東方酒迷録【完結】   作:puc119

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~注意!!~

東方キャラは出てきません
イラッ☆っときたらブラウザバック推奨
会話多め、本文短め
本編と関係ありますが、読まなくとも気合でどうにかなりそうです

では、始めます




昔話~名も無き~

 

 

 流れ出る赤。それはやがて広がり、大きな水溜りとなった。

 

 目の前で静かに眠る女性。そんな彼女が起きることは……二度とない。

 

「おい、クロ! シロは大丈夫なの……か……」

 

 聞こえてきた声はNo.02のものだった。

 

 俺達に名前はない。名前の代わりとして、たった二桁の数字が与えられただけ。別にそのことを不満に思ったことはないけれど、やっぱり少しだけ寂しいかな。

 

「そっか……ダメだったんだな。……悪いな、嫌な役目をしてもらって」

 

 気にすんな、汚れ役なら慣れてる。

 

「状況は?」

 

「最悪だよ。大量の妖怪どもが襲ってきてるそうだ。今は無人兵器が頑張っているが、まぁ無理だろうな。結界だってすぐに壊れる。上の奴らは妖怪を舐めすぎだ」

 

 最悪、ねぇ。

 それじゃあ、俺たちはもう助からないってことなんだろうなぁ。

 

「おっさん……施設の研究者達は?」

 

「もう逃げたっぽいよ。無事だと良いけどねぇ」

 

 こんな俺達を育ててくれた人達だ、普段は反抗してばっかだったけど、感謝はしている。そんな人達まで失ってしまうのはやっぱり悲しい。

 

「俺達の分の船は……まぁ、ないよな」

 

「そりゃあ、そうだろ。俺達なんて、上のやつらが大好きな穢れの塊だぜ?」

 

 あ~あ、嫌になっちゃうね。どうやったって、生き残れそうにない。とんでもないことになってしまったものだ。

 

 そんな状況になってしまったわけだけど……こうなってしまったのなら、やることなんて決まっている。

 そんじゃ、ま。

 

「行くとしますか」

 

「どこへ行くってのさ?」

 

 んじゃな、白。

 どうかゆっくり眠ってくれ。

 

「俺たちの死に場所を探しにさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 施設の中の一番大きな広間へ行くと、そこに皆がいた。総勢95人。一つ屋根の下で暮らした、大切な家族達のような存在。

 

「おお~、02と96じゃん~。お帰り~」

 

 間延びした声でNo.18が言った。

 

「46は? 彼女はどうなったの?」

 

 No.80が聞いてくる。そんなNo.80の顔は珍しく不安そうに見えた。

 

「俺が殺したよ」

 

 全員が黙り、痛いほどの沈黙が続く。

 

 

「それで……これからどうするの? せっかく46が命を懸けてまで助けてくれたと言うのに、このままじゃ全員死ぬわよ?」

 

「いっそ、妖怪側に回るか? 結界とかもぶっ壊してさ」

 

「やめろよ、おっさん達がまだ逃げてないかもしれんだろ」

 

「妖怪と戦う? 瞬殺されると思うけど」

 

「ですよね……私達も実戦経験はありませんし」

 

「どうするのクロ?」

 

 全員の視線が俺へ集中した。

 普段からリーダーなんてやっているわけじゃないけれど、こういう時ばかり何故か俺が中心にさせられる。

 

 ま、流石に慣れたけどさ。

 

「……白の、彼女の弔い合戦をしようと思う」

 

 どうせ俺たちは皆死ぬ。けれども死に方ぐらいは選ばせてもらおう。それくらいしか今の俺たちにできることはないのだから。

 

「まぁ、それが一番妥当だよね~」

 

「うわぁー、あの世で46に怒られそう」

 

「あはは、『なに死んでるのっ!?』とか言って怒りそうだね」

 

「初めての実戦演習~lunatic~」

 

「なにそれ怖い」

 

「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ……」

 

「いや、君は結婚できる相手がいないでしょ」

 

「んで、勝利条件は? 妖怪の全滅は無理だぜ?」

 

「5分持てば、まだいい方だね」

 

「最後の船が、打ち上げられるまでってとこかな?」

 

「よしゃ~、それで行こう~」

 

 話がポンポン進む、こんな時だってのに楽しそうだね。

 

「リーダーとか決めようぜ」

 

「じゃあ、この前の試験で点数が一番……低かった人ね」

 

 おい、待てコラ。リーダーにされるのは構わんが、その決め方は納得いかんぞ。全員でこっち見んな。

 

「黒か」「96だね~」「クロだな」「んじゃあ、よろしく頼むよ96」

 

「上等じゃねーか、この野郎共が。よし、お前ら全員自爆特攻な」

 

「……戦場における士官の死因の二割が、部下に殺されたものらしいですよ」

 

「いや、確か96って実験成功したんだろ? だったら不老不死なんじゃないか?」

 

「一回、殺ってみるか……」

 

 何勝手なこと言ってんの!? 本当にやめてください。

 

「不老不死とか、絶対なりたくないよね……ドンマイ96」

 

「なんで、クロだけ成功したんだろうね? 後は、み~んな失敗だったのに」

 

「いや~、あんな実験は二度勘弁だな」

 

「妖怪の血液を無理やり注入。そんなの拒絶反応が起きるに決まってるじゃん」

 

「……シロに感謝」

 

「だね」

 

 さてさて、皆さん。お喋りはそのくらいにして、そろそろ逝きましょうよ。いつもみたいにのんびりしている時間はないんだからさ。

 

「リ~ダ~、作戦をお願い~」

 

「結界組と迎撃組に別れよう。結界組はボロボロになった結界の修復を、迎撃組は妖怪と遊んでこい」

 

「了解~、最期に一言どうぞ~」

 

「さあ、逝け! 安心して死んでこい。骨だけは拾っておいてやる」

 

 

 

 

 

 

 

 何百、何千、何万年より昔の物語。

 

「ありゃ……こりゃあ、数がやばいな」

 

「帰りてー、すっごく帰りてー……まぁ、帰る場所なんてないんだけどさ」

 

 誰にも語り継がれることはなく。

 

「上から来る弾幕は~96よろしくね~」

 

「まだ、慣れてないんだけどなぁ。まぁ任せとけ。んじゃ、能力使うぞ」

 

 誰も語ることはなく。

 

「おお、すげー、これが桜吹雪ってやつなのかな? テンション上がって……は来ないな」

 

「そこは無理にでも上げとけよ……」

 

「まぁ、やるしかないよね。また、あの世で会いましょ」

 

 静かに終わった物語。

 

「無人兵器は壊滅~、結界はボロボロ~、撤退も不可能~……状況は最高だ。これより反撃開始」

 

「おっ、やあっと、結界が戻ったのね」

 

「何が何でも、結界を守り続けろ! これが破られたら俺達の負けだ」

 

 

 

 

 

 95人の命を犠牲にして。

 

「ねぇ……あれ見える? 船が……」

 

「いや~、もう視力がないんだわ。でもさ、声は聞こえる。皆の喜ぶ声が。そっか……そうか、俺達勝ったんだな」

 

「ありゃ……結界が壊れた。ま、よくここまで耐えてくれたよ。お疲れ様」

 

「じゃあ三時間後~、あの世で集合ね~」

 

「ふふっ、96だけ仲間外れ……って、あら? 96の奴、寝てるよ」

 

「頑張ってたもんな。じゃ、また会おう。皆……お疲れ様。悪いな黒。俺たちは先に逝っているけど……まぁ、お前はのんびりしてこい」

 

 名も無き一つの戦いが終わりを告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 雲一つない空の下。

 荒れた大地の上で

 

「ん~……これから、どうすっかね?」

 

 一人ぼっちになった少年が、ぽっかりと浮かぶ、まん丸の月を見ながら呟いた。

 

 






地の文が少なくてごめんねー
状況がかなり伝わり辛いかと思われますが、頑張って読んで下さい
こういう話はもう書かないと思います

と、言うことで昔話でした
人妖大戦のお話っぽいですね
ですから、主人公の年齢は1億歳くらいでしょうか?
本当は2,3話に分けても良かったのですが、結局バットエンドですのでサクッと終わらせました
飛ばしすぎた気もしますが……
有る事、無い事、それなりに設定も考えているので、質問して頂ければネタバレしない範囲で答えます
ああ、ほのぼのしたお話が書きたい

では、次話でお会いしましょう
次話は永夜抄解決だと思います


質問・感想は特にお待ちしておりませんが、書いていただければ作者が踊ります

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