閃乱カグラ ケイオス・ブラッド   作:虚無の魔術師

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紅蓮ってホムンクルスじゃないすか。


実質年齢って五歳くらいなんですよね…………………めっちゃ年下じゃんか(驚愕)


五十四話 Neo=Dark matter

「えーあー、始めまして、俺は紅蓮です。そしてこいつが焔です。失礼ですけど、貴方は蛇女の生徒ですよね?名前は」

 

 

「雅緋だ」

 

 

できる限りフレンドリーに話しかける紅蓮だったが、警戒した雅緋は遮るように名前を言う。彼女からして、紅蓮と焔は蛇女を失墜させた宿敵のようなものだから仕方はないのだが。

 

 

その態度にひきつった笑み(口元しか見えない)を浮かべた紅蓮は隣で聞いてた焔を引き連れて遠くに移動する。

 

 

小声で話してるのを遠目で見た雅緋は静かに耳を澄まして聞くことにした。そうして聞こえてきたのは、

 

 

「…………うん、何であんなに冷たいのかな」

 

 

「自分の姿見たらいいんじゃないか。お前はそういう怪しそうな服が好きだしな」

 

 

「えー、私服のセンスがどうかしてる焔に服のこと言われるのはちょっと」

 

 

紅蓮の愚痴のような発言をきっかけに、二人は取っ組み合いをし始めていた。その原因を耳にしていた───してしまった雅緋は呆れたように二人を見る。だが、仲が良さそうな彼らに雅緋は自然と羨ましいと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「…………あの、え?何で俺様無視されてんの?え、前回かっこよく登場したから?ていうか、考えてみるとおかしいよね。俺様割と本格的に動いてたのに…………分かった、あれか!作者がめんど(これ以上は自分のポリシーが危ないので、伏せさせていただいます)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、三分後。

 

 

「…………ふぅ、ようやく覚悟ができたみたいだ。でも、三分はちょっと遅いと思うんだけどなぁ。俺様」

 

 

冗談半分でそう言ったのは黒い戦闘スーツを着たキラ。流石に紅蓮と焔も警戒の色を見せる。紅蓮が刀に炎を纏わせると、キラの目がそちらに向いた。そして、興味深そうな言葉を呟く。

 

 

「その炎────やはり地脈からのエネルギーも使っているのか。なるほど、なるほど、|似て非なるものだからこそ、俺様たちはこのような構造になるのか」

 

 

「…………何?」

 

 

敵の言い分。それだけなら聞く耳を持たなかったが、たった一つの単語に彼らの意識が奪われた。

 

 

『似て非なるもの』、何を指しているのか、よく分からなかった。

 

 

彼らの反応を見て理解したのか、キラが首を降る。やれやれ、と呆れた顔は一瞬だけ。すぐにキラは失笑するような息を漏らした。

 

 

「なんだ、貴様らは異能使いと忍…………何も関係ないと思ったか?」

 

 

含んだ言い方に焔と雅緋は首を傾げる。だが、紅蓮だけは違った。彼は知っていたからだ、蛇女の事件で起きた事を。

 

 

強化されたカイルを飛鳥とユウヤがどうやって倒したのかを。

 

 

その時、秘伝忍法書は飛鳥だけではなく、ユウヤまでにも力を与えたということを。

 

 

事件の後から知ったのだが、だからこそ紅蓮は誰よりも先に答えに近づけた。

 

 

 

「───同じ、なのか。異能も、忍も、同じだって言うのか!?」

 

 

有り得ないと理解しながらも、その事実が震える口から発せられた。

 

 

「なっ、紅蓮!?」

 

 

「ッ、どういう意味だ!」

 

 

紅蓮の言葉に二人は激しく反応する。焔は驚愕を隠しきれずに、紅蓮を見る。雅緋はその言葉の真意を聞こうと、彼の襟首を掴もうとする。

 

 

だが、大袈裟な拍手により遮られた。お見事、お見事、と口に出さずにそう称賛する。

 

 

「………半分正解で半分不正解だ。僅かな作りが違うだけ、根底は変わらんさ。その根底たるものは俺様やお前たちの中にもあるぞ?」

 

 

告げたキラは口先を歪め、親指を立てる。そして親指で胸元を叩く仕草をして、その正体を明かした。

 

 

 

「ケイオス・ブラッドの残滓。少量の残滓が肉体と混じりあった人並みとは違う者たちは忍となり、残滓が他の残滓と融合し、ケイオス・ブラッドの核を生み出した者は異能使いになる───という訳だ」

 

 

誰も声を出すことができなかった。あまりにも衝撃的な事実に彼らも考えがまとまらなかったのだろう。

 

だが、キラは違う。歪んだ口を更に歪ませ、興奮したように捲し立てる。紅蓮は彼の足元に何か黒いものが滲んでいるのを目にした。

 

 

「そして!俺様は他の異能使いの誰よりも、膨大な残滓を、それらによって精製された強力な核を所有している!だからこそ、限界が無いとも言っていい」

 

 

直後、杭が地面から飛び出してきた。杭の形をした闇は十数本。それら全てはキラを囲むように構えられる。

 

 

「故に、見せてやろう。俺様の全力を!Dark Matter,『ネオ・プロジェクト』、最終段階実行!!」

 

 

高らかとそう宣言したキラ。闇の杭はその形を完全に崩し、周囲を闇に染め上げた。津波のように広がっていく闇に紅蓮たちは下がろうとするが、

 

 

「…………止まった、のか?」

 

 

つま先に当たるか、当たらないかの距離で、闇は動きを停止した。雅緋は疑問の声を漏らすが、誰も答えることができなかった。

 

 

彼らの目の前で闇がボコボコボコボコ!!と膨らんでいたから。あまりの大きさにソレを包んでいた闇の衣が剥がれ始める。

 

 

 

 

 

膨大な闇から異質な巨人が孵化した。いや、闇から生み出されたというべきそれは、剥がれる闇の鱗から姿を露していく。

 

 

白く輝く金属の鉤爪(かぎづめ)がポッカリと開いた掌に三つほど間隔を空けて並んでいた。先が折れた爪が開閉する度にガシャン!ガシャン!と火花を散らす。

 

 

そのようなモノが先にある腕は6本。四本は背中から、二本は肩の部位から生えていた。肩は横に大きくなっており、それだけで巨人を大きく見せていたのだ。

 

 

6本の腕が生えた胴体は一番小さいと言える。胸元にある4つの小さな穴、それらの穴の中心にある大きな砲口。装飾のない、不気味な雰囲気を帯びた対面する者たちに恐怖を与える。

 

 

 

だが、一つの問題があったのだ。その巨人には頭部がなかった。比喩でも冗談でもない。首と頭部があるべき場所には窪みがあった。小さな窪み、まるで人一人ならギリギリ入れるような───

 

 

 

 

「───素晴らしいだろう?俺様の鎧は」

 

 

声のする方にいたのはやはりキラだった。彼は紅蓮たちの顔を見ると満足そうな笑みを浮かべ、指を鳴らす。

 

 

「この地で発生した妖魔たちとの戦いで発生したエネルギー、そして我が闇の力により『Dark matter』は新たなる力を手に入れた」

 

 

宙に浮いたキラの体が巨人の真上へと移動する。ピタリと動きを止め、ゆっくりと降り立つ。窪みの中から出現したワイヤーがスーツごとキラの体に食い込む。乱雑にではない。両肩や両肘、膝や背中に胸元に固定されたワイヤーが引っ張っていく。

 

 

極限まで開いた窪みの中にキラの体が入った。直後、窪みが小さくなり、キラの下半身を飲み込んだ。ギュイイインッ!と全身を響かせた巨人が発光する。

 

 

「………………は、は」

 

 

身体中に張り巡らされたワイヤーに光が伝い、キラの身体へと押し込まれていく。彼の話が本当ならば、妖魔たちのエネルギー、そして人々の悪意。それらが流れ込んでいるのだろう。

 

 

 

「ははっ、ハハハ、クハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」

 

 

それなのに、キラは笑っていた。唇を愉快そうに歪めて、盛大に笑っていたのだ。耐えきれなくなった、という訳ではない。ならば何なのか………決まっている。

 

 

 

楽しみなのだ。これから新たに手にした力で自身の目的を果たすことが。

 

 

 

「ハハハ、────────ふぅ、疲れた。少し興奮しすぎたなぁ」

 

 

荒い呼吸を整える。遥か上から紅蓮たちを見下ろしたキラは目線を別の方に向けた。

 

 

「さぁーてと、そろそろ脇役の諸君にはご退場を願おうか。これからは俺様たちによる決戦の始まりなのだから」

 

 

舞台上の役者と小道具は全て揃っている。だからこそ、他の奴らには用はない。

 

鎧を完成させるための者たちには余計な事をされても困る、そいつらに邪魔されるのも最も面倒。

 

 

故に、消えてもらう。

 

 

 

両腕を広げたキラの動作に連動するように巨人の6本の腕が全方位に向けられる。それに続いて鉤爪がパックリと開き、砲口に光が圧縮される。

 

 

「ッ、やめろ!」

 

 

咄嗟に叫ぶ紅蓮。だが、無駄だった。何をしようと巨人は、キラは止まらない。いや、今更止まるはずがないのだ。

 

 

やれ、とキラが冷たい声を吐くと同時に6つの掌から熱線が放たれた。6本の太い極光が大地を破壊していく。

 

 

一速く動けた紅蓮は、焔と雅を庇うように前に立つ。目の前に迫ってくる極光を防ぐこともできず、彼の視界が光に飲まれた。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「──────かは、げほ」

 

 

全身に痛みが走る。そんな身体を力ずくで動かし、ゆっくりと起き上がったユウヤは周囲に目を配る。自分たちのいた場所は、何か強い破壊の力で蹂躙されたようだった。こめかみを指で押さえながら、ユウヤは自身の記憶の最後にあったもの、

 

 

──こちらに迫ってきた一条の極光が脳裏をよぎった。

 

 

 

「ッ、月光!閃光!無事か!?」

 

 

それと同時に自分と同行していた少女たちの名を叫ぶ。だが、返ってこない。近くの惨状の中に、ばっくりと裂けた地面があった。まさか、ここに落ちたのか? と考えたユウヤはピタリと動きが止まった。

 

 

 

視界の隅に、写ったのは、

 

 

地面にめり込んだ神秘的な祭壇。

 

 

空中を舞っていた混沌の祭壇。

 

 

確か、彼の記憶が正しければ、あの祭壇にいたのは──、

 

 

 

「─────予定が狂った」

 

 

コンッ、と床を叩く音に冷えきった低い声が入り混じる。声を出せずにいるユウヤを無視して、声の主は歩み寄った。

 

 

「守護者どもが対峙する奴らならまだいいが、妖魔どもを取り込んだあの人間は危険だ。このままでは聖杯を落とされかねん。至急、我が手で対処せねばならないだろう」

 

 

統括者 ゼールス。

 

 

この騒動を引き起こした全ての元凶。自分たちを生み出した『聖杯』を復活させようとする『混沌の異形』の一体。そして、かつてユウヤが二回ほど敗北した最悪の敵であり、倒さなければならない宿敵の一人。

 

 

倒すべき相手が目の前にいる。それなのに、素直に受け入れることが出来ない。

 

 

何故ここに、いや何をしに来たのか、簡単に理解したから。

 

 

「その為に、俺を回収しに来たのか」

 

 

「当たり前だ。前も言ったろう、貴様は器だ。器には器になるだけの価値しかない。それは有効に使うべきであろうが」

 

 

相も変わらない人間を見下した態度。ツンと痛む冷気が顔を叩く。心臓を直で握られるような威圧に気圧されそうになるが、それでもユウヤは引き下がらない。

 

それどころか、一歩前に出ていた。拳を握り締め、動くその姿には迷いなんて何一つ無かった。

 

 

「テメェの思い通りになんかならない。俺は自分の手で進むべき道を切り開く………………そう、あいつらと約束したんだ」

 

 

それだけだった。統括者は最早何も言う気はなくなったのだろう、静かに杖のような剣の握り方を変える。

 

 

それはユウヤも同じだった。唸り声を響かせる電気を周囲に帯電させる。地中にある砂鉄を両手と両足に纏わせ、装甲を作ったユウヤは呼吸を殺して、構えを取った。

 

 

 

その二つ影が激突したのは、数秒も経たない頃だった。




このストーリーの実質ボスの二人登場回。


統括者 ゼールスはまだいけるかもしれないけど、キラ&Neo=Dark matterは強くしすぎた感が無いわけでもないです。

まあ、正確には統括者は表ボスで、キラ&Neo=Dark matterは裏ボスみたいなものです。



まだ、出てきてない主人公いるんだよなぁ。本当にどうしようかな?

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  • 紅蓮
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