閃乱カグラ ケイオス・ブラッド   作:虚無の魔術師

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好きなゲームのデータが永久消滅したので、哀しみと怒り、憎しみを胸に抱き、泣きながら小説を書きました。





おのれ、わが友達!!


十五話 蛇女の異能使い

激しい戦いの中、後ろに退避した紅蓮は腕を捻った。

 

 

 

「呑み込め!『業火・溶熱渦』!!」

 

 

周りの炎を吸収しながら、大きさを変えていく炎の渦が、ユウヤを文字通り呑み込もうとする。

 

 

「くッ!」

 

 

炎の渦を消し飛ばそうと攻撃をするが、渦に呑み込まれ、攻撃が打ち消される。

 

 

『電気槍撃』(ボルト・スパイラル)!」

 

 

ユウヤの両手から作り出された電気の槍は投擲すると、勢いよく炎の渦に突っ込んだ。

 

 

そして、爆発を代償に炎の渦を打ち消した。だが、その直後、ユウヤは理解した。

 

 

 

(…………何処だ?)

 

 

周りには燃え盛る炎しかない。そう、先程の炎の渦は囮、自分が隠れるためのデコイだったのだ。

 

 

───後ろから、地面を擦るような音がした。

 

 

「ッ!」

 

 

瞬時に体を捻ると、後ろから炎を纏った刀が突きだされた。奇襲に失敗した紅蓮は戸惑うこともなく、もう一撃をユウヤの腹に打ち込もうとした。

 

 

「ッ、ルァ!!」

 

 

ユウヤは更に全身を捻らせ、一回転をすると、紅蓮の側頭部に蹴りをいれた。紅蓮は吹き飛ばされ、壁に激突する。

 

 

「悪いが、まだ終わっていない」

 

 

攻撃を受けた紅蓮はゆっくりと機械のように起き上がった。

 

 

「なぁ、少しだけ聞いていいか?」

 

 

ユウヤの問いかけに紅蓮は目を細めた。それは抗議のつもりかもしれないが、やれやれと首を振ると近くの柱に寄りかかった。

 

 

「かつて、半蔵学院に襲撃してきた際に俺は霧夜先生にテメェのことを調べてもらった」

 

 

紅蓮は、なるほどと頷く。それは納得したという意味ではなく、他人の話を聞くときにするものである。

 

 

「────無いんだよ」

 

 

 

「?……一体何が────」

 

 

「紅蓮という人間の記録がな!」

 

 

その言葉にはユウヤの言いたいことがあった。たとえ、忍でも基本、表社会で暮していく。ならば、戸籍などが必要なはず。

 

 

目の前の男、紅蓮には戸籍などが無い。消去されたわけでも、隠蔽されたわけでもない、存在していないのだ。

 

 

 

「─────紅蓮、お前は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何者なんだ?」

 

 

 

ユウヤは俯く紅蓮にそう問いかける。だが、その問いの答えは言葉ではなかった。

 

 

ドゴォンッ!!

 

 

爆発が起こった。その爆発により、床が崩れ始めた。足元が崩れ、落下しそうになったユウヤは手を伸ばし、崖を掴んだ。

 

 

 

 

「ッ、…………ガ」

 

 

崩れた穴を見下ろすと、ユウヤは崖に上がろうとする。そして、ユウヤの元に紅蓮は静かに歩み寄る。

 

 

 

 

「────そうだな、答えるよ」

 

 

今にも落ちそうになるユウヤを見下ろして、紅蓮はそう答えると自身の服を脱ぎ捨てた。その行為を疑問に思っていたユウヤは─────目を疑った。

 

 

 

 

紅蓮の上半身の胸部には紅く光り鼓動する、結晶が埋め込まれていた。普通の人間に存在しない露出したそれは、まるで心臓のように蠢いていた。

 

 

 

直後、ユウヤの掴んでいた岩が崖から離れ、ユウヤは穴に落ちた。必死に手を伸ばすが、届かずに空振った。

 

 

穴に落ちるユウヤは紅蓮の言葉を聞き逃さなかった。

 

 

 

「俺は、『造られた人間(ホムンクルス)』だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、ユウヤと別れた飛鳥は、先の部屋にいた焔と戦い、何とか勝利してみせた。

 

 

───そして、異変が起こった。

 

 

「え!?」

 

 

「な!?」

 

 

飛鳥と焔を淡い光が包み込んだ。瞬時のことに反応出来ずにいたが、すぐに視界が晴れた。

 

 

「…………ここは?」

 

 

そこは、研究室のような場所だった。複数のカプセルが並び、中には液体と人のようなものが入っていた。

 

 

「飛鳥さん!?」

 

 

「斑鳩さん!?皆!?」

 

 

周りを見渡すと、斑鳩達が走ってきた。他にも蛇女の選抜チームの者達がいた。困惑した飛鳥は詳しく話を聞こうとするが、

 

 

 

 

 

 

 

 

「────流石だな、半蔵の忍ども」

 

 

部屋の中に、声が響き渡る。戸惑いながら、その声の方を向こうとした────

 

 

 

 

「ッ!避けろ!」

 

 

何かを察した焔が飛鳥を突き飛ばした。突然のことに、理解できずに地面に倒れ込む飛鳥は、焔に疑問の声をかけようとする。

 

 

 

 

 

「ぐぁぁぁぁ!?」

 

 

飛鳥のいた場所にいた焔が無数の光弾に呑み込まれる。いや、呑み込まれたのは焔だけではない。蛇女の選抜チームの者達もだ。

 

 

「焔ちゃん!」

 

 

光の柱が消失し、ボロボロになった焔が地面に倒れ込んだ。

 

 

 

 

 

「ふん、外したか。…………まぁ、別に構わんがな」

 

 

部屋の奥からコツコツと足音が響く。そして、姿を現したのは、灰色のような黒髪の男。

 

 

「………貴方は!?」

 

 

「……………蛇女学園の最高権力者、

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、『光』の異能使い、カイルだ」

 

 

男、カイルの存在を知らなかった飛鳥の問いかけに、カイルは着ていたロングコートを翻し、ニヤリと笑う。新たに現れた異能使いに飛鳥は驚愕するが、カイルは動き出した。

 

 

「本来なら、貴様らをここで始末してやるのが道理だが、ここまで頑張ったのだ。面白いことを教えてやろう」

 

 

カイルは近くにあったカプセルに歩み寄り、そのカプセルに光を当てた。

 

 

 

───中には人がいた。

液体の中で眠るように浮いている人間が。周りのカプセルにも同じように人が入っているのが見える。

 

 

「俺の望みは、『聖杯』を手に入れる。その為には、戦力が足りない」

 

 

忌々しそうにカイルは吐き捨てる。

 

 

「だから、俺は生み出した!人を、異能を使える人間を造り出す、その技術を!!」

 

 

歓喜するように、そう謳った。その目にあったのは、単純な感情─────憎悪だった。

 

 

「それでようやく、完成したのが……………試作品(プロトタイプ)、紅蓮だ」

 

 

その言葉に、焔達は目を見開き絶句した。だが、カイルはそんなことお構いなしに話を続ける。

 

 

「何千人の『人造人間(ホムンクルス)』が適合できずに処分したが、紅蓮はその中で自我を持ち、『炎』と適合した」

 

 

───何千人ものホムンクルスを処分した。

あっさりと言っているが、この男は沢山の命を奪っていると宣告した。そんなことが許されるはすがないというのに。

 

 

 

「そして、俺はあと少しで異能を使うホムンクルスを生み出すことができる!!」

 

 

 

戦慄している飛鳥たちを、他所にカイルは酔いしれるように高笑いを響かせる。笑い、笑い、笑い─────止まる。

 

 

 

 

「──だから、貴様らにはここで死んでもらおうか」

 

 

あっけらかんと外食をするかのような調子でカイルは死の宣告を告げる。動けない飛鳥たちに向けて、機械の腕を向けて、

 

 

 

 

 

 

 

「───カイル様!!」

 

 

部屋の奥から声が響く。奥にいたのは、着込んでいた服を捨てて、疲れたように息が荒い、紅蓮だった。

 

 

 

そして、紅蓮を見たカイルは周りを見渡し、邪悪な笑みを浮かべた。




人造人間(ホムンクルス)』だった紅蓮。その過去が明らかになる。


───そして、彼は選択する。



次回『人形の意思』

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