シノマスのデータが消えてて、泣きながら始めからやり始めたところ、爆乳祭で両姫さんが出てきて呆然としていた作者です。
今さらですがダーク要素ありですよね、この作品。
ていうか、この話を読んで不快になるかもしれないのでご注意を。
「…………
既に失われたとは言え、自分の故郷の名前にユウヤの反応は静かなものだった。
聖印街、古くから存在している神々が眠るという伝説が有名な街。その伝説もあり多くの人々が住み着き、総人口は数十万人だった。これが県としてではなく、街としてなのだから、国家も新たにもう一つの都県と変えようかと本気で話し合っていた程だ。
───その数十万人が死に絶える災害が無ければ。
一夜で一つの街が滅びた事に対して総理大臣は『原因不明の大災害』世界中にそう講評したが、何処からか『未確認の凶悪な疫病』、『テロリストによる宣戦布告』などの噂が流れた。
その噂の中でも、『突如現れた怪物による大量虐殺』というものがあった。今でも多くの人々が語り、酒のつまみとして使ったりする話だ。
───半分、当たっている。
「確か報告によると、街中に大量に出現した妖魔が住人を襲った………とあるが」
「………間違いはない」
吐き捨てるように告げるユウヤにヒラヒラと扇で仰ぐ神威は憐れみの視線を向ける。ユウヤ自身落ち着いているが、彼はあの地獄の災害から生き延びた唯一の生還者。
彼以外に、生存してる者はいないかったのだから。
「了解した。調査を行い何かを発見すれば、すぐに報告をする」
その発言に意見はない。決まりだと席から立ち上がったユウヤはなにも言わずに出入り口の扉から出ようとする。
「待て、ユウヤ」
そんな彼の背中に声がかけられた。
「お主がどれだけ他人を信用していないかは分かる。現に妾たちの事も信じていないのだからな」
「じゃが、彼女たちにも少しは気を許してやらぬか」
まるで何も知らない子供を諭すような物言いに彼の心はぐらつくが、口を苦々しく閉じて部屋から出ていった。
「待って!ユウヤくん!」
後ろから引き留めるように声がかかる。聞き覚えのある、いやあの日からよく聞いていた声が。
「何の用だ、飛鳥」
声の主を知っているユウヤは振り返らずにいた。振り返る必要がないから、彼女の言うことに答えるつもりはないからこそ。
「どうして?」
冷たい、相手の心を考えない無情な彼の態度に、ではない。それもあるが、
「どうして、一人で背負おうとするの?」
本気で悲しんで心配している声に心が締め付けられる。だが、彼は自身を心配する少女を引き離そうとする。
「ッ、これは俺たち
「関係なくないよ!」
拒絶するユウヤに対して、否定するように飛鳥は叫ぶ。
「だって! 私たちは仲間だか」
直後、大声で叫ぼうとした飛鳥のすぐ横に黒い光が迸った。一瞬の出来事に飛鳥は硬直していたが、何が起こったのかを理解した。
話を聞いていたユウヤが身体から放出した漆黒の電撃が周りに解き放っていたのだ。飛鳥への威嚇の意思表示でもある攻撃を。
「…………黙れ、黙れよ」
血が滲むほど手を握り顔が見えないように俯きながら、身体を震わせボソリ、ボソリと呟く。
「ふざけんじゃねぇよ、さっきから。何が、俺を知ってる、だぁ?」
「何も知らないくせに、俺を語るんじゃねえよ。死にてぇのか?」
初めて自分に向けられた本気の殺意に飛鳥はたじろいた。ここで退いてはいけないと、彼の言葉を認めている自分の心を全力で否定する。
「でも、あのとき…………」
「ハッキリと言わせてもらう」
希望にすがろうとする飛鳥に対して、彼はかつてとは違う、冷ややかな目付きで見下ろす。そして、彼女の弱った心を打ち砕く言葉の刃を放った。
「俺とお前らは仲間じゃねえ、ただの依頼での関係、小さな幻想だ。そんなものは」
そのまま去り行こうとするユウヤを引き留めようとする。その場から起きて、去ろうとする彼を追いかけようとするが、
「…………え?」
疑問の声が口から漏れた。その理由は脚が地面と同化したように動かなくなり、立ち上がることすら出来なかったからだ。何故なのかと飛鳥は自答したが、答えは明白だった。
恐怖したからだ、彼に。
一度人間が抱いた感情は消えることがない、それと同じように飛鳥は先程ユウヤへの畏怖により、身体を縛られていた。
そんな飛鳥に、彼が向けたのは失望の籠った言葉だった。
「………あぁ、結局同じだな」
「─────ぁ」
「やっぱり人間だよ、お前も俺が大嫌いな人間だ」
結局彼がいなくなった後も、しばらくの間、飛鳥は動くことが出来なかった。
「そうだ、馬鹿だったんだよ。人間とは違う、化け物の俺が、仲間なんて求めるのがおかしかったんだよ」
山奥を一人で歩きながら、彼は自らを嘲る。ひひっと笑う彼の通った道には赤い斑点が点々と続いていた。
「本当に馬鹿だよな、今まで俺は教えられてきたのに」
頬を濡らす液体に気付かずに、嗤っていた。そして、ようやく理解した事実を自分に突きつけるように強く握ったことにより真っ赤な血で濡れたその手で顔を覆った。
「俺とあいつらは違うって、何で気付かなかったんだ?」
そして青年は、自ら孤独へと堕ちた。
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