主人公とジョーカーの会話表現で、現実で行動している方が「」、精神内の方は『』の形式をとっております。基本的に主人公が「」、ジョーカーが『』が多いです。でも時折違う場合があるので、ご注意頂ければ幸いです。
ただお互い精神内で対面している時は、双方「」で喋ってます。
霞んだ思考の中でいつも思っていたのは、ぼんやりとした姿の「あの人」と自分と同じ髪の色の小さい女の子。
わかさま_____それがあの人で、女の子の名前は終ぞ出てこなかった。
モネの思考がここまで壊れる事態になったのは、半年ほど前シーザーが謎の黒い男を連れて来てからだった。
それから彼女の思考は男の能力により奪われ、肉体は操られるままになった。
自我の喪失。
けれど消えないでいられたのは、襲う悪夢の中あの人と少女が両側に立って彼女の手を握り、笑いかけていたからだった。
もう少し、あともう少し、そうやって耐えて来た。
そして思考が一気に明瞭になった瞬間目の前にいたのは_____
「腐った目…!?」
「誰が腐った目だ」
(この男は確かトラファルガー・ロー、七武海の……)
彼女はまず自分の状態を確認した。思考が普通に出来る。
そこから己が妹のように精神的混乱に陥っていないのだと判断した。
ローは嘗ての仲間の姿をいち早く映像に捉え、交渉材料であるモネを相手に奪われる前に動いたのだ。
狐顏の男は何か引っかかるものがあったものの、シーザーが所属している所のトップだと思い出した。
その後暴れ出したシーザーの攻撃の数々を避けながら逃げていた。
しかし思い出していくに連れ、疑問がいくつも彼女の内で湧く。
そもそも能力者の影響がここまで薄いのは何故なのか。
「……今の状況はどういうことなの。若様は…」
「今はシーザーが暴れている。お前は捕虜だ、大人しくしてろ」
「………」
大人しくしろと言われても、流石にこの男に姫抱きにされている状況は彼女のプライドが許さなかった。
また黒い男が来た以降にローはシーザーに協力を持ちかけた。という事はその間の記憶もきちんと補完されている事になる。
動こうとして四肢の自由が上手く取れないことに気付いた。
モネが視線を自分の肢体に移し、腕の代わりになっている翼はあるものの、足の部分が無いのだと理解した所で悲鳴が上がりそうになった。
かつて団長が自分の四肢を奪おうとした恐怖が身体を支配する。怖い。
「いや……」
「何……っ!?」
取り乱すモネの傍ら、ローに向けられた周囲の女性陣の冷たい目。
毒が浸透する前に付けていた部分を斬ったのだと、説明する声がしても頭が追い付かない。
ただローに連れられてシーザーの攻撃に運悪く当たり、自分だけ瓦礫の下敷きになってしまった所を救われたのは覚えている。
(若様、わかさま、わ、わか、わか……さま)
救いを求めるように無意識に伸ばした場所には金髪。
「も、もも……モネちゅわぁぁん♡♡」
「……」
ギャグマンガ●和のうさ●ちゃんの表情を浮かべたモネの前に居た男に放たれたのは、ナミによる一撃。
それによってサンジはおふんと謎の声を上げながら床に伏した。
「本当あんたって奴は……でも他に彼女を持てそうな人物は……あっ」
「ん?」
ナミの視線の先にはゾロ。
未だ状況が掴めないままモネはローから片眉を上げたままのゾロにパスされた。
漸くトラウマも落ち着いた所で、現状について再度ローから説明される。
曰くモネはドンキホーテファミリーとの取引のために助け出された捕虜ということ。
ローが黒い男と組んでいたのは分かった。奴はどうなったのかと聞けば、毒により死んでいたという。
能力による催眠はモネの妹、シュガーがかけられた時よりも甘く施されていたようだ。故に精神も無事なのだ。
殺す前提の捕虜ではなく、生かす前提の捕虜だったという事だろう。
それに殺せばドフラミンゴの怒りを買う事になる。それだけは避けたかったのだろう。
「元々あの黒い男は利害関係の一致で組んでいただけだ。それよりも今の現状を抜ける方が先決だ」
「……」
どうやら一味が子供たちを発見したことでシーザーの悪事が露見し、ほどなくシーザー本人が見つかったようだ。
何故かテンションがウザいくらいに高かったらしいが。
男はそのまま暴走しスマイリーを放ったと、記憶が戻った今すんなりと状況が把握出来た。
一先ず救助途中だった子供たちのグループと、あのバケモノを止めるメンバーに分かれることになった。
ゾロがバケモノの討伐組に回ったことで、今度は本当にサンジの腕に抱かれる。モネは自分がボールのようだと感じた。
「変なとこ触ったらダメよ、サンジくん」
「んんナミすわぁんったら嫉妬しちゃ…いでっ」
「ふっざけてんじゃないわよ!しっかり守りなさいよね」
う●みちゃんモードに戻ったモネはその様子を見つめた。
麦わらの一味___様子からして、ローと共闘しているのが窺える。
ドフラミンゴの脅威となり得るが、若様が負けるはずがないだろうという自信がある。
(若様は来ているのかしら……いや、でもローには特に警戒していたはず…)
嘗てファミリーにいた存在。それに警戒を怠っていなかったが、精神操作を受けローの介入を許してしまった。
悔しさばかりが募る。
それは、つまり自分が敬愛する男の計画の邪魔をしてしまったということ。
ファミリーに甘い男ならば島に来ている、若しくは来ていた可能性もあるが、ローはドフラミンゴ自身が来ていたとは言っていなかった。
しかしその言葉は言い換えれば、男以外のファミリーのメンバーが来ていたという事になる。
誰かは分からないものの恐らく自分を取り戻しに来たものの、上手く行かなかったのだろう。
決して見捨てる人ではないと理解している。
だからこそ彼女は、取引の
モネにとって、若様_____ドフラミンゴとは命の恩人である。その彼のために生きようと無心の献身を貫いて来た。見返りはいらない、ただ捧げたい。
故に役目を授けられた時は、どれだけ嬉しかっただろうか。しかもこのポジションは相当な信頼が無いと与えられなかっただろう。
しかしその思いに泥を塗ってしまった。
このままではローは何を要求するのか、分かったものではない。
ドフラミンゴが危険視していたという事は、敵になり得るということ。いや、敵なのだ。
記憶を思い出した今実際にローの行動原理を分析する事で、その目的が若の目的の邪魔になるという事は容易に理解できる。
ならば死ぬしかない。若の障害になる前に、恩を仇で返す前に。
周囲はモネの異変に___覚悟に気付いていない。モネは目を瞑り舌に歯を軽く食い込ませた。
(大丈夫、ローはスマイリーの討伐に向かった。例え戻って来たとしてもその時には出血多量で死んでいる。あんたの甘さはそこよ…!私が若様のために自殺までするとは考えていなかったこと。
裏切った奴に、どうせこの忠誠心は分からないのよ_____!!)
身体が震える事は無かった。あの方のために死ねるなら、それが彼女の生きた理由として完結する。
寧ろ命を捧げられる事に一種のエクスタシーさえ感じる。
でもと一瞬、頭に不変の少女の姿が過った。
「ごめんなさい…シュガー」
そして、瞼をギュッと閉じさらに歯に力を込めようとしたところで_____不意に何かが触れる感触がした。
目を瞑り五感が制限され、より感覚に敏感になっていたお陰で気付いた。
何かに触れられている。感覚がないはずの手に、何かがずっと書かれている。
「……?ろ……?い………」
_____い き ろ
「………!!」
誰からなのか、一体誰が触れているのか。そんなものすぐに分かる。
いつも触れるその手は温かく、壊れやすい陶器を触るように優しい手付きで、よく自分のクセ毛の髪を撫でていた。
それより一体何故自分の四肢を持っているのか…。
来たファミリーの人間にでも回収させたのだろう…いや、逃げたとしても明らかに男のいる国までに着くのは早すぎる。
という事は、自らここへ赴いた可能性が高い。だって触れているのは正しく_____ドフラミンゴだ。
「ふふ…私の考えなんか全部お見通しってことね…」
「?」
周囲は先程からコロコロ変化するモネの様子を心配そうに見ている。
そんな事すらどうでもよく思える。離れているのに、こんなにも近いなんて。
男が求めてくれるなら、バカやってしまい迷惑を掛けたはずなのに、それでも自分を求めてくれるならと……彼女は噛んでいた舌から歯を離した。
今は男の姿を見るまで、もう少し頑張ろうと触れる温かさに笑みをこぼした。
翼があるのに腕を動かす感覚というものは奇妙だが、何とか大きな掌を握り返して指で返事を返す。
やっぱりその手は温かい。
【I live】
今まで全く動かなかった指が、何かに同調するように少しずつ動き出した。
「きゃああああ!?」
「落ち着け」
途中ベビー5が持っていた足が突如大きく跳ねるハプニングがあったが、糸で掴み落とさずに済んだ。
意識が戻ったのかどうかは分からないが、一先ず良かったと息を吐いた。
だが彼女の性格のことを考えると恐ろしい結末もあったため、指文字で生きろと伝えていた。
それを見ていたベビー5は真似してバッファローの背中に何やら書いていた。
「若様は四十肩…だすやん?」
「正解バッファロー!」
「…おいこら」
人をからかってるんじゃないぞ。今モネが大変な状況だというのに……ん?動い………!!
「I live……生きてる…」
「若様?」
状況を伝えれば折角泣き止んだというのに、みるみるうちにまた二人の瞳に涙が浮かんだ。
「………モネッ………!!」
「モネ生きでた…だすやん…!」
シャツにしがみついてきたベビー5を抱きしめた。バッファローは泣くのはいいが、視界には気を付けろよ。
「………ガキだなァ…」
『お前もな』
…煩ェ、余計な言葉が多い。
でも本当に…生きてて良かった。必ず助け出すからな、待ってろ…モネ。
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世界線、それに幽霊の男_____ジョーカーは思考を巡らす。
自身の辿った世界と、この世界は同枠の世界なのか、それとも別の隣り合う世界なのか。それは男にも分からない。
しかし今まで辿って来た道をルーレットのように考えていたが、運命___認めたくはないが、そう感じた。
運命とはいってもそれが自然的なものなのか、作為的なものなのか。
明らかに作為的なものだ。それは意思を持ちガキを死へと導いている。ならばその正体は何なのか。
白ひげの言っていた「海」と「月」。恐らくそれがガキを死へと誘導している。
海は、眠るような死を。
月は、苦しみの中の死を。
何と滑稽であろうか。そんな
だが実際に幾度も幾度も、偶然にしてはおかしい出来事の数々が襲った。
あると肯定すれば、それは男の死をより明確なものにする。
認めなければだが進めない。
ここまで来れば流石にジョーカーにも分かる。自身にも守れない苦しみを知れと、そういうことなのだろう。
運命の中にあるガキは今、取引をし王下七武海の脱退を選び、一気に進もうとしている。
大筋は変わらない運命なのだろう、変えても修正される。それに早々気付いた時、寒気がした。もう随分前の話だ。
努力すれば変えられる?そんな甘いものは存在しないのだと、男は思う。
どこまでも現実的だ。それでも足掻こうと思うのは、甘さが伝播したからか。
過去からすれば考えられないだろう。だがお互いがお互いを影響した結果が、今の男の甘さなのだ。
それは彼の言うガキにしか向けられる事はないが。
眠るように死ぬならば、苦しみの中で死ぬならば、自分で死の道を作って死のうとしている阿呆がいる。
阿呆の感情すら作為されたものなのか、それとも本心から来るのか。
疑い始めればキリがない。
だが間違っている、そんな考えは。なら何が正解なのか。
一線を引いているからこそ見える人間だけでない、ガキに絡みつく無数の運命の糸。それを千切ってしまいたいと、男は強く思った。
しかし彼が一線から出ることは許されないのだ。
「止まってくれ」と男が言えば止まるだろう。しかしたったその一言が言えない。
前世…が正しいのかは分からないが、前世が不器用ならば、今世でも男は不器用なままだった。
帰宅後、現在ガキは寝ている。身体の支配を得た男の指が伸びた先は_____電伝虫。
「よぉ、_____おつるか」
主人公
身内に甘 打倒天竜人。偶に抜けてる。モ●?不穏な気配を遠くから察知、精神的二ききききゅ出。
ジョーカー(モフモフ)
主人公守り隊兼おとしゃん。苦労人。感情的不器用。ド●えもんばりにおつるにヘルプコール。