閃乱カグラ ケイオス・ブラッド   作:虚無の魔術師

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最近、この小説は閃乱カグラの要素が薄れてきた気がするでござる……………。


四十二話 異常事態・降臨

「………という話だけど、どうする?」

 

 

「どうするって、何がですか?」

 

 

他の所に電話をかけている志藤を他所にヒソヒソと話す少女たち。遠くから見ると悪口言ってるように見えなくもない、そんなの自分だとしたら相当キツいよなぁ………(遠い目)

 

 

「………私は、助けに行きたい」

 

 

「まだユウヤくんに会わなきゃいけない、伝えたいことがあるから、嫌われてたとしても!」

 

 

 

飛鳥の覚悟に全員が頷いた。どうやら決意ができたらしいが、そんな彼女たちに声が飛んできた。

 

 

 

「君たち、早く準備をしろ。時間は待ってはくれないからな。それよりも君たちに渡しておく、簡易型の強化アイテムだ」

 

 

「…………ん?」

 

 

「肉体に負荷が掛かるかもしれないからな、滅多な時以外使うんじゃないぞ」

 

 

疑問の声を無視して五人全員に向けていた藍色のクリスタルを手渡した。何かおかしい、皆がそう思った。

 

 

「え、待ってください。ここは普通止めるべきなのでは?」

 

 

「…………あぁ、なるほど。待っていろ、と言うのかと思ったのか」

 

 

納得したような志藤は何度も頷くと、体のある部位を指差した。──腕というより、筋肉を。

 

 

「僕はこう見えても無力だ。君たち全員ならともかく、そこにいるピンクの()……雲雀だったか、君にも勝てる自信がしない」

 

 

「「「「うわぁ」」」」

 

 

自信がないと言う割には、やけにハッキリとした物言いと雲雀に負けるという志藤の力にほぼ全員がドン引きした。一人だけ………柳生は当然だと言わんばかりに首を振っていたが、素直に無視するとしよう。

 

 

「まあ、それが本音で、建前は戦力は多い方がいいからな」

 

 

「…………逆ではないでしょうか?」

 

 

それだけ言われた志藤は顔をそらし、何も言わずに指を鳴らした。あたかも、聞こえないふりをしてるようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飛鳥たちの視界がすぐさま切り替わった。建物の部屋の中にいた筈なのに、見れば屋外になっていたのだ。

 

 

 

建物の瓦礫の山がいくつも鎮座しており、見るからに人一人もいない滅んだ場所。

 

 

「…………ここは!?」

 

 

「聖印街だよ、ここがね」

 

 

「準備しろって言ったじゃないですか!」

 

 

「いや、そんな必要なかったじゃん」

 

 

彼女たちの言葉を瞬時に切り捨てた志藤はさっさと先へと進んでいく。

 

 

「何処に行くつもりですか?」

 

 

「僕たちの部下と合流する」

 

 

その先には、即急に作ったと思えるたくさんの機材の置かれた軍事基地があった。機材を見回っていた兵士が顔色を変えて、此方に向かってきた。

 

 

「オイ、貴様ら手を…………あっ、志藤さま!ご苦労様です!」

 

 

「状況は?」

 

 

敬礼をする兵士たちに迎え入れられた彼は近くの兵士に問いかける。彼の言葉に兵士は機材の一部を持ち上げ、画面を見せる。

 

 

「やはり情報通り、この街に地脈エネルギーが収束しているのは確かです……そして、中心となっている場所は」

 

 

「………この穴、か」

 

 

そんな話をしている志藤はチラリと目を向けて確認した。地面に空いた巨大な穴、それに恐る恐る近寄る飛鳥。

 

 

異界とも見えるほど、先の見えない闇を覗き込もうとした飛鳥は何か、悪寒を感じた。

 

 

 

 

 

 

『む、懐かしいな。あの時の小娘どもじゃないか』

 

 

聞いたことのある声が、近くにあった無線機から流れた。ボロボロに壊れかけていた機械にしては鮮明すぎる声に、

 

 

『そうだとも、我こそは統括者ゼールス。貴様らのことは忘れてはおらんぞ?』

 

 

余裕そうな声には、彼女たちを見下しいているようにも聞こえた。

 

 

「──へぇ、君が話に聞いた『混沌の異形(ケイオス)』、統括者ゼールスか」

 

 

興味深そうな声で志藤は無線機………正確には、その奥にある地面に空いた巨大な穴に目を向ける。

 

 

 

「その口の聞き方からしてでも分かる────人を人として見てない、その見下した態度、クソヤロウだと言うのはよーく分かったよ」

 

 

『見下す?当然だろう、我らのように聖杯の恩恵を受けずに、その力だけを欲するゴミどもが』

 

 

「ゴミで結構。んじゃあ、聖杯とやらを使っていびり散らしてる君たちは、それ以下ってことだろ?」

 

 

その途端、無線機の奥から何かを破壊するような轟音と怒り狂ったようなが絶境が響く。それを聞いていた飛鳥と兵士たちは微妙な顔を浮かべ、志藤は嘲るようにニコニコしていた。

 

 

落ち着いたのか静かになるが、すぐに声が出てきた。

 

 

『………ここで我が貴様らを皆殺しにするのも悪くはないが、今は神聖な儀式の最中でな……………そうだ、面白いものを見せてやろう』

 

 

「面白い、もの………?」

 

 

『そうだ。面白いものだぞ?………貴様らにとってもな』

 

 

 

 

 

その直後、穴から何かが飛び出してきた。それは赤黒いエネルギーのようなものを身に纏っていた、

 

 

見知った黒髪の青年だった。

 

 

その青年のことは少女たちはよく知っている、何故なら

 

 

「ユウヤ………くん?」

 

 

人形のように体が力なく垂れ下がり、顔も俯いていて見えないが、自分たちの知る青年だとよく分かった。

 

 

『感動の再会の所悪いが…………それに続いて二つほど面白いことがあるが、何だと思う?』

 

 

声だけの統括者が今にも笑いそうな声音で問いかけてきた。

 

 

 

 

 

『コイツが貴様らの為に、こうなったことだ』

 

 

 

『貴様らをここには来させん、と混沌の血を取り込んで我に挑んだが…………残念ながら我を倒せず、精神を混沌に呑み込まれた』

 

 

『人間とは分からんな。何故他人を命をかけて守ろうとするのか………………まぁ、そんなことはどうでもいい』

 

 

それだけ告げたゼールスは薄く笑うと、無線機からの声が消えた。いや、正確には別の場所からの声が彼女たちの耳を叩いた。

 

 

 

「一番面白いのは────これからなのだからな!」

 

 

その声は人形のように吊るされたユウヤからのものだった。身体をぶらんとしたまま、勢いよく顔だけをあげたユウヤ、その額にあったのはギョロリと開かれた三つ目の瞳だった。

 

 

ゾゾゾゾゾゾゾゾッッッッ!!!!と周りの建物の残骸、大地から黒い瘴気が溢れだし、青年を囲むように渦巻いた。

 

 

「きゃあああっ!!」

 

 

「なんだ!このエネルギーはっ!?」

 

 

 

全てを削り取らんばかりの漆黒の渦に大きな影が浮かび上がる。その影の一部に、僅かに光点が垣間見えた────その直後、

 

 

 

 

 

その渦をかき消すほどの膨大なエネルギーが大空へと放たれた。太いエネルギーの波動は一瞬で天を闇へと染め上げる。

 

 

 

────エネルギーの柱の中から現れた、この世界に降臨した『ソレ』は無機質でありながら、ただならぬ威圧感を抱かせる咆哮で周囲を揺るがした。




次回から、本格的に物語が進んできます。




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