世界はあなたを愛してる   作:アビ田

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主人公のキャラが濃い。何でも大丈夫な方向け。恋愛要素はかっ飛ばしてく(描けない)。推しをダークヒーローに仕立て上げたい作者が描いた作品です。


第一章「日」
生まれ変わ…?


目覚めたら見知らぬ場所にいた。というより自分の年齢がリセットされていた…といっても普通だったら信じられないだろう。

 

だが現実は非情である。

 

 

「う…」

 

 

舌ったらずの口を動かして、紅葉のような小さい手を見る。色素が物凄く薄い。アレ?見覚えのある自分の手の色と全然ちゃうやん。

 

沸き起こる疑問やら不安やらを一先ず置いて、自分の容姿を見ようと体を動かす。

 

しかし赤ん坊のサイズにしてはデカ過ぎるベビーベッドに阻まれて脱げ出せない。体感からすると部屋並みに大きい。

 

 

「あー」

 

 

こんなひ弱な体では一人で行動することもままならない。

どうしたもんかと悩んでいれば、扉の開く音が聞こえた。

 

金髪に透き通るような白い肌。えらいべっぴんさんだ。

 

そのべっぴんさんは天使の笑みを浮かべると、自分を抱っこした。豊満というか…とても温かい。これが母という存在なのだろうか。

 

 

ちなみに一人称が自分なのは今一つ前世の自分の性別が思い出せないからだ。

 

漠然と『生きた』という感覚があるものの、その時の自分の名前だとか、家族や友人を思い出せない。

 

けれど箸とか、そういう知っていて当然の知識はそのまま残っている。ただ国とかそういう固有名詞系は全滅だ。

 

今世の母はそんな奇怪な自分を抱き上げたまま、子守唄を歌い出した。

んん眠い…眠いでござる…。

 

 

「あら、ドフィ寝てしまうの?ふふ…おやすみなさい」

 

 

『ドフィ』それが自分の名前なのだろうか…いや、自分はやめよう。私でいいか、とりあえず眠い。

 

考えることは起きた時にでも任せよう。何たって赤ん坊の仕事は寝ることなんだから……って、精神的に赤ん坊はまずあり得ないか。

 

 

 

 

 

-----

おはよう諸君。ご機嫌いかがかな?私はすごぶる悪い。赤ん坊は非常に不便だ、色々。

 

 

そして赤ん坊になってから推察してみて、多少なりとも分かったことはある。

 

まず私の身分についてだが、相当高いものらしい。マリージョアの地に住む『天竜人』とか言われていた。

 

貴族か王族といったところだろうか、周囲のものがいやにキラッキラ光っているのだからそりゃあ分かる。

それに両親の働いている形跡が全くない、どんだけボンボンなんだ。使用人多過ぎる。

 

 

次に名前に関してだ。私の名前はドンキホーテ・ドフラミンゴというらしい。

母の言っていたドフィは所謂愛称だった。

 

本名があまりにもインパクト大なので愛称の方が今のところ好きだ。

 

言い方は奇妙だけど性別が男なので、一人称はその内変えていくとしよう。その前に舌ったらずな口を鍛えなきゃいけないんだけれど。

 

というか言葉をまだ喋れない。

 

 

 

 

いつもの大きなベビーベッドに寝転がりながら、私は窓から覗く空を見ていた。

 

光が少し眩しいけれど、それも苦にならない程綺麗な青空。

 

 

「うー」

 

 

綺麗だな。頭の中でそう喋るようにして手を伸ばす。外はどんな世界なのか、気になってしょうがない。

 

 

『おい』

 

 

ん?声?おっさんの?いや父にしては低過ぎる声のような……

 

 

『聞いてんのか』

 

 

視界を覗き込むようにして現れたのは、どでかい男だった。父よりも大きい、え、人外…?

 

冷静になるように努めて再度男を見た。

 

姿は透き通っていて、目を凝らせば青空が見える。

もしかしたら幽霊なのかもしれない、何となく父に顔立ちが似ているから、守護霊なのかも。

 

 

「あー」

 

 

おじさんは守護霊でっか?手を懸命に伸ばしながら、さぁ伝われ私の言葉。

 

 

『……いや触れねェよ』

 

 

そうじゃないんだけど…まぁいい。守護霊(仮)が恐らく掴もうとした私の手は空を切った。

 

守護霊(仮)は一度空ぶった手をまじまじと見つめていたが、直ぐに視線を私に戻した。

 

私のリアクションから見えているというのは分かったらしい。でも中身も赤ん坊なのだと思っているのだろう。深い溜息を吐いて空中に座った。

 

 

『どうなってんだ…おれは確かに死んで…』

 

 

守護霊(仮)は独り言を言っている。

 

少し距離ができて分かったけど男のそのピンクのモフモフコートと吊り目サングラスってなんだ。

 

こんな人が守護霊(仮)とか…いや、何か死んだとかどうとか言っているから、浮遊霊なのかもしれない。

…やめてくれ、成仏してくれ…!

 

 

私は一先ず疲れた頭をリセットするべく寝た。

 

 

 

 

 

守護霊(仮)が現れて、三年経った。私には二つ下の弟ができた。名前はロシー、その正体は天使だ、うん。

 

 

ちなみに守護霊(仮)さんは大きくなった私らしい。ええ、3mを越すんです、すごいでしょ?

 

とりあえずどう読んでいいか分からないので、呼ぶときは彼の一人称を使っている。

決しておじさんと言ったときの顔が怖かったからじゃない。

 

 

そしてかなり大雑把にしか彼の人生は聞いていないが、牢屋で死んだらここにいたらしい。

 

自分の将来が真剣に不安になる返しだったけれど、そうならないよう生きればいいだけのこと。

 

私は彼とテレパシーに近い形で話しながら、日々様々なことを学んでいる。

でも一人でいる時は口に出してしまっている。大丈夫、周囲には気を付けているから。

 

 

「ごうもん……ここ何て読むんだえ?」

 

『大全集だ』

 

 

私は家にあるこれまた大きな書庫で日々過ごしながら、本を読んでいる。

 

最初こそ情報収集だったけれど、いつのまにか本の虫になっていた。親が心配するレベルにはこもっている。

 

 

私は拷問大全集を読みながらページを読み進めた。所々読めるところを掬うようにして進める。

 

私の知る言語とは違うので多少苦労してしまうけれど、それも慣れだろう。もうそろそろ読み書きをごねてもいい頃合いかもしれない。

本の中身は内容はえげつないが、心にダメージを負う程でもない。

 

 

『…お前おれの子供の頃よりえぐいぞ』

 

「ぼくは“おれ”の過去なんて知らないえ」

 

 

そもそも調べ物の一貫で読んでいるだけであって、拷問自体に興味あるわけじゃない。そこの所勘違いしないで欲しい。

 

 

私が気になるのは奴隷制度だ。天竜人に合法的に認められている奴隷を飼うという習慣。

 

アレは見ていて気色悪い。幸いなことに父上も母上も奴隷をあまりよしとしない人だったけれど。

というか人というより神なのか?そういう所に理解を示せないでいる。

 

多分自分の常識が違うのだ、仕方あるまい。

 

 

「奴隷制度なんて頭がおかしいえ、やっぱり」

 

『周囲の奴らに言ったらお前が白い目で見られるぞ』

 

「わ、分かってるえ…」

 

 

そう、分かってる。今はロシーもいるのだ。バカなことは控えなきゃいけない。それに私には父上と母上、ロシーがいればそれでいい。

 

 

「あと、“おれ”がいるならそれでいいえ」

 

 

それ以上に望まない。家族がいればいいんだ。広い世界を見たいと思う反面、私の世界は家族だけでいいという閉鎖的な考えがある。

 

私とは頭の出来が違う“おれ”は私の考えを読み取って、特有の声で笑った。

私も笑う時そうなるから、そこら辺はしっかり似ているらしい。

 

 

『お前は賢いな。けどまだ甘ェ』

「…?」

 

 

撫でるアクションを取りたかったのか、彼は徐に手を伸ばした。無論触れはしないが、愉快そうに笑っている。

 

一頻り笑うと、彼は笑みを柔らかいものに変えて、目を細めた。

 

 

『せいぜい今を楽しんどけ』

 

 

やっぱり意味が分からないけれど、知りたいとも思わないのだから不思議だ。

まぁそれは“おれ”の言葉に当てられたっていうのもあるんだけど。

 

 

「『お前はお前の人生を歩け』だもんね」

『…あぁ』

 

 

“おれ”は私で、私は“おれ”であるけど、やはり違う。でもこの付かず離れずの距離がいいと、私は感じている。

 

 

『それとその口調はやめろ』

 

「何でだえ?」

 

『キモい』

 

「えっ」

 

 

 

 

 

-----

ロシーが4歳、ぼくが6歳の頃、小さな事件があった。

 

 

この頃には頭の中の一人称もぼくになっていた、進歩というか“おれ”の教育というか…。

最早お前が父親かぐらいの英才ぶりだった。

 

 

「ロシー転ぶなよ」

 

「うん、兄上!」

 

 

ぼくの弟はかなりドジっ子だった。

 

だから外に遊びに行く時は必ず二人で行くと約束していた。

 

家族以外の天竜人は野蛮で、随分お粗末な思考を持つ輩ばかりだったから、もしそんな奴らにぼくのロシーが傷付けられるなんてたまったもんじゃない。

 

 

ぼくはロシーの手をしっかり握って、歩いた。ロシーは他の天竜人の子供を見ながら、その側にいる奴隷をじっと見つめている。

 

 

「兄上、兄上はどうしてどれいを持たないえ?」

 

「…逆に聞こうか、ロシーは奴隷をどう思う?」

 

「んと…どれいは、かわいそうだえ」

 

 

この子は、優しい子だ。父上や母上と似て、とても優しい。

ぼくの持つ少し歪んだ部分を持っていない。

 

 

「そうか、ロシーはいい子だな」

 

「く、くすぐったいえ、兄上」

 

 

ロシーのやわっこいくせ毛をわしゃわしゃと撫でて、ぼくはサングラス越しに弟の顔を見る。

天使のようだ、いや、天使よりもこの笑顔は尊い。やばいめっちゃ可愛い。

 

脳内で騒ぎ立てるが、今は“おれ”はいない。

 

不思議なことだが、彼にも睡魔というものがあるらしく、たまにこうしていなくなる。

 

うるせェと言う存在がいないことに少し寂しさを覚えつつ、ぼくはロシーの言葉を返すべく口を開きかけた。そこで視界に奴隷を連れた自分達よりも少し年上の子供が現れた。

 

 

「ドレイが可哀想だって?プププ、変なやつだえお前!本当に天竜人かえ〜?」

 

 

肥えた肢体をしながらロシーに、ぼくの弟に近付く。

邪魔臭い、そう思った。

 

ロシーは歳上な相手が怖いのか、ぼくの後ろに隠れた。大丈夫、仮にこいつがお前に手を出したら、ぼくが殺してやる。

 

ぼくは怯えるロシーの手を握って、目の前の肥えた豚を見た。

 

 

「フッフ、ああ、君は●●●聖のご子息の……ご機嫌いかがかな」

 

「フン……そういうお前はあの変わり者のホーミング聖のところの子供かえ?」

 

「えぇ、弟は父の影響を受けて、少々奴隷に甘いところがありますが、それ以外は普通の可愛い、ぼくの弟ですよ」

 

「ふーん、そういうちみもドレイを持っていないみたいだえ?」

 

 

同じ天竜人だろうが、少しでも他を下に見ようとする、そのための相手の悪い所を必死に探す。

同じ生き物と思いたくないな、特にこういう奴とは。

 

 

「ぼくは奴隷にあまり興味がないだけですよ」

 

「ほぉーーそれはお前もへん…「それに」…何だえ」

 

 

 

 

汚いものは、触りたくないんだ。

 

 

耳元に近付いて、ぼくはそいつにだけ聞こえるよう呟いた。

 

呆然と立ち尽くす相手に軽く会釈して、ぼくはロシーの手を掴もうと……あっ、転んだ!!!

 

 

後ろから小さく聞こえた「かっこいいえ…」という声は無視して、泣き出してしまった弟をおんぶし、遠回りをして家に帰った。

 

だってあんな、弟をいかにも下に見ているような奴と同じ空気を吸いたくなかった、気色悪い。

 

ぼくは弟に全神経を注ぎながら、泣きやませようとあの手この手を尽くしてご機嫌取りをした。

いや、ぼくが悪いわけじゃないけどロシーは笑ってるのが一番いいから。

 

 

脳内騒ぎを起こしていればいつのまにか起きていたらしい“おれ”がうるせェとお決まりの愚痴を言って現れた。

 

ぼくは助け舟を求めたが鼻で笑われ、結局母上が来るまでロシーの大泣きは止まらなかった。

本当ごめんねロシー…マイエンジェル……。

 

 

 

 

 

-----

夜、天窓に映る星空を見上げながら、珍しく“おれ”からの質問がきた。

 

 

『お前が一番大事なものは何だ』

 

「自分かな?」

 

 

そう言えば意外そうな目をされて、ロシーじゃないのかと聞かれた。

いやそれもそうだけれど、ここで言ってるのは少し違くて…ああもう。

 

 

「ぼくは“おれ”で、“おれ”はぼくだ、おわかり?」

 

『ア?』

 

 

ものすごい怖い目をされて睨まれた。やめてよ、まだ6歳なんだぞぼく。

 

 

「…だから、ぼくは一番自分が大事だよ。次に家族。それ以降は無い」

 

『…フッフッフ、変なガキだ』

 

 

それブーメランだぞと言おうとした所で、早く寝ろと言われた。まぁ確かに眠い。ただでさえ今日はロシーを宥めるのに疲れたのだから…というか結局遊べなかった。

 

 

 

おやすみ、そう言って僕は寝た。

 

 

 

 

 

この時のぼくはまだ、父が下す愚かな決断を知らない。




主人公(私→ぼく)
生まれ変わったら色々面倒なことに。性格はキャラに多少似る。家族大事。

モフモフ(二巡目)
牢屋で病死したら何故か戻ってる。主人公を子のように見てる。歳のせいか大分穏や…か?
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