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ユウヤと統括者 ゼールス。
一度だけではなく、二度も戦ったお互いに因縁を抱く二人。彼らが戦ってる間も、戦況は変化し続けていた。
ズバシュッ! と肉を綺麗に切る音が響く。それと同時に肩から鮮血が噴き出した。出血を防ぐ為に手で押さえるが、それもあまり意味がない。
(…………やはり、読めないッ!)
苦痛に顔を歪めた斑鳩は相手を睨む。甲冑の剣士、スロウと名乗る者は謎の力を振るっている。
───世界そのものを越える速さ、とスロウはそう言った。それに対処しなければ、勝ち目はない。
自身の肌から赤い水滴が落ちた。自身の血、本来の戦闘では意識しない筈のそれに今は目がいく。
肌から離れ、地面に落ちる筈の水滴は落ちるのが遅かった。まるで撮った動画をスローモーションで再生してるように。落ちた血が地面に斑点を作る、やはりそれも遅かった。
斑鳩はようやく気付いた。今まで自分を苦戦させてきたその力の正体を。
「…………遅くさせる、それが貴方の力ですか」
「ご名答、ご名答。最も、今は貴公の感覚を遅くさせているだけなのだがね」
侮辱することもなく、罵倒することもない。スロウは素直に賞賛した。だがそれで終わるわけがない。
甲冑の隙間、目があると思われる部分が妖しく光る。その直後、だった。目に捉えられない勢いで接近したスロウが指摘してきた。
「だが、気付くのが“遅すぎた”と思うぞ」
深紅のオーラを纏う刀剣。それが斑鳩の心臓部に迫っていた。
───動こうにも、間に合わない。反応が、“遅れた”。
ファフニールは一連の行動を繰り返していた。殴る、蹴る、引っ掻く、叩く、そして殴るという簡単な動作を。
それを続けてから、何回、どれくらい経っただろう? と考える。だが、葛城という少女が防戦一方に陥ってる以上、相当な数は打ち込んだはず。
(…………違うだろ、そうじゃねぇだろ、テメェはそんなもんじゃあねぇだろうが!)
一撃を防いでいく葛城を目にして、心の中で荒れ狂っているはずのファフニールの激情が少しずつ冷めていく。彼女には反撃する体力など、今のところないのだろう。
(……………及第点、だとおもったんだがなぁ)
そして、肉体を温めていた熱が、一気に冷めた。それにより、ようやく欲望に抑えられていた理性が働き始める。
「─────萎えたな」
冷めた様子でファフニールは葛城への猛攻の手を止める。
優しさ、ではない。彼は本能で動くことも厭わない、何より敵に慈悲などは与えない。
期待外れ、でもない。先程までの彼は楽しんでいた、だが彼が望む程の強さではなかっただけだった。
「いやぁ、確かにテメェは強かったぜ?俺もここまで戦ったのは久しぶりだしなぁ」
ただ、と付け足される。そしてゆっくりとファフニールの片腕が持ち上げられ、ビキビキと動く。
そして、
「もうちょっと足りなかった。テメェが二倍か三倍くらい強けりゃあホント良かったぜ」
五本の指がついた掌が降り下ろされた。叩き潰すのか、振り払うのか、そんなことは関係ないだろう。
一撃で終わる。それだけは完璧な事実なのだから。
───私と共に来たまえ、
そして、ようやく口を開いた。
「それが、君の答えかな?」
「…………そうだ」
自身の喉元に向けられた傘を前に静かに納得していた。先程までの憎悪は鳴りを潜め、フムと深く考え込む。
「理由は………聞かずともいいか?」
返事を聞こうとせずにアポカリプスは後ろに下がった。その行動を仕込み銃を突きつけていた柳生が逃すつもりはなかった。
「まあ、待ちたまえ。こんな所で盛り上がっても仕方がないだろう」
だが、アポカリプスは制止した。何? と訝しむ柳生だったが、すぐに最大限の警戒をする。何をするのか分からない以上、それは当然の判断だろう。
「これからどうなるかは、お楽しみという訳だ」
そんな事お構い無しといった様子でアポカリプスは楽しそうにしていた。顔は無表情だったが、声の弾み具合からよく分かるものだ。
───どれだけ斬り紡いだか、戦っている二人にも分からなかった。
飛鳥の攻撃をアルトリウスは全て大盾で防ぐ。そして隙を作り出し、一撃を叩き込もうとするが、それすら避けられる。
これらの繰り返し、鬱陶しいと言わんばかりに歯軋りしたアルトリウスの動きが乱れる。
「何故抗う、我々は人を滅ぼすつもりもない。むしろ救済しようとしている。多くの人類が、それを望むだろう!」
「違う!誰も犠牲にならない道もある。皆が笑顔になれる道だってあるよ!」
「だから、それが理想だというのだ!夢物語に過ぎない話だというのに、何故気付かない!?」
互いの主張がぶつかりあう。冷静さを保っていた筈のアルトリウスも飛鳥の言葉に声を荒らげて反論する。
それは、彼女の言葉が心に響いてきてるからでもある。
「誰も犠牲にせずに救う、 それがふざけている証拠だ!犠牲なくして誰も救えない、それがこの世界の真理だろう!」
「じゃあ、何で貴方はその盾を使ってるの!?」
「ッ…………何を、言っている?」
飛鳥の言葉にアルトリウスは戸惑った声を漏らす。一瞬だけ顔を歪め、長剣から離した片手で頭を押さえる。
苦しそうに呻く彼が、大盾から手を離すことはなかった。
「人を守る力だってある!刀だけじゃない!盾だって力だよ!貴方も、守りたいものがあるから盾を使ってるんでしょ!?」
「盾も、守る力?………違う、黙れ。一々、耳にさわる、ことを…………!」
「……黙らないよ。黙ったら、貴方は分からなくなる。でも、気付いてるでしょ。こんなことしても、誰も喜────」
ドゴッ! と大盾がくい込んだ脇腹から鈍い音が響く。くの字に折れ曲がった飛鳥の身体が吹き飛び、アスファルトのような地面に何度もバウンドする。
急所に入った、これでもう限界だろう。というアルトリウスの期待は数秒後に砕け散った。彼の視界内では地面に突っ伏した少女が起き上がろうとしていた。
どれだけ打ちのめしても、彼女は折れなかった。
「ゼェ………ハァ、ゼェ…………ハァ」
追い詰めていたはずのアルトリウスは息切れを起こしている。肉体的にではなく、精神的な疲れ。それほどまでに、飛鳥は諦めていなかったのだ。
アルトリウスは荒い呼吸を整えながら、ゆっくりと飛鳥に歩み寄る。
「あくまで、その理想を、捨てるつもりはないか」
長剣を飛鳥の目の前に突きつける。脅しかもしれないし、純粋な質問かもしれない言葉で聞くが、飛鳥の答えは決まっていた。
それをアルトリウスは理解した。
「──ならばその理想と共に果てろ」
故にそう呟く。直後、垂直に持ち上げられた長剣が怪しい光を帯びて、ゆっくりと、確実に、飛鳥を仕留めるために、振り下ろされた。
筈だった。
何かに反応したアルトリウスは長剣を瞬時に引き戻すと、大盾に身を隠した。咄嗟の行動に目を丸くした飛鳥は目にした。
周囲を凍えさせる冷気を纏った風。それに気付いたアルトリウスは動こうとする…………だが遅い。大盾を持った軽装の身体が氷によって停止させられた。
「ッ!───舐、め、る、なァ!!」
だが、それは数秒程度。怒号と共に霜のついた腕と脚がビシィビシィと氷を剥がしていった。ようやく氷が溶けたアルトリウスが目を開くと同時に、
「グゥッ!?」
彼の顔に氷弾が命中する。意識外からの攻撃にアルトリウスは呻き、その体は瓦礫の山へと吹き飛んだ。
「………ここで何があったかはよく分かりません。街の構造も分からず、気配を探って来ましたが……」
「───貴様」
膝をついたアルトリウスが下手人を睨み、殺気を向ける。しかしその人物は顔色を変えず、ゆっくりと飛鳥の方に歩んできた。
「遅くなりました、飛鳥さん」
白い浴衣の衣装に身を包んだ少女、雪泉。
かつての戦いを経て、友となった飛鳥を助けるために彼女は戦場に立った。
同じ時間、各地でも変化が起きていた。
血のような赤色のオーラを帯びた刀剣が数センチ近づいた───その時だった。
何かを目にしたスロウ。貫こうとしていた刀剣を勢いよく引き寄せ、地面を蹴り飛ばした。後ろへと飛び退いた剣士の行動を理解できずにいた斑鳩だが、その理由は数秒後に分かった。
二匹の狼。
斑鳩の前に現れた彼らは跳躍した。狙いはスロウ、二匹は空中で無防備とも言えるスロウに飛び掛かった。
そんなスロウの兜の隙間が妖しく光った。薄暗い光に捉えられた二匹の動きが目に見えて遅くなる。現実的ではない光景だったが、スロウの後ろから人影が飛び出した。
「───フッ!」
その人影はがら空きなったスロウの首筋に向かって、巨大包丁を降り下ろす。だが、その包丁が首を切り落とすことはなかった。
首と包丁、その間に差し込まれた刀剣。後ろを見ずに防いだスロウは片手で包丁を押し返す。勢いよく吹き飛ばされたその人物は華麗に着地する。
「貴方は……!」
「……………久しいな」
その人物を見て斑鳩は絶句する。彼女の名は
竜と化した豪腕による攻撃。何がどうであろうと、ただでは済まないその一撃は葛城に当たることはなかった。
「あ?」
攻撃した張本人のファフニールが眉をひそめる。感触がおかしかった。人を潰した時は柔らかく、破裂すると彼は覚えている。だが、今自身の手にあるのは固い物を叩いたような───
「─────うぉ!?」
直後、腕が上へと吹き飛ばはれた。下から殴られたような感じを理解するが、その時にはファフニールはバランスを崩し、無防備な姿を晒した。
それを、“彼女”は逃さなかった。
アッパーのような構えを解き、踏み込んだ“彼女”は拳、いや手甲を振るった。重量のある一撃はがら空きなった胸元を殴り飛ばし、ファフニールは後ずさらせた。
「夜桜!」
立ち上がった葛城はその少女の名前を口にした。夜桜と言われた少女は葛城を見て、笑みを浮かべながら胸を張る。
「ヤッホー、柳生ちん♪」
「四季か……………何故ここに来たんだ?」
世間一般では、ギャルと呼ばれる部類の少女 四季が柳生に声をかける。振り向いた柳生は顔には出てないが、驚きながらも四季に質問する。
それを聞いた四季は、んー、と軽めに考える。その間もアポカリプスは腕を組んで待っ……………いや違う、寝てる。あいつ立ったまま寝てやがる!!?
「いやーね、周りの空があんな色になってさ。アタシたち皆で行こうって事になってね、シルちんを無理矢理連れてきてここに来たんだけど、途中で柳生ちんたちが危ないって教えてもらって♪」
………シルちんと呼ばれた人物について大体察しがついてしまった柳生は何処にいるかも分からない銀髪の青年に心の中で黙祷を捧げた。
それが届いたかはさておき、気になることが一つだけあった柳生は四季に問いかけた。
「……教えてもらった?」
「そうそう!いやー、格好いいイケメンさんだったよ♪もー、ホント紳士的でさー」
四季が言うイケメンとは誰のことだろう。 と思ったが、そんなこと考えている暇もない。
「あいつは厄介だ、いけるか?」
「ん~、まあアタシはいけるよ、柳生ちんは大丈夫?」
「…………んあ? 寝てない、私はちゃんと話を聞いていたよ。イイハナシダッタネ…………後、君だれ?」
あ、起きた。いや待て、寝てだろ。良い話なんてしてないぞ。オイ、コラ。
パチクリと目を開いたアポカリプスは自分の前に立つ柳生と四季を見て首を傾げる。そして何かを感じたのか口を閉じて沈黙した。
「雲雀ちゃん~、久しぶりだね!」
「美野里ちゃん!どうしてここに!?」
「え、君の知り合いなの?この子、どちらかというと戦闘向いてなさそうだけど」
いやお前が言うのかよ、と言う事を抜かしている非戦闘員1号の志藤は無視するとして。
雲雀の隣にいる少女は美野里という名を持つ忍学生。幼い印象を持つ彼女はよく他人と遊んだりすることが多いのである。
「──ふうん、一人増えたわね。別にどうでも良いのだけれども」
髪を払い、大人びた様子で三人を見下ろすのは少女、パンドラ。変貌していた『
「それじゃあ、勝負してあげるけど、私は負けるつもりはないし…………何ならハンデをつけてあげる。何で私を戦いたいか選ばせてあげるわ!」
凄いくらいに慎ましい胸を張り、ふん!と鼻を鳴らすパンドラ。その態度には自信しかない、負けるなどとは思ってない顔。
それを聞いた美野里は満面の笑顔を浮かべると近くにいた雲雀の手を握る。そして、ピョンピョン!と跳び跳ねながら、とんでもないことを言った。
「じゃあ、鬼ごっこ!美野里と雲雀ちゃんとそこのお兄さんが逃げるから、お姉さんが鬼だよ~!」
「何、ですって…………!?」
「え、は?……………僕もかよ!?」
一瞬だけ呆けたパンドラと志藤が問い詰めようとするが、手遅れだった。その間に美野里は同じように呆けていた雲雀を連れてどっかに走っていく。
───何やかんやで少女たち(一人男+一人人外)の真剣勝負?が幕を迎えた。
「…………ふむ、ふむふむ、これも運命というものか。思い通りにいかないものだ」
甲冑の剣士は溜め息と共に言葉を吐く。兜の顎を擦り、何度も頷く剣士には呆れではなく、納得という感情があった。
「へえぇ、2対1かぁ。悪くはねぇんじゃあねぇか?葛城と同じような強さの奴もいるしよぉ、
よぉーやくッ!盛り上がってきたなぁ、えぇ!?」
竜の男 ファフニールは興奮していた。自分の感情を抑えることなく、外に吐き出し、自身を取り巻く歓喜に身を捩らせている。不死とはいえ、苦痛があるはずなのに、ファフニールはゆっくりと歩いてきた。
理解できない、夜桜は目の前の男を前にそう思った。だが、葛城は自身と似ている男の根底に気付く。
闘いへの欲求、そして強さへの渇望。それだけが男、ファフニールの動力源なのだ。
「─────興味深い」
柳生と四季を前に黙示録は沈黙していた。しかし、それは一瞬の事。すぐさま口を裂き、口癖となっている言葉を発する。
人の肉体が気味の悪い悲鳴に続いて、ノイズの塊に戻っていく。そして、崩れていく肉体から、繰り返されるように言葉が発された。
「実に、興味深い」
「……………我らは聖杯の守護者、
立ち上がったアルトリウスは雪泉の攻撃で凍り、ひび割れた盾を地面に叩きつける。すると、巨大な盾がその形を変貌させていき─────巨大な大剣に変化した。
木の枝のように太い柄を握り、黒騎士は別種類の二本の剣を十字に交差させる。
刀身1m以上の長剣と盾の巨大さを引き継いだ凶悪な見た目の大剣。守りの盾を捨てたアルトリウス、彼は一つのものに特化していた。
純粋な破壊、敵を倒す殲滅力。
攻撃に優先した騎士は高らかと宣言する。
「だからこそ、我らは『本気』で相手をしよう」
これからが騎士の『本気』。だが、勘違いしてはいけない。持てる力を全て使う『全力』ではなく、真剣な心構えの『本気』だということだ。
「ねぇ、閃光。どうする?」
「………どうしようもないだろう」
月光と閃光は困ったような表情を見せる。先程までユウヤと同行していた二人だったが、凄まじい衝撃に気を失い、いつの間にか他の場所にいたのだ。
地下に落ちたと思っていた二人は地上に上がろうとはせずに、更に降りてみることにした。忍である彼女たちからも下に何があると感じられる。
そんな彼女たちは物陰に隠れて、遠くの方に目を向けていた。
「…………ほんと、最近良いことない。雪泉たちの頼みでこの廃墟に来てみたら、大量の妖魔に襲われるし、でっかいビームに巻きこれるし、そして何より雪泉たちとはぐれるって、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!ほっんと良いことねぇじゃねぇですかぁ!?何だってんですか!何だってんですか!自分が一体何したってんですか、こんちくしょうがぁぁぁぁぁァァァァァァ!!!」
「「……………………」」
無数の重火器を体に纏う銀髪の青年。落ち着いたような態度は鳴りを潜め、溜まりに溜まったストレスに発狂しかけてる。
月光と閃光は互いを見合う。どうする? という無言の視線に誰も答えなかった。
まともじゃねぇ………………。
ついでにようやく登場してきた主人公の一人、シルバーあまりの扱いに怒り狂う。出番無さすぎで自分も忘れてるくらいでしたwww
まあ、お詫びとしてシルバーのイラストを描かせてもらいました。手描きですが、良ければお願いします!
シルバー
【挿絵表示】
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