世界はあなたを愛してる   作:アビ田

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ルベライト……赤い宝石。

肉食系女子と恋愛感情が根本的に無い主人公
※ものすごく作者の趣味なのでご注意。主ヴィオ風味。ちょっとベビも。


*次回最終章突入。
相変わらずシリアス一直線で暗いですが、あと少しの間お付き合い頂ければ幸いです。


番外:妖艶ルベライト

 ヴァイオレットと恋人のフリをするようになった現在、新たな問題が出て来ている。

 

 

 女性経験がないわけじゃないが、それはほぼ全て一夜のものであって、交際云々は専ら試しがない。

 交渉目的で取引先の娘にハニトラもどきを仕掛け付き合った事もあるが、それまでだ。

 

 おれは一つ見誤っていたんだ。いや、一つだけじゃないが取り敢えず今回の一番の誤りは……

 

 

 

 関係という事はつまり、密会のフリをしなきゃならねぇということだ。

 

 

 

 

 

 胃痛薬の消費量が過去最多になっている。

 

 基本彼女はいい奴だ。おれにハニトラ紛いを仕掛けたのも、父や姉…それに国のため。根底にはとんでもない誤解もあったが、話し合いでどうにか解けた。

 

 だがいかんせん良い子過ぎてもう少し警戒して欲しい。

 

 美女なのだ、そりゃあもう周りが羨むほど。もしおれがその気になったらどうすんだ…。

 

 

 

 おれの寝室。密会というか、ほぼバレてるだろうな。まぁ付き合っているとバレ易いようにはしてるんだが。

 

 別に何もしない。入浴して寝る、それだけだ。シーツにうつ伏せになってすっかり不眠体質になった体を倒すだけ。

 ほんとそれだけでいい……。

 

 

「…ドフラミンゴ」

 

「…………」

 

 

 目を開けたのがいけなかった。彼女の綺麗な瞳が目が映る。

 

 咄嗟に顔を背ける。何も思えない自分が嫌になると同時に、彼女に対しても申し訳なく思う。

 

 本当はおれみたいなイかれてる奴じゃなく、好きな奴と添い遂げて欲しいのに、嘘でもおれの女として認識されつつある。そうなれば将来にも傷が付くだろう。

 

 それがヴァイオレットと正面切って向かい合えなくなった理由だ。本当すまない。

 

 

「こっちを向いて、お願い」

 

「……寝させてくれ、疲れてる」

 

「…ドフィ」

 

 

 ふいに愛称を呼ばれて、つい向いてしまった。何となく、そう呼ばれるのに弱い。

 

 

「貴方は……優しいのね。どうしても貴方の心は見えないけれど、でも不思議なの」

 

 

 そう言い彼女の手がおれの目元を触る。

 

 最近彼女はギロギロの実を食べたらしいが、どうやらおれの内は見えないらしい。曰く真っ黒で深淵を覗いているようだと。

 

 精神が歪な所為なのかは分からない。同様にジョーカーの方も読み取れないらしい。

 

 

「夜の海……そう、夜の海だわ。静かで、まるで人々の眠りを優しく誘ってるみたい」

 

「…おれは寝れてねぇけどな、あんまり」

 

 

 そう言えば隈を辿られた。擽ったさに少し笑うような息が漏れる。

 

 

「フフ、くすぐってぇよ」

 

「……」

 

「…?ヴァイ…」

 

 

 違和感を抱き閉じていた目を開けた。

 そうれば眼前にルベライトの色。と、いうか…ちょ。

 

 

「っ………!!」

 

 

 思わず勢いよく起き上がった。危ねぇ、マジで。

 

 

「……恋人のフリをするんでしょ」

 

「…いや、だからってそういうのは……好きな奴のために取っとけ」

 

 

 何考えてんだ。演じるからってそこまで本気にしなくていいんだ。もしリラックス出来るなら、それでいいのに。だからお前はいい子なんだよ……気を付けろよ。

 

 そう思っている間もゆっくりこちらに這い寄る。覗くランジェリーの下が艶めかしい。

 

 だから……ハァ、ちょっと抜けてんな…ヴァイオレット。

 

 

「お前…気を付けろよ。おれの前だからいいとしても…」

 

「……鈍感なの?」

 

「はぁ?」

 

 

 鈍感はお前の方だろ。ベビー5はしっかりした性格になったはいいが、お前はちょっと本気で危ないぞ。

 襲われる、絶対不穏な奴らに。

 

 

「…そっち?」

 

「ちげぇ」

 

 

 おれは男色じゃねぇよ。なんかベビー5にも言われたことあるな。

 

 

「……やっぱり鈍感じゃないのかしら…いや、どっち…?」

 

 

 ヴァイオレットはブツブツ何かを考えているようなので、寝ることにする。人の体温とはいいもので、眠気を誘うのだ。まぁ誰でもとはいかない。気を許しているファミリーの人間だからではある。

 

 

「寝るの?」

 

「フフフ、お前の体温たけぇよな」

 

 

 目元に触れられた手は温かかった。おれが平均より低いだけか。

 

 でも温かい。何故だろう。

 

 

「……なァ」

 

「何?」

 

 

 こちらを覗いているのか、頰に髪が当たった。

 おれも男にしては長いが、彼女と比べるまでもない。

 

 薄っすらとシャンプーの匂いがする。

 

 

「頭……触ってくれるか」

 

「……えぇ、いいわよ」

 

 

 手を触れるだけでよかったが、髪を梳かれる。撫でるような手付きに漸く眠れる気がした。

 瞼が酷く重い。

 

 

「……ふふ、あなた子供みたいね」

 

「……ん?……そう、か?」

 

「眠いなら寝ていいわ」

 

 

 返事をしようと思ったが、落ちる意識には逆らえずそのまま眠りに就く。

 一瞬瞼に柔らかい感触がした。

 

 

 

 あぁそうか、温かいのは、温かいと思ったのは……

 

 

 

「おやすみなさいドフィ」

 

 

 

 

 

 _____母上。

 

 

 

 

 

 

 

 -----

 久し振りにぐっすり眠れたと思ったら昼まで寝ていた。やばい、仕事を思いっきりすっぽかしている。

 

 慌てて立ち上がろうとして、身体に何か違和感を感じ止まった。

 

 

 腹の上でヴァイオレットが寝ているし、おれの背中に腕が巻かれている。自分の肌色の多さに焦った。下着のみのこの状況、着ていたバスローブどこだよ。

 

 探せば下に落ちていた。そんなに寝相悪かったか…?

 

 とりあえずこのまま寝入っているところを起こすのも悪いので、糸を伸ばし電話を取った。掛ければ出たのはベビー5。

 

 

「あ、ベビー5か。すまん仕事……」

 

 

 言い終える前に何故か冷めた声が聞こえる。待て、またお前振られたのか?

 

 

 《……さ…………の…か》

 

「あ?何だ、何かあったのか?」

 

 

 瞬間、電伝虫がカッと目を見開いた。目尻には涙が浮かんでいる。

 まさか襲われ……!?どこのどいつ……

 

 

 

 《若様のバカーーーーーー!!!!》

 

 

 

 ガシャンと切られた。待て、何故おれがバカ呼ばわりされてる。

 急いでリコールしたらトレーボルが出た。

 

 

 《べへへーモテる男は辛いんね〜〜》

 

「お前、まさか何かしたのか…!?」

 

 《いや、それはない》

 

 

 急に真面目に言われた。口調崩壊するほどってどんだけガチだよ。

 

 

 《とにかくベビー5は大丈夫だんねードフィはそのまま休んでていいぜ〜》

 

「待て話がよく分かって…」

 

 《じゃあ切るんね〜〜》

 

 

 ガチで切られた。まぁ何もないのは分かったからいい。

 それよりもこの状況をどうするか。若干寒い。

 

 

 糸を伸ばしコートを取ろうとしたところで腹の上に動く気配がした。

 

 もぞもぞと動くヴァイオレット、眠りが浅いのだろう。おれの寝相が悪かったせいで眠れなかったのか?だとしたら余計起こす気が引ける…。

 

 ただ場所が場所なだけ、柔らかい感触が腰に当たるのは宜しくない。殊更よく動くからさらに困る。

 

 生理的なもんはどうしようもないから、取り敢えず間違いが起こる前に悪いが起きてくれ。

 

 

「…ヴァイオレット」

 

「んん……」

 

 

 手を伸ばし肩を揺すったが起きない。寝ぼけているのか背骨をしなやかな指が下へと辿る。擽ったい。

 

 

「フフフ、起きろ。朝…いや昼だぜ」

 

「…んー」

 

「フフ………」

 

 

 つぅと、尚も下に降りる。こそばゆい。

 流石に手を握って止め、緩んだ隙に体を離した。起きたのかヴァイオレットは目をこすりながらふにゃりと笑った。

 

 美しいというか、いたずらっぽい笑みだ。

 

 

「おはよ、ドフィ」

 

「ああおはよう、ヴァイオレット」

 

 

 そう言って取ったコートを彼女の肩にかけた。下着の上に着ているキャミソールが乱れている。目のやり場に困る。

 

 

「…ねぇ」

 

「ん?礼ならいい」

 

「違うわよ」

 

 

 じゃあ何だと、バスローブを取ろうとしていた手を掴まれた。座っていたのでお互い見つめ合う形になる。

 逆光になって彼女の綺麗な瞳がよく見えない。

 

 

「ヴィオラ」

 

「何?」

 

「名前で呼んだ方が自然でしょ?」

 

「……あぁ、そういうことか」

 

 

 確かの恋仲の設定なら、名前呼びじゃない方がおかしいか。いつのまにかおれの方も愛称呼びになっているが、元はそちらの方が好きなので気にしないし、これぐらいなら別に悪くない。

 

 

「ヴィオラ、改めておはよう」

 

「……!え、えぇドフィ…」

 

 

 そう言えば彼女は顔を赤くした。確かに意外と照れ臭いな、これ。

 そして立ち上がり、取ったバスローブを着た。

 

 

「ほら、先に身支度して来い」

 

「え、何で…」

 

「いいからほら、飯にでも行こうぜ」

 

「…!わ、分かったわ」

 

 

 着る服は既に持って来てある。以前の失態から教訓を学んだ。

 それにせっかく休んでいいと言われたんだ。こうなりゃとことん休んでやる。

 

 だいぶ寝たが若干まだ眠い目を擦りながら、おれも着替えようとオフの衣装を漁った。

 

 

 下着を脱ごうとしてヘアゴムを取り忘れたのか、バスルームから出て来た彼女に本気で焦って糸を使っちまったが、事なきを得つつ、今日の予定を考える。

 

 

 

 

 

 長閑な昼。温かい光に自然と笑みが零れた。




ヴァイオレットと国王は大人の関係にある。そのことを聞いたベビー5はバッファローをポカポカ殴っていた。


「若様のバカ!!!」

「侮辱はダメだすやん」

「バカーーーーー!!!!!」

「ダメだすやん」

「私が若様と結婚するのーー!!!」

「ダメ………ッファ!!?」
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