スランプ気味で投稿が少し遅れたんですよ!スランプ気味で!決してシノマスやマギレコしてた訳じゃないですよ!!(言い訳)
極秘ファイル参照
───注意
name 道元
蛇女子の元スポンサー
有権者の一人として議会でも優遇されていた人物。しかし人体実験を何十回も行っていたらしく、蛇女子を乗っ取ろうとしていた事を知ったカイル氏の密告受け、議会により追放された。
最後の実験にて、自分の妻子を使っていた事が判明。妻である■■氏は身籠っていた子を生むと同時に実験の後遺症で死亡。
逃亡中の道元の行方は不明。現在も調査を行う模様。
◇◆◇
その男と相対していたキラはハッと笑う。果たして、何が彼の心境にあったのか、それは当人にしか分からない。
最も、心地よい感情ではないのは目に見えて分かるのだが。
「久しい、なんて────貴様の口から聞けるとは思えなかったぞ」
吐き捨てるような発言。
それがキラの道元に対する感情の全てが込められていた。
怒り、憎悪、怨嗟、人に向けるには異常すぎるほどの負の感情の数々。もし、一般人がこれを前にすれば、恐怖のあまりに動けなくなる筈だ。
しかし、道元は顎髭を擦るだけ。自身に向けられた敵意に、寧ろ嬉しそうにも思える。
「何を怒っていると思えば…………やはり“母さん”の事かな?」
「ッ!」ビキッ!
「お前も我儘だなぁ。………分かっているだろう?私がどれだけの妖魔や忍を実験に使ってきたと思う。今更役目を果たした女一人に抱く感傷など───」
それ以上が、我慢の限界だった。キラはハルバードの束に手を伸ばす。
そして、
「───貴様が、“母様”を語るな」
既に攻撃は放たれていた。横振りのハルバードが瓦礫を削りながら、道元の胴体に迫る。両手に握られたことにより、破壊力が普通とは桁違いのものとなる。
そして、
ヴワァンッ!!! と。
斧みたいな刃が道元の体を一閃した。が、あまりの手応えの無さにキラは眉をひそめる。そもそも体を切ったのに分断されるどころか大量の血すら出てこない。
ゆらりと揺らめく道元の姿にキラはようやく理解する。
「残像………か」
「当然だ、私が自分の身をこんな戦場に出すと普通は思うかな?」
ホログラムのように歪む道元の姿。本人はここから離れた場所にいる、もしかすればこの学園にはいないのかもしれない。
「…………にしても、残像だってことは瞬時に気付けた筈だったんだがなぁ。それほどまでに衰えるとは」
崩れ始めた顔から嘲りの色が浮かぶ。小馬鹿にするような態度にキラから表情が抜け落ちる。こめかみの方の血管が青筋を立てて、激しい怒りが空気に充満していった。
そうだというのに、道元は口を閉じない。それどころか、更に続けた。
「随分と『弱く』なったんじゃないか?息子よ」
問答無用で、消える直前の残像目掛けてハルバードを振り下ろした。何度も、何度も、何度も。既に消滅した残像の男に向けて、キラは怒りを込めた全力の猛威を振るう。
「おォウああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッ!!!!!!」
爪をかけて、喉元を引き裂く。比喩ではない、現に赤い液体が指先を、床を汚す。それでも声にならない絶叫は止まらない。何故なら彼の闇が傷口を再生させるから。
傷だけを治し続ける忌々しきも頼りになる力、母が死んでから彼は『闇』に染まっていったのだ。
───大切な仲間を得た代わりに、無敵の強さを代償とした。
しかし、無敵を失ったのは下策だった。そのせいで復讐の相手を倒せない、それどころか『弱い』とまで言われる。
──────よりによって相討ちしてでも殺したい程憎い父親に。
そんなキラに迫られたのは二つの選択。
決断には秒もかからなかった。
(…………あの野郎はクズだ、俺様の嫌がることは躊躇なくやってみせるだろうな)
暴れすぎた事に反省しながら、キラはハルバードを担ぎ上げる。ヨロヨロと破片を靴底で踏みながら、号外不遜といった様子で歩き続ける。
深く息を吐き噛み千切るように歯を鳴らし、
(ふざけやがって。俺様から奪ってきた癖に、また奪う気か。そんな真似させてたまるか。もう思い通りにはさせないぞ、絶対に)
彼の決意の根底には明確な理由があった。
一つは、雅緋たちとの間に出来た信頼。
そして、自分に仲間というものを教えてくれた善人の青年。
紅蓮、そう呼ばれていたフードの青年への純粋な憧れ。それがキラの成長の理由だったのだ。
◇◆◇
「─────本当に、蛇女が………」
至ることから炎が上がり戦いによる轟音が響く蛇女子学園。彼等は破壊された校門を見上げていた。
焔紅蓮隊。
チームの名前となっている焔と紅蓮は互いの顔を見やる。そして、後ろにいる詠たちに無言の視線を投げ掛け、学園へと進もうとした。
抜けた身とはいえ、自分たちの母校の危機を見逃せなかったのだろう。
「待ってください」
同行していた青年、ヘルが彼等を引き留める。彼女らの前に立ち、両手を広げて道を塞いでいた。
この先には通せない、そう決意した顔つきで彼は言う。
「貴方たちに忠告させていただきます。今回あそこで暴れまわっているのは私の所属していた『混沌派閥』だと思います」
それは忠告なのだろう。
彼は組織の邪魔になる紅蓮たちを抑えたいのではない。寧ろその逆、紅蓮たちが組織に対立しないようにしたいのだろう。
悪意ではない善意が、強張った彼の顔から伺える。
「…………ヘルさん」
詠がヘルに声を掛ける。ピクッとヘルの体が震えた。その上で彼女は告げる。
「ご忠告感謝しますわ。ですけど、ここは私たちの思い出ある母校です。そして、抜け忍になり置いてきてしまった仲間たちか残っています。
そんな彼らが戦ってるのを、私たちは見ているだけでいられませんわ」
「………戦う気、ですか?」
ギリッと歯軋りをするヘル。
───分かってない、何も分かっていない。あの『組織』は覚悟だけで勝てる相手ではないのだ。
「奴等は普通じゃありません。メンバー全員がホムンクルス、戦闘の為に用意された特攻隊です。
それに奴等が表立って動くのは決まって自分たちにとって必要な事だからです。下手に手を出せば、貴方たちすら標的にされます!分かってるんですか!?全ての戦力を以て追われるかもしれないんですよ!!?」
ヘルはそれだけ言うと、疲れたように息を吐く。しかし、簡単に決意というものは変わらないのだ。
「………確かにそうね。けどもう慣れてるわ、追われる生活には。最近忍の追っ手も少ないし、退屈してた所よ。
ま、あの子達を襲った【禍の王】には痛い目を見せてあげたいしねぇ?」
「蛇女を攻撃してる、【禍の王】言うたか?色々やりたい放題やってるみたいやけど………少しワシも頭に来とるんやなぁ」
「どうせ皆もやるって言うんでしょ?なら私が何言ったって無駄じゃない!やればいいんでしょやれば!!」
春花、日影、未来がそれぞれの思いを口にする。しかし、誰もが諦めるという選択肢を選ぼうとしない。
「抜けた身だとはいえ、私たちだって蛇女の生徒だった!飛鳥たちを負かした奴等と戦ってみたかった所だ!………ついでに今までの鬱憤も晴らしてやる!」
「………動機が不純だけど、皆本気だ。勿論俺も、あそこには皆との思い出が残ってるんだ。
それをアイツら何かに、簡単に奪わせたくない」
彼等は本気だ、自分には止められない。理解したヘルは困ったように両手を下ろし、
「分かりました、なら私も着いていきます。あの組織で悪行を成した私の償いでもあります。………後で仲間に入れるのはちゃんと約束してくださいよ?」
ヘルの言葉に皆は快く頷く。それと同時にヘルの顔は綻んでいた。これが仲間、あの組織では得られなかったもの。その片鱗に心が温かく感じられる。
その直後だった。
「───『全員、その場から動くな』」
女性特有の高い声が周りに響くと同時に変化が起きる。全員、体が動けなくなっていた。しかし、口だけは無事らしく驚いた声が聞こえてきた。
そして、目の前に一人の女性が歩いてきた。
「やっぱりね。来ると思ってここに張ってて正解。見事に目標を確認できたの」
「………
桃色の帯びた白髪を弄る彼女に、ヘルは顔を歪める。誰だそれ、といった視線に気付いたのか彼は静かに説明した。
「アルト様率いる上位者たち、『
「ふぅん、貴方もいたのねヘル。彼等と共にいたのは正直驚きだわ。でもね、一々時間を掛ける気はないの。私は私の仕事をさっさと終わらせるわ」
そう告げた彼女は「『対象は全員、位置はランダム、人員は別々』」と妙な言葉を口にしていく。
一人だけ、ヘルは何か気付いたらしく顔色を変える。慌てた様子で周りの紅蓮たちに声を飛ばした。
「不味い!!皆さん警戒を───」
「─────『転移せよ』」
しかし、それは間に合わない。一瞬で視界が光に包まれていく。
そして、紅蓮たちはこの場から姿を消した。
◇◆◇
「どうやら、『
鋭く尖った柱、凶器にもなりかねない刺の上にアルトは立っていた。重さで折れそうに見えるが、何かの術を行使しているのか、アルトは体制を保っている。
ピクリ、と彼の体が揺れる。近くにあった残骸の山が動いたのだ。そして、中から爆発したかのように瓦礫吹き飛ばされる。
「…………くっ」
「ハッ、まだ動けんのかよ。流石は蛇女の教師…………いや数年前に妖魔殲滅戦で戦死したとされる半蔵学院の善忍、凜だったかァ」
先程まで着ていた教師としての服ではなく、忍としての姿をした鈴音が、膝をついた。
感心した言葉を口にするアルトの顔には侮蔑が含まれている。小馬鹿にしたような笑みを浮かべ、彼はゆっくりと飛び降りる。
ボロボロに傷ついた体を動かしながら鈴音は柱から降りてきた敵を睨む。その視線に満足にしながらも、アルトは彼女を見下ろした。
体の至ることを痛めつけられた鈴音と余裕そうに鎖の巻かれた刀を肩に乗せるアルト。
勿論、彼女はただ弱かった訳ではない。アルトの暴虐から逃げ遅れた生徒たちを守っていたのだ。
それほどのハンデがあっても変わらなかっただろう。どちらが圧倒的な強さか、結論を出す程ではなかった。
「俺らの情報量を甘く見るんじゃねぇよ。けどよォ、割とテメェらには感謝してるんだぜ?褒めてやりてぇくれぇにはな」
「なんだと………お前、何を…」
「テメェらが無様に負けを晒したあの妖魔、俺らが育ててた実験台なんだわ」
頭の中が、激しい熱に襲われる。グツグツと煮えたぎる怒りが彼女の思考を焼いてった。
───先程アルトが話した通り、鈴音は元々「凜」という名の善忍だった。しかし、卒業試験合格直後の任務『妖魔殲滅戦』にて妖魔により瀕死になったのだ。
あの時はその場に居た雅緋の父、学園長の手助けもあり生き延びれた。
だがその日、善忍であった凜は死んだ。妖魔に殺された仲間たちと共に。
そんな彼女に向けて、アルトは告げる。
「ありがとなァ!わざわざ負けてくれて!お陰でアイツは強くなったしな、
こうして俺らの計画の為の道具として機能してくれるんだからよォ!!」
今すぐにでも斬りつけたかった。妖魔という怪物を動かし、全ての忍の驚異となる存在である目の前の男を。
しかし、隙がない。もし今にでも飛び掛かれば、彼女の体は上半身と下半身に分断される。
「ま、そんな事だしよ。取り敢えず死ねよ忍、テメェには最早それしか未来がねェんだしな。一応情けとして楽に殺してやるぜ」
「……ふざける、な」
何としても立ち上がろうとする鈴音、そんな彼女にアルトは目を細める。
両手に刃の付いた鉄輪を握り締め、鈴音は腰を深く落とす。全てを─────アルトを葬り去る程の一撃を放つために。
「簡単には……死なない。せめて、お前でも………」
「………ヴォルザードとか言う奴もだが、何で無駄に面倒な真似する馬鹿しかいねェのやら」
心底呆れたと言わんばかりのため息と共にアルトは「もういいや」と切り捨てる。
死ね─────、その二言が告げられる直前。
ズドンッッ!!!!! と地面がブレた。明らかな巨大な地震。その理由を二人はすぐに気付く。
近くの校舎に何かが飛来してきた。それも隕石のような勢いで。
「─────おォ?」
アルトは刀を軽く振るう。それだけで震源地と思われる所に漂う煙が払われ、無数の斬撃が刻まれていく。敵へ向けた攻撃にしては乱雑、当たればいいかなどという考えしか見えない。
しかし、誰にも当たらない。当然だった、『彼女』は既に斬撃の射程から外れていたから。
ドッ!!
アルトの横手の地面が擦れる音がした。誰かがいる、そう判断するアルトは振り返ろうとする。
しかし、第三者の放った一撃がアルトの胴体に叩き込まれる方が速かった。声をあげる事なく、アルトは近くの残骸に吹き飛ばされる。
第三者はそれを見届けるや否や、倒れた鈴音に駆け寄る。
「凛さん!遅くなってすまぬ!」
「大道寺か………助かった」
善忍としての名で彼女を呼ぶのは、大道寺───半蔵学院に在籍する最強クラスの忍学生。
そして、凜の後輩である人物。大道寺の手を借り、立ち上がった鈴音は安堵するが、すぐに険しい顔になる。
更に爆発が起きた。そこは大道寺による一撃を受けた男が、吹き飛んだ場所。
「……急所を狙ったのだが、我も腕が落ちたか」
「あー、あー、痛ェな」
平然と、アルトは起き上がった。秘伝忍法の直撃により全身がボロボロになっているが、大したダメージにはなっていないように見える。
右手に鎖を掴み、納刀された刀を左手に納めたアルト。攻撃を与えられたというのに、怒るどころか反応もしない。
「テメェ、善忍かよ。何でここに来てやがる?」
「凜さんを打ち倒すのは我の果たすべき事、故にここに来た」
「………話通じてねェな、脳筋かよ」
カツカツ、とアルトは歩み寄る。大道寺は身構える、何時でも殺しあえるように。
「それよりもだ。貴様、【禍の王】の者で合ってるな」
「一々答え合わせも面倒だな、ドイツもコイツも死ぬ前にそう言うから疲れるぜ」
「そうか、なら聞かせて貰おうか」
大道寺はギロリとアルトを睨み付けながら、
「我が後輩、飛鳥たちを襲ったのは貴様らだな?」
アルトは沈黙する。言葉に詰まっている………ようには見えない。何を言ってるのかという顔を浮かべていたが、
「あァ、思い出した。あの時の雑魚どものことか!」
「っ!」
「そうだよ、この俺だよ。あの雑魚どもを襲ったのはさ!!…………それよりも聞いてくれよ!王様に殺さずに連れてこいって言われてたんだがァ、加減が難しいんだ。ついつい殺しちまいそうで、分かるかァ?」
それ以上、聞くつもりは無かったのだろう。
大導寺はズン! と地震でも起こしかねない力で踏み抜く。しかし彼女の隣に鈴音が追随する。
受け答えは、短く済んだ。
「奴は強い、手を貸すぞ」
「───承知した」
少しの言葉の応酬を終え、二人の姿はかき消える。それに同調するようにアルトも後ろに下がる。
ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!!
飛び退くアルトを追撃するように風の刃が地面を切り裂いていく。大きなクレーターを作るように跳躍するアルトだったが、
左右に跳んでいた二人に挟まれた。いつの間に着いてきたのか、驚嘆の口笛を吹くアルトに、二人はすぐさま次の行動を取っていた。
鈴音の刃が、大道寺の拳が問答無用で振るわれる。高速といった勢いで、それらはアルトの急所へと吸い込まれる。
そして、
ガギィィン!!! と。
血は飛び散らない、二人の攻撃は防がれたのだ。刃を鞘に入った刀で、拳を鎖に巻かれた腕で。アルトは笑いながら迎撃する。
「かかってこい、最近消化不良でな。
テメェら相手なら本気で暴れられそうだァ、だからすぐに死ぬなよ?」
善と悪の強力な忍と、混沌を統べる組織の最強。恐るべき破壊を引き起こしながら、正真正銘の殺し合いが幕を開けた。
────本部より空撃戦闘機 『ストーム』5号機に伝達。No.2 コードネーム『クロック』から任務が通達された。高位権限の発令により5号機に『
動員されるのは、
本作戦に置いて、司令官としての全権限を上記の方に集中。驚異判定されたテロリスト集団【禍の王】を殲滅を行え。
尚、この伝達は五秒後に消滅する。諸君らの検討をいの──────────────ブツンッ!