閃乱カグラ ケイオス・ブラッド   作:虚無の魔術師

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二十三話 宝物の真実

校舎を襲った爆発。その爆発の時に少女達が動いていた。

 

 

「皆、こっち!」

 

 

飛鳥達は急いで廊下を駆けていた。彼女達が向かっている場所、そこは─────

 

 

『地下にある部屋、そこに『白銀の欠片』は隠してあります』

 

 

雪のような少女、雪泉から教えてもらった襲撃者の狙いと思われる宝物の場所。目の前にある重い鉄の扉を開くと、階段が現れる。その階段を駆け足で降りると、

 

 

 

 

 

 

 

 

十数人の黒ずくめの兵士達が部屋の中にいた。

 

 

 

 

「なんだ、こいつら!?」

 

 

「情報に無い……………新手か!」

 

 

部屋に入ってきた飛鳥達を見た兵士はすぐさま武器を構える。だが、その様子には困惑が隠しきれなかった。

 

 

 

「関係ないッ!そいつらも忍だろう、始末しろ!」

 

 

違う装備の兵士が怒鳴ると兵士達もキッと飛鳥達を睨みつける。

 

 

「はぁぁぁっ!」

 

 

声を張り上げ、武器を振るう飛鳥を筆頭に、彼女達は『深海の魔神』と激突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、

 

 

侵入者である銀髪の青年 シルバー。雪泉たちは彼の前に立ち塞がっていた。

 

 

「………本来なら、使うつもりは無いんだが」

 

 

彼はそう言うと着ていた軍服を脱ぎ捨てる。

 

 

胸元に機械のような物が取り付けられていた。機械の真ん中には動力源とも見える球体状のコアが光続けている。

 

 

突然、変化が起こった。

 

 

 

ウィーンッ、ガシィンッ、ガシャッ!

 

 

機械が音を立てて、変形を始める。シルバーの体を包み込むように、機械がその形を変えていく。

 

 

 

 

 

呆然とする雪泉達の前にその姿を現した。

 

 

銀色に光る分厚い鋼鉄の装甲。

 

 

後ろから複数の武器がある腕がギチリと蠢く。

 

 

 

シルバーは機械の装甲が何一つ無い。だが、シルバーの脚と腕の先に武装兵器が取り付けられ、シルバーの頭部に特殊なゴーグルのような物を被せられる。

 

 

その姿は、SFに出てくる駆動鎧(パワードスーツ)そのものだった。

 

 

「自分達が秘密裏に開発した特別強襲用武装兵器 PS.K-02。お前達、忍を殲滅することに特化した兵器」

 

 

ガシャアンッ!と複雑な構造の脚が音を立てて動く。

 

 

「この兵器の前に、勝てる忍など……………いない!」

 

 

シルバーは両腕に装備している細長い鉄の筒を雪泉達に向けた。だが、それがただの筒ではないとは、すぐに分かった。

 

 

「皆さん!回避を!」

 

 

雪泉の言葉に彼女達は左右に飛び退いた。

 

 

直後、彼女達のいた場所を無数の弾丸が放たれる。床は蜂の巣へと変わり、壁も大きな穴を開けている。

 

 

シルバーは両腕を全方位に向け、高威力かつ無数の弾丸を撒き散らした。

 

 

 

「むんっ!」

 

 

美野里と四季を後ろに避難させた夜桜は、巨大な手甲を前に出して、弾丸を防いだ。

 

 

「何じゃと!?」

 

 

銃撃を防いだ夜桜の手甲はボコボコとへこんでいた。シルバーの両腕の筒からの攻撃が止み、筒の横から沢山の薬莢が地面に落ちる。

 

 

 

駆動型両腕武装機関銃(パワードアーム・ガトリング)。戦車の装甲をも貫く破壊力……………だが、それだけではない」

 

 

「はあっ!」

 

 

般若面の少女、叢が後ろから駆動鎧(パワードスーツ)の背中の動力源を槍で貫こうとする。

 

 

 

後ろに取り付けられていた一本の腕が槍をガシリと掴んだ。そして、もう一つの腕が叢の横腹に叩きつけられる。

 

 

「かはッ!」

 

 

「叢さん!?」

 

 

地面に倒れ込み、苦しそうに呻く叢雲に少女達が駆け寄った。止めを差そうと近づくシルバーに雪泉は疑問を聞いた。

 

 

 

 

「何故、こんなことをするのですか!?」

 

 

「世界の為、それが自分達の行動原理」

 

 

感情の籠っていない言葉とは裏腹にその目には覚悟があった。例えどんなことをしてでも、自らの目的を果たすという覚悟が。

 

 

だが、彼女も引き下がれなかった。自分達の信念の為にも、あの方の為にも。

 

 

そう誓った彼女達にシルバーは、

 

 

 

 

「お前達は、何も理解していない」

 

 

落胆と失望、その二つの籠った言葉を告げた。青年を睨みつけようとして、彼女達は絶句した。

 

 

 

虚空。

 

 

その言葉は、感情を失った無の表情を浮かべるシルバーを表すにはふさわしかった。そして、シルバーは侮蔑の感情を抑えずに続けた。

 

 

 

「アレが何かも知らないクセに、よく平然とできる。アレの復活を止めるためにも、今こんなに争いしてる暇はない」

 

「アレ………、それは一体」

 

 

「『白銀の欠片』、正確にはそれに封印されている存在をだ」

 

 

 

 

 

 

少女達の奮闘により、『深海の魔神』の兵士は五割が気絶し、三割が戦闘不能になっている。

 

 

 

 

 

 

「動くなッ!」

 

 

鋭い声が飛鳥達の動きを止めた。その声の方向に急いで振り向いた。

 

 

 

マスクを外した兵士の男が、右手にある銃を少女達に向けて、左手にはある物を持っていた。

 

 

光輝く白銀の装飾が施された小さな宝玉、『白銀の欠片』だった。

 

 

「これがあれば、攻撃ができまい!」

 

 

男の言う通り、素直に攻撃が出来なかった。『白銀の欠片』を取られる訳にはいかないのだが、何とか無事だった兵士が飛鳥達を囲んだ。

 

 

「…………不味いですね」

 

 

「奴らに隙があれば!」

 

 

悔しそうに斑鳩は顔を歪め、葛城は不満を漏らす。だが、

 

 

(…………どうすれば)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴォォン

 

 

変な音が耳に入った。まるで、空気そのものが捻れるような音が。

 

 

周りを見ると、斑鳩や葛城、柳生に雲雀だけではなく、兵士達も聞こえていたらしく、不安そうな顔をする。

 

 

 

 

 

「え…………あ?」

 

 

呆けた顔で兵士の男はそれを凝視していた。

 

 

 

 

 

男の宝玉を持っていた方の手首が先が、綺麗に消失していたのだ。

 

 

プシュリッと吹き出る鮮血に男は、感じた。

 

 

 

 

 

「………あ、あああぁぁッ…………があああぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

地面に蹲り、手首の先を必死に押さえるが、溢れ出る鮮血が周りに飛び散る。周りにいた兵士達が、ようやく我に返り、急いで応急手当をしようと動き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やはり脆いな…………………人間とやらは」

 

 

 

音もなく、ソレが目の前に顕現した。飛鳥達も、動こうとしていた兵士達も、出血を押さえていた男も、全員な硬直していた。

 

 

 

 

色が抜け落ちたような白髪の大人しそうな青年に見える。

 

 

 

顔半分に描かれた赤黒い紋様。

 

 

露出された胸部にある縦に裂けたギザギザからはみ出し、ギョロギョロと蠢く赤い眼球。

 

 

 

この二つを無視すれば、そう見えるのが普通だった。

 

 

 

 

 

 

青年、いやソレの手には宝玉が握られている。青年はその場から動かずに立ち尽くしている。

 

 

 

 

「さてと………………」

 

 

ソレが口を開いた。ゆっくりとこちらに歩み寄り、両手を広げる。

 

 

────笑いながら、告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「下等な人間が、目障りだ」

 

 

 

あっさりとした死の宣告と共に、空間が悲鳴をあげた。




次回『混沌』

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