桜木病院。
国家が認めた病院で外国から来る人も少なくはないとされる日本でも最高峰の病院。
シルバーの半身であるアビス・ノイモートとユウヤとの戦いにより(ていうか、ほぼユウヤの攻撃が原因だが)半壊しているが、普通の病院として使えているらしい。
「イッッッッッッッッテぇェェェェぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
激痛に泣き叫ぶ青年の絶叫が病棟内に響き渡る。多くの看護師や患者たちが驚いて周りを見渡すが、何も知らないと言わんばかりに静かになる。
「全く、少し我慢してください」
「………そうは言ってもね、マジで痛いんだよ。全身が潰れるくらいに、いや待って。そこは冗談抜きで痛いから」
壁も床も白一色の部屋、一人一部屋の病室で二人の男女が話し合っていた。真っ白なベッドの上にいる青年、シルバーは泣きそうな顔で悶えている。その青年を心配するように寄り添うのは雪のような少女、雪泉。
「───無茶するからですよ」
思い出すのは、黄泉と名乗る剣士との戦い。唯一戦えるユウヤですら押され、敗北しそうな時にシルバーが現れ、彼を撤退させたのだ。
だが、彼の身体はボロボロの状態で動くことすら危うかった為、急いでいた桜木の治療もあり、今病室でゆっくりと休んでいる。
ふと、上半身だけを起こしたシルバーが側の窓を覗く。振り返ろうとせずに、雪泉に声をかけた。
「…………………なぁ、雪泉」
「?」
「いや、何でもないさ」
不思議そうに首を傾ける少女にシルバーは笑顔を見せる。満足そうに頷く雪泉に銀髪の青年の内心は正常ではなかった。
(自分の両親を殺したのが、雪泉の育て親である黒影という人…………………)
どうすればいいのだろうか、そう俯くシルバーは自身の仲間と認めた少女に感づかれないように、つくり笑いを浮かべる。
とある理由もあり、シルバーは雪の少女にその事実を告げることが出来なかった。
「こちら黄泉、戻りました」
無機質、簡素な通路を通り大きな扉を丁寧に開けた黄泉は腰を折り曲げ丁寧に頭を下げた。
十数人の男女が反応し、スタスタと歩く黄泉に軽めの挨拶をし始める。彼等に気を使うように礼をする黄泉に近寄る人物たちがいた。
「お久しぶりー♪黄泉さーん」
「………………………無事か」
白いワンピースを着た腰まで長い赤髪の少女。見た目からして小学生の少女は笑顔を絶やさずに、隣にいる男性の服の襟を掴む。
対照的に少女の横に立つ大人しそうな男性は無色、不透明な白色の髪をかきあげた髪型。僅かに顔の前に垂れ下がった髪の毛が印象的な糸目の男性。
「
少女は
「ハッ!無様に帰ってきて情けねえなぁ、黄泉ぅ」
部屋の中に嘲るような声が響く。それに気付いた数人が蜘蛛の子を散らすように退避し、風雅な貴公子の雰囲気をもつ黄泉は、
「………
優しそうな笑みを消し、嫌そうな顔をする。それも心底見たくないものを見たような不快感剥き出しの顔を。近寄ってきた
「聞いたぜ?『鍵』に妨害されたとはいえ、このザマとは『絶対切断の刃』が呆れるぜぇ?」
「何もしてないお前には言われたくないですね」
「おうおう、聞こえるなぁ?負け犬の遠吠えがよぉ!」
「────よく口が回るな、この
「………………あぁ、?」
礼節を整えた口調から一転、笑顔で放たれた罵倒の言葉にに日向は口の端にくわえた煙草を落とす。
火のついたまま落ちた煙草をかき消すが如く、地面ごと踏み潰す。日向は踏み込んだ脚を引き抜くと、平然とした黄泉へと食いかかる。
「おい、クソナルシスト!今なんつった!」
「ナルシストって──────意味も理解できずにそんな単語を使うとか、恥ずかしくないんですか?」
「あ゛ぁ!?」
近くにいた構成員たちがあらかさまに距離をとる。先程まで黄泉と仲良く談話していた黒雲も望を連れて遠ざかっていった。
「うるせえぞ、テメェら」
────ビクッ!!と、
怯えるように二人は騒ぐのを止める。
フードで頭を隠している男。
入口の扉に立つその男は濃厚な殺気を放つ。角度ゆえに完全に隠れていたと思われた顔をあげ、怪しく光る瞳で喧騒の原因である二人を睨む。
「人の睡眠を邪魔しやがって──────まとめて死にたいのか?」
「ッ!?…………申し訳ありません!アルト様!!」
「いやぁ!俺たち、ちょっと小突きあってまして……」
犬猿の仲と言えるほどの仲の悪さは鳴りを潜め、明らかにキレてるフードの男、アルトの怒りを抑えるために黄泉と日向は説得を始める。だが、結果は───、
>黄泉の謝罪。
>ミス、アルトには効かなかった!
>日向の言い訳。
>ミス、アルトには効かなかった!
まるで某冒険ゲームの経験値モンスターの如くの異常な回避力。しかも、それが逃げることが得意の臆病者ではなく、ゲームの最後に出てくる逃がすことを許さない魔王そのもの。
普通の人でも手段も効かない最悪のラスボスの
自分たちに告げられた死の宣告に絶望する青年二人。
だが、運命は彼等に味方した。
「あんまり怒っては駄目ですよ?」
おっとりとした優しい声をかける女性が気を使うように現れる。明らかに発育が良すぎる母性の象徴が目に留まるくらいの美人の女性にアルトはバツが悪そうに頭を下げる。
「………悪い。やっぱり、カッとなっちまう。俺の悪い癖だ」
「うふふ、ならいいですよ…………お二人も喧嘩しないでくださいね?」
ハイッ、ありがとうございますっ!!と泣きそうな顔で叫ぶ二人はさっきまで喧嘩していたとは思えないくらいの連携の上手さである。
即死の危機から逃れた二人は助けられた運命に喜ぶが、忘れてはいけない。彼等を追い込んだのも運命の仕業だということを。
「それて、『鍵』はどういう結果になった」
自分に引っ付いてくるおっとり系の黒髪女性をひっぺがしたアルトは近くの椅子に腰を掛ける。黄泉は膝をつき平伏すると口を開いた。
「『水』のシルバーはカオス様の血液に適応しました、やはり『鍵』に相応しいかと」
「───それは?」
「シルバーの第二人格、アビスです」
言葉に反応するように黄泉の手の中にある藍色の結晶は光輝く。ふわふわと浮遊したそれはアルトの手へと渡る。観察するように眺めていた結晶を服の中にしまいこみ、首をゴキリッと捻る。
「で、どうするつもりなんだ?…………カオス様」
覇者のように玉座に居座るのは一人の男。駆動部分、装甲の隙間から光のラインが張り巡らされている。両腕、両脚、胴体、多くのチューブが繋がった状態で鎧は言葉を発した。
「───賢明な諸君、長い年月を経た」
鎧から聞こえるのは低い、男性特有のテノール。呟くような話に、その場の全員が静かに耳を立てて聞いている。
「我らは遂に、──を手に入れることができるのだ。その為にも今は楽しみにしたまえ、」
「来るべき時────神を墜とし、殺す為に」
割と原作をよく知ってる方は、『禍の王』のメンバーに違和感を感じる人が多いかも知れませんが、
ご安心を、自分も調べているので。
この作品のオリキャラで好きな人は誰ですか?
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