「?」
「カメラなら映像、ビデオならそれに加えて音が記録されるけど、このロストロギアは残る五感、嗅覚・味覚・触覚すら保存できるんだ。それどころか、使用者がその時に抱いていた感情すらも。
つまり、綺麗な風景を見た感動とか、嬉しい出来事があった時の気持ちなんかをそのまま記録できるってこと」
「それは、ステキやなぁ……」
無駄に性能がいいという意味は分かったし、なるほど確かにそこにはロマンがある。はやてが思わず感心したのもうなずけるというものだろう。そして、そこまで高性能なら確かにロストロギアの名に偽りなしだ。
とはいえ、それでもやはり現状に対する回答にはなっていない。そんな代物がどうして、立香が昏睡し続ける原因となりうるのか。
「で、本題はここから。実は、今回使われたものには機能に一部改造の痕跡が見つかってる。それが、人の感情を保存できるという部分。クロノや技術部からの報告待ちだから確定ではないけど、おそらくそこを利用して、その……」
「我らへの恨みや憎しみを徹底的にねじ込んだのだろう。それも、一人や二人ではあるまい」
言い淀むユーノから、容疑者を引き渡したことで監視役より解放されたシグナムが深々と息をつきながら後を繋ぐ。
「そうなの、ユーノ君?」
「……うん。クロノの調査だと、被害者や遺族に片っ端から集めて回ったみたいなんだ。ほとんどの人は詳しいことを知らなかったみたいだから、立件されることはないだろうけど」
「それはええ。被害者の人たちからすれば当然の感情や。そういうん含めて、全部背負う覚悟はとうにできてる。せやけど、そうなると一人や二人どころか数百人で収まるかも怪しいな」
「詳しい数はまだ調査中だけど……」
「最低でも数百人分の恨みや憎しみ……そんなん呪いと同じや。リンディさん、この通信フェイトちゃんは?」
「今は繋いでいないわ」
「さよか。ならシャマル、はっきりと言うて。数百人分の負の感情に触れたとしたら、どうなると思う?」
はやてに問われ、しばし黙考するシャマル。医務官として局に勤める彼女だが、そういったことは専門外ではある。とはいえ、患者の精神ケアも職務のうち。精神科医の真似事くらいならできないことはない。
だからこそ、おおよその見当がついてしまう。その中から、せめて少しでも希望を見つけ出そうと考えているのだろう。しかし、時計の針が10周したうえで彼女が出した結論は、希望とは程遠いものだった。
「……まず、もちません」
「っ!」
「人によって抱く感情の程度はそれぞれでしょうし、時間の経過で薄まっている人もいるかもしれません。だとしても、何百人分という怨嗟をあの一瞬で叩きつけられたりしたら、ひと一人の心なんて簡単に……」
「……さよか」
「むしろ、昏睡程度で済んでいるこの状況の方が驚きなくらいです。良くて心と脳が壊れて植物状態、最悪ショック死していても不思議じゃないんです。
立香さんの脳波に今のところ大きな乱れはありませんし、呼吸や循環といった生命維持に必要な機能も問題なく働いています。外部からの刺激に対しても反応していますから、脳死などでないのは明らかです。でも、目を覚ますかと言われたら……」
絶望的、と言わざるを得ないのだろう。
「希望があるとすれば、改造したロストロギアの容量がそれほど多くない可能性ですけど」
「どうなん、ユーノ君」
「そこも、技術部からの報告待ち。ただ、映像とかを保存する機能は削って、感情の保存に特化させたみたいだから……」
相当な容量があると考えるべきだ。
場の雰囲気が、自然重苦しいものになる。普段は明るく元気なアルフですら、今は消沈した様子だ。彼女も立香との付き合いはフェイトに並んで古い。彼には、恩義すら感じてもいた。そんな相手が二度と目覚めないかもしれないとなれば、フェイトのことを抜きにしても沈み込まざるを得ないのだろう。
ただそんな面々に対し、イリヤたちはと言えば……密かに肩の力を抜いていた。
(あ~よかった、それなら大丈夫そうかな)
(うん。マスターがその程度でつぶれるなんて考えられない)
(金ピカだったら「その程度の雑念飲み干せずして、
なるほど、数百人分の怨嗟…それは生半可なものではないだろう。ひと一人の心を容易く砕くに足るのだろう。
しかし、それはあくまでも相手が常人であればの話。藤丸立香は常人にあらず。正確には、常人ではいられなかった。元をただせば彼は普通の、どこにでもいる一般人。だが、立香が歩んだ過酷な旅路は、彼に
未来を勝ち取るために進み続けた彼が背負った業は、生きるために積み重ねた罪過は計り知れない。今更、その程度で膝を折る資格など彼にはない。
また、彼は契約したサーヴァントたちの内面を夢に見ることがある。高潔な者もいれば非道を為した者もいる、中には“この世全ての悪”として祀り上げられた者まで。
たかだか数百人分程度の怨嗟に飲まれてしまうようでは、彼らから逆流してきたものに耐えられない。
(でも、どうしてまだ目を覚まさないのかな?)
(……案外、夢の中でさらに寝てたりとか?)
(ありそうねぇ……私はさらにそこから別の夢に紛れ込んだに一票)
(フェイトちゃんのためにも、早く起きてほしいんだけどねぇ)
ただそうなると、色々厄介なことになる。常人では到底耐えられない“感情の爆弾”と称すべきそれを受け、ケロッと目を覚ませばさすがに怪しまれるだろう。
どこまで誤魔化しきれるかはわからないが……と思っていたところへ、けたたましい警報音が鳴り響いた。
「どうしたの!」
「サーヴァントと思われる反応を確認! 数は…三、四……多い、計6ヶ所!」
東京支局に連絡を取ったリンディに返されたのは、間が悪いことこの上ない報告だった。
今までにも何度か確認された反応が、今回に限って6。これまでは同時でもせいぜい2つが限度だったというのに……。
(マスターの変化に反応した可能性もあるわね)
(うん。暴走状態とはいえ、みんなマスターのサーヴァントだから)
(私たちも感じたんだもん。こっちにこれたのが身体と力だけでも、あの人たちが反応しないはずないよね)
「……やむを得ない、わね。クロノに代わり、私が指示を出します。まずはイリヤさん美遊さんクロさん、あなたたちに臨時の嘱託魔導士として協力を要請します」
「「はい」」
「しょーがないわね」
対サーヴァントという意味では、この三人に勝る者は管理局関係者の中にはいない。そこで、臨時の嘱託魔導士資格という形をとり、協力態勢をとっているのだ。
とはいえ、これでカバーできるのは三ヶ所まで、残る三ヶ所にも対処しなければならない。しかし、サーヴァントに対処するには生半可な戦力では心許ないのも事実だ。そうなると必然、出せる人員は限定されることになる。
「この三人はそれぞれ指定のポイントへ、加えてなのはさんとヴィータ、それにシグナムも同様に! 残るメンバーには支援を……」
「私も、行きます」
編制を決め、行動開始を支持しようとしたところで割って入った声。
それは最近の彼女からは考えられないほど、暗い影を伴ったものだった。
「フェイトちゃん、さっきの話……」
「え?」
「ううん、なんでもない。でも……」
「大丈夫。私は、大丈夫だから」
「全然、大丈夫な顔してへんよ」
「でも、サーヴァントは危険だ。だから、私たちも普段から二人以上いるようにしてたんでしょ」
「それは、そうやけど……」
「今の三人に私とアルフ、それにザフィーラを加えればツーマンセルが組める。はやてには後方で支援をしてもらって、リインとシャマルにはその護衛と補助をしてもらうのが一番の筈。違いますか?」
確認するようにリンディの目を見据えるフェイト。確かに、言っていることは正論だろう。
しかし、つい先ほどまでの彼女の取り乱しようを考えると、どうしても不安をぬぐえない。今は落ち着ているようだが、彼女が精神的な脆さを抱えていることをリンディは知っている。滅多なことでは表面化することのないものだが、果たして……
「お願いします。ここにいても、私には何もできない。何かしていないと、気が変になりそうで……」
「……わかりました」
「ぁ……」
「でも、後退を指示したら従うこと。これは絶対よ、守れるわね」
「……はい」
「では、編制を変えます。なのはさんにはアルフ、ヴィータにはザフィーラ、フェイトにはシグナムとペアを組んでもらいます。フェイト、あなたのところはシグナムがリーダーよ」
「お願いします、シグナム」
「ああ」
頭を下げるフェイトに、シグナムも静かにうなずき返す。その一方で、彼女は視線をリンディに向ける。
本来なら、戦力バランスや連携のことを考えると編制はもっと別の形が最良だった。にもかかわらずこの形にしたのは、フェイトに対する不安の表れ。それを理解しているからこそ、言葉には出さないが、母親である彼女に向けて「任せろ」とでも言うように視線を向けたのだ。
そうして散開し、それぞれバックアップの武装局員を伴って現場へと向かっていく面々。
戦況は、良くも悪くも予想通り。サーヴァント戦に慣れているイリヤたちはある程度対応できているが、不慣れな残りのチームは悪戦苦闘を強いられていた。特に、やはりフェイトが動きに精彩を欠いている。
ペアのシグナムがフォローしてくれているからこそ落ちずに済んでいるが、危うい場面は何度もあった。
(これは、やっぱり退かせるべきでしょうね)
フェイトの思いを汲んでいかせたが、これ以上は本当にただでは済まなくなる。
そう考え指示を出そうとしたところで、リンディは自身の傍らの変化に気付いた。
立香のことを放置するわけにもいかず、彼の眠る部屋から指示を出していたのだが、起きるはずのない彼が身じろぎをしたのだ。
(まさか……)
「ふわぁ~……あれ、ここどこ? カルデアじゃないし、俺の部屋…でもないよな」
「立香くん、あなた……」
「あれ、リンディさん? どうしてここに…というか、ここどこですか?」
あまりにも呑気な立香の反応に、なんというか気が抜けてしまいそうになる。
人の気も知らないで……というのが正直なところではあるが、何はともあれ目が覚めたのは良いことだ。
たとえそれが、どれほど不可解であったとしても。しかし、同時にこれは好都合でもある。以前から、彼には聞きたいと思っていたことがあるのだ。
「ここははやてさんのお家よ」
「はやて? あぁ、そういえばはやてと話してたんだっけ、それで……」
「一つ、聞いてもいいかしら」
「はい?」
「あなた、何者なの?」
率直な、だからこそ無駄な要素を一切省いた問。それに対し、困惑の色を浮かべて首をかしげる立香。リンディはそれが素の反応だと読み取り、もう少し詳しく説明を試みる。
「フェイトのことで、あなたには感謝しているわ。でも、だからこそ少し調べてみたの。そうしたらわかったことがあった、それは……」
(あ~、そりゃ調べればわかるよなぁ)
「あなたのことが“何もわからない”ということよ」
それはそうだ。だって、立香はそういった情報操作の類を一切していない。というか、できない。
こちらの世界にこれといったツテはないし、別段裏工作の手練手管を持っているわけでもない。
ならば、当然彼のことを調べればフェイトと会った二年前の春以前の彼の足跡を終えるはずがないのだ。
「あなたが善良な、危険な人物ではないのはわかっています。でも、逆に言えば直接会って話をしてわかる以上のことがわからない。そして今回のこと」
「え?」
「目が覚めたのは良かったし、フェイトも喜ぶわ。でも、あなたが受けたものは二度と目を覚まさなくなってもおかしくない…というより、普通ならそうなって当然のものよ。なのに、どうしてあなたは平気なの?」
「どうしてと聞かれても……ただ、話を聞いただけですよ」
「は?」
「いや、どれくらいいたのかよくわかりませんけど、四方八方から色々言われても困るんですよねぇ。俺、聖徳太子じゃないし……いや、実際には声じゃなかったっぽいけど、とりあえず一つ一つ聞いていって、終わったと思ったら目が覚めました」
「………………………………………………」
予想だにしない返答に、開いた口が塞がらないといった様子のリンディ。
まさか、数百人分に及ぶであろう怨嗟の一つ一つに耳を傾け、それを宥めていったとでもいうのだろうか。
いや、立香の様子だと本当に「話を聞いただけ」のようにも思えるが……それでもこれは異常だ。
「どうかしました?」
「重ねて聞きます、あなたは何者なの」
さりげなく警戒を続けながら、改めての問い。こんなこと、フェイトがいる前では聞けない。フェイトは立香に心を赦しているし、実際彼は善人なのだと思う。
しかし、彼女と養子縁組をし、母親となったからには見過ごせない不審。加えて、これだ。この機会は、ある意味では好機と言えるだろう。
「何者かぁ……なんと言ったものか。でも、今はそれよりフェイトたちの方が重要じゃありません?」
(っ! しまった!?)
予想外の目覚めだったこともあり、投影していたモニターを消し忘れてしまったことに遅ればせながら気づく。
だが、そんなリンディの焦りをサラッと流し、立香はモニターを流し見ておおよその状況を把握する。まぁ、クロエたちからある程度この街で起きていることや管理局のことを聞いていたからこそ、スムーズに状況を把握できたわけだが。
「とりあえず、そっちの対処が先ですね」
「……何をするつもり?」
「“目には目を歯には歯を”じゃないですけど、サーヴァントにはやっぱりサーヴァントでしょう?」
「サーヴァント……なぜ、あなたがその言葉を?」
リンディの問いには答えず、立香は財布から出した一枚の紙を広げ床に敷く。
そこには、極めて複雑な魔法陣が描かれていた。
「カルデアからの魔力供給は…よし。これならいけるか。問題は誰が来てくれるかだけど、やるだけやってみよう」
「待ちなさい! なにを……」
「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
「これは、詠唱?」
確かに、ミッド式・ベルカ式を問わず高度な魔法や複雑な魔法には詠唱という方式が使われることはある。
しかし、実用性を重視する傾向から、長文詠唱というのはまずありえない。やるとしても、たいていの場合は今立香が詠唱したくらいで終わるものが大半を占めるだろう。
にもかかわらず、立香の詠唱はさらにさらに続いていく。
「
繰り返すつどに五度。 ただ、満たされる刻を破却する」
魔法陣に魔力が注ぎ込まれ、紙面上の陣がまばゆい光を放つ。
魔術師ではないリンディにはわからないことだろうが、全力で魔術回路を回転させている立香は全身を駆け巡る異物感に脂汗を流しながら耐え、さらに回転をあげる。
「――――告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
眩い光と荒れ狂う風が部屋の中を蹂躙する。目を開けていることすら困難な中、リンディは辛うじてうっすらと開けた瞼の隙間から、声を出すことも忘れて揺ぎ無く立ち続ける立香を見ていた。
「誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者」
そして、最後の一節が紡がれる。
「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
締めの詠唱と共に、光と風が爆ぜる。
まるでそれまでの激しさが嘘のように静けさを取り戻し、光が散り、風の余韻が吹き抜けていく。
同時に、気付く。今までは立香とリンディの二人だけだったはずの室内に、複数の気配が現れていることに。
「まさか……サーヴァント?」
「じゃあみんな、ちょっと手伝いを頼めるかな」
これが時空管理局と人理継続保障機関「フィニス・カルデア」、二つの組織の邂逅だった。
* * * * *
「ん……」
「あ、目が覚めましたか、先輩」
「マシュ? ああ、今度はカルデアか」
目を覚まして飛び込んできたのは、見慣れた真っ白な天井と可愛い後輩。
“向こう側”では結構な騒動にはなったが、何とかことをあまり大きくせずに収められたのは僥倖というべきだろう。まぁ、一部サーヴァントがそれはもう大暴れしてくれたわけだが。
「“今度は”ということは、また“あちら”…海鳴、でしたか?」
「うん。悪いんだけど、ダ・ヴィンチちゃんたちに連絡してもらえる? 実は、俺のことがばれちゃった」
「そうなんですか?」
「まぁ、それ自体は成り行き上仕方なかったと思うけど。でも、報告は必要だろ?」
「そうですね。では、行ってきますが先輩は?」
「俺は“アリシア”を引っ張ってく」
「……そうですか。先輩、あまり無理強いはしないでくださいね」
「向こうが逃げなければね」
そうして、それぞれ報告のための準備に入る二人。
十数分後、会議室の一つに集まった一同に対し、立香は今回のことのあらましを報告した。
「では、特に死者は出ていないんですね」
「うん、その辺は大丈夫。怪我人は出たけど、玉藻の宝具である程度回復したから」
「加えてロードまでいらしたんですよね? あのお二人のコンボは非常に強力ですから……」
何しろ、方や自陣に対する強力な支援効果、方や敵陣に対する強力な阻害効果。味方を強化し、敵を弱体化させる、基本と言えば基本だが……あの二人の規模でやられると悪辣極まりない。
「で、前線には騎士王と聖女のオルタコンビ? アハハハハハ、何それ超派手! いいね、いっそ清々しい♪」
「ふむ、私はむしろ同情するよ。彼女たちが暴れたとなれば、更地では済まないだろう」
「いえいえ、やはり第一印象に必要なのはインパクト! 最高のファーストコンタクトではないでしょうか」
カルデアの三大頭脳、
どいつもこいつも飛びぬけて優れた頭脳の持ち主だが、それと同じくらいにロクデナシである。
「……まぁ、一緒に召喚されたカエサルさんの交渉の助けになったようですから、間違ってはいないのでしょうが」
「フォ~……」
「うん、まぁリンディさんが本気で凹んでたのは…悪いことしたかなぁ?」
「ところで、フェイトさん…でしたか。彼女も無事なのですか?」
「うん。ただ、しばらく離してくれなかったけど……」
「それは、無理もないかと……そういえば、アリシアさんはなにかないのですか?」
そういってマシュが水を向けたのは、さっきからずっとだんまりを決め込んだ黒髪の14・5歳の少女だ。
「……ありません。ええ、ありませんとも。というか、私に何かコメントする資格なんてそもそもないんです。なので、早々に退席させてください。というか、今すぐお願いします!」
早口でまくし立てる彼女だったが、答えはあまりにも無常だった。
「え、ダメ~♪」
「要請は受理されません」
「というわけだ、諦めたまえ」
「こんのロクデナシども! 立香! マシュ!」
「フェイトに会うって約束してくれたらいいよ」
「その、ごめんなさい……」
「シット! 味方がいない……!」
お行儀悪く舌打ちするが、だからと言って誰も同情はしてくれない。
そもそも、彼女はあちら側に対する貴重な情報源なのでいてくれないと困るのだが。
「とはいえ、今回のことでだいぶ縁が強まったのも事実。そうだろうダ・ヴィンチ」
「うん。あと数日中には浮上できるよ」
「良かったですね、アリシア。これでようやく娘と会えますよ」
「だから! 会いたくないって言ってんの! いや、会わせる顔がないのよマジで! 今更どんな顔して会って、何を話せってのよアンタら!? しかも、私この有様なんですけどぉ!? そもそも私ってわからないと思う!」
「……まぁ、確かに」
「実際、カルデアで保護した時とは色々変わってるからなぁ……まぁ、ギルの若返りの薬を飲んだんだから当然だけど」
カルデアが彼女を保護した時、既に彼女の身体は病に蝕まれ手の施しようのない状態だった。だが、そこで思いついたことがあった。“現在”がだめなら“過去”にしてしまえばいい。退去の前にギルガメッシュが残していった若返りの薬を使い、肉体年齢を逆行。病に侵される前の状態にすることで、一命をとりとめたのだ。
その結果、外見的にはティーンエイジャーになってしまったが。
また、虚数空間を漂っていた反動か記憶に混乱が見られ、ほとんど自分のことを思い出せなくなっていた。
そこで、かろうじて思い出せた名称の中から「アリシア」の名を名乗ることに。もう一つ「フェイト」という名も覚えていたのだが、こちらは徹底的に拒否。曰く「私には資格がない、そんな気がする」と。
しかし、そんな記憶の混乱も立香があちら側の話をする中で回復。
今では完全に思い出せており、管理局や魔法、次元世界の情報源として重宝している。いや、元々大変優秀な頭脳の持ち主なので、それとは関係なくカルデアのスタッフとして頼りにしているが。
とはいえ、これにも全く問題がないわけではない。
一つは、さっきから本人が激しく主張している通り、頑としてフェイトとの面会を拒絶していること。
もう一つは、彼女があちらでは相当に重い罪を犯していること。
まぁ、前者はともかく後者はカルデアが彼女の素性を黙ってしまえばバレないので問題なし。
やはり、一番の問題は前者の方だろう。
「ですが、アリシアさんの気持ちもわかります。薬の作用なのか、肉体の若返りに伴い精神も外見相応になっていますし、記憶の方も思い出したといっても……」
「……実感がない、なんて言えるわけがないじゃない。私は散々あの子に酷いことをして、心無いことを言った。そんな
そう、それが問題だ。一部サーヴァントにも見られることだが、肉体年齢以降に起こる出来事について知ってはいても、実感が伴わない。アリシアもまた、それと似たような状態にある。
フェイトに言ったことも、やったこともすべて覚えている。覚えているが、それに対する現実感が薄い。自分の行いとわかっているため罪悪感はあるが、どちらかと言えばそれは「実感を持てないことに対する罪悪感」だ。
「でも、大事なこと…思い出したんでしょ?」
「それは……」
「確かに、
「………………………………怖いのよ。若返ったといっても、この体はちゃんと年を取る。いずれ、私は
傷つけるのではないか、それが怖いのだ。
「それに、今あの子は幸せなんでしょう? 新しい…いえ、本物の母親の下で、優しい家族と、大切な友達に囲まれて……私の存在は、それを乱す。ようやくつかんだあの子の幸せを、邪魔したくない。あの子に何一つ与えようとせず、逆に多くを奪った私だからこそ……これ以上、奪いたくないのよ」
「アリシアさん……」
確かに、理解できないわけではない。特に今のフェイトは、リンディのことを「母」と呼びたいと思い、だがなかなか踏ん切りがつかずにいる微妙な時期。会うにしても、タイミングを計る必要はあるだろう。
「まぁ、とりあえず当分は秘密にするしかないんじゃないかな。アリシアのことは、慎重に扱うべきだろうし。
というわけで、立香君もそのつもりで」
「……了解」
まさに不承不承といった様子でうなずく立香。納得していないのは明らかだが、流石に軽率な行動には出ないだろう。
「ですが、聞けば聞くほどすごいですね。サーヴァントの中には幼い姿の方もいるので、私たちが言えたことでもないかもしれませんが、十歳にもならない子どもが働くというのはどうなのでしょう? そんなことをさせるくらいなら、管理外世界でしょうか? そちらへの干渉をやめるべきなのでは?」
「それができれば苦労はないでしょうね」
「まぁ、実際そうしたくてもできないというのが実情だろうねぇ」
「どういうことでしょうか?」
「さあ?」
「なに。初歩的なことだよ、諸君。管理外世界へ伸ばす手を引けば、なるほど人手不足は大いに緩和され、優秀だからと子どもを現場に出さなければならない状況は改善される。おまけに内側に力を注げるようになる分、管理世界の治安の向上にもつながるだろう」
「いいことづくめのように聞こえますが……」
そう、一見するといいことばかりだ。だが、世の中そんなうまい話があるわけないし、わかっていてやらないはずがない。
ならばどうしてやらないか。単純に、「やりたくてもできない」のだ。
「では、そうなった時管理外世界はどうなると思うかね、ミス・キリエライト」
「え……管理局が手を引く、だけではないのですか?」
「管理局が手を引くということは、治安を守る存在はいなくなるということだ。そうなれば……」
「犯罪者や違法研究者連中はこぞって管理外世界に出ていくでしょうね。私が言えたことじゃないけど」
「あ……」
「そっか……」
「その通り。それ即ち“犯罪の温床”という」
「やりたい放題好き放題できるとなれば、多少の不便も気にしないだろうしねぇ」
「ええ、私でもそうするでしょう。研究者にとって、横やりの入らない環境は貴重ですから。多少の不便は許容しますよ」
「加えて、中には人が住んでいる世界もあるだろう。そこは当然彼らの食い物にされる。まぁ、明るい未来を望むのは難しいだろうね」
外の世界だからとそれを無視するのも一つの選択ではあるだろうが、無責任の誹りは免れまい。何しろ、元凶となる犯罪者や違法研究者は、元は管理世界の住人なのだから。
「さらに、だ。そこで力をつけた連中が、最終的に管理局に戦争を仕掛ける…という可能性も否定はできない。
つまり、管理外世界への手を引っ込めるということは、長期的に見れば巨大なリスクを負うことになるというわけさ」
「かといって、マシュが言ったように外に手を伸ばせば内側が手薄になる。内と外の両立を図ろうにも、現状ですら子どもを現場に出さなければならないほどの人手不足。まぁ、無理な話じゃないかなぁ」
だからこそ、管理局は外へ外へと手を伸ばす。伸ばさざるを得ない。犯罪者や違法研究者がどこかの世界に拠点を設けないうちに把握するため、既に把握している世界で違法行為に及んでも迅速に対応できるように。
たとえその結果、管理世界の治安維持が手薄になり、人手不足を補うために幼い子どもを使うことになったとしても。そうしない結果生じるリスクの巨大さに比べれば……。
「ちなみに、彼らが言うところの“質量兵器”とやらの導入も、安易に導入すればいいというものでもないと私は思うね」
「同感だ。ある程度の訓練で誰にでも使える利便性、常に一定の効果を発揮する安定性は有効だろう。魔導という才能に依存する技術より優れた点は多い。だがそれは、裏返せば“誰にでも使えてしまう”ということでもある」
「公的機関が手を付ければ、いずれは一般にも流れるでしょうね。自然、犯罪もそちらの割合が増すでしょう。それに、いずれは大量破壊兵器の保持に至るのは目に見えていますし、そのままカタストロフを迎えるシナリオも十分にあり得ます。ええ、そのシナリオは実につまらない」
「彼らは歴史に学んだのさ。だからこそ、質量兵器とやらの導入に慎重になる。
まぁ、それとは別にアレが消費文明の申し子というのもあるだろう。一度手を付ければ、巨大な利権が絡むことになる。企業などからの干渉を抑えたいという思惑もありそうだ」
「目的のための手段の筈が、手段のために目的を作るようになりかねない……地球の戦争に経済活動の側面があるのと同じさ。それを恐れているんだろうねぇ」
聞けば聞くほどに、現在の管理局の体制が熟慮の上で作り上げられたものであることがわかる。
確かに、すぐにでも状況を変え得る方法はあるが、それには大きなリスクを伴う。今の管理局の在り方は、リスクと現実をすり合わせた結果の苦肉の選択なのだ。
「「……」」
「さて、重い話はやめやめ。どうせ話したって好転しないなら、楽しい話をしよう」
「はい、というわけで、カットカット」
「ふむ、いまここで語ることではないな。私としては、新たな謎解きの機会に胸が躍るのだが……」
やっぱり、ロクデナシはどこまで行ってもロクデナシだった。事件や謎を歓迎するなというに……。
「そうね。実際どうなの、サバフェスやれそう?」
「う~ん、カエサルが交渉してくれてるとはいえ、先立つものがないから」
「黄金律を持った方は召喚されていませんしね」
「場所だけじゃなくて、設備費とかその他諸々色々いるしなぁ」
「最悪、場所さえあればあとは何とかなるよ。今回は主催がオジマンディアスだからね。いざとなれば、魔力送りまくって複合神殿を継続展開。そこを会場にすればいいし」
「まぁ、あれで結構気前はいいからやってくれるだろうけど……」
たぶん、ニトクリスからは相当に文句を言われるだろうが。
とりあえず、まだ時間はあるので資金稼ぎから進めて行くしかあるまい。
並行して管理局との交渉も進めて行かなければならないことを考えると、色々大変ではあるが。
まぁそれも、人理焼却や濾過異聞史現象を巡る旅に比べれば軽いものだろう。
長くなったので戦闘シーンはカット。予定では、玉藻が「偶には神様らしいとこ……」と言って、周りが「神様!?」と驚くとか、オルタコンビの掛け合いとか、大暴れとか書きたかったんですけど……。
まぁ、このシリーズでは戦闘シーンはそんなに重要じゃないし?
とりあえず、次はやるとするならリフレクションに入るんじゃないかなぁと。何分、ほぼプロットも何もない超行き当たりばったりなので、どうなるか自分でもよくわかりません。まぁだからこそ書きやすい部分もあるんですけどね。
p.s
プレシアならぬロリシアさん、若返ったことで落ち着きとかが薄れテンション高めです。また、カルデアに染まったことで色々遠慮もありません。キャラ崩壊というより、朱に交わって赤くなった感じで……。