世界はあなたを愛してる   作:アビ田

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_____モネちゃんを、メチャクチャ幸せにし隊。


グーグツシッシ

 _____人間の歴史はひたすらの破壊と再生の繰り返しである。

 

 

 平和は一時的なものに過ぎず、人間はいずれ戦争を渇望する。その中で人間が使用して来たものが武器だ。しかし武器では人間の虐殺には長けていない。

 

 どうすればより人間の頭数を減らせるか、そんな悍ましい考えの中で生み出されたものが兵器だ。

 

 

 兵器とは広義的な意味を持つ。

 武器との違いは、戦争での使用に特化している点だ。

 

 兵器は戦争で多くの人間の命を奪って来た。しかし人間の強欲は収まるところを知らない。より多くの資金や人材を使い、最新技術を取り入れた殺略に長けた兵器が次々と作られる。

 

 

 人間兵器。遂に人類は機械だけではなく、人間にまでその矛先を向けたのである。

 

 

 生物兵器はあった。しかしそれは人間以下の種に行われて来たはずだったが、同じ種族に行い始めたのだ。その浅ましさは奴隷を例えれば簡単だ。

 結局人間とは同族さえも下等に見る。

 

 

 その思考をおれは是としない。阿呆な考えをする奴らは全て殺す。

 

 圧倒的な破壊を持ってその思考を捩伏せ、世界の再建を果たす。愚かな代表の天竜人のクソどもはその世界に不必要だ。

 

 

 甘い理想郷。

 

 そんなものは所詮机上の空論だと分かっている。しかしそこまで目指さなければ、世界の再構築など不可能なのだ。

 

 

 

 

 

 理想の裏に犠牲は付き物だと散々言って来たが、踏み入ってはならない領域は守って来た。

 麻薬にしても、武器にしても。

 

 しかし身内といっては微妙なラインだが、全く別の方向から頭のネジが外れた奴が出た。そのアホはまさか製薬と言いながら、何を作っていたか。

 

 

 …兵器だ、殺戮兵器『シノクニ』

 

 

 元々自分を売り込んで来たため雇ったが、奴の危険性は前歴から重々警戒していた。

 しかし思考は危険であれど、優秀なのに違いはない。

 

 製薬で実績を上げていたため、武器の範囲までなら許していた。だが考えが甘かったのだろう。

 

 

 

 奴の研究所…監視役としてパンクハザードに送っていたモネからも連絡は滞りなく行われていたはずだ。

 

 そもそも奴の悪行を知ったのは今さっきだ。ちょいと政府に用事があり数週間空けていればこの始末……本当クソだ。

 

 奴は薄暗いルートに殺戮兵器を売り出す云々言ってやがる。

 

 

 

 奴の入っている組織におれの存在をそのまま投影しているわけじゃない。一応変装した姿で行なっている。奴はおれ以外の後ろ盾を持っていないはずだった。

 

 また奴が強力な存在の下に(なび)く存在なのも理解していた。

 

 

 だがしかし、売りに出ているということは後ろ盾があるということ。

 奴には最初から顔出しで恐怖を植え付けておけばよかったか……いくら考えたところで後の祭りである。

 

 

「…一先ず、徹底的に暴力を……与えてやる」

 

(落ち着け)

 

 

 映像を映していた機器は粉砕し壁にめり込んでいる。驚いたベビー5が固まっていた。

 悪いと言い…しかし片付ける気が湧かないので頼んで自室へ戻った。

 

 モネからつい最近まで連絡はあった。なのにおれに何も伝えていないのはおかしい。

 

 それと奴の言っていた【チャンドーラ】という組織。おれが統括してる場で、最近目に余る下劣な取引を行なっている奴らだ。そいつらが奴の後ろ盾と見て間違いない。

 

 

『……テメェは行かない方がいい』

 

「行く。殺す……のは流石に功績もあるからやめるが、ボコボコにする」

 

『落ち着けって言ってんだろ』

 

 

 頭を引っ叩かれた。何だってんだ。あの野郎、好き勝手しやがってるんだぞ。それもおれの邪魔をしてやがる。どうしてそんなに冷静なんだよ。

 

 

『パンクハザードには時期に麦わらが来る。テメェが行かなくとも、制圧される』

 

「……モネを、救いに行かないと」

 

『……犠牲は付きもんだろ』

 

「テメェ!!!」

 

 

 無意識に覇王色が漏れ部屋が散乱した。ヒビも入ったがそんな事どうだっていい。

 このクソ野郎今なんて言いやがった。

 

 

「モネはおれの家族だ。例えテメェの家族じゃなかろうが、おれの……家族なんだよ」

 

『……行くな』

 

「黙れ!!」

 

『ローがいる!!』

 

「……あ?」

 

 

 柄にもなく叫んで、青筋を浮かべる奴の姿は真剣そのものだ。ロー?モネはそんな事言ってなかった。

 

 こいつのエゴで止められるなんて勘弁被る。

 …だが、理由なく考えを言う奴じゃないってこともよく知ってる。

 

 

「…根拠は、……おれが納得のいく根拠を教えろ。そうすれば……考える」

 

『あくまでおれの推測の域だ…それを含めてテメェも考えろ』

 

 

 

 

 そうして出た可能性は二つ。

 

 

 

 先ず一つ目、【チャンドーラ】の組織。

 

 

 組織と関わったことはないが、大分前にマーケットを見た事がある。その中のトップの人物をジョーカーは見たことがあると言う。

 

 約10年前に殺した夢に関する能力を持つ能力者。そいつの雰囲気とそっくりだったらしい。

 おれは能力の影響でその時の記憶が曖昧なため判断がつかないが、奴がそう言うのだからほぼ確実だ。

 

 

『おれの勘じゃあ生きてる。いや、ほぼ確実だ。能力は使用者によって矛にも盾にもなるように、多彩に変わる。夢に関すれば、敵を操る事も可能だった』

 

(……詰まり、モネは操られている可能性があると?)

 

『そうだ』

 

 

 相手の能力者が未知数な以上下手に出られない。精神に作用するなら余計にだ。

 

 また以前のシュガーの件と同様にモネを救えたとしても、敵の能力者を倒すのは難しいということ。

 何故死んでいないのか、それも能力の一つなのか……調べない事には分かるまい。

 

 

 

 そして二つ目。

 

 

 ローがパンクハザードに潜入している可能性。あくまでこちらはジョーカーの予想だ。

 

 ローがおれの失脚に炎を燃やしている事は分かっている。関わるべきではないとしても、行かなければ救えない。

 

 

『おれの時、ローはモネの心臓を握っていた。既に奪われている可能性は十分にある。そうなるとテメェは絶対に動けない、違うか』

 

(……ローは本当にいるのか?お前の世界線とは違うんだろ?)

 

『違う。ただいるという保証はないが、いないという保証も出来ない。それに能力者に操られているなら、相手はモネを操ってローの情報を意図的にお前に伝えていない可能性が高い』

 

(だがファミリーとあの蛇舌野郎の関係をどうやって知った?あいつさえただの一介の製薬会社だと思っているのに……情報は漏れていないはずだ)

 

『モネの記憶を能力者に覗かれているなら、ローも知っている可能性が高い。そうなると敵にローが逆アプローチをされたんだろうな』

 

(………そうなると敵はローさえも操ろうって魂胆か?)

 

『フッフッフ…だろうな』

 

(敵の狙いは何だ?)

 

 

 それに奴は考えるようにしている。まぁ何となく分かるが…。

 

 

『……テメェだろうな。テメェの失脚か、それとも金か』

 

(………)

 

『それでも尚行くってほざくなら、おれは本気でテメェを馬鹿だと思うぞ』

 

「……モネ…」

 

 

 

 行った所で、敵の狙いは知れている。海軍と組む手もあるが、状況にはよるものの今の段階じゃ絶対にそれは断る。奴もそれを分かっていて言っていない。

 

 それでもおれは行く。バカと言われようが、仲間をいいようにされて黙っている方が愚者だ。バカよりも最悪だ。

 それに…今は自分の感情を尊重したい。

 

 

(いくらでも言え、バカ野郎ってな)

 

『……お前は本当…血が上ったらチンパンジー以下だな…』

 

「あ゛!?」

 

 

 ブチ切れて糸を伸ばしたが幽霊には当たらず、ベットに当たり羽毛が舞った。

 

 

「誰が猿だジジイ!!」

 

『………』

 

「でっ!!」

 

 

 あっさり腕を操られて糸で拘束された。この野郎マジで覚えて…

 

 

『仲間がいんだろ、テメェには』

 

「____!!」

 

 

 ……バカだ。本当に血が上ってたな…おれの仲間はモネだけじゃない。他にも仲間がいるじゃねェか…。

 一人で進んでるんじゃない、仲間と……進んでるんだ…。

 

 

「……悪い」

 

『フン………所でさっきの言葉だが』

 

 

 あ、待ってめっちゃ怒ってるやん。

 姑のように小言をグチグチ言われるので部屋から逃げようとして開けたら、誰かにぶつかり、声がした。

 

 

「……あ?」

 

 

 部屋の前で傍聴していた犯人を逃げたもう一人を含めて捕まえれば、降参のポーズを取った。

 ベビー5とバッファロー。

 

 

「……趣味が悪いなァ、エェ?」

 

「ご、ごめんなさい」

 

「ごめんなさいだすやん…」

 

 

 二人の様子はしかし、若干期待の目を向けている。恐らく自分たちに任せて欲しいと、そういう事だろう。

 

 

(……人数がいれば、おれも行って構わないだろ)

 

『その無駄に高いクオリティの変装で行けばな』

 

(無駄って言うな。洗練されたと言え)

 

 

 奴の機嫌も戻ったようだ。流石に変装云々も能力者にバレていたら凹むぞ。モネには見せてないしな…覗かれていてもバレていないはずだ。

 

 そうと決まれば早く行こう。大人数では逆に警戒される可能性がある。故に少人数だ。

 

 二人も行けば、あの野郎は確実にこちらに傾く。

 ただの製薬会社じゃない、その後ろ盾がドンキホーテファミリーなのだと知れるのだ。

 

 

 戦況を変えてやる。

 

 混乱に乗じてモネの奪取。ローは無視。あと野郎をおれ自らフルボッコにする。

 

 

「よし、準備しろ。直ぐに向かうぞ」

 

 

 二人の返事を聞き、出発する用意をした。

 

 

 

(絶対ドレッシングの野郎を殴る)

 

『……シーザーだ』

 

(え?)

 

 

 

 

 

 ………まぁ、そういう事もある。

 

 

 

 

 

 -----

 

 茶髪で丸渕眼鏡を掛けた、目が棒のような人間。笑う様も正しく接客用と言わんばかり。

 シーザーが彼に自分を売り込んだのは、ただ単に金の羽振りが良いという理由だった。

 

 ある程度の自由は許されていた。しかし彼の望むマッドで痺れる欲求は発散し切れなかった。しかも強要されるのは不死の病の製薬開発ばかり。

 

 選ぶ所を間違ったと思った理由だった。

 

 これならば恐ろしいものの、裏のマーケットを牛耳る七武海のあのスマイルを浮かべる男に売り込めばよかった。

 

 

 そう考えていた時、丁度現れた黒い男。

 

 

 

「私と組みませんか?」

 

 

 

 男はシーザーの才能を買い、その狂気を昇華させた。求めれば金を幾らでも与える。

 能力も相手を操る能力。彼を監視していたモネさえも操ってしまった。

 

 彼の実験は大いに進んだ。七武海のトラファルガー・ローの協力により半人半獣の軍団も手に入れた。

 

 軌道は今までにないくらい最高だ。しかし、彼の気分を害する男が現れたのだ。糸目具合からシーザーは奴を『狐』と呼んでいる。

 

 

「あの狐ヤロー!!職務怠慢とでも言いに来たのかぁ?シュロロロ、もう奴は用済みだ!出迎えて殺してやる!」

 

「流石M(マスター)

 

 

 シーザーの隣に居るモネもまたハーピーに改造されている。

 

 兵器を紹介した後、自分のこの素晴らしい狂気の才の発散を今まで散々邪魔して来た狐ヤローを、毒ガスで直々に殺す。

 そう意気込みながら男は準備をし出した。

 

 

「シュロ?そういや映像に映っている狐野郎の後ろの二人…フード被ってるのは誰だ?見覚えがあるか?」

 

「………?分からないわ」

 

 

 その答えた彼女の目は、酷く濁っていた。男は興味なさげにそうかとだけ返し、楽しげに殺意に踊った身を弾ませた。

 

 

 

 

 

(わ……か、さま……………)

 

 

 

 

 

 悲痛な彼女の声が、外に出ることはなかった。




主人公
身内に甘い打倒天竜人。時折抜けてる。変装名人(?)。シーザーに激おこスティックry。

ジョーカー(モフモフ)
主人公守り隊兼おとしゃん。苦労人。ジジイ呼ばわりが地雷。
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