半壊した校舎の瓦礫の山の頂点で、統括者ゼールスは周りを見下ろした。ピクリとゼールスは動きを止めた。
「…………それにしても」
瓦礫の山から飛び降りると、硬直している飛鳥の前に立つ。飛鳥は戦おうと武器を取ろうとするが、やはり動けなかった。
「貴様を何処かで見たことがあるんだが、知らないか?」
バヂィッ!!と音とともに電撃の槍がゼールスへと打ち込まれた。槍はそのままゼールスの胴体を貫かんと突っ込んでいき、
ヴォン
その音が鳴り響くと同時に結果は分かった。電撃の槍は先程現れた場所に向かっていき、瓦礫を吹き飛ばした。
左腕を青年に向けたままユウヤは荒い呼吸で立ち尽くしていた。もちろん右肩から先には腕は存在していない。
「…………分かったぞ」
「………………」
絞り出すような発言にゼールスは答えない。どうでもいいか、とユウヤもお構い無しに続けた。
「先程の一撃を見て、よく分かった。明らかに空間が捻れた。テメェは、
空間そのものを操ってんだろ。だからこそ、俺の一撃を弾き返すこともできるよなぁ!?」
沈黙、それが周りを支配した。
長い長い沈黙が─────ようやく解かれた。
パチパチパチパチ
ゼールスは手をはたき、拍手をしながら歩き出した。満足そうな笑顔を見せて、盛大に青年を誉め称えた。
「見事、見事、人間ごときに我が
ゼールスはすぐに余裕そうな表情へと戻り、青年と少女へと腕を向ける。
「だが、見破ったところでどうするのだ?我が空間で押し潰す前にどうすると?」
「………どうする、か」
彼は飛鳥へと目線を向ける。不安そうにしていた彼女に精一杯の笑みを浮かべると、ゼールスへと指を指した。
「なら、他の奴と協力してお前を倒す」
直後、ゼールスは横から衝撃が来るのが分かった。横へと目を向けると氷塊がそこにあった。何とか空間をねじ曲げ、弾き返そうとする。
「ッ!?」
そして、気付いた。
自身の真上から四つの攻撃が向かってくることに。
防ぐことも、弾き返すこともできずにゼールスは攻撃を受けるしかなかった。
「………間に合いましたね」
そう言うと雪泉は扇子を振るい、槍のように鋭い氷塊をゼールスへと向ける。彼女と共に叢、夜桜、四季、美野里も徹底的に攻撃を与える。
「……………小娘共が」
だが、通用している様子もなく、ゼールスへの攻撃は全て弾き返され、周りへと被害を与える。
そして、ゼールスを無数の弾丸が撃ち抜かれた。
「照準修正、確実に、精密に、殲滅する」
当たっていないのを理解しているシルバーは攻撃を止めない。ガシャンッと駆動鎧の背中の砲台が肩の部分へと移動する。その砲の先は煙へと向けられ、
「
オレンジ色の光を纏いながら、砲弾は煙の先へと飛来し、爆発を起こす。
「クッ、ソ!!」
始めてゼールスは余裕を失う。煙を払い、今自分への攻撃をしている六人と妙な感じの女を潰さんと─────
────あと、一人はどこ行った?
そう考え、動きを止めたその瞬間、
「テメェは、どうやら同時に防ぐことは出来ねぇようだな」
ドスッと懐から響く。ゼールスはすぐに気付いた。
懐へと移動したユウヤが長い方の脇差を胸元へと突き刺していたこと。
「貴様、─────」
ゼールスの体は震え始める、だがユウヤは脇差へと力を込めて切り裂こうとする。止めを指そうと足を踏み抜いく。
『恨むなら恨んでくれてもいい、私を』
ふと、一瞬の間に力が抜けた。その隙を狙い、勢いよくゼールスの腕がユウヤの首へと伸び、ガシリッと掴んだ。
「がっ………は…………!?」
締め付ける苦しさに吐血するユウヤに耳を貸そうとしない。そのまま絞め殺さんと力を強めていた。
「止めて………………止めてっ!」
雪泉達とシルバーが急いで駆け出し、飛鳥は苦しそうに呻くが、間に合わない。
彼の首を締め付けていたゼールスの腕は一瞬で消し飛ばされた。
「なっ!!?」
その場にいた全員が唖然とする。文字通り、一瞬だった。数秒で起きた出来事に全員が認識できなったのだ。
(今の一撃、読めなかった!?)
ゼールスは後ろに飛び退くと、すぐさま辺りを見回した。だが、何も変化が無い。それが不気味に感じた。
────退避するべきか。
何時、何処から来るか分からない攻撃に警戒しながら、腕を叩きつけた。砂煙が周りに巻き起こり、視界を隠す。
「…………く、そ」
何とか生き延びたことを喜ぶべきなのだが、彼は違かった。倒れ込む少女へと手を伸ばす。
「あす…………か…………」
そう呟き、彼は意識を失った。
次回『協力』
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