東方神竜伝 ~幻想入りした二人の物語~ 作:★sophia★
〜紅魔館 大図書館〜
レイス「...それで?パチュリー、俺を
呼び出して、何か用があるのか?」
パチェ「...ええ。ちょっとお使いを頼みたくてね。」
レイス「お使い?何のだ?」
パチェ「私の喘息の薬が切れてしまったの。
貴方にはその薬を買ってきて欲しいの。」
レイス「ふむ...なるほど。それで、
どこに行けばその薬を買う事が出来るんだ?」
パチェ「『迷いの竹林』って分かるかしら?」
レイス「あぁ、あの一度入ったら出られない
とか言われてる竹林か。...もしかして
そこに行かないと駄目なのか?」
パチェ「正解。その竹林の奥に
『永遠亭』と言う屋敷があるの。
そこに行って薬を買ってきてね。
お金は咲夜に貰ってね。」
そう言うと、本に視線を戻し、
また読み始めた。もう話す気は無いようだ。
レイス「...まぁ、行くとするかな。」
そう一言呟き、近くにある二つの剣を手に取り
腰に括り付ける。少しだけ床が軋んだ。
レイス「...できるだけ急ぐとするか...」
あの後、咲夜からお金の入った袋を貰い、
教えて貰った方向に向かって飛び立った。
...飛ぶ時に立っていた場所が少し陥没したが、
それを見なかった事にして飛び続け、
約一分程で迷いの竹林の入口に到着した。
レイス「...ここか。聞いた事はあったが、
実際に来てみると...かなり竹が多いな。
普通に入っても絶対迷うだけだなこれは。」
レイスの言う様に、竹は鬱蒼と生い茂り、
異常な程のレイスの視力を持ってしても
全く奥は見通せない。それ程なのだ。
レイス「...目印残しながら行くとするか...。」
通った道の竹に小さな切り傷を付けながら、
竹林の奥へとレイスは向かっていった。
〜五分後〜
レイス「駄目だ、迷った。」
そう言うレイスの前には、さっき付けられた
剣で付けられた竹の傷跡。
...つまり同じ所に戻って来ているのだ。
レイス「...もう一回ここからやり直すか...。」
と、レイスが一歩踏み出した次の瞬間。
ボゴォッ!
レイス「え?」
反射的に音がした下を見ると、深さ4メートル
位の穴が空いていた。所謂落とし穴である。
そして今レイスは空いた穴の真上にいる。
つまりは...
レイス「...っ!落とし穴か!」
反応は出来たが、壁に掴まる事は出来ず、
落とし穴の底にまで落下してしまった。
現在、レイスは『人間状態』である。
レイス「チッ...翼を消してたのが仇になったか。」
レイスは、竹林では翼や尾が
竹や草に当たって鬱陶しいため、
竹林に入ってからは消していたのだ。
???「ウサ?なんだ人間が引っかかったのか。
てっきり鈴仙かと思ったのに。」
レイス「あ?」
レイスが上を向くと、ピンク色の服を着た、
うさ耳の少女?がいた。
レイス「...何だ?誰だお前は。」
てゐ「私は因幡てゐ。ここの竹林に住む
妖怪兎ウサ。お前こそ誰ウサ。」
レイス「...レイスだ。ここの竹林にある
永遠亭に用があるんだ。」
てゐ「へぇ...なら道案内して
やってもいいウサよ?」
レイス「...なら頼もうかな。」
てゐ「まぁ...私を捕まえる事が
出来たらの話だけどねっ!」ビュンッ
てゐは言い切る前にダッシュして逃げていった。
もちろんレイスはまだ穴の底である。
レイス「へぇ...上等だよ。乗ってやるよ。
さっさと捕まえて案内してもらわんとなぁ?
『龍化』。...さぁ、始めようか?...そこか。」シュンッ
レイスは一瞬で竹の間をすり抜け、
てゐのすぐ近くまでたどり着いた。
これぞ龍の身体能力がなせる技。
てゐ「ウサっ!?予想より速い!?」ビュンッ
てゐは焦りの表情を見せると、さらに
速度を上げ逃げていく。もうかなり先まで
離れてしまっている。
レイス「正直、今の俺からは逃げる事は
ほぼ不可能だ。雷極『神雷斬』」バリィッ!
レイスは左腰に括り付けている
抜刀すると共に、雷を纏った斬撃を繰り出した。
竹は一切傷つく事無く、てゐに斬撃が直撃した。
てゐ「あばばばばばばっ!?」ビリビリッ!
斬撃が直撃すると共にてゐはその電気に痺れ
そのまま地面に倒れた。時々痙攣している。
完全に体が痺れて動けないようだ。
レイス「ふぅ...ようやく捕まえたぞ。
さぁ、案内してもらおうか?」
てゐ「ウ...ウサ...分かったから...せめて
もう少しだけ待ってくれウサ...。
まだ体が...痺れてるウサ...。」
レイス「はぁ...分かった。『麻
レイスはてゐを掴んだまま、『麻
を唱え、てゐの体の痺れを消した。その後、
てゐは逃げようと体をバタつかせたが、
レイスの力には適わず、数分して諦めたのか
レイスを見ながら質問をしてきた。
てゐ「...お前、人間じゃなかったのか?」
レイス「俺は『龍』。そもそも違う。
普段は人間の姿なだけだ。それより、
早く案内しろ。遅くなるとまた怒られちまう。」
てゐ「...そっちウサ。」
レイス「ふむ、こっちか。」
レイス「...ここが永遠亭か?てゐ。」
てゐ「そうウサ。着いたんだからとっとと
手を離して解放してくれウサ。」
レイス「ついでに人呼んで来てくれないか?」
てゐ「嫌ウサ。自分で行けウサ。」
そう言うと、てゐは近くに見える中庭の方に
走って行ってしまった。
レイス「...まぁ良いか。ごめんくださーい。」コンコン
???「はーい、今行きまーす。」
戸を叩くと、返ってきたのは女性の声。
数秒後、足音と共に戸が開いた。
???「はーい、どなたでしょうか?」ガラガラ
レイス「あ、こんにちは。紅魔館の者ですが、
ここに喘息の薬を買いにきたのですが。」
???「はい。あ、名前をお伺いしても
よろしいでしょうか?」
レイス「レイス・スカーレット
・ドラゴニールです。以後お見知り置きを。」
???「レイスさんですね。どうぞ。」
レイス「その前にそちらの名前も教えて
くれませんか?」
鈴仙「あ、はい。鈴仙・優曇華院・イナバです。
よろしくお願いしますね。」
レイス「よろしく。」
〜永遠亭〜
鈴仙「では、この先に師匠がいるので。」
レイス「分かりました。」
鈴仙は案内をすると、走って別の場所に
行ってしまった。
コンコン
???「どうぞー。」
レイス「失礼しまーす。」ガラガラ
永琳「初めまして。ようこそ永遠亭へ。
私の名は八意永琳。貴方は...何の妖怪かしら?」
そう質問してきたこの人は、特徴的な
赤と青のツートンカラーの服、帽子を被り、
長い白髪の髪を後ろで三つ編みにした、
不思議な雰囲気を持った医者だった。
レイス「...俺は...レイスだ。
レイス・スカーレット・ドラゴニール。
種族は...龍だ。後、神でもある。」
永琳「龍、ねぇ...。それで、何の用で
ここに来たのかしら?」
レイス「紅魔館の魔女の喘息の薬が
切れてしまってな。新しく買いに来たんだ。」
永琳「あぁ...あの魔女ね。わかったわ。
今調合してくるから、少し待っていて
くれるかしら。」
レイス「了解した。」
〜三分後〜
永琳「はい、出来たわよ。これを渡してね。
後...出来ればで良いけど、貴方の血を
少し提供してもらえる?」
レイス「...?それは何故だ?」
永琳「特に理由は無いわ。ただ私が
気になったから、研究してみたいのよ。」
レイス「まぁそれくらいなら...。」
色々と調べられまくった結果、レイスの血は
なんか物凄い効果があったらしい。
なんでも、寿命を犠牲にする代わり、
あらゆる怪我、病気などを治し全快する
効果があるらしい。まるでRPGのような
効果である。
永琳「またいらっしゃい。
(いい研究材料が見つかったわね...。)」
レイス「...?また来れたら来ようとは
思ってるが...まぁ良いや。それじゃ。」バサッ
レイスは別れの言葉を言うとそのまま
翼を広げて紅魔館に向かって飛んで行った。
数秒もするともう姿は見えなくなっている。
永琳「『レイス』...どこかで聞いたような...?
...気の所為かしら?」
???「永琳〜?ちょっと来て〜。」
永琳「はい、ただいま行きます。姫様。」
永琳は何か考え事をしていたが、気の所為だと
割り切り、いつもの日常へと戻って行った。
〜紅魔館 門前〜
レイス「よし、帰ってこれた。早いとこ
パチュリーに薬を渡さないとな。
...ん?...美鈴はまた寝てるのか...。『神雷』。」
美鈴に向かって弱めの雷を落とし、
目を覚まさせる。
美鈴「あばばばばばばっ!?...何事っ!?」
レイス「流石美鈴だな。弱めとはいえ、
この雷に直撃しても麻痺しないとはな。」
美鈴「レイスさんっ!?
いつの間にいたんですか!?」
レイス「ちょっとな。パチュリーの喘息の薬を
永遠亭まで買いに行ってたんだ。
後寝てたんだからいつの間にってのは無いだろ。」
美鈴「そ、そうでしたか...。
...咲夜さんには内緒にしといてくださいね?」
レイス「ハイハイ、わかったよ。
それじゃ、門番頑張れよ。」
美鈴「はい!」
レイス「さて、早く大図書館まで行かないとな。」
その時、世界が灰色に染まった。
レイス「...一瞬何事かと思ったが...やはり
咲夜だったか。またなにかあったのか?」
咲夜「いえ、ろくに仕事せずに寝ている
門番に罰を与えるだけです。お気にせず。
パチュリー様は現在
大図書館にいらっしゃいます。
後で紅茶を持っていきますが...。」
レイス「おう、そうか。ありがとな。
...この話は美鈴には言わない事にするよ。」
咲夜「承知致しました。」ペコリ
その数秒後、時が動き出すと共に
誰かの甲高い悲鳴が何回か聞こえた気がした。
〜大図書館〜
レイス「パチュリー、ほい、買ってきたぞ。
これで合っているだろ?」
パチェ「...ええ。合っているわ。ありがとうね。
...貴方はこの後どうするの?」
レイス「この後?特に無いが...強いて言うなら
屋上で特訓でもするつもりだが。」
パチェ「...言い方を変えるわ。
貴方、この先どうするの?ずっとここに
いるつもりなのかしら?」
レイス「そういう事か...それだったら、
近い内にどこかに移住する予定だ。
場所自体はまだ決まってはいないがな。」
パチェ「そう...それなら、魔法の森を
勧めるわ。あそこは瘴気とかがあって、
普通の人は入ることすら出来ないけど、
物好きしか居ないから、貴方にとっては
都合の良い場所なんじゃない?」
レイス「ふむ...それなら、実際にそこに行って
ちょっと考えてみるかな。
候補には入れておこう。」
パチェ「...だ、そうよ。二人とも。」
レイス「え?」
パチュリーがそう言うと、本棚の影から
レミリアとフランが姿を現した。
恐らく...いや、確実に今の話を
全て聞いていただろう。証拠に、今二人は
レイスに黙ったままくっついている。
レイス「...なぁ、パチュリー、もしかして...」
パチェ「ええ。貴方が思っている通りよ。
その二人は、ここにいて欲しいみたいよ?」
レイス「...まじか。...なぁ、二人共、
ほんとに俺にここにいて欲しいのか?」
レミリア「……………」コクコク
フラン「……………」コクコク
二人とも、黙ったまま静かに首を縦に振り
肯定の意志を示す。...意志は固いようだ。
レイス「...俺もできるならここに
残ってはいたいが、いつまでもここで
居候してる訳には行かないんだ。
いい加減、そろそろ自分で生活しないとな。」
そう告げるだけで、二人の手を握る力が
上がった。だが、未だに二人とも黙っている。
レイス「だが...出ていくと言っても、
何も今すぐって訳じゃない。そうだな...
後二週間くらいだな。それまではここにいる。
それでも良いか?」
二人はまだ、黙っている。お互いに顔を見合わせ、
どうするかを悩んでいる。
...これでは埒が明かない。その時だった。
パリーン..
一同「え?」
音の方向を見ると、いつか見た事のある、
鋭利な矢がレイスに向かって飛んできた。
レイス「またサクラか...?ホイっと。」パシッ
パチェ「...よく矢を素手で掴めるわね。
それで?なんて書いてあったの?
それ...矢文でしょ?」
レイス「えーっとだな...」
紅魔館の全員とレイスへ
率直に言うね。今レイスに関して
揉めてるでしょ?残って欲しいのと、
甘えてないで自立したい。そんな感じの。
凡そ、いつまでも結果は出ないと思うから、
私が案を出す。レイス、お前はちょっと
魔法の森に移住して欲しいんだ。
魔法の森には、魔理沙やアリスがいる。
レイスは魔法の森の最奥にある開けた場所、
そこに行ってほしい。勿論無理にとは言わない。
一番はレイスの意思を尊重するよ。
後レミリア、そしてフラン。
レイスに紅魔館にいて欲しいってのは分かる。
貴女達にとっては今やレイスは
家族の様な存在だものね。
だけど、ここはレイスの意思を尊重して欲しい。
それだけは分かってね。以上。
サクラより
PS.手紙に地図を記しておいた。
もしも移住を決めたのなら...こっちに
手紙を頂戴。サポートをするから。
レイス「...だってよ。相変わらず先読みが
得意な奴だな...。...それで、どうなんだ?」
レミリア「...行って欲しくない。けれども...
私は、紅魔館の主。こんな事で我儘は
言ってられないわ。レイス、貴方の意思を
尊重するわ。」
フラン「私も...出来ることならレイスに
行って欲しくない。けど...お姉様と同じ。
私だけ我儘言って、レイスを困らせるのは...
嫌だから。...私もレイスの意思を尊重する。」
レイス「...ありがとう、二人とも。
なら、もう少しだけここにいるよ。
少ししたら、魔法の森に移住するとしよう。」
レミリア「ありがとう、レイス。」
フラン「ありがとうね。レイスっ!」
パチェ「...移住するのなら、サクラに
返事を返した方が良いんじゃないの?」
レイス「おっと、そうだったな。
取り敢えず適当に移住するって事を書いて...
『博麗神社』に『スキマ』で届けとこう。」
そう言うと無造作に宵を抜刀、一振りすると、
剣の通った軌道上に歪なスキマモドキが出来た。
先程のレイスが言っていた様に、
博麗神社に繋がっているのだろう。
スキマモドキを閉じ、少しリラックスしてると、
恐らく返信の手紙が矢文で届いた。
もちろんレイスの頭めがけてだが、
今回は尻尾を使って器用に掴んでとった。
レイス「どれ、内容は...」
『なら移住する当日、博麗神社に来て。
その時に色々教えるから。』
レイス「ふむ、これなら暫くは
のんびり出来そうだな。」
レミリア「ならその間は一緒に遊ぶわよ!」
フラン「私も私も!一緒に遊ぶ!」
レイス「よし、追いかけっこだ!
俺に追いついてみな!」バシュッ!
レミリア「ちょっ!?速っ!?」
フラン「負けないよーっ!」ビュンッ
パチェ「...楽しそうで何よりね。
...これが一番平和...なのかしら?」
咲夜「そうだと思いますよ。
あれが一番平和な光景だと私は思っております。
少々活発すぎる気もしますが。」
パチェ「...いざと言う時の為の準備...
忘れないようにね。嫌な予感がするのよ。」
咲夜「...承知致しました。」
とても平和な夏の一時。
それがいつ砕け散り、消え去るかは...
誰にも分からない。
最後のは特に関係は無いです。
言ってみたかっただけです。