HIGH SCHOOL MEGIDO   作:極丸

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久々の投稿。
サバトではテルミナスメギドを一人迎えることができました(バールゼフォンとは言っていない)
それ以外にも新入メギドを3〜4人迎え入れられました。
前回の反動が来たか?
時間空けた割にクオリティ低い。


第3話 少年の日常は終わる

 目がさめると何時もとは違う感覚があった。

 まず一つは触覚、体の所々からなんとも言えぬ生暖かい感触が俺の体を包んでいた。背中だけに何やら柔らかい中に少し硬い感触もする。

 次に嗅覚、今まで嗅いだことがない様ないい匂いがする。できればもうちょっと嗅いでいたい位だ。

 最後に聴覚、何やらスースーと寝息を立てる声が耳元から聞こえてくる。起きたてなのにまた眠くなってしまう位に穏やかな寝息だった。

 以上の点から、俺は即座に状況を整理する。

 そして即座に思い至る。

 今目を覚ましたら絶対にヤバい気がする! と。

 最悪まだ視覚は覚醒していない。寝息を立てているのなら今のうちに脱出すれば……

 

「ううん……有希……」

 

 聴覚からのクリーンヒット! 

 普段の彼女とは違う眠たげな蕩けたヒーリングボイスが耳から直接囁かれる。

 そしてかなり密着しているのか息が直接かかりそれがかなりクる(・・)

 早く抜け出さなければいろいろなものがやばい気が友野はしてきた。急いでグレモリーの抱き枕状態から抜け出そうとする。

 しかし友野は分かっていなかった、グレモリーが彼自身から暖を求めていたことを。

 故に気付けなかった。その暖が離れようとするならば、一体人はどう行動に移すのかを。

 

「んあん、ダメよぉ〜……」

 

 彼女の手を解こうとした友野であったが彼女は更に拘束を強くした。

 柔らかい感触がよりダイレクトに友野に伝わってくる。

 真綿で首を絞められる感覚に襲われる友野であったがまだ諦めるには速い。友野は無理やり拘束を振り解こうと多少強引に体から抜けようとする。

 

「んん……ぁん……うぅあう……」

 

 途中途中でやけに艶かしい声が後ろから聞こえ、友野の体を細い腕が彼の体を這う様にして捕まえようとしてきたが友野はなんとかこれを回避。手が体を滑る時、変な感覚に陥りそうになったのは余談である。

 友野は抜け出し、部屋を出た後に呟く。

 

「……ふぅ、なんとか突破できたけど、これが連日続くってなると俺の理性がもたないな。目を閉じていたにも関わらずあのエロさ……グレモリー先輩恐るべしだな」

 

 友野は改めてグレモリー(彼女)がいかに魅力的かを再確認したのであった。

 

 ――――――――――

 

「今日も続行よ」

「やっぱっすか?」

 

 友野の家のリビングにて、グレモリーと友野は朝食を食べながらそんな会話をしていた。

 ちなみに今日の朝食はトースト1枚にマーガリンとジャム、そして友野は牛乳、リアスはモーニングコーヒーというシンプルなメニューだった。

 

「当たり前じゃない! 昨日は確かにあのネズミはこなかったけど、時間差で油断したところを! っていうのが考えられるわ。だとしたら、少なくともそうねー? 一ヶ月くらい一緒に居ないと、安心は出来ないわね」

「一ヶ月の間に俺が別の原因で殺されそうですけどね」

 

 グレモリーと一ヶ月も生活を共にするかもしれないと聞き、友野に未来が浮かび上がる。

 嫉妬の目で見つめる全男子生徒、興味や関心で黄色い奇声を上げる女子生徒が容易に想像できた。

 めんどくさいったら無い。

 そこで友野は予防線を張りに行く。

 

「じゃあせめて昼間はいつも通りの距離感でお願いしますよ? でないと俺の身が保たないと思うんで」

「いいけど、緊急事態になったら聞いてられないわよ?」

「そん時は俺も我慢しますよ。内容によりますけど。ていうかグレモリー先輩、一ヶ月も俺の護衛続けて大丈夫何ですか? ここの領主してるんでしょ? じゃあ長居できないんじゃ?」

「その辺は心配要らないわ。お兄様に連絡をしたら直ぐにこちらに使いを寄越すから、私達が護衛を務めるのはその間だけよ」

「へー、ってちょっと待ってください? 私()?」

「ええ、私()。流石に一ヶ月もの予定は想定してなかったから、1週間のうちの2日か3日くらいは私の眷属の一人を護衛に寄越すと思うわ」

「仮になんすね。えーっと眷属っていうと……」

「まぁオカルト研究部のあの子達よ。例外も一人いるけど、あの子達が護衛に参加すると考えていいわ」

 

 友野は昨日のオカルト研究部の面々を思い返す。そして思い返しが終わると、鬱陶しそうにため息をついた。

 

「はぁ〜……駒王学園の二大お姉様に、一年マスコットの塔城さん、さらには王子の木場様が護衛とは。王様にでもなった気分だな」

「あら、あながち間違いでもないわよ? その指輪をしてるんだから王としての素質はあるって事なんだから」

 

 グレモリーとの軽口の叩き合いに、友野はぐったりと肩を落とし、左手に目をやる。

 ギラギラと赤い光を放つ5つの指輪と昨夜まではなかった手の甲に刻まれた紋様がいやでも眼に映る。

 

「っていうかこの指輪本当に俺とグレモリー先輩以外に見えてないんすか? ちょっと怖いんですけど」

「大丈夫よ。なんせお兄様が電話した時に教えてくれた隠蔽術を施したんだから。むしろそれが見える、触れられるってことは、()()()()()()って証拠よ?」

 

 グレモリーはまるで薔薇のような笑顔を友野に向けながら告げる。その顔は言外に『信じてくれなきゃどうなると思う?』と言っているようで、友野は言及をやめる。そんなことよりも友野には気にすべきことがあったのだ。そう、指輪をした左手を見られるよりも優先すべき事柄が。

 

「にしても本当にグレモリー先輩以外も俺の護衛に着くんですか? 嘘じゃないですよね?」

「ここで嘘をつく理由はないわ。私一人で済ませたいけど。なかなかそうはいかないのよ」

 

 事実確認を済ませると友野は今後の事を憂いため息をつく。グレモリーだけでも嫉妬の目が怖いと言うのに、ここに昨日のオカルト研究部の面々が加わるとなると、バレたら尾びれ背びれどころか胸ビレに足と翼を生やして何処かへ飛んでいきそうな位に馬鹿馬鹿しい噂があちらこちらへ流れそうだ。

 

「あーあ、バレたらたまったもんじゃないな。ま、背に腹は変えられないし、安全を考慮するとなるとしゃあないことか……それじゃあ話もこれくらいにしてグレモリー先輩。俺そろそろ登校時間なんで、準備してくださいね?」

「あらもうそんな時間? というより気にしないで、私は大丈夫だから。先に出てちょうだい、鍵も閉めちゃって大丈夫」

「いやじゃないと合鍵渡さないとでしょ? やめて下さいよただでさえここ住宅地に近いから知り合いが多いんすよ?」

「私は悪魔よ? それくらいなんとか出来るわ」

「……合鍵勝手に作るのは無しっすよ?」

 

 そう言いながら友野は床に置いておいたショルダーバッグを肩に掛けながらリビングから出て行った。バタバタと足音が響く後に、鍵が閉まる音が聞こえる。

 そしてリビングに一人残るグレモリーは飲みかけのコーヒーに口を付ける。

 

「魔法陣は昨日のうちに作っておいたし、いつでも準備OKなんだから」

 

 グレモリーは誰も居ないはずのリビングでそう独りごちる。その言葉に反応するかのごとく、魔法陣がリビングに浮き上がった。

 

 ――――――――――

 

「さーてと、グレモリー先輩の言うこと信じたはいいが、悪魔的何かでどうこうするのかは今回は見逃すか。自分家改造されるのはパーソナルスペース侵害されるみたいで気分悪いけど、グレモリー先輩が俺の家から出るとこ他の奴らに見られるよりかはマシか」

 

 友野はいつもの通学路をショルダーバックを背負いながら歩いていた。

 すると目前で顎を限界まで開き驚愕の表現を浮かべたまま固まっている二人を発見する。

 友野はその静止した二人に嫌々ながら声をかける。

 

「何してんだ? 松田、元浜?」

 

 昨日の助平三人衆の内の二人、松田と元浜であった。

 話しかけられた二人は依然として固まったままであり、友野の声には全く反応を示さない。まるでモアイ像のごとく固まったままだった。

 ついに最後まで反応を示さなかった二人に友野は最終手段に出る。

 関わらなくてもいいものを自ら関わっていく辺り、普段は軽くあしらっているが見捨てられないらしい。

 

「おーい松田ー! 元浜ー! 兵藤に彼女できたってよー!」

 

 友野は二人の耳元で叫ぶ。これは友野流の二人の意識の覚醒の仕方である。

 普段からつるむことの多いこの3人は兵藤も入れて4人で泊まり込み、遊ぶこともあり、二人が寝込み続けなかなか起きない時はこの言葉で起こしてきた。唯一の欠点は意識が覚醒した時に二人からの怒号が飛んでくることだが。

 友野は言い終わると耳を塞ぎ目を閉じて二人の叫びを堪える姿勢に入る。しかし叫びは飛んで来ず友野はそーっと目を開ける。

 すると二人は未だ固まったままだった。

 いよいよ混乱が最高レベルにまで高まった友野は二人の肩を揺する。

 

「おい松田、元浜? どうしたってんだおい? 起きろー! 死ぬんじゃねぇ! まだ兵藤は彼女出来てねぇから! まだ俺らと同じだから! 希望捨てるな!」

「……ちげぇよ」

「へ?」

 

 友野の発言に始めて元浜が反応を示す。しかしか細い声で何を言ったかわからず、友野は聞き返す。

 するとその反応を皮切りに二人は友野の肩を力の限り掴むと喉が張り裂けんばかりに叫ぶ。

 

「友野! 兵藤の野郎が、彼女を作りやがったんだよぉおおおおおお!!!」

「もう俺たちとは違うんだ兵藤は! あいつは、アイツはぁ!! ……俺たちの敵! リア充に成り下がっちまったんだよぉおおおお!!!」

「………………は!?」

 

 二人から告げられた言葉は友野を驚かせた。

 唖然として少しばかり脳の処理が追いついていない友野をよそに、二人の叫びは更に苛烈さを増していく。

 

「今朝兵藤がよぉ! 隣に女子を連れて歩いてきてよぉ! スッゲー自慢気に『俺の彼女だ』って言ってきたんだよ!」

「しかもスッゲェ可愛い子でよぉ! ウチの学校のリアスお姉様と引けを取らないくらいの美女だったんだよ!」

「なぁ許せねぇよな友野ぉお! 一緒にアイツ潰す計画建てようぜぇ! 裏切り者に罰を与えてやろうぜ!」

「い、いや落ち着けお前ら……何が何だか……」

 

 友野は必死になだめようと二人を手で制する。

 しかし二人は表情を未だ変えず叫び続ける。

 

 

「落ち着いていられるか! あの兵藤だぞ! あの兵藤に彼女が出来たっていう事ですら腹立たしいのに、しかも絶世の美少女! これを恨まずしてどうするというんだ! 友野! 同じ彼女なし同士、一緒にアイツを貶められる所まで貶めてやろうぜ!」

「そうだ! 彼女持ちの時点で俺らの敵! 裏切り者! アイツはオレよりも後、或いはずっと童貞であると思ったのに! これは立派な裏切りだ! 粛清の時は来た!」

「いや、だから……」

 

 友野は宥め続けるが未だ二人の慟哭は止まらず、更に苛烈さを増し、最後は最早ただの雄叫びであった。

 

「「おおおおおおおおおおおお!!」」

「うるさいわぁ!」

「「あべっす!」」

 

 ついに痺れを切らした友野は二人に空手チョップを食らわせる。獣と化し、友野の肩を握っていた二人にとってその攻撃を避ける知性は残っていなかった。

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「というと何か? 兵藤がその『天野夕麻』ちゃんって言う女の子を連れて来て、お前らはそのショックのあまりに立ち尽くしていたと?」

 

 友野は理性が戻った二人から聞いた話を掻い摘んで要点を述べる。その言葉に二人は力強く肯定し、そしてその光景を思い起こして再び怒りをあらわにする。

 

「そうだぜ友野! 兵藤の野郎、なんでも昨日の夕方頃に急に告白されたらしく、即オッケー出してそのまま付き合い始めたんだと! さっき一緒に仲良く学校に向かって行ったよ! 信じらんねぇよ全く!」

「ふーん、そうなんだ。俺らの中から遂に彼女もちができたか……よかったな」

「「良くねぇよ!」」

「どぅわっはい!!?」

 

 突如として叫び出した松田と元浜に友野は驚き耳を塞ぐ。今だに耳の中で反響する音に顔を顰めながら友野は二人に問いただす。

 

「ったくなんだよ突然よ? 何が不満なんだよ!」

「不満しかねぇわ! あの兵藤だぞ! 俺ならまだしも、あの兵藤が彼女を作れるなんて万に一つもあり得ねぇと考えていたのに! あいつは一生童貞のままい続けると思っていたにも関わらず作りやがったんだ! これを怒らずしてなんとする!」

「そうだぜ! 我等の裏切り者には厳正な処罰を下さなきゃならねぇ! ツー事で!」

 

 松田と元浜は自身の意見を言い終わると同時に、友野の肩を掴んだ。その顔は断ったら殺すというような、反論を許さない顔だった。

 

「「友野!!」」

「ん?!」

 

 そのあまりの圧に友野は思わず返答してしまった。そして血気迫る表情の二人は声を揃えて言った。

 

「「アイツと夕麻ちゃんの破局を手伝ってくれ!!」」

「……は?」

 

 その言葉を理解するのに、友野は数秒の時間が必要だった。

 

 ――――――――――

 

「お! なぁ友野! 聞いてくれよ! オレ実はさ……」

「彼女できたんたんだろ? もう元浜と松田から聞いたよ」

「え? もう聞いてたの? なんだよもうー、驚かせてやろうと思ったのによー!」

 

 駒王学園の教室の一角にて、兵藤と友野は軽口を叩きあっていた。

 少し離れた席で元浜と松田が恨みがましい目をして二人を睨んでいた。いや、正確には兵藤のみをだが。

 

(ったくあいつら、もう少し落ち着けっての。俺が色々と探り入れて彼女とのデートを台無しにさせる算段立ててやるって事で向こうからは何もしてこねぇからいいが。その浅ましさが彼女を作れない一端だと言うのを自覚すればマシになるのによー)

「んなことより兵藤、お前今週の日曜日にデートするんだと? あいつらから聞いたぜ?」

 

 友野はチラリと元浜と松田がいる席に目を向けながら話を振る。

 兵藤はそんな事は眼中にもなく、照れ臭そうに頭を掻きながらにやけヅラで答える。相当に浮かれているらしい。

 

「へへ、まぁな! 実はデートプランも考えてるんだー!」

「ふーん、用意がいいな……」

 

 兵藤の舞い上がった様子を見ながら友野は頭を働かせる。

 

「ん? どうしたよ友野?」

「……なぁ兵藤、実を言うと、縁担ぎみたいなもんで、すぐ近くの公園があるだろ? あそこ、デートスポットにいいらしいぞ。今の時期だとそうだなー、6時前とかになるといい具合に日が落ちるんだ。ロマンチックな演出して彼女に飽きられない様にするには、それがオススメだぞ? 現によくあの公園でデートしてるカップルよく見ただろ?」

「おお、サ、サンキュー友野! けど急にどうしたんだ? なんか気持ち悪りぃんだけど?」

「なぁに気にすんな、見え張って普段行かない様な場所デートコース憎まれたら長続きしないと思ったから助言しただけだ、愛想つかされない様にしろよ?」

「ウッセーよ!」

 

 友野は兵藤にオススメのデートスポットを指示し、席を離れる。既に友野の頭には次の算段があった。

 

(これで恐らく兵藤は6時前にはあの公園にいる事になる。俺の促した内容に従えばな。其処で兵藤と夕麻ちゃんとやらがいいムードになったらぶち壊しに掛かる……はぁあ、せっかくの休日に何やろうとしてんだろ、俺)

 

 友野は己の猜疑心にウンザリしながらも来たる日曜日に備えて、頭を冴え渡らせる。

 そしてチャイムが鳴り、教員が入り込む。出欠を取る声を聞きながら、友野はその顔もロクに知らない『()()()()()』について思いを馳せていた。

 

 ――――――――――

 

「ダメよ」

「やっぱり?」

 

 そして所変わり友野家にて、昨日と同じ様にグレモリーと友野は食卓を囲んでいた。グレモリーは友野からの話を聞くや否や即座に反対の意を述べる。

 

「日曜日の6時頃に外出したいと言われてもね? 今はなるべく外出は避けた方がいいと思うから、そういった行為はなるべく避けて欲しくて。昼間とかだったらまだ許せるんだけど、夕方頃になると少し難しいわ。お兄様からも無駄な外出は控える様言われているし、せめてお兄様の眷属か使いの者が来れば話は早いんだけど、今お兄様達は眷属総出で駆り出されてるから、人一人を送るのも苦労するみたい。私達の実力じゃ、いざという時守り切れる自信もないから、此処は我慢してくれる?」

「うううううん、でもなぁー」

 

 グレモリーからの矢継ぎ早な返答に友野はぐうの音も出ないでいた。確かに友野は今は謎の存在に追われる身、おいそれと夜中に外出しては捕まる危険性は上がっていくだけである。

 それを友野も理解しているのか、特に反論はしなかった。しかし不満げな様子がありありと見て取れる。

 それを見てグレモリーはハァと溜息をつく。

 

「分かったわ、要件を言って頂戴。簡単な事なら私の使い魔でも出来るし、最悪私か私のの眷属に行かせるわ。それでいいかしら?」

「うーん、俺はいいですけど、これをオカルト研究部員(あいつら)が受け入れてくれるかは分かりませんよ?」

 

 このままでは拉致があかないと思いグレモリーは折衷案を友野に提示する。その提案に友野も納得したが、彼の中にある懸念材料を提示する。

 その内容を聞いたグレモリーは眉をひそめるのみであった。

 

「そ、そう……そう言う事なの……だったら尚更外に出せないわ。人の恋路を他人がとやかく言うものじゃないわよ」

「いやー、俺もそう思います」

 

 グレモリーの返答に対して、友野は肯定する様にうなづく。その返答に面を食らったのか、グレモリーは目を開いて驚いた。

 

「あら意外ね。ショックを受けると思ったのに」

「自分から提案したわけではないっすからね。むしろ強要されたと言うか……」

 

『いいか友野、もし協力しなかったら木場とお前は一夜を同じ屋根の下で共に過ごした事のある関係だと言う噂をうちの女子を中心にばら撒くぞ? それでもいいならお前は協力しなくてもいい』

『一年の頃チョイチョイ話してたもんなー? それに嘘は言ってないからな。豪雨の時に一晩泊めて貰った事を言ってるのであって、それを向こう側がどう解釈するかは知らねー。さて、協力してくれるな?』

 

 友野は元浜と松田の交渉内容を、協力と言う名の脅しに近い内容の交渉材料を思い出し顔をしかめる。

 しかし、協力してはくれないだろうなと思い込んでいた友野の耳に入ったのはむしろ別の返答であった。

 

「分かったわ。それじゃあその二人とは別行動になるけど、私の方から一人を公園に向かわせるから、二人のデートを壊せはしないけどそれでいいわね? どうせそこまで積極的ではないんでしょう?」

「え?! いやいやいや! こんなくだらねー事にグレモリー先輩が関わらなくてもいいですって! いや、マジで!」

「いいのよ。それに……個人的な興味もあるから」

「……グレモリー先輩人の恋路に他人がどうこうとか言ってませんでした?」

「それとは違うわよ!」

 

 揚げ足を取られたように感じたのか、グレモリーは必死になって否定した。しかし力強く否定された友野は逆にグレモリーに対して猜疑心を抱いた。

 友野はもう少し聞きたいことがあったが、グッと堪えて夕食の続きを始めた。昨夜の様な同じ轍は踏まないらしい。

 

 ――――――――――

 

今、俺は史上最高の状況下にいる。夕日でライトアップされた公園で俺と夕麻ちゃんは二人っきりでベンチに座っていた。周りには誰も居ないし、俺の気のせいもあるかも知んないけど、今日のデートの始めと比べると距離が近いかもしれない。なんだかロマンチックな雰囲気だし、イケるか!?イケるのか!?

 

「ねぇ、兵藤くん……」

「な、なにかな?夕麻ちゃん?」

 

急に喋り出した夕麻ちゃんにドギマギしつつも、俺は彼女の方を向く。夕麻ちゃんは夕日に照らされてとても綺麗だった。そして夕麻ちゃんは俺に向かって告げた。

 

「実はね、あなたに一つだけ、お願いがあるの」

「お、おう!言ってみてよ夕麻ちゃん!俺が叶えられる事だったら、なんだって聞くからさ!」

 

彼女からのお願い。それを耳にした俺は彼氏の甲斐性を見せようと必死に口を回して大丈夫だと、問題ないと告げる。

それを微笑ましげに見つめて夕麻ちゃんは満足げにありがとうと頷くと口を開く。

 

「それじゃあ兵藤君……死んでくれる?」

「……へ?」

 

一瞬、彼女の言ったことの意味を理解できなかった。しかし、その意味を俺は次の瞬間理解する。何かが俺の頬を掠めて後ろに飛んで行ったのだ。振り向いて確認すると、それは俺の腕くらいの太さがある光の槍だった。

 

「ゆ、夕麻ちゃん?……」

「全く鈍いわね。おんなじことを何度も言わせないで。いいから何も言わずに死んでちょうだい」

 

夕麻ちゃんは再び槍を構えだし、それを見た俺はすぐさま走り出す。するとすぐ様後ろで蔑む様な甲高い夕麻ちゃんの声が聞こえる。しかし振り向くことなく、俺は走り続けた。

 

「うふふふ、どこに行こうと言うのかしら?もうこの場所一帯には結界を張ったから誰も助けに来ないわよ?あ、そうだわ、ただ殺すのは面白みがないから、あなたはいたぶって殺してあげるわ。腕を撃ち抜いたら今度は足を飛ばして、その後少しづつ心臓に近づけながら嬲り殺してあげる。さあ逃げなさい!早くしないと死んじゃうわよ!」

「ヒュー…ヒュー……」

 

俺は走り続けた。しかし光の槍はいつまでたっても降り止まない。後ろから聞こえる夕麻ちゃんの笑い声も鳴りやまない。次々と降り注ぐ槍に体を撃たれ血が流れる。やがて足も限界を迎え、ふらふらと俺は地面に倒れ込む。

すると夕麻ちゃんが空から羽を生やして現れた。もう俺の頭の中はパンク寸前であり、背中の羽に疑問を持つこともできなかった。

 

「あら、もう限界なの?まだ腕の一本も撃ち抜いてないわよ?相変わらず人間って本当に脆い生き物ね。まぁいいわ、ちょうどあなたで遊ぶのにも飽きた所だし、これで終わりにしてあげる」

「ハァ……ハァ……夕麻ちゃん、教えてくれ、なんで俺を……?」

「これから死ぬ人間なんぞに答える理由はないわ。さようなら、あなたとのデート、なかなかに詰まんなかったわよ」

 

そう言い切ると、夕麻ちゃんは光の槍を生み出して俺に標準を合わせた。命の危機だって言うのに、俺の頭の中は酸素が回っていないからか、今思えばバカみたいな考えが頭をよぎった。

 

『最後におっぱい位揉んで死にたかったなぁ……』

 

そう念じ終わったとほぼ同時で目の前が光に染まり、俺の意識は途絶えた。

 

ーーーーーーーーーーー

 

夜中の公園の一角で白煙が立ち上る。それを見つめる少女、天野夕麻。別名を堕天使レイナーレは上空から見つめていた。

 

「……さてと、これで神器持ちを他勢力に渡る前に始末できたわね。全く、計画のためとはいえ、あんな子供みたいなデートに付き合わされるなんて、今思い出しても不快だわ」

 

レイナーレはその言葉を最後に立ち去ろうとする。人外である彼女にとって、下等生物と認識している人間を一人殺したところで何ら心は傷まないらしい。

 

「おいおい、相手の死亡を確認せずに立ち去るとは、少しばかりツメが甘いんじゃないかな?お嬢さん?」

 

その声は突如として白煙の中から聞こえた。レイナーレは驚きつつも振り返り戦闘態勢に入る。手には槍を生み出し、投げる用意をする。

やがて煙が晴れ、その正体が姿をあらわす。そこには死んでいるはずの兵藤の他に、もう一人男がいた。

 

「なぜ人避けの結界を張ったにも関わらず、人がいるのかしら?」

「それは秘密だ。わざわざ自分の首しめる様な真似はしないんでね」

 

その正体はバンダナを巻いた金髪の見た目十代の男であった。男は小振りのジャックナイフを取り出して、兵藤をかばう様にレイナーレと向き合っている。

 

「お、お前は……!何故お前がここに居る!ここ数十年はお前たちは活動をしていないはず!」

「お、俺を知ってるのか?まぁ基本俺らは今じゃ裏方だけど、昔やったことが中々に派手だし、そう簡単には忘れてくれねぇか」

 

男を見た瞬間、レイナーレの額から汗が流れ落ちる。それに対し、男は胡散臭い笑顔を振りまきレイナーレに話を持ちかける。

 

「ま、そんなことより、いくつかオマエに話があるんだが…一つ、どうしてコイツを狙ったんだ?二つ、コイツ以外にオマエの《《計(​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​・​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​)画(​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​・​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​)》》に関わる《《人(​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​・​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​)間(​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​・​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​)》》は後何人いるんだ?三つ、君の計画に何人の堕天使が関わっている?」

「……一つ目は神器を持っていたから。二つ目は後三人いるわ。三つ目も三人。これでいいか?」

「それだけ聞ければ満足だ。まあ安心してくれ、俺自身は手を出さない。これはグレモリーが対処すべき案件だし、()()()()()()()()()()()()()。だから実質、侵略行為はまだしていないわけだ。だから此方から手を出せば、先に攻撃したのは俺たちって事になる。そうなったら戦争だ。それはなるべく避けたい」

「……お前の目的はなんだ?」

「別に、大したことは思っちゃいねぇよ。ただ、あいつの器がどの程度のもんなのか知りてぇだけだ。久々の適合者だ。なるべく戦力になる様にしなきゃな。コイツはそのためにも必要なんだ、今死んでもらっちゃ困る」

 

男の返答にレイナーレは不満を抱く。男の言葉から、誰かしらの試験の為に使われようとしているのが分かったからだ。

しかしレイナーレはその不満を押し殺し、空へと飛び去る。そして忌々しげに兵藤の方を向くと舌打ちをして、今度こそ夜へと消えていった。

 

「さてと、兵藤一誠だったか?すまないとはおもわねぇけど、恨むなよ?コイツもオレらの陣営に引き込めればいいんだがなぁ…こればっかりはグレモリーの所が気付けるか否かだな。ま、これでアイツを此方側に引き込むことは出来るだろ」

 

男は兵藤を担ぎ上げると公園を立ち去っていく。そして去り際に男は囁く。

 

「さーて、『調停者』として出来るのはここら辺までだ。後は任せるぞ。グレモリーの跡継ぎ」

 

『調停者』、その名を冠する者が思うことは、今は本人にしか分からなかった。




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そろそろクロスオーバー感を出したい所。
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