閃乱カグラ ケイオス・ブラッド   作:虚無の魔術師

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すんません、今回の話のタイトル変更しました。




お詫びとして、ネタバレします。





カイルの妹は原作キャラでーす。



これから出てきまーす。


十九話 Miracle Star

紅蓮が動かなくなり、その場を静寂が支配していた。

 

 

 

「…………………は」

 

 

 

 

 

 

「ハハハ……………フフ」

 

 

 

 

 

「クハハッ、あっはぁッはははははは!!!」

 

 

 

抑えきれないモノを吐き出すかのように、カイルは高笑いを響かせていた。

 

 

「実に、くだらんッ!人形風情が人のように、生きたいなどと!笑わせてくれる!!ゴミはゴミだろうがぁ!!そうだろ、なぁ!?

 

 

 

 

 

ヒヒッ、模造品の木偶人形がよぉ」

 

 

 

 

 

「あぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

傷だらけの焔が自身の武器を手に取ると、叫びながら斬りかかった。

 

 

「フンッ!」

 

 

だが、今だ無傷のカイルと傷だらけの焔では相手にならず、一瞬であしらわれる。

 

 

その彼女たちにカイルは邪悪な笑みを見せながら、歩み寄る。

 

 

 

 

そして、嘲笑った。

 

 

 

「そう荒れるなよ、お前達も同じところに送って………………あぁ、そうだった。

 

 

 

 

人形に魂なんて無いんだ─────」

 

 

 

振るわれたユウヤの拳がカイルの顔面にめり込み、カイルの罵声を途中で終わらせ、壁へと吹き飛ばした。

 

 

 

「テメェは…………」

 

 

前立つユウヤは血の滲むほど手を握りしめる。奥歯からも砕くような音が鳴る。

 

 

 

「テメェは人の命をなんだと思ってやがるっ!」

 

 

 

ユウヤは声を張り上げると、カイルの吹き飛んだ壁を見る。変化が無いと理解すると後ろへ振り向く。

 

 

 

「………おい、焔だっけか?」

 

 

立ち上がろうとする焔にユウヤは注射器のようなものを投げ渡す。焔はそれを手に取ると、驚きを隠せずに、ユウヤを見る。

 

 

 

「………それを打ち込め。まだ、血液を活性化させられる」

 

 

「………だが、もう…………」

 

 

 

「まだ、助けられる!!」

 

 

怒鳴り声をあげたユウヤは懐から取り出した携帯を弄り、どこかに連絡をする。

 

 

「………そうだ、助けてほしい奴がいる。場所は────」

 

 

連絡を終えて、携帯を閉じると、ユウヤは焔達に向き直る。

 

 

「俺の知り合いなら、助けられる。今のうちに連れていけ」

 

 

「…………分かった、すまない」

 

 

そう言うと、焔達は紅蓮を連れて、急いで外へと駆け出していった。

 

 

 

「ふん、くだらんことを……………まぁ、いい。先に貴様らを殺すのも悪くはない」

 

 

やれやれとコートについた埃を払うカイルは、腕を動かし、準備運動を行う。

 

 

「どうして………こんなことを?」

 

 

「あぁ?」

 

 

飛鳥の言葉にカイルは眉をしかめる。

 

 

「こんなひどいことをしてまで…………どうして聖杯を欲しがるんですか!?」

 

 

「……飛鳥」

 

 

怒りの籠った声で飛鳥はカイルに問いかける。その様子を見たカイルは腕を後ろに組んで、ゆっくりと歩き始めた。

 

 

 

「このオレの両親は善忍だった。」

 

 

 

「父さんと母さんに妹、そして、オレは家族四人で楽しく暮らしていた」

 

 

「だが、希望は奪われた」

 

 

「オレは、妖魔により両親を殺され、妹は行方知らずとなった」

 

 

 

「オレの大切な存在は、世界に殺されたんだ」

 

 

この時、ユウヤと飛鳥は理解した。カイルの中にある一つの感情を。

 

 

「オレの望みはただひとつ、聖杯を使い、この世界を滅ぼすのさ!!」

 

憎悪だ。

 

世界、全てに向けられた憎悪がカイルをここまで動かしたのかも知れない。その狂気と執念に納得したユウヤは、言った。

 

 

 

「ふざけるな」

 

 

あ? とカイルは眉をひそめる。だが、そんなこと関係なしにユウヤは続ける。

 

 

「ふざけるな、そう言ったんだ。誰かを憎むのは勝手だが、テメェの憎しみを他の奴に押し付けんなよ」

 

 

「黙れ」

 

 

ビキリと音と共にドスの効いた声が響く。そして、飛鳥もカイルに問いかける。

 

 

 

「そんなことされても……………貴方の家族は、嬉しくなんかない。もっと幸せに生きてほしかったはずだよ!!」

 

 

 

「黙れと言ってるんだろォォォォォ!!」

 

 

激昂とともに、両腕を振るい、鋭い光線がばらまかれる。怒り狂ったことにより、光線はユウヤと飛鳥には掠りもしない。

 

 

「貴様らに、何が、分かる!失った者の苦しみが!!奪われた者の痛みが!分からぬ癖に、

知ったような!偉そうな口を聞くなぁ!!もういい!貴様らまとめて!!ここで、死ねぇェェェェェアアアアぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

更に倍の量の光線が放たれる。先程とは違い、強力な光線が。

 

 

「テメェの八つ当たりで、他の人を傷付けさせねぇ!」

 

 

「焔ちゃんたちの為に絶対に負けない!」

 

 

倒れそうになったところを互いに支えられ、ユウヤと飛鳥は声をあげる。

 

 

 

「俺たちが!」「私たちが!」

 

 

 

「止めて見せる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直後、奇跡が起こった。

 

───光が照らした。

 

 

カイルにより、放たれた殲滅の光ではなく、純粋な優しい光が。その光の中心にあるものを、飛鳥とユウヤは見つけた。

 

 

「あれは………」

 

 

「超秘伝忍法書?」

 

 

そう、それはカイルが投げ捨てたはずの超秘伝忍法書だった。だが、考えると一つの謎が浮かんでくる。

 

 

 

「馬鹿なッ!!エネルギーは残っていなかったはず…………」

 

 

カイルの言うことが本当ならば、エネルギーの無くなった超秘伝忍法書は何も出来ないはずなのだ。

 

 

 

 

直後、驚いている飛鳥とユウヤにその光が放たれる。そして光は二人を包み込んだ。

 

 

 

───変化が起こった。

 

 

飛鳥のリボンが解け、ポニーテールからストレートになる。その変化に飛鳥は目に見えて驚く。

 

 

変化があったのはユウヤも同じだった。

髪が一部だけ、銀色へと変色する。そして、左目も対照的な金色へと変わる。

 

 

「……この姿は」

 

 

「なんか、身体中に力が溜まってくる!」

 

 

目に見える変化だけではなく、潜在能力を解放されていく。

 

 

「…………ふざけるなよ」

 

 

絞り出すように立ち尽くしていたカイルは呻く。だが、少しずつ体を震わし、駆けた。

 

 

「ふざけんじゃねぇぞ!ガキどもがァァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!」

 

 

 

先程の瞬間移動のような技を使い、飛鳥の後ろに移動する。右腕を光の剣へと変え、背中を貫こうとする。

 

 

目にも止まらぬ速さで飛鳥は光の剣を防いだ。絶句するカイルの胴体を飛鳥は蹴りつけた。

 

 

「──ガハァッ!!」

 

 

体がくの字に曲がり、吐血する。が、やはり戦い慣れているからだろう。カイルはその反動を使い、飛鳥から距離を取り、遠くへ着地すると、すぐさま瞬間移動を使い、その場から消える。

 

 

 

 

 

 

直後、カイルは地面に叩きつけられる。

 

 

「ガッ!…………馬鹿な、体が………重い……だと」

 

 

起き上がろうとするも、地面に引き寄せられるように、体が動かなかった。

 

 

「テメェのそれ、ようやく読めたぜ」

 

 

歩み寄るユウヤにカイルは無表情を貫く。その様子にユウヤは困った顔をしながらも、語り始める。

 

 

「空間を転移する瞬間移動の類じゃない、光と同化することによる高速移動。そうだろ?」

 

 

無表情を貫いていたカイルが目を見開く。その様子で事実だと確認された。

 

 

 

『電気・磁力操作』(ボルト・ラディーク・コイル)。電気により、磁力を強くしてテメェの光速移動を無効化させた」

 

 

カイルが腕を振るい、地面を吹き飛ばす。ユウヤと飛鳥が砂塵を払う間に、すぐさま飛び退く。息切れをしながら、二人を睨み付ける。

 

 

(何故だ?あの娘ならともかく、何故あの男まで強化される?)

 

 

忍ですらないユウヤに超秘伝忍法書が力を与えた。それが今、カイルを惑わす謎だった。ひたすら思考を動かし、謎を解こうとする。

 

 

 

(……………忍、忍法、異能…………まさか、そういうことか!?)

 

 

脳裏で至った考察を全力で否定する。自分でも信じられない話だったからだ。

 

 

そして、歯軋りをしながら、目の前の少年少女に殺意を向ける。

 

 

「そんなことが…………有り得るものか。何も………力の無かったガキどもが、何故………」

 

 

「超秘伝忍法書が、いや皆が私たちに力を与えてくれる!」

 

 

飛鳥の答えにカイルは頭を押さえる。頭痛をこらえるように、血が滲むくらいに唇を噛んだ。

 

 

 

「…………ふざけんじゃねぇよ!何が皆だ!お前らに奇跡が起こるなら、何故オレの家族を救ってくれなかった!?」

 

 

 

理解したくないとカイルは癇癪を起こした。そして、怒りを含みながら、声をあげる。

 

 

 

「|ケイオス・ブラッド』ォ!こいつらに力が与えられるなら、オレに力を寄越せ!絶望的な、力をォ!!」

 

 

無論、物質であるケイオス・ブラッドは答える訳が無い。

 

 

 

「………グギィルゥ、ガァァァァァァぁぁぁぁぁ!!」

 

 

だが、カイルの言葉に答えるように、体を侵食し始める。叫び声をあげ、蹲るカイルを凄まじいほどの激痛が襲っている。

 

 

 

その弊害が確認できた。

 

カイルの背中がゾワゾワと蠢くと同時に────翼が生えた。

 

 

鳥や天使など、生易しいものではなかった。

 

 

 

枯れた木の枝のような細く、全てを破壊せんとする憎悪で塗り固めたような赤黒い翼だった。間接部分に埋め込まれた青い結晶が輝きを見せる。

 

 

 

そして、機械の義手の付けられた両腕を侵食が飲み込む。そのまま赤黒いナニかが徐々に形を変え、暴虐の化身と称することのできる大きな腕へと変貌した。

 

 

 

「いっひゃはははははははははははははははははははははッッ!!」

 

 

絶叫と笑い声ともとれる叫び声を放ちながら、反られた体はすぐさま元に戻る。ブランと両腕をぶら下げ、俯いていた顔をゆっくりとあげる。

 

 

 

カイルの額にある三つ目の瞳が二人を見た。悪寒を感じたユウヤと飛鳥はすぐさま飛び退く。

 

 

 

 

二人のいた場所を巨大な腕が叩き潰した。地面は砕け、瓦礫が辺りに散らばる。腕をゆっくりとあげたカイルは首をゴキリッと鳴らす。

 

 

 

「さぁ、楽しませろよォ?ぶっ潰してやるからさァ!!」

 

 

 

途端、力強くその場に踏み込むと────飛びかかった。

 

 

二人は互いに回避を行い隙を探るが、暴虐の限りを尽くすカイルに近づけない。

 

 

「アァァァァァァ!!」

 

 

カイルは咆哮をあげると、翼を振るい、空中へと飛んだ。

 

 

 

そして、翼を全方位に広げる。

 

 

「『ケイオス・ライトノア・ジャック』ッ!」

 

 

翼の先が枝のように分かれ、さらにその先を地上に向けると、光の刃が地面に放たれた。

 

 

「飛鳥!大丈夫か!?」

 

 

「うん、まだいけるよ!」

 

 

地面を抉りながら、殲滅せんと迫る猛攻にユウヤと飛鳥は声をかけ合う。だが、その行為を見ていたカイルをキレさせた。

 

 

「クソガァァァァァ!!」

 

 

翼を閉じて、地面に着地する。同時に、両手を地面に押し付けた。ズブリッ、ズブリッと地面に手が沈み、肘まで沈んだ所で止まった。動きを止めた二人を見て、カイルは笑った。

 

 

 

 

 

 

 

「死ねェ!『ケイオス・バンデッド・ライトヴァァァァン』ッッッ!!!」

 

 

 

辺りの地面からどす黒い棘が突き出る。二人は何とかそれを避けきり、一瞬の隙をつき、走り出した。

 

 

その二人の行動を見逃す訳が無く、カイルは容赦なく潰しにかかる。

 

 

「両親が死に、妖魔に襲われていたオレと妹は共に逃げた!」

 

 

攻防の中、カイルは語り始めた。かつての自分の過去を。森の中で、カイルは妹と共に妖魔に襲われ、逃げていた。

 

 

「妹を助けるために、オレは囮なり────両腕を喰われた」

 

 

生半可の状態で生かされながらも、生き延びようと、逃げ続けた。どれくらい走ったかも分からずに、それでも走った。

 

 

 

 

 

 

「必死に逃げて、逃げて、ソレを見つけた」

 

 

 

木々が無い所に出てきた青年は逃げようと周りを見渡して、目に入った。その場に座り込み、ソレを存在しない両手で掴もうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

自分が、かつて妹にあげた……………血のついたリボンを。

 

それを見た青年は、すぐに分かった。そして、そのまま泣き叫んだ。

 

 

「妖魔を倒すのが、忍の使命だろう!?その妖魔を見過ごしたからこそ、あんなことにはならなかった!!それなのに、誰も気にしようとしない!!失われた命に眼も向けず、世界は回り続けている!!」

 

 

青年は絶望した。人に、世界に、全てに。その時に知ったのだ、『聖杯』の存在を。

 

 

 

「両親や、妹の犠牲で、この世界が成り立つのなら……………そんな世界、ぶち壊してやるッ!!」

 

 

自らの宿した力を使い、多くの人間を殺してでも、家族の復讐を果たすと。そう誓ったのだ。

 

 

「それはッ、テメェの全てをかけてまでやることなのかよ!?」

 

 

ユウヤは叩きつけられた腕を防ぎ、キッと目を向ける。

 

 

「貴様らには、分からんだろうなァ!!」

 

 

カイルが両腕を地面に叩きつけた隙を狙い、ユウヤが電気を打ち込んだ。カイルの胴体に直撃し、痺れさせる。

 

 

「………グゥッ!」

 

 

「行くぞッ!飛鳥!!」

 

 

「うん!これで決める!!」

 

 

二人は互いの動きに合わせ、殴りつけ、斬りつけ、蹴り飛ばし、切り刻む。

 

 

 

「くっそぉ、があああァァァァァァッ!!!」

 

 

痺れが解けたカイルは光の槍を無数に放ちながら、二人を殺さんと腕を伸ばした。

 

 

ユウヤは自身に黒い電気を纏わせ、飛鳥と共に跳躍する。飛鳥の体にも黒い電気が纏わり、同時にカイルに突っ込んだ。

 

 

 

無数の光の槍、刃、光線、そして振るわれた暴虐の一撃を避け、カイルの目の前にたどり着く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「『漆黒電撃・斬鉄一閃』(ボルティック・ブラック・ストライカー)ッ!!!」」

 

 

黒い電撃を帯びた二人の攻撃は、カイルを文字通り一閃する。

 

 

 

「■■■■■■■■■ァァァぁぁぁ!!!!」

 

 

 

その一撃は、カイルだけではなく、ケイオス・ブラッドにまで与えられていた。カイルの口から違う声が叫び声をあげる。

 

 

 

だが、電撃よりケイオス・ブラッドは消滅する。それにより、カイルの体から赤黒い紋様が消えた。

 

 

 

ドシャァァンッ!!

 

 

翼を失い、そのまま地面に落下して、カイルは倒れた。

 

 

 

 

世界への憎悪を抱き、『聖杯』を求めた『光』の異能使い、カイル。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここに、異能使いの青年と忍の少女に破れ去った。

 




狂気に染まる『光』が倒され、戦いは幕を閉じる。




そして、消えた火が、灯る。


次回『Soul Flare』

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