世界はあなたを愛してる   作:アビ田

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副題:開幕ベルは宜しいか


ごーんごーん

 ▲▷◀︎?◇〆々*!!ァ【

 

 

 

 男が、女の首を絞めていた。

 

 

 

 ●●の母ハ、元々奴隷だった。

 父はせかいのてっペんに聳え立つ人で、●●を人体実験の材料にシた。まだ幼かった●●のめのまえで わら ァ いながら

 

 しめ殺 し

 

 

 

 

 

 ママ、ま、ぁ ま

 

 

 

 ま、まま、まま

ぁ ぁぁ

あぁ、あああ ぁーあ ぁぁぁ

あ ァァ、あぁ ァ ァ ぁ アぁ

 

あぁぁあああああああああああああああ あ

 

 

 

 

 

 

 

 ニンゲンを部屋トいう箱に閉じ込め、蠱毒のよ、うに殺し

 

 ●●は見た、アイツ笑ってるの を

アイツが下衆な目で●●をみつめ いる ヲ?!内に宿ったドス黒い感●●●がトグロを巻き、そ。の場のにんげんんんを全て食い殺した

 

 

 

 

 

 ぼくはわたしは、ぼくはわたしはははわわわ、おかしくpなっtぁk、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ()()が生まれた、ぼくはわたしは生まれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぼくはわたしは父を殺して、死んだ

 深い深い眠りに就いた

 

 

 

 

 

 

 その死体の後ろに映った窓の奥には、妖艶に輝く月が覗いていた。

 

 

 

 その時●●は月に魅入られた。

 悍ましいこの世界に、再び輪廻の輪をくぐることを強要されて。

 

 

 

 

 

 

 

 もっと足掻いて死んでと、月は微笑んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 -----

 

 

 

 夢を…見ていた。

 

 

 

 内容は朧げだ。女を男が絞め殺す夢。それ以降の内容はテレビに映る砂嵐のようなものが邪魔をして、理解出来なかった。

 

 また視界に映っていた人間以外歪められたようにその輪郭を崩していたし、人間の顔も黒に塗り潰されていた。

 

 それでも、あの二人がおれの両親だったという事は曖昧だが分かった。

 それと同時にあの光景がおれの昔の記憶だとも。

 

 

 正直言って何の感慨も湧かない。所詮画面上の内容に感情移入するなど今の自分ではあり得ない。

 だが思い出したのだ、ジョーカーがヴァイオレットの首を絞めていた光景と重ねて。

 

 

 それがトリガーとなり記憶が呼び起こされた。

 

 

 しかし不思議だが、これ以上は思い出さないという確信がある。今更思い出すなどある訳がないし、だったら最初の内から覚えているはずだ。

 

 それに思い出した所でおれの今形成された人格は一片も揺るぎはしない。

 

 過去は過去、今は今。過ぎた事などどうでもよい。

 

 

 

 あそこまで取り乱したのは、所詮今と過去が混合したに過ぎない。

 

 優しい母上が塗り潰された前世の父に殺されようとしていた、そう見えただけだ。

 たださっきまで思いっきりトリップ状態だったせいか、謝っちまったが。

 

 母上は既に死んでいる。謝った所で母上が帰ってくるわけじゃない。

 

 

 本当クスリは洒落になんねェな。

 

 売り捌いてる側が言うことじゃないが…でもおれが扱ってんのはここまでえげつない奴じゃない。嗜む程度の効果だ。多量に摂取すれば死ぬが、効果が薄い分量で金を得られる。

 

 …違う、今はそんな事考えてる場合じゃない。

 

 

 

 冷静になっているのか物事がきちんと思考できるまで戻ってきている。どうやら身体の方も耐性が付いたらしい。

 

 聞こえるのは膝元で泣いているヴァイオレットと、おれの隣でへの字口をしてらっしゃるジョーカー。

 こいつァ相当後で謝らないとやばいな。一先ずヴァイオレットが殺されなくてよかった。

 

 

(ジョーカー悪ィ)

 

『……他に言うことあんだろ』

 

(あんがとよ。でもあんたにも少し慢心があったんじゃねェの)

 

『……………すまん』

 

 

 あ、謝った。

 

 

(………………え、謝った!?あのジョーカーが!!?)

 

『お前人の事何だと思ってやがる』

 

(幽霊だろ)

 

『………』

 

 

 ブチィと音が聞こえたので、これにて話し合いは終了だ。また後で怒られてやるから、今はヴァイオレットだ。

 流石に弟に続き、ジョーカーのトラウマ二号になったらおれに被害が被る。

 

 いやまぁ遠因はどうせおれなんだけども。

 

 

 謝っているのでその髪を優しく梳いた。子供っぽい姿に胸が締め付けられる。

 思わず彼女の本名を言えば目尻を下げ、まもなく小さな呼吸音がした。どうやら寝てしまったらしい。

 

 今までずっと殺伐した雰囲気しかなかったが、今の彼女からは殺意が感じられない。それよりも縋るような…嫌な感じはしない。

 

 起きたらまた殺そうとするかもしれないが、今は休ませておこう。

 

 

 姫抱きしてベットに移動しようとした時不意に気付いた。床やベットが血塗れである。

 

 彼女の身体もそうだが、背中がエラく痛い。肢体をベットに乗せて傷口の深そうな所を糸で縫合していれば、ジョーカーが漂いながら周囲を見回っている。

 

 

『プレイにしても激し過ぎんな』

 

 

 何なの?あんたまだくっ付けたいの?結構しつこいな。

 そう思ってれば爆弾が投下された。

 

 

『既に外堀埋められてるぜ、この分じゃ』

 

(は?)

 

『フッフッフ!ヴァイオレット自らのお誘いってこった。相変わらず熱い女だ』

 

 

 

 

 

 ▪️Now loading…………

 

 

 

 

 

 

 

「はぁああああああ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 -----

 

 目覚めたヴァイオレットは心境の変化があったのか、初めておれの言葉をきちんと聞いてくれた。

 それだけで滅茶苦茶歓喜したおれって…。今までの殺伐とした関係性が浮き彫りになったな。

 

 

「……貴方は本当に、お父様やお姉様を殺してないのね?」

 

「…だからそう言って……いや、100%敵が悪いとは言わない。おれの油断も大いにあった」

 

「でも敵と組んでたって言ってたじゃない」

 

「……あ、アレは………海軍とって意味だ。信じられないなら確認してもいい」

 

 

 自分のやらかしを思い出すだけで顔に熱が上がる。唸っていれば、笑い声が聞こえた。顔を上げれば、口元に手を当てて微笑するヴァイオレットの姿。

 

 余計に羞恥心が増した。ジョーカーお前も笑うな。

 

 

「…ドフラミンゴ、本当に…ごめんなさい。私ずっと復讐心に囚われて、向こう見ずになっていたの。許してとは言わない、貴方の気に障ったなら…それを罰として、殺される覚悟もあるわ」

 

「……」

 

「その上で言うわ。貴方の考えは、私からしてみれば間違っている。多くを救うために小を殺すのは、いけないことよ」

 

「なら全員手を取り合って生きろってか?そんなの不可能だ」

 

「分かってる。…でも、貴方がさっきクスリで狂っていたように、貴方の間違った行動で苦しむ人間は多くいるわ。それを無視するって言うの?」

 

「ヤクに溺れる人間は大概クズだ。そんな人間が死のうがどうでもいい、おれにとってはただ金を排出するものに過ぎない」

 

「全員が全員、悪い奴とは限らないわ。それに……子供だって、親に勧められて吸引する子もいるのよ」

 

「……んなもん分かってる。無垢な子供が犠牲になる事もあるだろう。ヤクで人生を壊された被害者……それだけじゃねェ、武器の売買が遠因で死んだ人間も数多いるだろうよ」

 

「なら…尚更、止まろうとは思わないの?貴方は……優しさを持っているのに」

 

 

 

 理想とは、犠牲の上に成り立つ。その言葉を以って散々若い頃悩んで来た。でももうその感情に折り合いはつけている…いや、そのつもりでも未だ苦しむ事もある。

 

 でもおれはおれの夢のために生きている。

 

 

 理想を現実にしようと進んでいる今、もう止まらない。止まればおれが積んだ分の骸が意味をなさなくなる、それだけは絶対に許されない。他人に倫理云々を持ち込まれようが、死ぬまで進み続ける。

 

 だから、今更そんな事言われてもおれは靡かねェよ。

 

 

「理解した上でおれは進んでんだよヴァイオレット…いや、ヴィオラ王女。それ以上でもそれ以下でもない。進める所まで進む、おれの信念だ」

 

「……そう、私が何を言っても聞く耳を持たないってわけね。頑固な人…」

 

 

 お前が言うのか。つい出掛けた言葉は口に仕舞った。

 

 彼女のした行動は仕方ない。痛いほど気持ちは分かる。

 寧ろ廃人にならず、自分の目的のために進み続けられる人間など、そういない。それは先程の発言も然りだ。

 

 

「…そういえば貴方はどうしてこの国を救おうと思ったの?先祖が住んでいたと聞いたけれど、でもそれまででしょう?」

 

「ア?んなもん、おれの家族の聖地だ。おれが守らなくて、誰が守る」

 

 

 それに弟が守ろうとした場所でもあり、亡きリク国王が守ろうとした場所でもある。老院には若干腑抜けもいるが、おれが仮国王の間に根性を叩き直す。

 

 次に王女が継いだ時、しっかりと支える奴らを育成しないとダメだ。

 …もう大分、思考回路が侵され気味だな。

 

 

「………」

 

 

 急に黙った彼女を心配して見れば、目を大きく開いておれの瞳を見つめている。

 覗くルベライト色の瞳がひどく美しい。弟のよりももっと淡い色だ。

 

 

「どうした?」

 

「……え、あっ、何でもないわ…!」

 

 

 顔が赤い。熱だろうか、そう思い触れようとしたら避けられた。そのまま部屋から出て行こうとして……

 

 

「ちょ、ちょっと待てちょっと待て!!」

 

「きゃ、な、何…!?」

 

 

 そうだ、話の問題はここからだ。それに彼女の手当てはしたがまだお互い肌色が目立つ姿。

 ヴァイオレットの服をと思い探せばベットの上、血塗れである。おれのシャツも同様。

 

 

「替えの衣類は持って来てるのか?」

 

「……そ、そこまで考えてなかったわ…」

 

 

 お互い下着姿である。普通なら甘い雰囲気なんだろうが、こうもかけ離れている状況だと笑えてくる。

 

 一先ずいつものコートを彼女に渡し、自分は己の服を着た。

 下を履いてシャツを着ようとした所で悶絶した。

 

 せ、背中が…………クソ痛い。

 

 

「いっでェ……」

 

「あ」

 

 

 彼女の治療にとられて自分の治療を忘れてた…。

 自分がやると言った彼女に任せ消毒してもらい、包帯を巻かれながら問題の話をした。

 

 

「お前はもしかして…あれか、夜這い目…ぐえっ」

 

「……」

 

 

 睨め付けながら後ろから首を絞めるな。

 

 

 聞けばおれが身体の関係を迫る前に自分から攻めようと思ったらしい。おいおい、今の女性はアクティブ過ぎんだろ。

 身体の関係は薬で有耶無耶にしようと思ったのか、成る程……

 

 いや成る程じゃない、おれはそんな人間と思われてたのか、大分ショックだぞ…。

 

 

「…今は優しい人って分かったから別よ」

 

「そうか…。お前のことだ、用意周到に準備してたんだろうな…」

 

「えぇ!」

 

 

 何故か誇らし気に胸を反らせるヴァイオレット。えらいなと褒めたくなるが、いかんせんフラグの回収が手遅れな気しかしない。完全にファミリーに勘違いされてるぞ。

 

 

「…家族に手ェ出したと知られたら、完全に〆られるな…いや、嬲られる。絶対精神的に嬲られる……」

 

「………」

 

 

 ベビー5には冷たい目をされそうだし、シュガー辺りには殺されそうだな。どうするか…。

 

 

「関係を持っちゃえばいいんじゃない?」

 

「……冗談はやめろ」

 

 

 持っちゃえばじゃねェよ、恋愛感情死んでるおれには無理だ。

 ジョーカー助けろよ……。

 

 

『フフフ!ガキ、ここまで来て逃げる気かァ、エェ?』

 

(………)

 

 

 

 ここに味方などいない。そう確信した……と思った所で、意外な言葉がヴァイオレットの口から出る。

 

 

「か、関係と言っても本当じゃないわ。フリよ、付き合ってるフリ!」

 

「……!」

 

 

 ナイスアイディアだ。いやナイスと言っちゃいけないが、こうなった今それしかあるまい。

 フッフッフ!ザマァ見やがれジョーカー、いくらでもそのつまらそうな目を向けるがいい!

 

 光明が見えた気分になり上機嫌になっていれば、柔らかい感触が手に触れた。

 彼女がおれの手を握っている。

 

 

「宜しくね、ドフィ」

 

「……あ、あぁ」

 

 

 一瞬ルベライトが肉食動物のように煌めいたのは気の所為か、背筋に走った悪寒を振り払うように笑みを浮かべた。

 

 平静を装うおれを奴は見つめながら、サングラスの奥で瞳が楽しそうに弧を描いていた。

 

 

『精々頑張れよ』

 

 

 何を、とは言わなかった。ただ今後も彼女の前では油断しないよう気をつけようと思う。

 

 ……特に夜は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 *****

 

【×××】

 

 

「兵隊さん、どこに行くの?」

 

「こっちだ」

 

 

 片脚の無いオモチャの兵隊の後ろを必死に走って付いていく少女。

 

 ヴィオラ王女と救助された後、母親の死に泣いていた少女の前に現れた不思議なオモチャ。

 

 最初は上手く喋れなかったのか「う」だの奇妙な音を漏らしていたが、いつからか流暢に喋るようになっていた。

 

 

「兵隊さんは、どうして私を守ってくれるの?」

 

「それは…」

 

 

 オモチャが思い出すのは、己を海に投げ落とした緑の髪の少女の言葉。

 そしてその言葉通り、自身の存在を仄めかしても少女が思い出す様子はない。

 

 

「…お前を守る兵隊だからだ」

 

「ふふ、変なの」

 

 

 しかし少女は何故か城に残るよりも、目の前に現れたこの不思議なオモチャと共に歩む事を決めた。

 理由は分からない。でも心の奥が締め付けられる感覚に、逆らってはいけないと感じたのだ。

 

 そして今は不思議なオモチャの目的と、ドレスローザを乗っ取った男への復讐のため、強くなろうと努力している。

 

 

「私強くなって…お祖父さまやお母さまの仇を討つわ!」

 

「いや、俺が……」

 

「駄目よ!兵隊さんじゃ壊れたら治らなくなっちゃうもん!」

 

 

 少女の瞳に宿る色に、兵隊は懐かしいものを感じた。

 しかし彼女の瞳の色を思い出そうとしても、頭の中には濁った瞳の色しか思い出せない。

 

 笑った笑顔も何もかも、彼女の全てが靄がかかったように思い出せないのだ。

 

 

「………」

 

「どうしました、兵隊さん」

 

 

 そこに現れたのは黒に包まれた男の姿。男といっても顔はキテレツな仮面に隠されている上シルクハットを被っているため、声から判断しているに過ぎない。

 

 そんな彼がレベッカの脱走を幇助してくれたのだ。

 長身の男はしゃがみ、オモチャに囁く。

 

 

「あの男を、殺すのでしょう?私も恨みがあるのです」

 

 

 その声を聞く度にふつりと殺意が増す。同時に頭の中も靄が増えていく気がするのだ。

 

 

「殺しましょう、兵隊さん」

 

「コロ……」

 

「殺しましょう」

 

「コロス…」

 

 

 浜辺で藻屑と混じっていた己を救った黒い男、その男はまた楽しそうに囁く。

 

 

 

 

 

 

 

 _____殺しましょう、ドンキホーテ・ドフラミンゴを。




主人公
身内に甘い打倒天竜人。前世を若干思い出したけど我が道を行く。精神弱め。ヴァイオレットとの勘違いは解けたけど、流れで仮初めのお付き合い(但し恋愛感情は死亡)。

ジョーカー(モフモフ)
主人公守り隊兼おとしゃん。計画ど…………計画通り(デスノ●ト顔)。ただ今後の展開考えるとしんどいおじ……おとしゃん。

ヴァイオレット
少女扱いで若干不満。靡かせたるでェな子虎ぐらいの肉食系女子(思いっきり作者の趣味)。
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