閃乱カグラ ケイオス・ブラッド   作:虚無の魔術師

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今回が三章の最終回です!


エピローグ

体力を激しく消耗したユウヤは飛鳥に肩を貸されていた。来た道を戻るように歩いていく中で、ポツリと言葉が漏れた。

 

「──統括者は、何を求めてたんだろうな」

 

その呟きにユウヤが何を考えていたかは飛鳥には分からない。だが、後悔の色があったのは確かだった。

 

 

「あの時、俺が殴ったあの時、どんな顔をしてたと思う?」

 

互いの望みを優先し全力で戦った。そしてユウヤがようやくゼールスを破ろうとしたあの時、

 

──満足そうにしていた。憑き物が落ちたかのような顔を浮かべながら。

 

 

「この世界で、あいつは何を願ったんだろうな」

 

「それは────」

 

ユウヤの呟きに飛鳥が答えようとする。だが、意味がない。それ以上続きを紡ぐことはないからだった。

 

 

 

『ハハハ、まさか我を完全に滅したとでも思ったか?なら、それは誤算だったなぁ』

 

 

忘れられない、忘れられる訳のない声が耳に響く。統括者 ゼールス、覚醒したユウヤによって倒れされた強敵の声だったのだ。

 

 

飛鳥に肩を貸されていたユウヤすらも身構える。だが、何時まで経っても変化はない。復活したゼールスが『さぁ、最終決戦といこうかッ!』と言ってきてもおかしくないと思ってた二人は今度こそ、ん?と思ってたら、

 

 

『…………下を見ろ、貴様ら』

 

沈黙と共にそう促す声。下を見て何がある、と思いながらも下を見たユウヤと飛鳥は固まる。そして、

 

 

 

 

 

「「ちっさあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」」

 

 

「あまり言うな、自覚はある」

 

 

驚愕に叫ぶ二人に十数センチサイズまでに縮んだゼールスがそう言った。ふんっと鼻を鳴らし、見上げる形で二人の足元にいた。

 

「ゼールス、生きていたのか」

 

「当然…………………………と言いたいが、我にも予想外でな」

 

「予想外?」

 

自分の状態を認識してなお、余裕を崩さないゼールスはチョコチョコと歩きながら小難しい説明をする。

 

 

「聖杯の加護を失った我に消滅は避けられなかった。何の因果かは知らぬが、消えかけた聖杯のエネルギーが我の肉体をこのように再構築した、という訳だ」

 

 

「……これからどうするの?」

 

「さあな」

 

ぶっきらぼうにそう吐き捨てる。自分の目的が思い通りにいかなかったというのに、未練が無さそうだった。

 

 

 

「ゼールス、お前世界を見てきた事があるか?」

 

「無いな」

 

「なら見てくればいいだろ、お前がまだ知らない世界を。お前が弱いと思ってた世界の広さを」

 

ユウヤの言葉に思い悩む小さいゼールス。少し難しい顔をしていたが、数秒後に答えを告げた。

 

「………良いだろう、ならば貴様らの近くで世界というものを見ていく事にしよう」

 

さっきみたいではないが驚く二人。人嫌いと称していた彼が自分たちと行動しようとすることがあり得ないと思っていたからだ。そして、ゼールスが足元からいなくなってるのに気づく。

 

 

「あの…………なんで私の頭に乗ってるの?」

 

「乗りやすいというのが理由だな。ついでだが、そいつの髪はボサボサしてるから無理」

 

「鳥かなんかかお前。後どさくさ紛れに人の髪型ディスんな」

 

そう言い合いながら、道なき道を進んでいると人影が見える。四人、少し前に互いの敵を倒すために別れたの仲間たちだが、全員が無事に帰ってこれたのだ。

 

周りを見回していた彼女たちも気づいたのか、此方に駆け寄ってきたのが見える。

 

 

ようやく全てが終わった。そう理解したユウヤは心から安堵した。

 

 

 

「うぉっ!?おい飛鳥!頭にいるのって…………小人か?」

 

「………あぁ、紹介するか。元統括者のミニゼールスだ」

 

「「「「え」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あう……………ここは?」

 

「っ!起きたか!心配したんだぞ!?」

 

目が覚めた途端、凄い剣幕の焔に襟を掴まれ怒鳴られる。色々迷惑をかけたので紅蓮も文句は言えずに、ご、ごめん。と謝った。

 

 

「………そうだ。キラは!?」

 

「……お前と一緒に気絶してから、雅緋たちに連れていかれたぞ」

 

何故か不満そうに頬を膨らませる焔に、何だろうと紅蓮は首を傾げる。遠くにいる仲間の元に向かおうと立ち上がる焔に続いて紅蓮も起き上がった。

 

 

カチッ、

 

「…………………ッ、?」

 

「ん、どうした紅蓮?」

 

何でもないよ、と心配してくれる少女に向かって手を振る。先程感じた不快な感覚に胸を押さえ、紅蓮は仲間たちの元に駆け寄っていく。その時だった、

 

 

カチッと。また、何かが切り替わるような、音が──────。

 

 

 

 

 

「あー、別に自分がここに来る必要無かったんじゃない?」

 

ぶっちゃけ聖杯の制御装置を破壊し、世界を滅びの危機から救った(自覚なし)銀色の青年はそう愚痴った。

 

 

「良かったじゃないですか、これ以上被害を出さずに済んだのですから」

 

「だって、自分の手助けをしてくれた人たちも制御装置を破壊してたんだよ?それなら自分が行った意味ないじゃんか」

 

「そう言うもんではないじゃろ。結果的にはシルバーがやったのなら、それでいいじゃろうが」

 

まぁ………そうだけどさ。と愚痴を漏らすシルバーは少し前に出会った忍の少女たちの事を思い出していた。

 

 

「──そう言えば、あの娘たち容姿似てたなぁ。姉妹なのかな?」

 

唐突の言葉に雪泉たちは硬直する。シルバーはこう言ってた。『あの娘たち』、『姉妹』と。

 

「………シルバー、貴方の手助けをしてくれた人って女性だったんですか?」

 

「…………………ん?」

 

何かおかしな雰囲気にシルバーは冷や汗を垂らす。

 

「へぇー、つまりシルちんはアタシ達が戦ってたのに(一部を覗く)他の女の子と知り合ってたのー?」

 

「………………いや、おかしいじゃん」

 

ようやくシルバーも気づいたらしい。やる気のない顔にいつも以上の真剣さが宿る。そして、氷のように冷えていく空気の中で必死に言い訳を重ねながら後ずさっていく。

 

 

「いや、いやいや待っておかしいじゃん。これってあれじゃん、ハーレム漫画とかの主人公のやつじゃん!何で?何で自分がこんな風になってんの!?」

 

おかしいでしょ!!と説得が無理なのを理解して全力ダッシュの逃走に移るこの男、自身の状況を全く理解してない。客観的に見てから物を言ってくたばれこの野郎(作者の逆恨み)

 

 

 

 

その頃一方、 作者おしおき中 (゜o゜(☆○=(-_- )゛

 

 

 

 

目が覚めると、そこは何処かの病室だった。全身の至る所に包帯が巻かれ、痛々しさが残っている。一瞬だけ訝しんだ青年 キラは、そこが蛇女の保健室だと気づく。

 

 

引戸が開かれ、スタスタと彼女は部屋に入ってくる。知り合いである彼女は彼の名前を呼んだ。

 

 

「…………………キラ」

 

 

「む、なん───グボッ!!?」

 

 

振り返ったキラの顔面に雅緋のストレートが打ち込まれた。女性の力ならまだ良いが、生憎彼女は忍だ。それにこの人、肉体強化の忍術も使っている。

 

 

かつて無敵だったとはいえ、メッタメタに打ちのめされようやく動けるようになったキラには少しやりすぎじゃないかと思うが、まあそもそも自業自得だし生きているし大丈夫だろう。

 

 

「ぶふ…………、ぶぼぉ、お」

 

「…………………気が、済んだか?」

 

此方を睨むように見下ろした雅緋の言葉の意味を知っている。何が言いたいかを。

 

 

「何も言わねぇよ………何も、言えねぇ。」

 

 

でも、答えることが出来なかった。自分を止めに来てくれた彼女たちを否定し、暴れまわって傷つけた。

 

弁明なんて、出来る権利すら無いと思っていたのだ。

 

「俺様はずっと知りたかった。心の中でポッカリと空いてた感覚の正体を。それだけのために、ただひたすら暴れた─────答えなんて、既に提示されてたのに。それを見ようとせずにいたんだ俺様は」

 

 

仲間を求めていた、共に影で生きられる仲間を。だが、自分はそれを知る前に否定してきた。

 

自分の苦しみは誰にも理解されない、この影の中で一生孤独に生きるのだ。

 

そう勝手に信じてきた、確実な証拠なんて無かったというのに。あの男の言うように、現実を見てなかったのは自分だった。

 

 

「もし、許されるのなら…………俺様は仲間を求めていいと良うのか?」

 

出ていこうとする背中を向ける雅緋が脚を止める。それはキラの疑問だった。今まで裏社会を仲間を一人も作らずに生きてきた正真正銘の一人だった青年の、純粋な疑問。

 

雅緋はため息を漏らす。そして、振り替えることもなく青年に当たり前というように告げる。

 

「元から私たちは仲間だ、違うか?」

 

 

 

 

 

 

 

仲間の大切さ。そんなものはキラには未だ分からない。ああは言われたが、絶対的な強さを求める為にまた同じことをするかもしれない。

 

 

だけど、あいつらを悲しませるのは嫌だな。

 

前よりも弱くなった闇の力を確認しながら、孤独だった闇の王 キラはそう思う。

 

小さく息を吐き、窓の外を眺めた。曇りのない晴れた青空が視界の中に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───以上がこの街で起こってた事だ」

 

『なるほどな、ご苦労だったぞ志藤』

 

耳元に当てた通信機から聞こえる女性の声に志藤は肩を竦める。

 

戻ってみれば部下のほぼ全員が全滅状態、最早笑えない状況だった。部隊隊長の一人が行方不明………確か大和とか言っていたが、この時の志藤はあまり深く考えていなかった。他に考えるべきことがあるからだ。

 

 

「…………なぁ、神威。アンタはこの件についてどう思う?」

 

『妾からしたらか?憶測でしか物を言えないぞ?』

 

「それでもいい。とにかくアンタなら何かは思いつくだろ」

 

長い間からの付き合いから分かるが、神威は勘と洞察力は凄まじいものだとかれは理解している。故にお手上げの志藤は彼女に頼ることにした。

 

彼女からの答えはすぐに返ってきた。

 

『何かおかしい、とは思わぬか。聖杯の出現、それを守ろうとするケイオスたち、他の異能使いの干渉。ここまで都合よくなるものかのう?』

 

「………それって、つまり」

 

そして神威はハッキリと宣言する。今回の出来事を得て明らかになった事実。全ての核心に繋がる事実を。

 

 

『この事件には黒幕がいる。妾たちの想像の範疇を越えた黒幕が』

 

 

 

 

 

 

神威の発言の通り、黒幕は確かに存在していた。思い通りに状況動かしていた黒幕。そいつは最後の最後に失敗した事を悔しがって──────いる訳ではない。

 

 

 

「“統括者を利用して聖杯を昇華させる”都合よくはいかないと思ってはいたが、まさかここまでの邪魔をされるとはな」

 

 

今回の騒動を引き起こした黒幕、はフードを脱ぎ平然としていた。彼自身が言った通り、そこまで上手くいくとは思っていなかった…………もう少し良い段階まではいけるとは思っていたのだが。

 

 

強く舌打ちをして、苛立たしそうに黒髪を掻きむしる。先程ああは言ったが、思い通りにならないのは腹が立つ。こうしていても意味がないのは自分でも理解している。失敗したのなら次の事を行えば良い。時間とチャンスはまだあるのだから。

 

その為にも、保険をつけておかなければいけない。

 

 

「チマチマしていても仕方ないな。やはり本腰を上げるしかないだろう─────我々も」

 

 

そう言う男の後ろには数百もの影が列を成していた。ほぼ全員が血のような赤色のフードパーカーを着用し、白と黒が入り交じったような仮面を被っている。

 

 

その集団の前、男の後ろに十数人の男女が立つ。様々な装備、服装をした彼等は歓喜や自信に満ち足りた表情を浮かべる。

 

 

満を持すと言わんばかりに時を待ち続けていた獣たち。そう呼ぶに相応しい者たちに、男は振り変えることなく告げた。

 

 

「始動せよ『禍の王』。忍と異能のハイブリット、『適合者(ユナイト)』たち。貴様らの猛威を存分に振るい、世界に傷痕を残せ」

 

 

────これからが正真正銘本命。首をもたげた怪物たちが牙を剥く。




三章読んでくれた皆様、どうもありがとうごさいました!
今回ボスだったゼールスは小さくなって、ユウヤたちと行動することになってるのですが、案外想像すると面白いことになってますwww


それとアンケートお疲れ様でした!

結果は本編とはそんなに関係ないので気にしないでください。


次週からは番外編になります。



注意、少し直しましたのでご了承ください。


偽造者(フェイカーズ)→『禍の王』になりました。

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