閃乱カグラ ケイオス・ブラッド   作:虚無の魔術師

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グフッ、あと少しで、この話が、ある程度、まとまる………。



キツいよ…………本気で、時間と、気力が、足りないッ!


十四話 互いの敵

『電気衝撃波』(ボルト・ブラスター)ァ!!」

 

 

両手を組んで押し出すことにより、圧縮された電気の空気砲が放たれた。その空気砲は一直線に進み、悪忍達を吹き飛ばした。

 

 

「チィッ!数が多いな、おい!」

 

 

ギリィと奥歯を力強く噛んだユウヤは、悪態をつきながら、両手で銃の形を真似てみせ、人差し指から電気を飛ばした。

 

 

(……………このままじゃ、押しきられるな)

 

 

先程の攻撃で悪忍達も統率がとれずに乱れているのが分かる。今なら撤退が可能だろう。

 

 

「───だが、ただじゃしねぇよ!」

 

 

ユウヤは地面を殴り、周りに砂を散らした。何故ユウヤが砂を散らしたのか、それは理由がある。

 

彼が散らした砂の中には、砂鉄があったのだ。

 

ユウヤの異能は『電気』、電気は金属に通りやすい。

 

 

つまり、今空中に舞う砂鉄に電気を通すと───

 

 

 

 

「今決めた大技!『電気連結磁場』(ボルター・チェイン)!!」

 

 

 

 

莫大な電気が、空気中に流れた。そして流れた電気は彼らの前の壁を崩した。

 

 

瓦礫の山が完全に道を塞いだ。通るのには時間がかかるだろう。

 

 

 

「…………よし、この技封印だな!」

 

 

ニッコリと満面な笑みでユウヤはそう決断した。

 

 

 

 

 

 

 

「ユウヤくん!」

 

 

「飛鳥!お前ら!」

 

 

塀を沿って歩いていたところ、ユウヤは飛鳥たちと合流した。

 

 

「なるほど、ここが入口ってわけか」

 

 

隠し通路のようなものにそう呟くユウヤに飛鳥は催促した。

 

 

「ユウヤくん、早く行こうよ!」

 

 

「あぁ、分かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───だが、その前に」

 

 

ユウヤが足で薙いだ。

その直後、真っ二つに切れた爆発物が彼女たちの前に落下し、爆発した。

 

 

「───やはり、気付いていらしたのですね」

 

 

呆然としていた飛鳥たちは声のする方を向くと、一人の少女が立っていた。

 

 

「誰だ?テメェは」

 

 

「?…………あぁ、そうでした。貴方とは初対面でしたわね」

 

 

警戒を緩めずに睨みつけるユウヤに少女はクスリと笑う。ユウヤが警戒をする理由は、少女が軽々しく持つ巨大な大剣だった。

 

 

「私は蛇女子学園選抜チームの一人、詠ですわ。あの方のご命令で、丁重におもてなし致しますわ」

 

 

少女はそう言うと、大剣の先をユウヤ達に突きつけた。

 

 

「ふっ!」

 

 

飛び出した斑鳩が詠に斬りかかり、詠はそれを大剣で防いだ。

 

 

「斑鳩先輩!?」

 

 

「皆さん、ここは私にお任せを!忍結界!」

 

 

驚くユウヤ達に斑鳩はそう言うと斬りあう詠を連れて結界に転送した。

 

 

「…………先を急ぐぞ!」

 

 

ユウヤの言葉に飛鳥達は答え、先を進む。一本道を通っていた途中で、

 

 

「うわぁぁ!?」

 

 

「くっ!?」

 

 

床がパックリと開き、後ろを走っていた葛城と柳生が落下する。

 

 

「かつ姉!柳生ちゃん!」

 

 

「待て!飛鳥!」

 

 

慌てて落下した葛城と柳生を助けようとする飛鳥をユウヤは止める。

 

 

「俺達の目的を忘れるな」

 

 

抗議をしようとする飛鳥にユウヤはハッキリとそう言った。その言葉に飛鳥は無言になった。

 

 

「そうだぜ、飛鳥!アタイたちを気にするな!」

 

 

「あぁ、雲雀を頼む」

 

 

穴から答える二人に飛鳥は口を噛み締め、ユウヤは無表情で走っていった。

 

 

「………………すまない」

 

 

ボソリとそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

一方、雲雀は春花に捕まり、牢に捕らえられていた。そして、春花に『軛の術』について言うが、彼女は雲雀の期待を突き放した。

 

 

 

「………私たちはあの方に救われたの」

 

 

そして、呆然とする雲雀にそう告げた。それと同時に語り始めた。自分の過去を。かつて春花は自分の親との関係にて自暴自棄になり、自宅を放火しようとした。その時、『あの方』に出会ったのだ。

 

 

 

『ほう、才能はあるな。このまま死なせるのも勿体無い』

 

 

『そこの小娘、お前に生きる理由を与えよう』

 

 

あの方、カイルは春花を蛇女へと入学させ、力を与えてくれた。彼が自分達をどう思っていようと関係はないと。

 

 

「…………でも、そんなの間違ってる!!」

 

 

だが、雲雀は認められなかった。自分の姉ように思えた春花や蛇女の皆には死んでほしくはないのだ。

 

 

「なら、どうするっていうのかしら?」

 

 

真剣な顔つきで見つめる春花に雲雀はグッと目を合わせた。

 

 

「春花さんを………雲雀が絶対に止める。止めてみせる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「飛鳥、ここからは分かれ道だな」

 

 

目の前には階段と一本道があった。ユウヤのこの先の道を見て告げる言葉に飛鳥は理解していた。この先にお互いの敵がいることを。

 

 

 

「ユウヤくん」

 

 

歩き始めたユウヤは飛鳥の言葉に足を止めた。そして、ゆっくりと飛鳥の方を向く。

 

 

「絶対に、勝とう!」

 

 

「………当たり前だろうが」

 

 

素っ気なく呟いたユウヤに飛鳥は苦笑いを浮かべ、一本道に向き直った。

 

 

「気を付けろよ」

 

 

階段に登り始めるユウヤは飛鳥にそう声をかける。飛鳥は笑顔で頷くとそのまま一本道を駆けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………来たか」

 

 

階段の先にあった部屋の奥の柱。そこに服を着こんだ一人の男、紅蓮が寄りかかっていた。

 

 

「おう、悪いな。少し時間がかかってよ」

 

 

「………………」

 

 

軽口を叩くユウヤに紅蓮は無言で答えた。その様子にユウヤは苦笑いを浮かべた。

 

 

「それよりも、分かったぜ」

 

 

「……………何がだ?」

 

 

目を細め、疑うかのような視線を向ける紅蓮に、ユウヤは笑いを消して、真剣な声音で答えた。

 

 

 

「テメェの正体が」

 

 

 

その言葉に紅蓮は目を見開いて反応した。だが、すぐに平然に戻る。いや、少し違かった。

 

 

その言葉は紅蓮の何かに触れた。

 

 

「それが、どうした?」

 

 

 

ジュッと何かが焼けるような音が耳に入る。周りを見渡すと、所々から火が出現し、燃え始めていたのだ。

 

 

「別にどうでもいいだろ」

 

 

炎が燃え盛る。

 

 

炎が渦巻く。

 

 

炎が部屋の中を包み込んだ。赤に支配されたその世界の主、紅蓮は着込んでいた布を剥いだ。隠されていた顔にはかつてあった火傷が存在していない。

 

 

「だって、やることは決まっている」

 

 

濁った瞳がゆっくりと開き、ユウヤを睨み付ける。炎が集まり、業火と化した。

 

 

 

「俺達の敵を、焼却する!!」

 

 

業火が空気を焼きながら、全てを焼き尽くさんと、唸り始めた。

 

 

「焼却?やってみろよ」

 

 

ユウヤは鼻で笑い、腕を鳴らす。そして、ユウヤの体からバチバチと電気が流れ始め、完全な帯電状態となる。

 

 

二人が構えをとると同時に、炎と電気が周りを呑み込もうとする。その現象の中心たる二人は互いを睨み付ける。

 

 

「残念ながら、勝つのは俺だ!!」

 

 

「結構、勝利は俺の手で掴みとってやるよ!!」

 

 

 

そして今、炎と電気が互いを倒すために、ぶつかり合った。




『電気』のユウヤ、『炎』の紅蓮が、互いの目的、使命のために戦う。


だが、ついに『光』が動き始める。



次回『蛇女の異能使い』

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