閃乱カグラ ケイオス・ブラッド   作:虚無の魔術師

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何か書くのが難しくなってきたよ、ねぇ。


二十二話 深海の魔神

月閃女学館の雪泉という少女から、協力してほしいと頼まれたユウヤ達。飛鳥達ならともかく、相手が悪いと首を捻っていたユウヤだったが、

 

 

 

「…………やっぱり、引き受けんだよなぁ」

 

 

目の前で仲良くする少女達を見て、甘いなとため息を吐く。だが、彼には少し違和感が残っていたのだ。

 

 

(こいつら、何か隠してるのか?)

 

 

雪泉と他の四人の動きに何かぎこちないものがあったのだ。まるで、後ろめたい事があるような…………。

 

 

(いや、よそう。あまり疑うべきじゃない…………警戒はするがな)

 

 

「生憎、仲良くしてる所、悪いが」

 

 

心の中で決心したユウヤは両手を叩いた。その音に反応して少女達は一斉に振り向く。

 

 

「まずは、今後のことについて話し合うべきだろ?」

 

 

その後、ユウヤの言葉通りに話し合いが行われ、結論が出た。

 

 

───互いに別れて見張りをするという結論に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、結局俺一人になるのかよ」

 

 

一人で校舎をパトロールしながら、ユウヤは悪態をつく。まぁ、自分の実力を知ってての事だろうが、やはり寂しかったりするのだ。信頼されてるとはいえ、泣けてくる、と項垂れる。

 

 

 

 

 

だが、彼は知らない。

 

 

 

 

 

 

 

「あの人、誰でしょう?お客様でしょうか?」

 

 

「よく見ると、格好いいですよ」

 

 

教室から扉を開けて、生徒達が見ていることを。そして、顔を赤らめていることも。

 

 

「あ?」

 

 

熱い視線にユウヤは振り向くが、何も変化は無い。前へ向き直り、歩き始めたユウヤはふと外を見た。

 

 

(風が一つもない、か)

 

 

静かになっている外を睨む。風が少しもない…………まさに、攻撃にはいい状況──────

 

 

 

ドガァァンッ!!!

 

 

突如、爆音と共に衝撃が起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何ですか!?」

 

 

「爆発!?」

 

 

校舎内にいた生徒達が困惑を隠せずにいた。

 

 

「皆さん、早く避難を!」

 

 

雪泉の言葉に頷いて、生徒達は急いで外へと駆けていった。時間が経ち、その場には雪泉達、五人しかいない。それが普通だ。

 

 

「…………もう誰も居ませんよ。出てきなさい」

 

 

誰もいない空間にそう問いかける。彼女達しかいない場合、返答が返ってはこない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅん、気付いてたか」

 

 

だが、答える声があった。それと同時に空間が歪んだ。文字通り、『歪んだ』のだ。

 

 

そして、その場に一人の青年がいた。

 

 

コートを羽織った口元を隠すような銀髪の青年だった。青年は左右の手にショットガンに、マシンガンを持っていた。

 

 

「貴方ですね、私達の学校を襲撃したのは」

 

 

「…………いかにも、その通り」

 

 

青年は身振りをして、腰を曲げる。そして、続けた。

 

 

「まずは、自己紹介をしておこう、自分の名はシルバー。対忍殲滅部隊『深海の魔神(ディープ・バロール)』の指揮官を努めている」

 

 

シルバーはそう言うと自身の持つ二つの武器を地面に投げ捨てた。

 

「覚えとく必要はないね。君たちはどうせ痛めつけるし、」

 

「…………私達を舐めているのですか?」

 

「舐めてる?とんでもない」

 

余裕そうな態度に雪泉達は怒りを顕にする。だが、シルバーをそれを見て、やれやれと困ったような顔をした。

 

 

そして、呆れた声音とは違い、嘲笑するように告げた。

 

 

 

 

「これは、ハンデさ。むしろ、感謝してほしいね。君達のような現実を見ない子供に『くだらない正義を叶える』チャンスをあげているんだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉が彼女達のナニかに触れた。

 

 

「────さい」

 

 

「?」

 

 

「取り消しなさいッ!!」

 

 

雪泉の足元から吹雪が起こった。一瞬で、部屋の中を氷の世界へと変えた。

 

 

「私達の前で正義を語らないでくださいッ!!」

 

 

雪泉だけではなく、夜桜に叢、四季、美野里もシルバーの前に立ちふさがった。

 

 

 

 

額に手を置いたシルバーは、深いため息を漏らす。そして、彼女達に告げた。

 

 

「ほら、だから言ったんだよ」

 

 

そう口にすると、彼は手で払った。

 

 

 

 

 

「え?」

 

 

少女達は衝撃を受けた。凄まじかった怒りを忘れるほどの衝撃を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シルバーが手を振るっただけで、氷の世界は消滅した。吹雪が吹き飛ばされ、氷は粉々に砕かれる。

 

 

 

そして、シルバーが続けた言葉が呆然とする雪泉の耳に聞こえた。

 

 

 

─────現実を見ない子供とね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チッ、どういうことだ?」

 

 

周りにいた生徒を避難させ、爆発の起こった場所に向かったユウヤは舌打ちをしながら、周りを見渡す。

 

 

「……………静かすぎる」

 

 

そう、静かすぎるのだ。今もなお、避難していた生徒達の声が遠ざかり、物音ひとつも聞こえない。

 

 

(襲撃者の気配もしない…………何故だ?)

 

 

どれだけ神経を研ぎ澄ましても、何一つ感じられなかった。この感覚にユウヤは不安になってくる。

 

 

(まるで、世界そのものが別のものへと入れ替わったような……………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はろー、元気かなぁー?」

 

 

 

ゾクリ、その声はそう感じさせた。

 

 

「ッ─────ぁ」

 

 

強者の威圧感とは違うソレに、彼は久しぶりにある感情を抱いた。

 

 

 

 

 

 

『恐怖』だった。

 

 

逃げろ、と全神経が悲鳴をあげる。だが、体が地面に同化したように硬直していた。

 

 

 

ユウヤは声のする方向に視線を向ける。

 

 

 

 

侵食される。

 

 

侵食される。

 

 

世界が徐々に侵食されていた。

 

 

闇でもない、聖でもない、光でもない、影でもない、黒でもない、白でもない、

 

 

 

 

 

 

 

 

純粋な『混沌』に。

 

 

 

 

 

 

その『混沌』の中から人影が現れた。

 

 

 

 

赤黒いフードの付いたコート。

 

 

 

 

 

タランと垂れるボロバロの袖。

 

 

 

 

そして、フードの中から見える─────ニンマリと笑う明るそうな仮面。

 

 

 

その仮面は幼い子供が着けていそうな雰囲気を醸し出している。

 

 

 

だが、仮面にあるどす黒い丸い瞳が、その雰囲気を台無しにする。

 

 

 

 

 

「お前………………は?」

 

 

込み上げてくる吐き気と恐怖に堪え、震えながらそう聞いた。

 

 

 

 

 

目の前にいる、全ての邪悪な部分を塗り固めたような本物の『怪物』は嗤い、首を捻った。

 

 

 

 

 

 

「そうだねぇーーーーーーーー。僕は『カオス』。かつて君達が倒した男、カイルの共犯者。分かりやすく言うと、彼を操っていた黒幕さぁ」

 

 

 

 




次回『混沌』

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