校舎を襲った爆発。その爆発の時に少女達が動いていた。
「皆、こっち!」
飛鳥達は急いで廊下を駆けていた。彼女達が向かっている場所、そこは─────
『地下にある部屋、そこに『白銀の欠片』は隠してあります』
雪のような少女、雪泉から教えてもらった襲撃者の狙いと思われる宝物の場所。目の前にある重い鉄の扉を開くと、階段が現れる。その階段を駆け足で降りると、
十数人の黒ずくめの兵士達が部屋の中にいた。
「なんだ、こいつら!?」
「情報に無い……………新手か!」
部屋に入ってきた飛鳥達を見た兵士はすぐさま武器を構える。だが、その様子には困惑が隠しきれなかった。
「関係ないッ!そいつらも忍だろう、始末しろ!」
違う装備の兵士が怒鳴ると兵士達もキッと飛鳥達を睨みつける。
「はぁぁぁっ!」
声を張り上げ、武器を振るう飛鳥を筆頭に、彼女達は『深海の魔神』と激突した。
一方その頃、
侵入者である銀髪の青年 シルバー。雪泉たちは彼の前に立ち塞がっていた。
「………本来なら、使うつもりは無いんだが」
彼はそう言うと着ていた軍服を脱ぎ捨てる。
胸元に機械のような物が取り付けられていた。機械の真ん中には動力源とも見える球体状のコアが光続けている。
突然、変化が起こった。
ウィーンッ、ガシィンッ、ガシャッ!
機械が音を立てて、変形を始める。シルバーの体を包み込むように、機械がその形を変えていく。
呆然とする雪泉達の前にその姿を現した。
銀色に光る分厚い鋼鉄の装甲。
後ろから複数の武器がある腕がギチリと蠢く。
シルバーは機械の装甲が何一つ無い。だが、シルバーの脚と腕の先に武装兵器が取り付けられ、シルバーの頭部に特殊なゴーグルのような物を被せられる。
その姿は、SFに出てくる
「自分達が秘密裏に開発した特別強襲用武装兵器 PS.K-02。お前達、忍を殲滅することに特化した兵器」
ガシャアンッ!と複雑な構造の脚が音を立てて動く。
「この兵器の前に、勝てる忍など……………いない!」
シルバーは両腕に装備している細長い鉄の筒を雪泉達に向けた。だが、それがただの筒ではないとは、すぐに分かった。
「皆さん!回避を!」
雪泉の言葉に彼女達は左右に飛び退いた。
直後、彼女達のいた場所を無数の弾丸が放たれる。床は蜂の巣へと変わり、壁も大きな穴を開けている。
シルバーは両腕を全方位に向け、高威力かつ無数の弾丸を撒き散らした。
「むんっ!」
美野里と四季を後ろに避難させた夜桜は、巨大な手甲を前に出して、弾丸を防いだ。
「何じゃと!?」
銃撃を防いだ夜桜の手甲はボコボコとへこんでいた。シルバーの両腕の筒からの攻撃が止み、筒の横から沢山の薬莢が地面に落ちる。
「
「はあっ!」
般若面の少女、叢が後ろから
後ろに取り付けられていた一本の腕が槍をガシリと掴んだ。そして、もう一つの腕が叢の横腹に叩きつけられる。
「かはッ!」
「叢さん!?」
地面に倒れ込み、苦しそうに呻く叢雲に少女達が駆け寄った。止めを差そうと近づくシルバーに雪泉は疑問を聞いた。
「何故、こんなことをするのですか!?」
「世界の為、それが自分達の行動原理」
感情の籠っていない言葉とは裏腹にその目には覚悟があった。例えどんなことをしてでも、自らの目的を果たすという覚悟が。
だが、彼女も引き下がれなかった。自分達の信念の為にも、あの方の為にも。
そう誓った彼女達にシルバーは、
「お前達は、何も理解していない」
落胆と失望、その二つの籠った言葉を告げた。青年を睨みつけようとして、彼女達は絶句した。
虚空。
その言葉は、感情を失った無の表情を浮かべるシルバーを表すにはふさわしかった。そして、シルバーは侮蔑の感情を抑えずに続けた。
「アレが何かも知らないクセに、よく平然とできる。アレの復活を止めるためにも、今こんなに争いしてる暇はない」
「アレ………、それは一体」
「『白銀の欠片』、正確にはそれに封印されている存在をだ」
少女達の奮闘により、『深海の魔神』の兵士は五割が気絶し、三割が戦闘不能になっている。
「動くなッ!」
鋭い声が飛鳥達の動きを止めた。その声の方向に急いで振り向いた。
マスクを外した兵士の男が、右手にある銃を少女達に向けて、左手にはある物を持っていた。
光輝く白銀の装飾が施された小さな宝玉、『白銀の欠片』だった。
「これがあれば、攻撃ができまい!」
男の言う通り、素直に攻撃が出来なかった。『白銀の欠片』を取られる訳にはいかないのだが、何とか無事だった兵士が飛鳥達を囲んだ。
「…………不味いですね」
「奴らに隙があれば!」
悔しそうに斑鳩は顔を歪め、葛城は不満を漏らす。だが、
(…………どうすれば)
ヴォォン
変な音が耳に入った。まるで、空気そのものが捻れるような音が。
周りを見ると、斑鳩や葛城、柳生に雲雀だけではなく、兵士達も聞こえていたらしく、不安そうな顔をする。
「え…………あ?」
呆けた顔で兵士の男はそれを凝視していた。
男の宝玉を持っていた方の手首が先が、綺麗に消失していたのだ。
プシュリッと吹き出る鮮血に男は、感じた。
「………あ、あああぁぁッ…………があああぁぁぁぁぁ!!!」
地面に蹲り、手首の先を必死に押さえるが、溢れ出る鮮血が周りに飛び散る。周りにいた兵士達が、ようやく我に返り、急いで応急手当をしようと動き出す。
「やはり脆いな…………………人間とやらは」
音もなく、ソレが目の前に顕現した。飛鳥達も、動こうとしていた兵士達も、出血を押さえていた男も、全員な硬直していた。
色が抜け落ちたような白髪の大人しそうな青年に見える。
顔半分に描かれた赤黒い紋様。
露出された胸部にある縦に裂けたギザギザからはみ出し、ギョロギョロと蠢く赤い眼球。
この二つを無視すれば、そう見えるのが普通だった。
青年、いやソレの手には宝玉が握られている。青年はその場から動かずに立ち尽くしている。
「さてと………………」
ソレが口を開いた。ゆっくりとこちらに歩み寄り、両手を広げる。
────笑いながら、告げた。
「下等な人間が、目障りだ」
あっさりとした死の宣告と共に、空間が悲鳴をあげた。
次回『混沌』
この作品のオリキャラで好きな人は誰ですか?
-
天星ユウヤ
-
紅蓮
-
シルバー
-
常闇綺羅/キラ
-
カイル