世界はあなたを愛してる   作:アビ田

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主人公が30代後半ぐらいの時の話。

※本編と少し差異が出る可能性があるので予めご了承下さい。
若干恋愛要素…?有り。


番外:疲労の上に蛇娘

 王下七武海に入ってから、会議にちょくちょく呼ばれる。

 

 弟を救ってくれたのはセンゴクさんだ。

 ロシーと父上を良くしてくれた事は感謝してもしきれない。

 

 ただおつるさんと違って、色々こちらの精神を抉ってくることが昔からままあるので、「さん」を付けるかはその場その場の心のリスペクト次第になる。

 

 そう思いながら座ってセンゴクさんを見ていると、睨んでいると思われたのか胃を抑えていた。

 

 

 おつるさんには怒られた、何故だ。

 

 

 内容は新興の海賊が___とか、財政が___とか、どうでもいい話ばかりだ。

 

 そんな話をする暇があったら、今の政府を作り直す発案の一つや二つしろ。

 あの豚どもをいつまで野放しにしとく気なのか。

 

 ジョーカーから昔聞いた国宝の件もあるので、手出しできないのは薄々分かっちゃいるが。

 

 

 

 欠伸をしながら隣を見る。右には鷹の目。ちゃんと話を聞いているのかと思ったら寝ている。

 イケメンが鼻ちょうちんを浮かべている様は中々愉快だ。

 

 左にはボア・ハンコック………ハンコック!?

 

 

(珍しい…)

 

『お前もそろそろ身を固めたらどうだ』

 

 

 あ、出たよお父さん発言。

 

 そのお父さん度はなんなの?おれもベビー5にあれこれ思ってるけど、にしても言い過ぎじゃね?

 いやでも、ベビー5はろくな男を引っ掛けた試しがないんだよな…。

 

 

(あんたに言われたくねェな……)

 

『テメェ枯れてんのか』

 

 

 青筋を立てて怒ってらっしゃる。怖いぜ本当。

 

 枯れてるわけじゃない、ただもう生まれてこのかた誰かに恋愛感情なんて抱いたことない。

 

 若い頃…つっても10代の頃だが、一夜限りの関係は何度かあった。

 恋愛の愛が何たるかを知ろうとしたが、結局何も抱けなかった。

 

 ただ己の人間性の欠如を自覚し、精神的ダメージに終わったのだ。

 

 

 

 今はというと盛んな年齢も過ぎてきたが、女性に獣めいた感情を持つことはある。おれだって一応男だ。

 だがそれをわざわざ女性にぶつけて発散させる気もない。

 

 

 おれは家族への愛と、ドス黒い感情のみで構成されている。

 

 

(……あれ待ってこれ枯れてる?いやいやいや、枯れてない。枯れてないから…!!)

 

『………』

 

 

 可哀想なものを見る目をすんなや。

 だがこれは本気でやばいかもしれない。

 

 生存本能捨ててるわ…、いやでも欲求だからムラッぐらいはする。発散させる気がないだけだから、だから断じて枯れてないから、うん。

 

 だからジョーカー、取り敢えずそのドラ●もんのような温かい目を止めようか。温かいを越して生温かい。それに催促の仕方が怖ェよ。

 

 

 

 そんなことを考えていれば目の前に大量の砂が舞った。おい隣に女性がいんのに乱闘かよ。

 

 

 仕方ないので自分の身は放ってモフモフをハンコックの方に投げた。

 サングラス越しなのであっちからすれば目なんて合わないだろうが、修羅の顔をしていた。

 

 そんな顔に周囲の海兵は見惚れていたが、やはり何とも思えない。

 いや美人だとは思うからね。そこらへんの感性は流石に死んでないから…。

 

 

 とりあえず嫌な顔はされたものの、ハンコックに砂が当たることはなかった。

 

 

 

 しかしおれは濡れネズミならぬ砂ネズミだ。目は大丈夫だが服の下に砂が入った、気色悪い。

 やった張本人はこの場だと一人しかいない。

 

 ぶっ殺すぞ、こんの爬虫類が。

 

 

 青筋を浮かべつつ乱闘の先を見てみれば、クロコダイルと鷹の目が睨み合っている。

 

 

 何?なんなの?テメェら血の気多過ぎだろ。おっさんが何一触即発してんだよ、ギックリになっても知らねェぞ。

 

 お、おれはまだねェけど…。

 

 

 血の気が多い元気なおっさんたちの喧嘩理由はものすごく些細なことだった。

 途中から呆れたので内容は覚えていないが、本当にくだらなかった。

 

 

 やられっぱなしはムカつくので糸を出そうとしたら、おれだけおつるさんに怒られた。

 おつるさんおれにだけ昔から冷たくない…?

 

 

 

 

 そんなこんなで会議は終了。

 

 

 センゴクさんが胃を抑えていたので、あとで胃に良い奴でも送ってやろう。

 

 おつるさんは良い子にしてたからと煎餅をくれた。

 本当におれの扱い方上手いなと思う。というか子供のように思われてる、まぁ別にいいが。

 

 

 

 廊下で服に未だ残った砂を散らしながら部屋に戻る。シャワー浴びて早く気色悪さを無くしたい。

 

 序でに今度鰐野郎と鷹の目に会ったら本気で殺す。

 

 

 替えは一応持っていたのでそいつを着た。

 緩い服とは違うスーツだ。大分前に着ていたものを思い出させるシンプルなデザイン。

 

 長い髪を犬のように首を振って水を飛ばし、動くのも面倒なのでジョーカーに体を任そうかと思ったら、ノック音がした。誰だよ、寝させろよ。

 

 

「妾じゃ」

 

 

 妾か、そうか帰れ。

 

 そう言ったら鍵は閉まっていたはずなのに扉が開いた。というか石化して吹っ飛んだ。

 蹴り飛ばすなよネーチャンさてはおやじ狩りか?おっさん金持ってないわ。

 

 

「フン、妾がわざわざ貴様のような軽薄な男の元にわざわざ来てやったというのに、なんじゃその態度は」

 

「………」

 

 

 わざわざが多いなネーチャン。

 おれ動きたくないモードなんだわ。別に鬱じゃないから、精神疲労で時折体が動かなくなるだけだから。

 

 

「この汚らしいモフモフを返しに来てやったぞ、香水クサくてかなわん」

 

 

 最早ハンコックの独壇場になっているおれの部屋。おれの部屋というか七武海専用に作られた来客部屋。

 

 もう好きに置いてっていいから、香水はおっさんだから色々気になるんだよバカ野郎。

 

 ハンコックはモフモフを投げた。

 いつも通りのうつ伏せの体勢で寝ているので顔は見えない。

 

 

 傍若無人な態度はかねがね噂で聞いてはいるが、それにしても荒過ぎないか?

 まぁ別に砂まみれのモフモフなんぞ捨てる気なのでどうでもいいと思っていたが、ある違和感が生まれた。

 

 

 砂の感触がない。

 

 

 砂を払って返すぐらいの優しさはあったのか。少し好感度は上がった。

 おれは子供と甘い人間には弱いからな。

 

 

 礼の一つでも言おうと思い体をのそりと上げて振り返れば、あっちの肩が跳ねる。

 

 何もしないから、どうせ枯れてる枯れてない以前に色事に興味ないおっさんだから、だから技の構えすんなや。

 

 

「何もしねェよ」

 

「…貴様の能力は知っておる。警戒するのは当たり前じゃ」

 

「……はぁ、そうかい。とりあえずありがとよ」

 

 

 だっるい。

 そんな感情に塗れながらいつも通りのスマイルで対処して、再度ベッドに肢体を埋めた。

 

 

「…のう、そなたは…」

 

「早よ行け」

 

 

 だが出て行く気配はない。もう面倒だと糸を出そうとした時震えるような声が聞こえた。

 

 

「……もう、10年近い前の話じゃ。フィッシャー・タイガーが起こした事件は知っておるか?」

 

「知らねェな」

 

「…マリージョアから奴隷を解放した事件じゃ」

 

 

 そんなこともあったような気がする。それより眠いんだが。

 

 

 

「長年かけて調べた情報じゃが………あの時、フィッシャー・タイガーが危うくなった瞬間、まるで神の仕業のように道が拓けたらしい。ほんの一部の人間じゃが、拓けた道におった人間の側に煌めく何かを見たそうじゃ。

 

 例えるならそれはまるで___糸のようだったと」

 

 

「……」

 

「糸……ドフラミンゴ、そなたの能力は…」

 

「…フッフッフ!」

 

 

 指を動かし、恐らくおれの顔に触れようとしているハンコックの手を操って、動きを止める。

 

 

「のう、そなたは……」

 

「これ以上いると食っちまうぞ、蛇娘」

 

 

 そう言って体を上げる。緩慢な動きは仕方がない。サングラスを掛けて、覇王色を使い睨めつければ彼女は息を飲んだ。

 だが倒れはしない、あちらも同じ覇王色の持ち主だ。

 

 糸を解いてハンコックの横を通り過ぎる。覇王色を使ったので周囲がざわついている。

 クソ面倒くせェ。

 

 

 大きめの窓に足をかけ、宙に身を任せた。

 

 

 

 空中を移動しながら帰路に就く。

 休めたもんじゃない全く、体が怠いっつーのに。

 

 

 

「……ありがとう」

 

 

 

 

 そんな声は聞こえないことにして、おれは空を駆けた。

 

 

 

 

 

 …にしても美少女だとは思ったが、あそこまで美しくなるとは思わなかった。

 将来いい男を見つけるだろう。

 

 

 まぁ、あの傍若無人を緩和出来ればの話だが。




次回三章突入。個人的に一番鬱い章になりそうです。
推しのモネちゃんを漸く出せる…。
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