これからも少しずつ投稿していきたいのでどうかよろしくお願いします!
それにしても────さらっとタイトルでネタバレしていくスタイル………。
「それで、具体的にどうするつもりなんだよ?」
熱が入った決意表明からすぐ、葛城が全員に対してそう聞いてきた。どうやら、何か思うことがあるらしい。
「具体的に、とは?」
「分かってるだろ、アタイ達は『かぐら』を守るのが目的だが、それじゃあジリ貧だ。『かぐら』を追ってるのが組織なら、そいつらをぶっ倒せば良いじゃないか」
確かに、その通りだろう。
目的はかぐらを守る事、しかし守るだけでは意味がない。長い時間がかけられては此方が不利になることには変わりない。なら、追手を倒してしまうのが早いと葛城は提案したのだ。
悪くない意見だった。
現にこの場にいる多くが否定や反論を述べずにいたのだから。
「いや、上手くいかないだろ」
だが、はっきりとユウヤは否定した。強い確信のある言葉で、可能性というものではなく、明らかに断言してみせたのだ。
「奴等にとって、『かぐら』の回収は今までの、俺達にも対応できた小規模のものじゃない。セントラルと名乗った異能使い、あいつと似た奴が…………最低でも十人はいると考えてもいい筈だ」
「奴のような異能使いが………」
「───十人も?」
そうだ、仮定だがな、とユウヤは呟く。
ユウヤが知ってる四元属性の異能使いは数人、血を操るデューク、そして少し前に戦った部隊を動かしているセントラル。彼等の話、神楽を手に入れることが重要な目的ならば─────二人である筈がない。倍の数であるのは疑いもしない、確かな事実だ。
「最悪を考えると、ヤツが来てる可能性もある」
「………ヤツ?」
「
俺と同等、軽く上回っている強さだ。下手したら全滅も有り得る」
かつて遭遇した時の事を思い出し、そう断言するユウヤ。相当の経験と実力を有する彼が、自らが下回っていると結論付けることに少女達は絶句する。
「だが、確かに葛城の言う通りだ。
このまま何もせずに、ただ神楽を守ってる訳にもいかないしな…………それに敵が、あいつらだけとは限らない」
考え込むユウヤに、飛鳥達は首を傾げる。ユウヤの言っている、あいつらだけとは限らないという言葉に違和感があったのだ。
『四元属性』以外の敵に、心当たりでもあるのだろうか?
「───ふむ、そこからは我の出番だな」
話の最中に入ってきたのは、ゼールスだ。何とか机の上へとよじ登り、頬杖をかけながら茶飲みの上へと腰掛ける。
なお、少し前までかぐらに捕まっていたが、解放されたのか抜け出したのかは分からない。ていうか気付いたらいつの間にかそうなっていた。努力の賜物だろうと考えておくことにしよう。
「神楽は、数百年も転生という手段を用いて存在してきた。妖魔を滅する、ただそれだけに専念してな。殺しては眠り、殺しては眠り────幾年も己の使命を果たさんと。さて、問題だ。神楽を覚醒と導くもの、それは何だと思う?」
答える者はいない。ゼールスは答えられる事に満足そうにしながら、嬉しそうな様子で口を開く。
「赤珠、呼ばれるモノだ。厳密には、妖魔の生命エネルギーの塊。それを食べることで神楽は覚醒へと至るのだ」
「………えぇと、食べるの?」
「うん、たべるよ?」
かぐらと奈楽、事前に知っているゼールスを除く全員が硬直する。え?食べれるの? みたいな風に感じたのは無理もないだろう。
若干数人が『お腹壊さないのかなぁ……?』と心配をしていたのは割愛する。一々誰がどうしたというのを解説するのは手間が掛かるのだ、そこの所だけでも理解してほしい。
「ともかく、まずはその回収が第一だ。…………故に」
「貴様達がまずやるべき事、それは赤珠の回収だ。神楽を隠して覚醒へと至らせる為にな」
────そういう訳で、早速行ってくるがいい。
単刀直入なゼールスの言葉に、飛鳥達は放心するしかなかった。驚愕して絶句する少女達の横で、小人を睨みつけるユウヤがいたが、誰もそれには気付かなかった。
組分けはあっさりと決められた。
三手に別れて行動する事になったが、やはり簡単なものだった。京都の森林付近を柳生と雲雀が、町中の西方面を斑鳩と葛城が、そして東方面を飛鳥が担当する事になった。
因みにユウヤは宿屋で奈楽と共にかぐらを守っている。本人は飛鳥と行動をするつもりだったらしいが、ゼールスからの『この中で一番の戦力を外す訳にはいかん』という意見に反論できずに口ごもっていた。しかしそれが事実だと自覚していたらしく、渋々とだが言う通りにしていた。
しかし捜索を始めてすぐ、飛鳥はある難題に当たった。
「えっと………まず赤珠って何処にあるんだろう…?」
ゼールスの話によると、赤珠は妖魔の生命エネルギー。つまり妖魔を倒す必要があるのだが、そもそもどの妖魔から回収すべきなのかが、全く分からない。
一回戻ってゼールスから話を聞くかと考えたが、もう少し情報を探すべきだと決めた。そう思い、飛鳥は早速歩みを進める。
大通りの角を曲がろうと瞬間、
────世界が切り替わった。より正確には、自分がいた普通の空気にすら重みが掛かっている。肌を突き刺すような感じに飛鳥は飛び退くと共に、その現象に気付く。
(忍結界!?………でも、なんでここに!?)
把握してみると、どうやら少し前から張られているらしい。しかし結界の中からは戦闘の感覚がない。既に戦闘は終わっているかもしれない………そう思案したが、楽観的だと首を振った。
────もし戦闘が終わったのなら、忍結界など存在してない筈だ。
喉元の息を飲み込み、飛鳥は結界内へと足を踏み入れる。そして先程の目的だった、角を覗き込んだ。
「なに………これ?」
思わず飛鳥は絶句する。そこにあったのは─────
絶大な破壊の惨状が広がる光景。店や建物の多い路地の中心、爆撃があったと言われても納得できるようなボロボロに崩れたその一帯に、何人もの人間が倒れ込んでいた。
駆け寄った飛鳥は倒れている者達の服装から、忍だと分かった。それも所属は善忍。相当階級の高い熟練の忍達だ。そんな彼等が、何故京都の街に─────?
「…………ぅ、う」
「大丈夫ですか!?一体何が………」
「半蔵の………忍か…………ここは、気を付け……ろ。
「─────あー、イテテ。ちょっとやり過ぎたなぁ」
──────突然、第三者の声が聞こえてきた。建物の残骸、その内部から。崩壊してる瓦礫の山を押し退けるような轟音と共に。
「…………前々から思うけどさ、忍ってのは窮屈だよなぁ。命令されないと動けないんだし、命令破ると悪者扱いだし。オレだったら忍を続けてられる自信無いなぁ。
だってさ、感情的に動いちゃうのが、オレの性ってヤツだし。気に食わないものは自由に破壊して、命を懸けて戦いながら生きたいもんだね。戦いってのは心地良いんだ。血を流す度に、実感できるだ。あぁ、オレは生きてるんだって」
砂塵の中から現れた青年は、あまりにも異様な姿をしていた。少なくとも、この京都の町並みには合わない姿だ。
マントのような外套を羽織い、その下には聖職者の祭服らしきものを纏っている。ガントレットから伸びる鎖に繋がっている刀剣を肩に乗せていた。
しかし、周囲の惨状は決して斬撃などで出来るものではない。何らかの巨大なハンマーでも使ったと思えるような状況なのだ。
その立ち姿と何処か異様な雰囲気を────飛鳥は知っている。この不思議な感覚、それを内側へと内包する気は…………………ユウヤや、紅蓮達と似たものだと。
身構える飛鳥を前にして、青年は何故か嬉しそうに笑う。どちらかと言うと興奮を隠しきれない様子で彼は飛鳥を見つめる。
「ふふん、新手の忍か?大方こいつらの増援と来たみたい…………ん?いや待て、お前の事は知ってるぞ?確か、『
「………そうだよ」
答えた途端、青年はテンションを高くした。自分が口にする事実が、とても嬉しいと言うように。
「あぁ知ってる!よく知ってる!伝説の忍、『半蔵』の孫娘!あの『聖杯事変』を生き延びた忍の一人!咲人様が言ってた子じゃないか!これは良い、これは良いぜ!お前なら、オレを楽しませてくれるよなぁ!?」
ガシャン!! と刀剣を地面へと突き立てる。それだけでクレーターを作り出すが、青年は気にしない。
自分自身に指を立てて、彼は名乗り上げた。それこそ、決闘の為に必要と言うように。むしろ当然と言わんばかりに。
「オレは
飛鳥はそれに聞いて反応する。
『四元属性』、その組織こそが今回の騒動の元凶というのは分かっている。だが、《エーステリア》というのが初耳だった。
「それじゃあ、ここにいる善忍の皆を倒したのは貴方なの!?」
「あー、うん。だってさオレ達と忍は一応敵な訳だし、戦うのが本筋だと思うんだ。けど少し弱すぎて期待外れだったけど────────お前となら楽しめそうだし、オレも強くなれると思うんだ?そう思わない?それに、お前だってオレと戦う理由はあると思うぜ?」
ふいに飛天が懐から何かを取り出す。指でつまみ上げたもの、それ程の小さい代物。赤いビー玉らしきもの、それについては飛鳥も事前に聞いていた。
「────赤珠!?」
「そうそう。こいつらがオレを襲った理由でもあるんだぜ?神楽の覚醒の為に必要な代物だからなぁ、オレも回収したんだ。
言いたいことは、分かるだろ?これが欲しいなら、神楽を守りたいなら、このオレと戦ってくれよ。なぁ、骨のある勝負が恋しいんだオレは。…………まさか、戦わないなんてつまらない事言わないだろぉ?オレを失望させないでくれよ!」
感情を噴出させ、大きく捲し立てる飛天。そこで飛鳥はようやく理解した、彼は戦いの為ならなんだってする。人を殺すことだって、手段の内にいれてるかもしれない。
『神楽』だって、激しい闘争の為に手に入れようと考えているのだ。こんな闘争の化身のような男が、彼女達のもとに向かったら──────想像もしたくない。
だからこそ、飛鳥は覚悟を決める。目の前の相手が起こすであろう凶行を、止めるのだ。
「…………かぐらちゃんに、手出しはさせない!」
「おっ!良いねぇ!良い!そんな風に分かりやすいのが好きなんだよ!
そんじゃあ、ドカンと一発!開幕の狼煙だ、派手にいかねぇと駄目だよなァ──────!!」
「──!?」
「東………飛鳥の方か!?」
当然、仲間の危機を彼女達は察していた。
街中の西方面を調査していた斑鳩と葛城は、何度も経験している忍結界による衝撃が彼女達の耳を叩いたのだ。
この反応に別行動中の柳生達にも伝わっている筈だ。きっと急いで向かってるだろうから、自分達も動かなければならない。
「調査は止めだぜ斑鳩!飛鳥の援護に行かないとならないしな!」
そう言うや否や、葛城は全力で駆け出した。彼女自身、一人で行動している飛鳥が戦闘している以上、心配なのだろう。
「───葛城さんッ!」
斑鳩の呼び声が聞こえる。態度を咎めるような強く言う口調ではない、彼女の身を案じるような叫び。
それを聞いた瞬間、葛城は気付いた。近くの路地裏から、何者かが飛び出してきていた。葛城の前に、立ち塞がるように。
容姿は、少年。
銀色の髪をした、外人のような顔立ちのクールそうな雰囲気の漂う少年。身長は葛城よりも低く年下かと思ったが、葛城は少年の持つ物───業物らしき刀に、全身を強張らせた。
「ん、にゃろぉ!!」
脇腹へと滑り込む刀身に、葛城は勢いよく下からの蹴りを打ち込む。表面に打撃を受けた刀は、ブォン!! と葛城の顔のすれすれを横切った。
「チッ!」
強引に攻撃を反らされた事に苛立つ少年。片足で葛城を吹き飛ばして、大きく距離を取る。
今度こそ一撃を与えようと身構える葛城を前に、少年は刀を大きく振りかぶる。
「
刀身を薄く発光させて─────振るった。
叩きつけるように、強引に。しかし、葛城とは距離が開いているので、空振りでしかない。そんな意味不明な行動に葛城は怪訝そうになったが、
刀を動かさない少年は、囁くように紡ぐ。
「
信じられない事が、起こった。
葛城は見た。数メートル先、少年の振るった刀の軌跡が
「っ!?くそ!!」
咄嗟に警戒していた事もあり、葛城は右足で斬撃を弾く事が出来た。刃は、やけにアッサリと軌道をずらした。軽すぎたのだ、反射的な動きで対応できる程に。
「まさか─────今のは異能か!?」
「気付いていたか、勘の良いヤツ」
少年は淡々と言う。弾かれた刃を飛ばした自身の刀を鞘へと納める。まるで隠すつもりなどないと証明してるようだった。
斑鳩も少年の相手をする為に飛燕を抜き放つ。同じ刀相手なら彼の起こした不規則な現象にも対応できると判断したのかもしれない。
しかし────
パァン───!
突如銃声が鳴り響いた。斑鳩は抜き放った飛燕を前に出して防御体勢を取る。直後に刀の側面に銃弾が激突してきた。が、信じられない事が斑鳩の目に写り込む。
止められた筈の弾丸が、消えたのだ。そう思ったが、すぐに違うと判断する。光の軌道で弾丸が撃たれた場所へと戻っていたのだ。
そして、屋根にいる少女の手に収まる。重機関銃という重量のある武器を片手に持つ少女に。
「今度は防がれたわ。中々やるのね」
この少女も、少年と同じ銀髪だった。しかも少年と同じく外人らしき風貌、二人は兄妹か姉弟なのかと疑ってしまう程ソックリだった。
少女は斑鳩を見つめて、不思議そうに聞いてきた。
「ねぇ、貴方達?忍でしょう?」
「? そうですが、何故?」
「─────
思わず、何も言えなくなった。
それがどうしましたか? と聞こうとしたが、それより先に少女達の淀んだ覇気に気圧されてしまったのだ。
「やはりそうなのね。沈黙は肯定と言うわ。貴方達、善忍なのね……………」
「────ふーん、善忍、善忍かぁ」
すると、二人の反応が変わった。
少女の方は諦めたように両目を伏せ、表情から何もかもが喪失する。能面のような顔とは、それを言うのかもしれない。
少年の方は噛み締めるように、呑み込む。しかし表面には激しい感情の起伏が明らかになっていた。顔を押さえる掌の隙間から覗く両瞳には、身を焦がす程に染まっていた。
二人に共通するもの─────それは憎悪。
容姿は似通っているだけではなく、その身を歪ませる程の憎悪が沸々と滲んでいるのだ。
「話し合いは………無理そうだよな。敵意っていうか殺意が半端ないぞ……」
「勘の良いな、その通りだ。お前らに語ることなんて一つもない」
困ったような葛城の呟きに肯定する少年。先程までのような淡々とした声よりも冷たく、感情が籠っていない。
身には合わないであろう軍服を纏う二人は、武器を持たない手を繋ぐ。
「さぁ、己の罪を知りなさい」
「さぁ、己の咎を見るがいい」
互いを抱き合うように、寄り添う二人。しかしその姿を見て、隙だらけだとは思えない。むしろそれが彼等にとって戦闘フォームだとでも言うように。
「そして死ね、忌まわしき善忍」
「
二人の名は、ヴェインとベロニカ。
四元属性に所属する、双子の人造異能使い。自分達から闘争へと進んでいく彼等の望みは、ただ一つ。
────復讐。
人によってはあっさりと晴らされるもの、人によっては人生をかけたもの。二人の場合は前者である筈もなく、後者の可能性が高い。
京都の街を中心に、激戦が開始する。片方は闘争を求む者による破壊、片方は復讐を望む者達の殺戮。彼等三人はエーステリアの精鋭メンバーだが、明らかに区分されている。
『
ようやく敵キャラの三人を出せた………あと、七人近くはいるんだぞ……………お前ぇ(自分自身へ向けて)
飛天、明らかにバトルジャンキーですね。ま、戦闘狂と言うよりも自分にとって爽快とした戦いが出来れば満足という人なんです。俗に言う自由人ですね、はい。
双子の存在についてはだいぶ前から明言してます。だからこそ、今回出せて良かったと思っています。
────お兄様、という単語で分かる人もいると思いますよねぇ…………。