(↑約3ヶ月前)
MAP:Old City スクランブル交差点
天候:晴
一面の白に埋まった視界が色づき、人がいないが大都市が目の前に広がった。
「いつも思うけど、国家間用ってだけあってよく出来てるな。」
街路樹の色や触感、ビルの窓に反射する光、地面に映る影。この 仮想世界のあらゆるものが本物と遜色ない作りで再現されている。
次に近くのビルの窓で自分の姿を確認する。
そこには真っ黒の戦闘服に身を包んだ俺の姿が映っている。よく見れば右耳にはマイク付きの超小型通信機が付いている。これで現実世界の司令室と連絡を取るのだろう。
『副司令、聞こえますか?』
そんなことを考えていると早速通信が来た。
「聞こえるぞ。」
右耳を押さえながら返事をする。
『
「お、言い忘れてたけどやってくれたのか。ありがとう。」
『いいえ。では副司令、ゲームモードのチェックに入りましょう。』
「ちょっと待て、BOTは?」
周りを見てもBOTのアバターは姿も形もない。不具合だろうか。
『BOTですが、ゲーム開始までは出現しないようです。訓練用標的なら出せますがどうしますか?』
「そういうことか、なら大丈夫だ。それじゃあ今からゲームモードの確認に入る。」
左手を横に振ると左側から引き出されたようにメニューが出てくる。その中から「Battle mode」と書かれたバーをタップすると、10の勝負形式が出てくる。
「上から行くぞ。」
『分かりました。』
10の形式の中の最上段、「TDM」を選択する。
すると急にVR訓練室に場所が変わり、左側に「Custom」と書かれた選択肢が1から5まで並び左上に「0/20」、右下に「10:00」という表示と装備選択の画面が出てきた。
右下の方は一秒ごとに数字が変化している。多分左上は装備のコスト、右下は残り時間を示しているのだろう。
「えっと、装備できるのは……」
ざっと見る限りでメインウェポンが2つとそれぞれにアタッチメントが2つずつの計6つ、セカンダリは1つとアタッチメントが1の計2つ、タクティカルは合計6つでここまでで14枠。
次にVRSゲームでは珍しいパーク、いわば特殊能力が5枠。試しに開いてみると最大で3枠のものがあったのでわりとバランスも考えられているようだ。その次は防具系装備だ。ヘッド2枠、ボディ2枠の計4枠が空いている。全部で合わせて23枠だ。何も考えずに武器から全ての穴を埋めるように装備させていくと防具がコストオーバーで装備できませんと出た。
「ああ、そういうことか。」
仕様を理解した俺は残り時間を一杯に使って実戦でありえそうな装備を組み上げた。
そして抜けがないかを確認し終わると同時に、俺はまた仮想の無人都市に降り立った。
ダイブスーツ
フルダイブ型VRゲーム全般における死亡事故の原因の大半が、長時間ダイブを原因とするエコノミークラス症候群という報告を受け、長時間ダイブを行うであろう隊員の為に作られた専用スーツ。なおバイタルチェック機能は急病対策。
主人公が着ているのはデータ集め用の試作型。正式版がでるのはまだ先である。