だって、完成したから。
「………………」
「………………」
雪泉とシルバーは互い睨みあっていた。先程の作戦会議からこの調子の二人にユウヤは徐々に苛立ちが溜まっていた。
分からないと思うかもしれないが、他人が喧嘩したりしてるのを見るのは無性に腹が立つものである。
そして、彼の中で何かがブチリッと音をたてて切れた。
「………………が」
小さな声で呟くユウヤに二人は、ん?と顔を向けた。ユラリと体を揺らし俯いていた彼は、キッと顔を振り上げた。
「フッざけんなよ!テメェらがそんな状態で協力が出来るわけねぇだろうがァ!!」
我を忘れるほどに怒り狂ったユウヤはそう怒鳴る。あまりの剣幕に二人も硬直するが、そんな二人に対してユウヤは更にとんでもない言葉を言い放った。
「同盟なんざ止めだ、止め!望み通り、テメェらも好き勝手にやりやがれ!」
「ちょ───」
「待っ───」
ドカンッ!!と叩きつけるように扉を閉めてユウヤは出ていった。唯一のまとめ役である人物がいなくなったことにより、この部屋を沈黙が支配した。
「………………」
「………………」
ここで二人はとある事実に気付く。
(気不味い………!)
実を言うと、こんな風に気不味くなることがあるのだ。喧嘩した相手と二人っきりになると、どうすればいいのか分からなくなるという。
二人がチラリッと横を見やる。互いの顔色を確認するかのように。目が合った途端、すぐさま目線を顔ごと反らした。
それから何分か経ち、二人は意を決して声を出す。
「「…………あの」」
────被った。
そう理解した二人の動きがピタリと停止した。
「…………君からどうぞ」
「…………いえ、貴方の方こそ」
何というか面倒くさいことになってる。シルバーも雪泉も譲り合いをしてるせいで、なんかもうそれだけで時間が過ぎていってる。
そして、ようやくシルバーの方が口を開き始めた。
「君、どうして忍になったの?」
え?と漏らす雪泉にシルバーは続けた。その顔は少し暗そうになっている。
「昔の自分は忍なんて国の道具って認識だった。けど、何故か君の忍になった理由が知りたくなったのさ」
近くにあったコップに紅茶を注いだシルバーは雪泉の分の紅茶を渡した。
そして、次は雪泉が話を始めた。
「私の家族は、幼い時にいなくなりました」
「両親は事故で亡くなり、兄も私を守って行方不明になりました。そして一人になった私を、
黒影おじいさまに育ててもらいました」
話の最中に雪泉はにこやかな笑みを浮かべるのをシルバーは見逃さなかった。
「そして、五年前にボロボロになって帰ってきて…………私たちが月閃に入学して、すぐ亡くなりました」
「黒影おじいさまの願いであった悪のいない世界を作るのが私の、私たちの目的です」
そうか、とシルバーも相槌をうつ。口元を歪め笑みを見せる。
「なら自分と似てるね」
「…………え?」
「自分は、世界を平和にするつもりだからさ。まぁ、行き過ぎた正義は人を苦しめるだけだから」
ハッキリと告げられた言葉に雪泉は戸惑いながらも、ある程度理解ができた。
心配をしてるのだ。
今は亡き黒影の望みを叶えんとする雪泉たちを。
「……………あのさ、少しいいかな」
躊躇した態度でソワソワし始めたシルバーに雪泉は首を傾けた。
そして、意を決した青年が震える口を開いた。
「自分も……………君やあの子達とも、仲良くなれないかな?」
そう言った銀髪の青年を雪泉はようやく理解できた。彼は仲間が、友達がいなかったのだ。一人だけ、孤独に生きていたシルバーが世界平和を望んだのも、そうすれば誰かと仲良くできるかもしれないと思ったから。
当の本人であるシルバーは適当にとんでもないことを口にする。
「じゃあ改めて、自分は『水』の異能使いシルバー。是非ともよろしく頼むよ」
数少ない異能使いの一人だと明かした青年に雪泉は一瞬の間に驚愕したが、
「────私の方こそ、よろしくお願いします」
そう言うと、優しく、嬉しそうに、微笑んだ。
「………………一体、何があったんだっ」
出入口の端の方から覗いていたのは、キレて出ていったが罪悪感に駆られて戻ってきたユウヤだった。
このあとユウヤが二人に全力で謝り、同盟は無事に進んだ。
「ククク、俺様の目的も既に計画済み。後は実行に移すのみ」
「例の少女も、あの男も、全ては俺様の手中に収まるのさ」
「───さぁ、楽しいゲームの始まりといこうか」
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