東方酒迷録【完結】   作:puc119

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プロローグ~迷い人~

 

 

 それはしとしとと嫌らしく雨が降り続ける梅雨の時期には珍しく、晴れの日だった。桜なんかはとっくに花びらを散らしてしまい、今はただ青々と葉をつけているだけ。

 そんな季節だ。

 

 最近どうにも実験が上手くいかない。魔法の森から取って来た化け茸を煮詰め、乾燥させ、混ぜ合わせるけれど、どうにもいい感じの魔力が発生しなかった。

 

 試行錯誤に暗中模索。

 

「うーん……気晴らしに霊夢のとこにでも行くか」

 

 そんな気分だ。

 

 

 

 

 博麗神社。

 幻想郷の東の端にボロっちい神社がある。そこにはぐうたらな巫女が一人。

 

「おーい、霊夢~。魔理沙様が遊びに来てやったぜ」

 

 お気に入りの帽子といつもの箒を持ってその神社に来たわけだけど……霊夢がいない。

 いつもなら縁側で緑茶でも飲んでるはずなんだけどなぁ。

 

「寝てるのかな」

 

 境内の掃除は毎日しているらしく、それなりに綺麗な敷地内。

 

 ――桜は綺麗でいいのだけど、掃除が面倒臭いのよねえ。散らない桜とかないのかしら?

 

 なんてアイツの言葉を思いだす。

 

 勝手知ったる人の家。お邪魔します。

 

 しかし母屋にも霊夢はいなかった。てか、鍵くらいしてけよ……

 まあ、盗まれる物なんてないか。

 

 縁側に出て、空を見上げる。さっきまで晴れていた空には、灰色の雲が覆っていた。これはひと雨来そうだ。

 

 う~ん、どうしよう。なんだか今日は上手くいかない。

 

「……帰るか」

 

 帽子を深めにかぶり、箒に跨り地面を蹴った瞬間、手の甲にポツリと一粒の雨。急ぐとしよう。

 

 

 博麗神社と自分の家とちょうど半分位。

 雨は本格的に降り始めた。

 

 ホント上手くいかない日だ。

 

 そんな時、ペチリと自分の顔に何かが当たった。

 うん? 何だ? 桜の花びらか? この時期に?

 

 よく見るとこの場所だけ空から花びらが降ってきている。しかも雨はやんでいた。

 

 上を見ても切りがないから下を見る。其処にはぽつねんと佇む白い鳥居。

 ん~、こんな所に鳥居なんてあったかな? いや、多分なかった。

 

 好奇心から地面に降りて鳥居を観察。どうやらこの鳥居を中心にして、花びらが降っているらしい。

 

 何なんだこの鳥居は?

 

 

 なんとなく白い鳥居をくぐった。

 

 その瞬間――世界が黒一色に染まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気がつくと、見慣れない景色が見えてきた。

 麦畑に、田んぼ、それにあれは……蒲萄か?

 

 そして、洋風な家と大きな倉庫があった。

 

 雨は降っていない。洋風な家に近づいてみると、家の中からは楽しそうな声が聞えてくる。

 

『OPEN』

 

 ドアにはそう書いた木の板が吊り下げられている。

 

 

 私には少し重いドアを開けた。

 そして、カランカランと鈴の音が響き――

 

 

 

「紫! なぜ、そこでスタンプをするのさ!?」

 

「ごめーん」

 

「何という棒読み……わざとか? わざとなのか? あっ、ちょっ、霊夢、散弾連射やめて! 何もでkギャー死んだー!」

 

「何、死んでるのよ」

 

「ホント、情けないわねぇ」

 

「いや、お前らのせいでもあるからね……」

 

「あ、倒した」

 

「うわ……絶対、剥ぎ取り間に合わないじゃん」

 

「やた、宝玉きた」

 

「売れ、売り飛ばせ」

 

 

 ……何だこれは。

 

 家の中では霊夢と、あれは……妖怪賢者か? それと知らない少年がそれぞれ小さな機械を持って遊んでいた。

 

「あら、魔理沙じゃない。どうしたの?」

 

 霊夢が私に気づいて聞いてきた。

 

「おろ、お客さんか珍しいね。いらっしゃい、ようこそカフェ『迷い人』へ。ゆっくりしていってね」

 

 少年も私に言ってきた。どうやらここは少年の家らしい。

 

「ここって、カフェだったの? 居酒屋の間違えじゃなくて?」

 

 霊夢が少年に尋ねた。

 

「お前らがお酒しか頼まないからだろ……ちゃんと珈琲とかあるよ。むしろお酒はおまけなんだけど」

 

 えと……この状況に頭がついて来ない。結局ここってどこなんだ? あと、『こーひー』ってのは何だ?

 

「いい感じで混乱してるわね。初めまして霧雨魔理沙。私は八雲紫。妖怪賢者なんて言われているわね」

「なんだ、紫も初対面なのか。初めまして魔理沙ちゃん。俺は黒。この店のマスターやってるよ」

 

 え? 何で妖怪賢者が私の名前を?

 

「お、おぅ、初めましてだぜ」

「ほいほい、よろしくね。魔理沙ちゃんも何か飲む? 初めてだしサービスしとくよ」

 

 黒と名乗った少年が私に聞いてきた。

 

「ああ、じゃあ適当に日本酒でも頼むよ」

 

 あ、『こーひー』とかのが良かったのか?

 

「あ、ずるい。私にもサービスしなさいよ」

「いや霊夢、溜まってるツケをどうにかしてから言ってくれ」

「お賽銭が溜まったらね」

「払う気ないじゃん、それ……てか魔理沙ちゃんも結局お酒ですか、そうですか……はぁ、冷、常温、熱燗どれがいい?」

 

 私の返答に黒は落ち込んでいた。

 

「ある意味、空気読んだわね」

 

 霊夢のつぶやきが聞こえる。

 

「『こーひー』なんて知らんしな。常温で頼むよ」

「かしこまりました」

 

 出された日本酒は美味しかった。

 

 






あ、ども
お久しぶりな方もそうでない方も、こんにちは

かなり短めですがとりあえず投稿です
次からはもう少し長くします
更新は時間が空いた時にちょこちょことする予定

唐突なモンハンネタでしてが、これから先登場することはありません

さてさて、ここからどうやって物語を進めていきましょうか?


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