東方神竜伝 ~幻想入りした二人の物語~   作:★sophia★

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とりあえず新章の始まりなので短めに。


第四章新たなる力と激動
第五十九話 始まりの『謎』


魔法の森・最奥

レイス(カラハ)の家

 

 

フラン「そうだ、ねぇ、レイス。」

 

カラハ「今はカラハです。なんでしょう?」

 

フラン「レイスとサクラって、なんで

幻想郷に来たの?聞いた事無かったけど...」

 

カラハ「そうですね...実際のところ、私も

よく分かってないんですよね。」

 

フラン「...?どういうこと?」

 

カラハ「私達は、幻想入りした存在です。

しかし、此処に来る前の記憶は無いんです。

所謂記憶喪失ってものですね。」

 

フラン「...未だに思い出せないの?」

 

カラハ「はい。未だに。...でも、

別にいいんです。思い出せなくっても。

思い出せないという事は、

いらない思い出なのかもしれませんし。」

 

フラン「...別に思い出そうとは思わないの?」

 

カラハ「...気にならない、

と言えば嘘になります。しかし、方法がない

だからどうしようもないのが現状なんですよ。」

 

 

そこまで言うと、カラハは再び手元の本を

読み始めた。暖炉の炎が揺らめき

近くのカラハを照らす。

 

ちなみに、フランがここにいるのは

パチュリーにレイス(カラハ)の家の場所

を聞き、こっそり来たらしい。

カラハは特に気にしてないが。

 

ふと、火が弱くなった。薪が無くなった様だ。

それを横目で確認したカラハは、

その長い尻尾で薪を数本巻いて掴むと、

炎の中に器用に置いた。熱くないのだろうか。

次に、大きな翼でゆっくりと仰ぎ、炎を

大きくしていく。この間にもカラハは

本を読み続けている。

 

 

フラン「...熱くないの?」

 

カラハ「えぇ...これ位の炎なら熱くありません。

むしろ心地よい位には大丈夫です。」

 

フラン「...ねぇ。レイス。」

 

カラハ「...なんでしょう?(諦めた)」

 

フラン「レイスの鱗、1枚貰ってもいい?」

 

カラハ「構いませんよ。はい。どうぞ。」パキン

 

フラン「ありがとう。...この鱗、

とても重いけど...何で出来てるの?」

 

カラハ「採った場所にもよりますが...

それは主にヒヒイロカネで構成された鱗です。

魔理沙さんのミニ八卦炉がありますよね?

アレも主にヒヒイロカネを組み込んで

作られているそうです。」

 

フラン「へぇー...そんなにすごいの?」

 

カラハ「はい。少なくとも高熱に耐える

程に耐久性はとても高いですね。

私も炎属性には元々強いですが、

この鱗のおかげでさらに強い耐久を誇ります。」

 

フラン「それだけ強いのに、戦うの

苦手なの?変な感じ...。」

 

カラハ「私は自分が戦うより誰かが戦ってる

のを見るのが好きなんですよ。

戦い方や"表情"を見るのが。」

 

フラン「...表情?」

 

カラハ「そう。"表情"です。

皆、戦ってる時は色々な表情が見えます。

楽しげ、焦り、余裕、他にも沢山あります。

それらを見ている時が私は好きですね。」

 

フラン「....でも、レイスが戦ってるとこ、

ちょっと見てみたい。」

 

カラハ「...そこまでお願いされるとなぁ...。

流石にやらない訳には行きませんね...。」

 

フラン「!ホント!?」

 

カラハ「えぇ。...ですが、

もう少しお待ちください。もうちょっとで

この本読み終わるので...。」

 

フラン「...そういえばその本...何読んでるの?」

 

カラハ「これですか?『幻妖神伝』ですよ。

この幻想郷に存在する、数々の妖怪や神が

図鑑の様に記されたものです。」

 

フラン「ふーん...もう終わった?」

 

カラハ「えぇ...。読み終わりましたよ。」

 

フラン「それじゃ、行こっか!」

 

カラハ「えぇ...良いですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイス(カラハ)の家・上空

 

 

 

カラハ「この姿での戦闘は初めてですが、

手を抜くのだけはやめてくださいね?」

 

フラン「勿論!手は抜かないよ!」

 

カラハ「では...、始めますか?」

 

 

カラハは双剣の片方、輝を抜き、尋ねる。

 

 

フラン「うんっ!」

 

カラハ「では、行きますよ。『裂空』」ブオッ!

 

 

輝を高速で振るい、広範囲の斬撃を

発射し牽制をした。それでも...

 

 

フラン「うわっ!危ない!『レーヴァテイン』!」

 

 

咄嗟にレーヴァテインを出し、斬撃を防ぐ。

この距離でも反応できるのは、吸血鬼の

とても高い身体能力故なのだろう。

 

 

カラハ「ふむ。流石ですね。」

 

フラン「今度はこっち!

禁断『スターボウブレイク』」

 

 

手加減しないと言った手前、かなり密に

配置されたカラフルな弾幕。

少しでも気を抜いたらすぐに被弾しそうだ。

 

 

カラハ「んー...まだ慣れてないとキツいです...。

ちょっと相殺を。『五月雨龍星』。」

 

 

カラハは輝を掲げ、力を流す。

すると、銀色の斬撃が流星群の如く

現れ、スターボウブレイクをかき消す。

 

 

カラハ「...ふぅ。この姿では戦闘は慣れません。

...早いですけど決着をつけましょうか?」

 

フラン「...いいよっ!それじゃ、行くよっ!」

 

 

カラハは双剣のもう一振、宵を抜刀する。

 

 

 

レイス「『双刀・断空裂斬』。」

 

フラン「QED『495年の波紋』!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、結果からいえば、勝ったのは

フランだ。カラハとフランの弾幕は最初

こそ相殺して競り合っていたが、

徐々に弾幕が増えるフランの技には

適わず、結局隙をつかれ被弾してしまい

カラハは降参した。

 

 

 

カラハ「やはり、この姿ではまだフランに

勝つ事は無理そうですね...。

修練あるのみですね。」

 

フラン「頑張ってね!また戦おうね!」

 

カラハ「ふふっ。ありがとうございます。」

 

 

戦いが終わった後、2人は仲良く家に戻り、

また他愛のない話をしながら、 夕食を食べ

夜まで過ごした。フランは眠がっている時

カラハの家に泊まりたいと言った為、

仕方なくベッドに寝かせた。

と言っても、カラハはベッドを使わないが。

 

 

カラハ「まぁ、明日紅魔館へ行きますかね...。」

 

 

寝かせた後そう呟き、再び本を読み始める

カラハの表情は、どことなく笑っていた。

 


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