世界はあなたを愛してる   作:アビ田

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重い愛情。
想う心。
それぞれの思い。


おもい

 *****

【sideおつる】

 

 ある男の話をしよう。

 

 

 その男は狂気と優しさの二面性を持つ、とんでもないクソガキだ。

 

 とっくに成人しているクセに、私からすりゃあ子供に見える。

 何故かと思ったが、治療中の弟の方を見ていた目で分かった。

 

 あの子にあったのは安堵と、ほんの少しの嫉妬。

 

 

 子供っぽいのは恐らく、幼少期に愛情が足りなかったせいだろう。

 私も女だ、だからこそ何となく分かっちまった。

 

 

 子供の頃、母親はあのドジっ子ばかり気がいってしまったんだろう。平等に愛そうと思っても、あのドジぶりじゃあどうしても構っちまう。

 それにロシナンテは子供の頃はそりゃあ可愛かった。

 

 今じゃ目つきの悪い男になっちまったが、中身はドジなままだ。可愛げがある。

 

 

 

 だが兄の方は違う。少なくとも、私の知ってる限りじゃしっかりしている。

 そりゃあ船長なんだ、当たり前だろう。

 

 多分子供の頃からああだったんだ。

 

 故に愛情不足。長年追って来た後ろ姿が時折どこか寂し気に見えたのも、だからかもしれない。

 つい構いたくなっちまうのもしかたない。デカい図体だが、中身は専らガキだ。

 

 

 それでも奴は未熟な精神のまま、過酷な人生を歩いて来たんだろう。頼られる強い存在。その姿求めて、また求められて、縋る事など出来なかったのだ。

 

 それにロシナンテとは違って、正義の道を教えてくれる奴がいなかった。そのため今も尚、暗い道をずっと歩いている。

 

 

 大丈夫だとは思う。

 あいつの仲間はしっかりと支えているし、あいつもそれに応えている。

 

 海兵としてその姿を認めるわけにはいかないが、安堵しちまう。

 

 問題なのはあいつのひた隠しにしている闇の部分だ。

 その部分は仲間にもロシナンテにも、誰にも知られないようしている。

 

 ずっと……溜め込んでいるんだ。

 

 

 闇の道を進むあの子がこのまま歪に歪んだまま進めば、遅かれ早かれその身も心も崩壊するだろう。

 

 その恐怖が、私の中にはあったんだ。あの子が海に落ちて行く姿を見た時、過ぎった気持ちはきっとこれだ。

 私はあいつの母親なわけじゃない。でも、見守るぐらいはしてやりたいと思う。

 

 

 ロシナンテにはセンゴクがいた。あの子にはしかし、親の愛情を与えてくれる存在がいなかった。

 

 今からじゃ遅いかもしれない。だからこそこれ以上壊れないよう見ていてやりたいんだ。

 

 

 そう思いながら、飛んで行こうとする渡り鳥に話し掛ければ振り向いた。

 センゴクを_____海軍を脅していた時とは違う、いつものあいつだ。

 

 いや、脅していた時の奴の方が異常だった。

 

 

「………おれはおれだ」

 

 

 息を飲めば、瞬間あいつの顔は冷たいものに戻っていた。

 お前は誰なんだいと、言わなくてよかっただろう。

 

 いつものあいつじゃないもう一人のナニカは、全てを壊し尽くす目をしている。

 

 

 きっと暗闇で生きる内に、あいつ自身が自分というものに迷っちまったんだろう。

 自分は誰かと、悩み苦しむ内に生まれたのが恐らくアレだ。

 

 ロシナンテが言っていたバケモノとは、もしかしたらアレなのかもしれない。

 それほど冷たい目だった。

 

 きっと捕らえた犯人と思われるバレルズが船内に居ると言えば、すぐさま殺しに来るのだろう。

 

 

 そう考え、一瞬背筋が震えた。これ以上の騒ぎは願い下げだ。

 

 

 

 

 落ち着かない心を宥めようと、空を見る。

 昨日とは違う穏やかな夕焼けだ。もう少しで夜が来るだろう。

 

 

 あの子はこれからも、夜を駆けて行くんだろう。

 誰が言い始めたかは知らないが、天夜叉はお似合いだと思う。

 

 だがしかし、やはりやらかす。

 

 何故超極秘の秘密を握っているのか、よくもまぁあのセンゴクを脅したもんだと思う。

 絶対目の敵にされるねェ。

 

 

 タバコの紫煙が空を細やかに白くする。

 

 もう当分雪はこりごりだね。こんな面倒なことばかり押し付けられて……疲れたもんだ。

 

 

 

 センゴクには高い酒でも奢らせよう。そう思い目を細めながら空を見ていれば、海兵の一人が慌ててやってきた。転けるんじゃないよ、ロシナンテじゃあるまいに。

 

 

「ロ、ロシナンテ中佐が目を覚まして……」

 

「…何!?」

 

「出血性のショックと……頭を激しく殴られていたせいか、記憶の混乱が激しいため暴れていて……」

 

「……ハァ、もう次から次へと…。もう少し老体を労って欲しいもんだ…」

 

 

 急いで向かおうと歩き出す。

 

 当分桃色の鳥を捕まえることは出来ないだろう。だがその身が滅びる前に、必ず捕まえてやろう。

 灰皿に押し付けて火を消し、足早に前を走る海兵の後を追う。

 

 

 

 

 まだまだ現役じゃないとねと、白い息を吐いた。

 

 

 

 

 

 *****

【sideロシー】

 

 俺はマリンコード01746、海兵ロシナンテ中佐だ。

 

 

 元々ドンキホーテ海賊団に潜入し奴らの情報を海軍に流しつつ、ある国の情報を同時進行で調べていた。

 

 その中で出会った子供が、Dの名を持つローというクソガキだった。

 

 その少年に会ってから、俺はガキを助けたいと思い始めた。

 そしてガキの寿命が間近になった時、もう耐えられなくなりローを船から連れ出して、治してやろうと東奔西走した。

 

 しかし医者たちは揃いも揃ってクソだった。

 

 

 俺は結局何の役にも立てず、あいつにオペオペの実を食わせて自力で治させる事しかできなかった。

 …いや、あいつが実際に治ったかは分からない。でもきっと大丈夫だと思う。

 

 だってDは嵐を呼ぶ存在だ。

 

 それにあのガキがそう簡単に死ぬことはないと思っている。

 撃たれた後も必死に能力が解けまいと意識を保って、逃げる時間くらいは……きっと稼げたはずだから。

 

 

 

 俺は結局裏切り者としてファミリーに粛清されたが、運良く助かった。

 おつるさんやセンゴクさんが手を尽くしてくれたらしい。本当に感謝してもしきれない。

 

 助けられた当時は記憶の混濁もあり、ローのことが心配過ぎて暴れちまったけど、今はもう大丈夫だ。

 

 

 ただオペオペの実を盗んだ後に怪我した体は相当ボロボロになっちまったみたいで、リハビリを兼ねれば当分前線には出られないだろうと診断された。

 

 正義を通せないのは悔しいけど、でも死ななかっただけラッキーだと思う。

 

 

 

 そんな俺は事務処理に回されている。

 ドジってやらかすため後輩のスモーカーには遠い目をされる。

 

 でも聞いてくれ!俺スパイの功績を認められて少将になったんだぜ!!

 

 浮き立つ気持ちを抑えきれずセンゴクさんに報告しに行ったら、知ってるわと笑われながら頭を撫でられた。

 そうだよ、上司なんだから知らないわけがないだろ、ドジった……。

 

 

 そういや今日は七武海会議らしい。それと新しく入った七武海のメンバーが来るとか。

 誰だと思ったらおれが潜入してた場所の船長だった。センゴクさん……俺の気持ち………。

 

 今は辺りをうろちょろしているが………べ、別に美女を見に行ったわけじゃないぜ?

 ただフラッと歩いてたら見えねぇかななんてお、おお、思って……いでっ!!

 

 

 鼻の下を伸ばして邪なことを考えていたら、隣にいたスモーカーが俺の足をギリギリ踏み付けてた。

 ちくしょう何すんだと言えば、更に遠い目をされる。

 

 

「あんた本当……顔に出やすいよな…」

 

「お前の上司に言いつけてやる…!一応俺の方が目上なんだからな!!」

 

 

 騒いでりゃまるできゃんきゃん騒ぐ子犬を見るような目をされた。せめて大型犬を見る目で……って、そういうことじゃねぇ!!

 

 でもやっぱり海軍の姿が俺のあるべき姿だなと、感慨じみながら思っていれば、目の前から元上司……というか船長が現れた。

 

 …あれ?眼帯なんか付けてたか?……まぁいいか。

 

 

 若干震える手をもう片方の手で抑え、スモーカーの後ろに移動し肩を掴んで座った。情けないが、震えは手から全身に移っていく。

 

 

「助けろ」

 

「あっ!?おい、何だよ急に後ろに隠れて…」

 

 

 あいつに撃たれたんだとボソボソ言えば、驚いた目をされた。

 

 当時の俺の憔悴ぶりを知ってるからか、貸し一つなと明らかに隠れきれてない俺を庇うように前に立ってくれた。

 後でおつるさんに貰った葉巻でもやろう。俺タバコしか嗜まねェからな…一回試したけど、甘ったるくて無理だったし。

 

 そんなことを思っていれば、歩いて来た男_____ドンキホーテ海賊団の船長、ドンキホーテ・ドフラミンゴは久しぶりに見た猫背の姿で通り過ぎて行く…と思ったら目の前で止まった。

 

 ヤベェ、今度こそ殺される。

 

 

「フッフッフ!生きてたのかァ、ロシナンテ中佐」

 

「し、少将だ…」

 

「アァ?」

 

 

 肩をビクつかせれば、ドフラミンゴは一瞬首を傾げ、眉根を寄せた。

 何だってんだ、俺はお前じゃなくてハンコックの方に会いたかった……。そして運命的に出会った二人は……どぅふふ。

 

 

「……」

 

「…ん?」

 

 

 妄想に浸りかけていればそのまま特に何もせず、過ぎて行く。

 よかった……じゃなくて、恐怖を乗り越えなきゃ始まらねぇ。

 

 トラウマは必ず乗り越える…今はまだ、無理そうだけど。

 

 

「あれがあんたが潜入してたとこの船長か……威圧感スゲェな」

 

「そうだぜ……怒ると怖いんだ」

 

 

 それに奴は狡猾だ。

 己の部下を何年もスパイさせてたんだから……俺がヴェルゴの野郎に殴られてなきゃ、気付けなかったんだから皮肉だ。

 

 薄っすら痛む銃創部位を撫でつつ、俺も仕事に戻ろうと歩き出した。

 

 おつるさんのとこに資料を届けに行けば、午後の会議の準備が忙しいのか不在だった。

 取り敢えず資料だけ置いていく。

 

 

 俺も早く精神も身体も治さなきゃな…。

 

 

 

 

 

 

 

 そう、死んじまった母上や父上________そして兄上のために、俺は正義を貫くんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 -----

 とある王下七武海メンバーの一室。

 

 

 眼帯の上にサングラスを掛けた男がソファにどっしりと構え座っていた。足を大胆に開き腕をソファの背に預けている様は、どこぞの国の王様のようだ。

 

 対して目の前にいるのは海軍中将大参謀のおつるだ。

 

 

「まさかロシナンテがおれのことを覚えてねェとはなァ」

 

「……あんた、違う方かい」

 

 

 おつるが言えば一瞬目を見開いた後、男は愉快そうに笑った。

 あんたにゃやっぱ敵わねェと、不敵な笑みを浮かべる。

 

 

「代わって欲しいか?今なら速攻で首切って、死ぬぐらい傷ついてるぜ。可哀想なガキだ。殺してやりてぇなァ……フフフフ」

 

「おやめ」

 

 

 糸を部屋の四方に不穏に走らせる男におつるは一喝した。

 

 周囲に殺意を持って当てもなく漂う糸は消えたものの、男に浮かぶ青筋は消えない。こいつは本当に気性が荒いねと、おつるは内心で独り言ちた。

 

 

「安心しろ、殺さねェさ。殺したらガキが本気で死ぬからな。それにおつるさんの電話を弟の生存の一報に流されて、浮かれ半分で後の内容を聞き流していたこいつもこいつだ」

 

「…あんたはあの子の何なんだい?」

 

 

 おつるがそう問えば、こちらを暫し見た後ガクンと男の体が弛緩した。

 そしてゆっくりと上がった顔の瞳に浮かぶ色は、先程の荒波とは違う穏やかな海の色。

 

 

「……あいつは、おれで………あれはあいつだ、おつるさん……」

 

「…!」

 

「黙ってるみたいでよかったが、万が一にも……ロシナンテに、おれが関わったことは言うなよ。あと、交渉通りおれの部下も回収して行く」

 

「……無理、し過ぎだよ」

 

 

 その言葉に男は無茶してねェよと笑い、席を立つ。

 

 おつるはその後ろ姿を見、どうしても追いかけることが出来なかった。

 触れたら崩れそうなほど、弱々しく見えたのだ。

 

 空中で掴むものを失い彷徨っていた手を握り締めれば、丁度電話が鳴った。センゴクからだ。

 

 

「…やっぱり本人と会っても、思い出せないみたいだよ……ロシナンテは」

 

 《………そうか》

 

 

 ロシナンテ少将は、つい数ヶ月前に瀕死の重傷を負った。

 彼をファミリーから抜けさせようと細工をしたのが、先程まで部屋にいた男、ドフラミンゴだ。

 

 ロシナンテは手術後幾ばくか精神的に混乱状態にあったものの、直ぐに調子を取り戻した。

 これなら身体的に傷があっても、大丈夫だろうと判断された。

 

 

 

 しかし、ロシナンテは兄の存在を忘れていた。

 

 一部ではない、生きてきた中の全ての兄の記憶を改竄していたのだ。

 

 

 

 _____兄上は、おれが8歳の時に磔にあって死んだよ。それで俺と父上だけが逃げられて、センゴクさんに助けられたんだ。

 

 

 

 _____ドンキホーテ・ドフラミンゴ?あぁ、俺を……撃った………

 

 

 

 事情を聞いていく中、終始兄は死んだとし、ドンキホーテ・ドフラミンゴという存在は兄ではない、ドンキホーテ海賊団の船長という別人であると認識していた。

 

 記憶改竄の中で幾つも浮かび上がる矛盾も、己の中で辻褄を勝手に合わせてしまっている。

 

 また無理やり兄だと言えば、脳が拒否反応を起こしているのか過呼吸を繰り返した。

 

 その後の検査で、精神が過度のストレスの中で壊れてしまったのだろうと、診断された。

 原因となったストレッサーは分かっていない。本人に確かめる術がないからだ。

 

 しかし恐らく兄を死んだとしていることから、そこに関連付いた何かが理由ではないかとされている。

 

 

 今のところ治療の方法はない。時間の経過と共に診ていくしかないのだ。

 

 

 

「………あの子言っていたんだよ」

 

 

 

 _____兄との思い出?………そう、いえば……俺、兄上におぶられてたんだ…。スゲェ優しかったんだぜ。……あれ、これいつのことだっけ…。

 

 

 

 おつるは歯を食い締めた。

 運命は、余りにも二人の兄弟に対し残酷だ。

 

 

 《……一先ずこの件はまた後だ》

 

「…そうだね」

 

 

 

 

 

 神妙な面持ちのまま部屋を出れば、近くの場所で男どもが群れをなしていた。

 その中に先程まで話題になっていたロシナンテの姿が……

 

 

 

「うっひょー!!ハンコック超美じ………イッテェ!!!」

 

 

 

 おつるは思い切り脛を蹴り飛ばし、痛みのあまり苦悶を浮かべるロシナンテを引っ張っていった。

 

 

「本当……人が真剣に悩んでるってのに………」

 

 

 

 

 そんなとある日の、朝の出来事だった。

 

 

 

 

 

 *****

 

【sideロー】

 

 

 

 

 

 _____コラさん

 

 

 

 

 

 何度も何度も、雪の中で撃たれた。

 

 

 

 どうして、どうしてなんだよ。

 コラさんはあんたのこと撃たなかったのに、何であんたはコラさんのこと撃ったんだよ。

 

 

 

 珀鉛病のせいでコラさんも悪者扱いされた。伝染病だと、殺せ殺せとずっと死神がつきまとう。

 おかしいじゃないか。死にそうなガキに、さらに殺せだなんて。

 

 人間は汚ェ生き物だと思っていた。

 

 

 でもコラさんは違った。ドフラミンゴも優しかったかもしれない。

 けどあいつは撃った、コラさんを撃った。

 

 

 何発も……何発も。

 

 

 今でも耳にその音が残っている。

 発砲音と、微かに感じた硝煙の匂い。それと箱の冷たさ。

 

 

 なぁ、何でだよ。あんなにコラさんはあんたのことを止めようと必死だったのに、殺すなんて酷いじゃないか。

 

 

 コラさんの気持ちを受け止めなかったのはあんたの方だ。

 自分の気持ちを押し付けて、苦しめようとしてたのはあんたの方だ。

 

 冷たさの後には血の匂いだ。コラさんの呻き声、そして直ぐに静寂が訪れる。

 

 

 

 何度泣いても、俺の声は届かなかった。

 喉が潰れても、血を吐いても、ただ雪の静寂が辺りを支配している。

 

 

 せめてコラさんの遺体だけでも俺が埋めてやりたかった。

 だけど……だけど、そのまま宝箱と共に連れて行かれて叶わなかった……!

 

 

 港に着いても涙が止まらなかった。鼻水も出てスゲェ汚かったろう。

 

 でも沸騰したみたいに頭が熱くて、胸が苦しかった。

 

 

 俺のせいで……コラさんが、死んだんだ。

 

 

 俺がコラさんを止めてれば、こんなことにならなかった。

 俺がファミリーに来ないで、死んでいれば……。

 

 

 

 _____いや、そんなこと考えるな。コラさんは俺の命を救ってくれた。こんなクソガキの俺に、自由に生きろと言ってくれた……!!

 

 

 

 

 

 運命は言っている。自分の道を歩めと。

 

 だからあの時、ファミリーの奴らが俺を置いて逃げて行ったんだろう。

 宝箱から出た時、海の彼方に見えた船には海軍の旗が掲げられていた。

 

 

 

 フラつきながら逃げた先で、自分の体を見やる。

 

 既に使い方は何となく分かった。鉛を取り出した体は、健康的とは行かないけど、きちんとした色を取り戻している。

 俺の病気は治ったんだ。

 

 

 

 ……コラさんの傷、治せたら……よかったのにな。

 

 

 

 涙が出る。でも、泣いてばかりじゃ前に進めない。

 俺は決めたんだ、俺の自由に生きるって。

 

 

 

 そして_____ドフラミンゴを倒す。

 

 

 

 あいつは弟を殺した。過ぎた愛は、毒になる。そんな愛を押し付けたまま、コラさんを苦しめ続けた。

 

 ……許せない。

 

 

 

 コラさんは俺の太陽だった。日陰でしか生きられなかった俺を、優しく照らしてくれた。

 

 だから月はいらない。優しさで隠した狂気を振りまく存在を、これ以上生かしておいちゃいけない。

 

 

 

 

 これは本懐だ。俺はコラさんの本懐を遂げるため、ドフラミンゴを倒す。

 

 

 

 

 血が滲む程手を握りしめ、空を見た。手には硬い感触。

 そういえばこれは、コラさんが最後に俺に託してくれたものだ。一先ずこれを…海軍に渡さなきゃな。

 

 燃えるような夕焼けに、血が滾る。

 

 

 

 

 

 進め。進め。

 

 

 

 

 

 

 

 向かう先は自由への一歩と、本懐への狼煙だ。




副題:サビを取ったら回り出す
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