閃乱カグラ ケイオス・ブラッド   作:虚無の魔術師

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二十八話 陰謀と戦い

国立桜木病院に入院していた飛鳥達が動けるようになってから数日。ついに退院ができるようになった彼女たちをユウヤは迎えにいっていた。

 

 

「そういえば、雪泉ちゃん達とシルバーさんって仲良くなったよね」

 

 

「…………色々あったんだろ」

 

 

険悪に近い雰囲気だった月閃の少女たちとシルバーだったが、今では仲間のように楽しく談話をするくらいの仲になっている。

 

 

 

「それにしても、君も元気そうで何よりだね」

 

 

「……桜木先生か」

 

 

部屋の扉が開くと同時にスタスタと白衣を着た子供に、ユウヤは素っ気ない態度をとる。その子供を見たユウヤ以外の者達は普通の子供と認識していたが、

 

 

「言っとくけど、僕23歳だよ」

 

 

『はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!?』

 

 

 

桜木のカミングアウトに絶叫していたのも先程の話だ。

 

 

「そういえば、紅蓮はどうだ?」

 

 

「もう少し前に退院してるよ。今は何処にいるかはよくわからないけどね」

 

 

そうか、とユウヤは俯いた。不安そうに飛鳥は声をかけようとするが、

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────ッ!!」

 

 

突然の違和感に全員が反応する。他の人間には感じられないが、彼らにとって違和感は何度も感じたことがあるからだ。

 

 

 

「…………忍結界?」

 

 

病院に張り巡らされた結界の名称を飛鳥は呆然と呟く。それを理解した桜木はゆっくりと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『よぉ、老害。挨拶をしておくぜ』

 

 

「何の用だ。貴様は貴様のやることを果たせ」

 

 

老人は豪華な椅子に腰掛け、連絡相手である高慢な青年に低い声で命令する。

 

 

『まったく偉そうに………………そこまで邪魔か?貴様が目の敵にする、半蔵は』

 

 

 

 

 

ピタリと老人の表情から感情が消えた。強く握った左手から血が垂れる。

 

 

「────邪魔だとも、我らの望む世界に古き時代の忍はいらん。さっさと消えてもらおう」

 

 

老人にとって『伝説の忍』半蔵は心底不愉快な存在だった。かつて忍だった頃に同期だった半蔵に嫉妬したから。

 

 

ふーん、と電話の奥から平坦な声が続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『では、地獄でまた会うことになるなぁ』

 

 

グチャッ、

 

熟したトマトが破裂するような音を老人は耳にする。消える意識の中、手から落ちた電話が言葉を紡いだ。

 

 

 

『だから挨拶するって言ったろ?………お別れのだが』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

忍結界の中心へと飛鳥たちは走っていた。ユウヤと桜木は途中で別れて、雪泉たちと共に行動していた。

 

 

 

 

 

「こんな小娘どもにあいつらはやられたのか………私がいない間に蛇女も随分に貧弱になったものだな」

 

 

声のする方を振り向くと、一人の女性が屋根から地面に降り立った。

 

 

 

「焔紅蓮隊と蛇女の中枢でもあったカイル様を倒した…………半蔵学院」

 

 

 

その言葉を聞いた半蔵学院の忍である飛鳥たちは目を見開き、雪泉たちは目の前の女性に警戒をする。

 

 

女性は両腕に籠手と刀を持つと、刀の先を彼女たちへと突きつける。そして、自身の正体を告げた。

 

 

 

「私は新生蛇女の選抜チームの雅緋。お前達の足止めを命じられている」

 

 

女性、雅緋が自己紹介を終えた直後、複数の少女が現れる。雅緋は周りを見渡すと、飛鳥たちに向かって斬りかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「順調に俺様の役に立っているなぁ、蛇女の忍どもは」

 

 

装飾の施された剣を杖のようにつきながら、キラは廊下を歩く。真っ白な廊下を進んでいき、壁と床が本格的に変わり始める。

 

 

 

そして、目の前に見えてきた巨大な機械の前に立つ。いや、この表現は少し違う。

 

 

 

巨大な機械の前に立つ白衣の子供と睨みあうようにキラは立っていた。

 

 

「────そこに、何の用だい?」

 

 

白衣の子供が無表情で感情のこもってない声で問いかける。

 

 

 

「使えるモノを貰いにきたのだよ」

 

 

 

 

キラが後ろの機械を指差す。その先には、ガラスが張られ、その中に一人の少女が眠っている。

 

 

 

 

 

「十年もの間、『アレ』と(ライン)が連結してるとはいえ、この子に何をするつもりだい?」

 

 

 

「決まっている。神罰を使うのさ」

 

 

素っ気なく出された答えは桜木の余裕を完全に奪った。

 

 

「───君は、神の使いを呼び起こすのか!?」

 

 

「当然だろう、何度も言わせるな」

 

 

平然とするキラに桜木は声を張り上げる。その目には強い意思があった。

 

 

 

「アレは世界を平和にしない!大地を焼き、人を殺し、世界を蹂躙するものだぞ!」

 

 

 

「人の歴史と変わらないじゃないか。くだらん戦争を起こして、多くの人々の命を奪い続けた歴史と」

 

 

二人は互いに理解し合った。お互いにらちが明かないと。桜木は懐に入れた腕を戻すと、両手に十枚の刃が指の間に挟まっていた。

 

 

 

「なら、仕方ない……………………君を殺してでも止める」

 

 

 

「クハハッ、俺様を殺す?…………………できるものならな」

 

 

 

桜木は懐から八枚のギザギザの刃をブーメランの要領で全方位に飛ばし、残りの二枚を掴むとキラへと突っ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ったく、冗談にしては笑えない」

 

 

シルバーは赤黒い空間にて立ち尽くしている。ひきつった笑みを浮かべながら、目の前の人物を睨みつける。

 

 

「へへぇー、そんなことぉ言わないでほしいなぁ」

 

 

ニッコリと笑った仮面を着けた邪悪なる者 カオスは体を捻り、殺気をぶつける銀髪の青年に笑いかける。






次回『宵闇の支配者』




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